無自覚クソボケ野郎が迫られるまで 作:いもけんぴ。
「実は、相談があるんだ。先生」
仕事がひと段落した時、隣の机で業務を手伝ってくれていた彼、如月サクヤからそんな事を言われた
「相談?」
「ああ」
珍しい。というのが最初の感想だった。今目の前に居る彼は、そういったことをあまりしない、どちらかというと、1人で抱え込んでしまうタイプだと思っていたから。というか、実際そうだった
私が赴任してすぐにシャーレに所属し、ずっと私を支えてくれた彼。他人の事はすぐ助けようとするのに、他人に自分の事を助けさせてはくれない。そのせいで大変なことになった時もあったけど……まあそれはいいか
ともかく、そんな彼が私に相談事を持ちかけてくれる。というのは、なんだか嬉しかった
一先ず仕事机から離れ、対面する形で近くのソファに腰掛ける
「よし、なんでも言ってごらん」
「助かる。こんなこと相談できるのはあんた位だからさ。……それで、その、相談なんだが……最近俺の周りにいるヤツらが変なんだ」
「変?」
「ああ。話しかけると急に別の方向を向いたり、他のヤツらと話している時は普通なのに俺と話している時だけ目を逸らしたり……」
「……ふむ」
「何かあいつらに嫌われる様な事したのかなぁ……」
「それはないと思うけど……」
そう、それだけは無いと言える。目の前の彼が嫌われるなんて有り得ないだろう。いつも他人を気にかけ、何か悩みがあったら話を聞いてくれ、何事にも前向きに取り組む様な子だ。最近はよく彼のことを話している生徒が多いが、殆どが彼の良い評判だ。嫌われるなんて……
「ん?」
「どうした?先生」
「いや……」
まさか……?うーん。有り得ない話ではない……いや寧ろ可能性は高い……か?
「もしかして何かあったのか!?俺がなんかやらかしてるとか!」
「ああいや、そんなことない……いやある?……とにかく、サクヤが嫌われているわけではないと思うよ」
「そ、そうか……」
私がそういうと、一先ず落ち着いたのか、彼は机の上にあるお茶を一口啜る
「それで、なんでそう思うんだ?俺が嫌われてないって」
「うーん、寧ろなんで嫌われてると思うのか聞きたいんだけど……まあいいや。その子達とはさ、普通に喋る時もあるでしょ?」
「ああ、まあ。でも、大体話してる途中で変になるんだよ」
「例えば?」
「え?……あー、さっきも言った通り、下向いたりそっぽ向いたりな。あと大体みんな顔を赤くしてる。……風邪流行ってんのか?」
これはもう……ね。あれだよね多分。ほの字だよねうん。まあ考えてみれば当然かぁ。いやー、若いねぇ
「うんうん。今のでよく分かったよ」
「さ、流石先生!それで、何が分かったんだ!?」
「それはね、サクヤ」
「お、おう!」
「教えない☆」
数瞬の沈黙の後
「はぁぁぁぁぁ!?」
叫び声が響く
「なんでだよ先生!俺は真剣に悩んでんだって!」
「大丈夫。少なくとも悪い様にはならないよ」
「なんでそんな事が分かるんだよ!」
なんでって……ねぇ?というか、私がこのまま伝えて良いものでもないと思うしなぁ
「まあまあ。あ、そうだ。その様子が変な子ってさ、例えばどの子?」
「うん?……そうだなぁ。ミカとかヒナ……イチカにウタハ、ヒマリやミヤコとか……あとは」
「はー待て待て。いくらなんでも多すぎやしないかい?」
多くない?しかもあの口ぶりだとまだ居るんでしょ?
「だから困ってるんだって……聞いても言ってくれないし」
そりゃ言えないでしょうよ
「本当に心当たりない?」
「えぇ……?……うーん。ないな」
はー無自覚。あの子達が可哀想になってくるよ
「うーん。やっぱ君が悪いかも」
「どっちだよ!」
次からオリ主と生徒との絡みをやっていきます