旅する狼達よ、鋼鉄の城にて吠えろ(シャングリラ・フロンティア×ソードアート・オンライン) 作:しらすの番人
熱中症クソ食らえ
16話の最後の方で、サンラクがラストアタック取ったのが分かりやすくなるよう編集しときました。
◇
「お疲れ、カッツォ」
「そっちもな」
互いに拳を合わせ健闘を讃え合う。もしさっきのコボルドロードの一撃を相殺しようとしていたのが俺一人だったら、ウェザエモンの時のように上手くいったかどうかは分からなかった。それでも全力でやるだけだと思うが、今回の成功には間違いなくカッツォの力が関わっている。
「お疲れ様!」
「お前ら・・・・・・すごいな」
「お疲れ〜」
そう言いながら俺達の仲間が駆け寄ってくる。そこにはキリトとアスナの姿もある。
「サンラク」
ディアベルが話しかけてくる。先程勝利宣言をした時にはそのまま会話が終わったのだが、今度はちゃんと話し合いをする雰囲気だ。
「まずはラストアタックおめでとう。それと助かった。お前達がいなかったら多分俺は──死んでいた。」
「まぁいいってことよ。誰も死んで欲しくないって言ってたあんたが死んだら胸糞悪いだろ?あと、そのサンラクって名前はどこで知ったんだ?まだ俺名乗ってないぜ?」
「あぁ、情報屋に「サンラクってプレイヤーがトールバーナに現れたら言ってくれ」と依頼してたんだ。あとは雰囲気でお前だって分かったよ。久しぶり、「
げぇ
「お前「ディアベル」って・・・・・・「Dearbell」かよ!!」
こいつは昔のゲームの知り合いだったことが判明した。そのゲームの名は「サバイバル・ガンマン」通称「鯖癌」である。あのゲームにはいくつかのサーバーがあった。その中でも「
元々βサーバーは特色がないことが特色であり、他のサーバーに流れるプレイヤーが多かったのたが、こいつはそんなβサーバーの中で有名になった。度々βサーバーで暴れたり、他のサーバーに一人で殴り込みに行ったことなどから、いつからかそいつには「変人」という二つ名がついていた。
また、そのDearbell、「親愛の鐘」という意味が関係していたのかは定かではないが、あいつが言葉を発すると不思議と従うプレイヤーがいたり、あいつが言っただけで他のサーバー同士のプレイヤーが協力するといった異例な事態が起きたため、そのカリスマ性や行動も相まって「変人」と呼ばれていた。
「あーあ、お前だけにはラストアタック取られたくなかったんだけどな。」
「騎士様が一気に騎士らしくなくなりやがったな・・・・・・」
「サンラク、ディアベルはお前の知り合いなの?」
「カッツォ、鯖癌関係だということで察せ」
「あっ」
ディアベルは自分が持つカリスマを自覚している。そのカリスマを使って、SAOでも仲間を増やして攻略していくつもりだったのだろう。
「あ、この間のシャンフロででっかい龍相手に大立ち回りしてる映像見たよ。すごいじゃん、ツチノコさん?」
「お前も知ってたか・・・・・・というかシャンフロ知ってたのかよ?お前も参加すれば良かったじゃんアトバードとかバイバアルも居るぞ?」
「いやまぁ一年前に買ってやってはいたんだけどね、いかんせんSAOのβとリアル関連が忙しくてさ」
鯖癌ギリシャ文字サーバーは俺が中学生の頃にあったものだが、その当時ディアベルと俺は年が近いという理由や様々な理由からそれなりに交流があった。その時でディアベルは高校生と言っていたので、現在は大学生でもしているのだろうか。
「congratulations!!」
そう話している俺達に一際大きい声で話しかけてくる。エギルである。
「おめでとう!この勝利はあんたらがいてこそだ!」
ガハハ、と気持ちの良い笑い方をしてくる。うーん、爽やかだなぁ。見た目はこう、ちょっと暑苦しいものがあるが。
「おい、待てや!!」
突然、そんな言葉が俺達に向かって投げかけられる。見るとそこのはキバオウが今にも突撃してきそうな顔でこちらを見てきている。
「何でや?何でディアベルはんはあの時ボスに突撃したんや?それに──自分ら、あのボスの動きなんで知っとんたんや?」
「「──は?」」
「だってそうやろ!?ワイらもあん時動けなかったんや!!それで自分らは動けてるって──ボスの動きを知ってるやつしか出来ひんやないか!!それにディアベルはんも、あん時無理に突撃する必要なかったやないか!同じように慎重に行動してたら、ディアベルはんも、それを追いかけた連中も危険な目に会うことは無かったはずや!!」
それを聞いた周りのプレイヤー達が「確かに」「ほんとだ」「何でだ?」などの声を上げだす。えもしかしてこいつら俺達のこと「オレ、知ってる!!」????
