旅する狼達よ、鋼鉄の城にて吠えろ(シャングリラ・フロンティア×ソードアート・オンライン) 作:しらすの番人
〜第一層迷宮区二十階・ボス部屋前〜
現在時刻は10:00時。ボス攻略をするメンバーが全員ここに集まっていた。今日は12月の11日、迷宮区内では分からないが、外はとても気持ちの良い空が広がっているのだろう。
「みんな──ありがとう!!たった今、全パーティ46人が、一人も欠けることなく集まったことが確認できた!」
声量が大きい訳でもないのに迷宮区内に響くその声の主、ディアベルは右拳を上に突き上げながらそう言った。
「実は俺、今だから言うけど──もし、この中の一人でもいなかったら、今日の攻略作戦をやめにしようかと思ってた。でも、そんな心配・・・・・・皆への侮辱だったな!改めて、今日は集まってくれて、本当にありがとう!!」
その言葉に笑う者、口笛を吹く者、同じように拳を突き上げる者。
この短期間でディアベルは、見事なまでに全員からの信頼を掴み取っていた。
「みんな・・・・・・もう俺から言う事はたった一つだ!」
「勝とうぜ」
今までで一番の歓声が起こる。
かくして、第一層ボス攻略戦が始まった。
〜第一層迷宮区・ボス部屋〜
「うおおおおおお!!」
「でりゃああああああ!!」
俺達G、H隊を除いたABCDEFの六パーティは、ボスである「イルファング・ザ・コボルドロード」へ突進している。俺達の役割はその取り巻きである「ルインコボルド・センチネル」の対処及び撃破という、明らかサブな役割である。
「ふっ!」
俺が振りかぶった剣がコボルドの
コボルド・センチネルは重武装をしていて防御力が高いが、喉元は弱点でありそこならまともなダメージが通ると。
「うおおおおお!」
コボルドのハルバードを【パリィ】、つまり弾いてコボルドの体勢を崩す。そして
「ホリゾンタル!!」
コボルドの首ら辺をバーチカルで斬りつける。すると目に見えてHPバーが減る。
「京ティメット!【スイッチ】!!」
「了解!!」
「スイッチ」つまり切り替え。俺と京ティメットは位置を交代し、すかさず京ティメットはソードスキルを喰らって吹っ飛んでいるコボルドに追い打ちをかける
「絶空!」
京ティメットが放った居合系のソードスキルである絶空は、確かにコボルドの喉に命中した。だがあと一息の所でHPの減少が止まってしまう。
だが俺達の作戦はもう一段ある。
「アスナ!」
「分かってる!!」
京ティメットがアスナに呼びかけ、スイッチし、そのままアスナはコボルトに向かい細剣のソードスキルである「リニアー」を放つ。喉には命中しなかったが、その一撃は残り数ドットのコボルドのHPを削り切るには十分だった。
「グギョアアァァ!!」
悲鳴を上げながら、コボルトはポリゴンへと変わっていった。無事に俺達は一体目のコボルド・センチネルを倒すことが出来た。
「とりあえず一体目お疲れ」
「お疲れ〜」
「お疲れ様」
俺と京ティメットとアスナは互いに労いあう。そしてどうやらあと二体の方も決着が着いたようだ。
俺達はボス戦突入前、何の作戦も無く挑むのはどうなのか、ということで作戦を考えることにした。それが、コボルトが三体出てくるならこっちも三個のグループに分ければいいじゃないということで考えられた、「コボルト個別撃破作戦」である。
この作戦は俺・京極・アスナを仮称チームαとするならば、ペンシルゴン・秋津茜・レイ氏をチームβ、カッツォ・ルスト・モルドをチームγとし、誰かがコボルドをパリィし、そのまま三連ソードスキルでコボルドのHPを削り切るという超速攻作戦である。この作戦ならば、コボルドを速攻で撃破し、メインのボス戦へと合流することが出来る。ちなみにキリトの役割は、元βテスターということ活かし、ボスがβ時と変わりがないか観察、危ないグループやメンバーのサポートとなっている。
まぁ、このメンバーなら失敗する事がほぼ無いので、キリトはボスの観察という、ボス戦なのにそれでいいのか状態になっている。メインの方に最初から関われない俺達も俺達だが。
「情報通りならまだあと三回コボルド達が出てくるはずだ。油断はナシで行こう」
「「了解」」
〜10分後〜
最初の一回目さえ倒してしまえば楽なもんで、あとに出てきた三匹ずつ、合計九匹のコボルド達は俺達にあっけなく倒されてしまった。
「よし、これでボス戦の方に合流することが出来るな」
「やっぱサンラクならそう言うよねぇ、俺達に振られた仕事は終わったのに」
「折角のボス戦なのにボスと戦わないやつがどこにいるんだよ。それに、まだラストアタックも狙えるだろ?」
