コレは記録、遠い世界。どこかの誰かの、記憶のカケラ。
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「青の花」非常に強い修復作用を持つ薬草。
『地脈』と呼ばれる『魔力』の集積地に群生する「白の花」に紛れ、生息している。
古くより万病に効く霊薬として活用され、少数ながら流通してきた。
その花の蜜は次世代の魔力薬として、ある魔導士に研究され、栽培する方法も開発されながらも、ある日を境にこの世界から姿を消した。
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「どうして、みんな仲良くなれないのかな」
街道から外れ、深い森の奥深く。
一面に咲く花畑の中で、彼女はそう呟いた。
「そりゃ、押し通したい事がみんな違うからだろ」
鎧姿の若者が、どこから取ってきたのかもわからない木のみを齧りながら適当に呟く。
そんな様を横目に、せっせと目的の薬草を探している私をよそに、花の似合う少女は変わりなく言葉を続ける。
「えー、だってみんなおんなじはずなんだよ。言葉で話して、その手を繋いで、みんなで踊ったりしたら、きっと楽しいよ」
彼女の視線の先には色とりどりの蝶。種別を問わず優雅に舞うそれらは、時折休息のためか、同じ花の上に止まってはその羽をゆったりと伸ばしている。
「それは……そうかもしんねぇけど……」
戦士が困ったように頭を掻く、彼は頭の硬い信仰者ってわけじゃない。
むしろ、楽しければOKな荒くれ者だ、だからこそ、その意見は否定できず。むしろ賛成したいところですらあるのだろう。
「そう、上手くはいきませんよ、何事もね……」
「あ、魔導士さん! 薬草見つかった?」
青色の花を袋に詰め込みながら立ち上がり、声をかけると、少女が振り返り、花の咲く様な笑顔をこちらに向けてくれる。
その様子に思わず頬を緩ませながら、彼女の方へ袋を飛ばす。
青い風に乗ったそれはふわふわと浮かび上がり、ゆっくりと少女の手に収まった。
「特に効力が強いものを選んであります。それだけでも、目的のものは十分に作る事ができるでしょう」
「さっすがー! よーし。なら急いで帰るよ!」
話を聞くなり、パッと跳ね起きた少女はその腰につけたポーチに袋を突っ込むと、木に背中を預ける戦士をバシバシと叩き始める。
そんな様子を傍目にさっと周囲を見渡した私は、付けておいた目印の方へ歩みを進める。
「遊んでないで急ぎますよ、早いに越したことはない」
「はーい」
「あいよー」
楽しげな少女が、ニヒルに笑う戦士が、こちらへかけてくる光景と共に。
私達は街へと向かって歩みを進めたのだ。