「こいつら元βテスターなんだ!!ディアベルの野郎も含めて!!ボスの動き知ってるのとラストアタック狙いに行ったのはどう考えてもおかしいだろ!!」
銀髪よりの白い髪をしたプレイヤーが俺達に向かってそう言い放つ。
「あのアルゴって情報屋もそうだ!!あいつも元βテスターだったから、嘘の情報を書いて俺達のことを騙してたんだ!!本当の情報をタダで教えるつもりなんてなかったんだ!!」
「他にもいるんだろ!?βテスター共!!出てこいよ!!」
先ほどまでのプレイヤー達の疑問の声が「そうだそうだ!」「やっぱりテスター共は悪だったんだ!」などの断定の声に変わっていく。仲間達も暗い表情に変わっていき、キリトは何を考えているのか特に思い詰めた表情をしている。いやでもさ?君達ちょっとそれはないよ。
「さっきから何言ってんのお前ら?」
「「──は?」」
「俺達が元βテスター?ボスの情報を知ってる?そんなわけねぇじゃん」
「寧ろこっちが欲しいくらいだっつうの。オレとコイツ──カッツォのさっきの動きは直感って言うか反射的な行動だぞ?これはヤバいっていう脳の直感。」
「ディアベルの野郎はLA狙ってたのはその通りだと思うけどさ、逆になんであんたらは動いてなかったの?てか欲しくなかったの?LAボーナス」
そう言いながら俺はコボルドロードのLAボーナスである「コート・オブ・ミッドナイト」を実体化させる。周りからは「おぉ・・・」といった声が上がる。
「てかそのために「アイテムはドロップした人のもの」のルールにしたんじゃなかったのか?」
─ディアベルは昨日の会議の時、「ボスがドロップするアイテムをダイスロールで決定」するルールは、誰かがネコババした時に分からないし、それで険悪な雰囲気なるのは嫌だからと「ボスがドロップしたアイテムはドロップさせた人のもの」というルールを決めていた。これは全員が集まっている会議の場で言われたものなので、聞いてないなどの理由は通用しない。
「それにあの時ディアベル以外にもボスに突っ込んで行ってたプレイヤー達いたよな?そいつらもLA狙いだろ?」
そう言うと自然とディアベル以外にLAを狙っていた二十人ほどのプレイヤー達が出てくる。彼等は皆それぞれ言った「LA取ろうとしたら麻痺喰らった」「ディアベルがLA狙いの動きしてたから俺もと行ったら巻き込まれた」「LA取れなくて悔しかったです」──と。
「ほらな?皆このルールならボスのHPが残り僅かになった時点でLAを取りに行こうとするもんなんだよ。俺達もLA狙いで動こうとしてたし。ディアベル助けた時のあの行動はほんと偶々だったんだよ。その余波でボスも倒しちゃったけどさ。てか逆に動かなかったあんたらは何なの?このままだとLA狙いに行かなかった馬鹿者共になるんだけど。」
「何やとぉ・・・・・・」
キバオウが何かめちゃくちゃ落ち込んでいる。こいつもしかして見た目に反してMMOを良く知らないビギナープレイヤーだったのか?そう思うとちょっと笑えてくるな。他の動かなかったプレイヤー達もMMOゲーム初心者とかLAを知らなかったりその重要性を理解しきれていなかったプレイヤーだろう。
途中で俺が考えている最中に割り込んで来やがった銀髪のプレイヤーは何が起こっているか分からんという風に絶句している。コイツだけは何か嫌な悪意じみたものを感じた。名前は、「ジョー」ね。覚えたわ、コイツはちょっと警戒しなきゃな。あとでペンシルゴンとかにも知らせておくか。
「でも、だ。折角記念の第一層のボス討伐なのに、全員にチャンスが無いのは不平等だろ?」
俯いていたやつらの顔が上がる。
「ここに第一回、全員参加のジャンケン大会を開催する!!勝利報酬はもちろん、コボルドロードのLAボーナスの「コート・オブ・ミッドナイト」だ!!!」
うおおおおおおお!!と大歓声がボス部屋に響き渡る。どうやら全員の活力が戻ったようだ。
「まじでぇ?いいのサンラク」
「サンラク君〜、流石にもったいなさすぎじゃない?」
「サンラク・・・・・・ほんとに良かったのか?」
仲間達がそう聞いてくるが男に二言はない。
「いいんだよ、どうせこれの上位互換はどっかで手に入れられるだろうし。まぁ流石に抵抗が無いわけではない。そういうことなので、俺ももちろん参加するぜ」
「わ、ワイらも参加していいんか・・・・・・?」
「もちろん、全員でやった方が楽しいと思うぜ?」
「じゃあ俺もやろうかな!」
「じゃあ全員準備は出来たか!?」