「確かに」
そう呑気に俺とカッツォは会話しているが、目の前では未だABCDEF隊がボスと戦闘している真っ最中だ。だがボスの四段あったHPバーも、一番下まで削れて黄色くなっている。今思えば、ボスのHPバーが一段削られた時がセンチネル追加の時だったのだろう。
「・・・・・・っ!?まずい!!」
キリトがそんな声を出した。何がまずいって言うんだ。こんなにもボスのHPは削れていってるのに──あ。
「カッツォ!!」
「分かってる!!」
そう言い終える前に、俺とカッツォの体はボスの方へと走り出していた。目の前には最後のHPバーが赤色になり、さっきまでとは違う武器で大技を放とうとしているコボルドロードと、それに一番近いのに麻痺状態になって動けないディアベルと、ディアベルよりは距離が遠いが麻痺しているレイドの半数近くのプレイヤーの姿があった。
「ディアベルが
「ディアベルを追ってたプレイヤーも巻き込まれたぞ!!」
そんな声が聞こえてくる。つまるところ、ディアベルがボスのラストアタックボーナス欲しさに抜け駆けをしたのだろう。それに気づいたプレイヤー達も後に続こうとしたが全員ボスの範囲麻痺攻撃に巻き込まれたと、何やってんだよマジで!?
「それで死んだら意味ねぇじゃねぇか!!」
恐らく、ディアベルはボスのHPバーが赤色になった時点で走り出し、そのままソードスキルでHPを削り切ろうとしたのだろう。だがそれは今考えると悪手だったのだ。コボルドロードは今まで持っていた曲刀から本当の刀へと変え、ディアベルを追っていたプレイヤー諸共巻き込める超広範囲麻痺攻撃を発動。そのまま麻痺したプレイヤーを高火力技で仕留める、という行動を取ろうとしていたのだ。
多分だが今コボルドロードがこのまま大技を発動したら、一番近くで麻痺しているディアベルが間違いなく狙われ、そのままHPバーを削り切り取られるだろう。たった一人でも死人を出したくないって言ってたヤツが死んでどうすんだよ!というような状況になってしまう。
では、その大技を止めるにはどうすればいいのか?
「合わせるぞカッツォ!!」
「もちろん!!」
それは、相手の技を相殺して
これはウェザエモンの時に似てるな──と俺は思った。あの時もウェザエモンの「晴天大征」の最後の技である「天晴」をノーミスで相殺しなければならなかった。このコボルドロードもそうだ。失敗は許されない。失敗すればマジに死人が出るという、考えればウェザエモンの時よりもクソな状況である。だが──あの時はアシストがあったとは言え、一人でも出来たのだ。それなら、俺の中で最も信頼できるやつの一人と一緒なら!!今回も確実に成功する!!
「「【レイジスパイク】!!!」」
コボルドロードが放ったソードスキルらしきモノと、俺とカッツォが繰り出したダブルレイジスパイクがぶつかる。今の俺達は二人かつレベル16と「アニールプレード」という、今出来る最大の火力でレイジスパイクを出している。本来ならここの適正レベルは10程度だろう。本来の適正レベルを大幅に超えたレベルと一層最強の武器、さらに俺達が走って加速しながら放ったことによる補正により、俺達の一撃が負けるはずが無かった。
「「うおおおぉぉぉぁぁぁぁああああああ!!!」」
二人で放ったレイジスパイクという、一見すれば単純な単発突撃技のソードスキルは、コボルドロードを刀を弾くどころか、そのままコボルドロードの腹ど真ん中に命中し───コボルドロードのHPを削りきり、コボルドロードはポリゴンとなり、爆散した。
───<Congratulations!>───
ボスを倒した証拠に、討伐報酬などを知らせるメッセージが表示された。
───【 You got the Last Attack!! 】───
更に俺には、ラストアタックを取ったメッセージも表示された。
「まじで・・・・・・倒したんだよな?俺達!!」
「うおおおおおおおお!!!」
周りのプレイヤー達は一斉に歓喜の声を上げる。協力した仲間を称え合う者達がいれば、嬉しさのあまり叫び続ける者もいる。だが──我らが
「
「俺お前に名乗ったことあったっけか?昨日はお前が一方的に役割指示しに来ただけだったよな?──まぁいいや、ディアベル、兎も角──」
「LAボーナスごちそうさま!」
デ ィ ア ベ ル 生 存 ル ー ト 突 入
何とかボス討伐までは行きましたがこの後の部分は無理ですね。
次は色々書きたいことあるので遅くなったり、2つに分けて投稿するかもです。