コレは記録、遠い世界。どこかの誰かの、記憶のカケラ。
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対象:『ルーの魔豹』
特徴:
・額から背中へ伸びる翠の紋様
・4m以上の巨体
・捻れた翼
場所:『ルーの村跡地』
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「うそ……」
「まじかよ……」
巨大な魔物を前に呆然とする二人を他所に、目の前の敵を睨みつける。
『ルー村の魔豹討伐』……。
かつて3年ほど前に、共に調査を行なった森。その入り口にあたる村。
その跡地であるこの地に居座っていると言う魔物の情報を受け、この村に向かったのが昨日のこと。
急かしてくる少女を宥めつつ、万全の状態でここまできた。……が。
「やはり……」
嫌な予感はしていたが、こうして対面してみて、よくわかった。
特徴的な、クローバーの紋様……一部分が欠け、歪に変化している部分も見受けられるが間違いない……あの時の子猫である。
その全長はかつて村で聞いた『森の主』その3mを大きく超え、4.5m。
背中より伸ばされた蔦状の片翼には結晶の様に固まった魔力が埋まり、時折暗い光をギラギラと発しながら羽ばたいていた。
「そ、そんな。なんで?」
理解できないと表情を歪ませる少女に、己の失策を呪う。あの時のあの提案。
「連れて行こう」はコレを回避する鍵だったのだと。
この数年。彼女と旅をしていてよくわかった。彼女、『勇者』は全てが上手くいく。
まるで正解を知っているかのごとく、彼女の行動は必ず良い方に向くのだ。
それは『魔力』が関わることにのみ発揮されているらしく、その幸運を感じ取れることは稀だが……。
後から考え、思い返すと全てが意味を持ってくる。
「『勇者』さん、戦えとは言いません……下がっていてください」
『魔導機』である指輪は構えつつ、前方に出て剣を構えてくれた戦士に戦線を任せ声をかける。
「アレは、ただの魔物です。魔族ならいざ知らず、貴女が手を汚すまでもありません」
言い聞かせる様に呟く私を否定する様に、必死に首を振りながら優しい少女は言葉を紡ぐ。
「ちが……違うよ! あれは! あの子は……」
「ただの魔物です」
冷静な私の言葉に、少女は涙を流して座り込む。唇を噛み締め、「なんで……やっぱりあの時……」と呟く少女は自身を責めているのが痛いほどよくわかった。
……実際そうなのだろう。あの時、子猫を連れて行き、共に旅を続けていればこうはならなかったのだろう。
その身に余る強大な魔力も、『幸運』にも同行している私が、制御する方法を見つけていた筈だ。
だからこそ……悪いのは私だ。
「『私は魔を操る者』」
『収束』『圧縮』……魔力の制御を代入した始動キーを言葉にし、手元に魔力が集まってくるのを認識する。
「『光を持って』『敵を滅する者』」
言葉に従って、魔力がうねり、熱が、光りが。目の前の敵を滅さんとその力を高めていく。
「許せとはいいません! ……『弔いの光』!」
あまりの閃光に目を瞑る魔物とは対極的に、大きく飛び退いた戦士の姿を確認した私は、その手に宿した光の奔流を目の前の敵に向けて解放した。