返事の代わりに歓声や拍手などが飛んでくる。うん、別に悪いものではないのだが、やはり前に出るのは性に合わないなと感じてしまう。
「じゃあ始めるぞ〜」
「「「「「「「「「「「「最初はグー!ジャンケンポン!!」」」」」」」」」」」」
相子が重なり過ぎて十分以上続いたジャンケン大会は、最終的にキリトと秋津茜の一騎打ちとなり、リアルラックカンストが勝つかと思われたがキリトが勝利した。
最後キリトが勝った時はそれはそれは盛り上がり、参加者全員でのキリト胴上げとなった。
最早ここには元βテスターとそうじゃないもの達の軋轢などは存在しなかった。
「ふう、終わったなー。」
ジャンケン大会も終わり、そのままの良い雰囲気で解散となったボス攻略作戦。ディアベルは俺とフレンド登録を済ませた後、キバオウ達と二層の転移門を
俺達は旅狼だけで集まり、先ほどのことなどについて話あっていた。
「サンラクがいきなり「ジャンケン大会します!」って言った時は正気を疑ったよね」
「折角のLAボーナスもキリト君の物になっちゃったし。ほんと勿体ないことしたねぇ」
「でもそのおかげで暗い雰囲気から変わったんだから感謝してくれよ?」
「あの時のサンラクさんとてもカッコよかったです!なんかいつもと雰囲気が違いましたし!」
「うぐっ」
「あー、秋津茜ちゃん、サンラク君はボス倒してのそのままのテンションで言っただけだよ?それも当の本人は後からその事を後悔するタイプ」
「やめろペンシルゴン!!」
「でも、サンラク君があの場の雰囲気を変えるまではすごく怖かったです」
「私もサイガ-0と同じ、それに一人、危なそうなヤツがいた」
「あぁ、それも皆に言っておこうと思う。あの「俺知ってる!」って言ってた銀髪のプレイヤー、あいつからは何か悪意っていうか、嫌なものを感じた。名前も確認しといた。「ジョー」ってプレイヤーだ。そいつジャンケン大会辺りからか居なくなってたし」
「あいつ、何か企んでたりしたのかな。あいつの言動からは、「プレイヤー同士を対立させたい」─そんな意図が少し見えた。だって明らか元βテスター達炙り出そうとしてたもん」
「何にせよ警戒するに越したことはないね」
旅狼全員で、「ジョー」というプレイヤーには注意。という認識を共有したところで、キリトとアスナが戻って来た。
「お疲れ、皆。」
「お疲れ様。」
旅狼のメンバーも彼等二人に労いの言葉をかける。
「一日っていう短時間だが、一緒のパーティで戦えたこと、楽しかった。サンラクからはこんなプレゼントも貰ったしな?」
「流石にリアルラックカンストの秋津茜が負けたんじゃどうにも出来ないからなぁ。素直におめでとうと言っておくぜ。」
「ありがとう、これは大事に使わせて貰うよ。─と、俺達は先に二層へ上がってるぜ。次のボス戦も参加するだろ?多分次会うのはそん時かな」
「そうだな。それまで無事でいろよ?」
「そっちこそ。──じゃあな!!」
そう言ってキリトとアスナは手を振りながら去っていく。俺達もそれを手を振りながら見送った。
「俺達はどうするよ?」
「私お腹空きました!!」
「「「「「「「確かに」」」」」」」
「じゃあ今日は一旦一層に戻って、一層攻略を祝って盛大にやろう!!二層はその後!!」
「「「「「「「賛成!!」」」」」」」
そうして俺達SAOプレイヤーの第一層の攻略は幕を閉じたのだった。
◆ジョー
「サンラク...やってくれやがって...ボスに報告しなきゃだなぁ。まぁ楽しみにしといてくれやぁ、ツチノコさんよぉ。ひひっ、ヒヒヒヒヒヒ」
一層これにて完結となります。いやぁ長かったですね。二層はサクサク進めたいと思います。主に三層以降長くなるのがほぼ確定してるので。
原作もといプログレッシブとは違い、キリトよりもサンラクがジョーのヘイトを買うことになりました。レイドメンバーの名前は見えるようになってるので、サンラクとジョーはこの機能でお互いの名前を確認したんですね。
ちなみに言ってないだけで「こいつもしかしてツチノコさん?」となっているプレイヤーは結構います。SAO世界にはMMOトゥデイがあるので、シャンフロ原作よりもツチノコさんの存在は知れ渡ってますね。SAOでは素顔なのでまだ気づいてる人は少ないですが。
あと絶対いらないだろと思われてもおかしくないくらい急に出てきたディアベル周りの設定ですが、ディアベルを生かそうと決めた時と同じくらいには早く考えてた設定で、折角生かすなら役割与えないとねってことで、あの設定にしました。なんでちょくちょくディアベルは出てきます。キバオウも出します。リンドは知りません。