旅する狼達よ、鋼鉄の城にて吠えろ(シャングリラ・フロンティア×ソードアート・オンライン)   作:しらすの番人

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第二層突入です


第二層
体術に至るは苦難の道


 

 

SAO第二層は、主な部分が荒野みたいな地形となっており、どこに行っても「牛」がいる。これはモンスターなのだが、まんま見た目が牛なのだ。

 

そんな第二層の主街区「ウルバス」に、俺達旅狼は訪れていた。

 

 

「ここが第二層の主街区ねぇ」

 

「なんて言うか・・・・・・街ですね」

 

ここウルバスはテーブルマウンテンの内側に作られたような街で、特にこれと言って特色はない。強いて言うなら街の端の方だと景色がすごく綺麗なことだろうか。

 

「じゃあこっから俺は別行動な」

 

「あいよ〜」

 

俺達はウルバスまでは全員で行動していたのだが、ここから俺だけが別行動となる。

 

というのも、二日前に分かれたキリトから、今日の10時にある場所に来てほしいと、その場所も貼られたメッセージが送られてきたのだ。

 

 

「おーい、キリトー?」

 

メールに書かれた場所である高台に着いた俺は、俺を呼び出した人物を探してみる。

 

「サンラク!来たか!」

 

奥の方からキリトが出てくる。わざわざ隠れてる必要あったか?

 

「2日ぶり、だな。意外と早い再開だったな。」

 

「そうだな。──で、俺を呼び出したのはどういう理由があるんだ?」

 

「あぁ、俺は元テスターだからな。もしサンラクか俺の質問に答えてくれたら、ここの高台にある「エクストラスキル」の入手方法を教えようと思ってな。」

 

エクストラスキル・・・・・・いい響きだ。ユニークの匂いがするねぇ。これはカッツォとかを煽るチャンスかな?

 

「よし乗った。その疑問ってなんだ?」

 

「即決かよ。まぁそっちのが嬉しいけど。で、その疑問は──」

 

「サンラクってあのツチノコさんなんだろ?何であんなヤバい動き出来るのかとか、良かったら聞かせてくれないか?」

 

あ。そういやディアベルが俺にツチノコさんって言った時にキリトとアスナいたの忘れてたわ。てことはもう二人には俺の正体がバレてるのか?てかそのもう一人はどこに行ったの?

 

「まぁそれはいいけど。アスナはどうしたんだ?一緒に行動してたんじゃないか」

 

「あぁ、元々はあの一層の時だけの暫定パーティだったからな。第二層着いたら別れて今は別行動中。」

 

「そうだったのか。」

 

勝手にカップルか何かだと思ってたわ。失敬失敬。

 

「てかキリトもシャンフロでのこと知ってたんだな。」

 

「そりゃMトデの記事になるくらい有名だからなぁ。それに俺は直接みたし。」

 

「というと?」

 

「俺も龍災の時参加してたんだよ。ジークヴルムに挑もうと思ってた時にあんたのめちゃくちゃな動きを見たのさ。」

 

「あの時か・・・・・・」

 

「あ、スキルとか使ってた動きも凄かったが、俺はそれよりもサンラク自身のプレイヤースキルの方が気になる。どうやってあんな化け物じみた動きとか反射神経を手に入れたんだ?」

 

「うーん、とは言ってもなぁ。」

 

俺はキリトの質問に答えるため考えるが、クソゲーをやってたとしか言いようがない。そりゃ便秘とか鯖癌で多少なりとも反射神経やプレイヤースキルは鍛えられたりしたが、あ、他にも幕末もあったわ。確かに幕末な考えながら動かなきゃいけないしプレイヤースキルの成長にも繋がるだろう。

 

「基本的に俺はクソゲーをやってただけだぞ?」

 

「は?クソゲー?」

 

「痛みがリアルで感じる「サバイバル・ガンマン」とか、攻撃判定とかがめちゃくちゃバグってる「ベルセルク・オンライン・パッション」、あとはやればやるほど天誅の理解が深まる「辻斬・狂想曲・オンライン」かな」

 

「???」

 

「特に「辻斬・狂想曲・オンライン」通称「幕末」はいいぞ。キリトが今言ってたものとVRゲームでの「考えながら動く」っていうのが全部鍛えられる。あとキリト自体にも幕末適正がありそうだし。」

 

キリトは所々でメンタルが強かったりする部分が見受けられる。こいつならきっと幕末の環境にも適応して「あの野郎ぶっ潰す!」という考えが出来るだろう。

 

 

「なるほど・・・・・・用は理不尽なゲームをやりまくって技術的・精神的に強くなったってことでいいのか?」

 

「そういうこと」

 

「ふむ・・・サンラクが言った幕末ってやつ、もしリアルに帰れたらやってみるよ」

 

「幕末志士一同、心よりお待ちしております」

 

どうやら彼なりに質問の答えを見つけられたらしい。俺はクソゲープレイヤーであることを宣言してクソゲーの紹介をしただけなのに。

 

「さて、俺の質問にも答えてもらったし、エクストラスキルをゲットできるクエストを受けに行こうぜ。」

 

「おう、で結局そのクエストでどんなエクストラスキルをゲットできるんだよ」

 

「【体術】」

 

「体術ゥ!?」

 

結構重要なスキルじゃないかと反応してしまった。

 

 

 

「ほら、あれが「体術」を教えてくれるNPCだ。もちろん受けるだろ?今なら俺の解説付きで受けられるぜ。」

 

「もちろん受ける...がどのゲームでも俺は初見を楽しみたいタイプなんでな。」

 

「まぁそう言われても俺も取りたいから受けるんだけどな。」

 

何だコイツ。キリトは元々こういうタイプなのか?なかなかに外道適正があるぞ?

 

 

「入門希望者か?」

 

俺達キリトの案内で高台にある小屋に向かった。そこには座禅をしていてぼろぼろの道着を来ている、いかにもな雰囲気を出している男が話かけてきた。

 

「そうだ」

 

「修行の道は長く険しいぞ?」

 

「望むところだ」

 

キリトが受け答えをすると、男の上に表示されてた「!」マークが「?」マークに変わる。

 

クエスト 「体術を極める第一歩」を開始しますか?

 

俺達は迷わず「OK」を押す。

 

すると男は立ち上がり、俺達を小屋の外にある、高さが俺の身長よりも高い巨大な岩の前に連れてきた。

 

「汝等の修行はたった一つ。両の拳のみでこの岩を割るのだ。成し遂げれば、汝等に我が技の全てを授けよう。」

 

 

 

「─は?」

 

え?こんなバカでかい岩割んなきゃいけないの?しかも素手で?

 

「─おいキリトてめぇ」

 

見るとキリトは俺の方を見て笑ってる。こいつ(はか)ったな?こうなることを知っててわざと俺をこのクエストに誘ってな?

 

「悪かったってサンラク。俺も知り合いから事前に説明されてなきゃ同じ反応してたと思うよ。それに、ほんとにヤバいのはここからなんだ。」

 

これ以上何があるって言うんだ?この岩割るまで帰れません!とか?

 

 

「この岩を割るまで山を下ることは許さん。汝等にはその証を立てて貰うぞ。」

 

そう言うと男は懐から小型のツボと書道で使うような筆を取り出した。

 

「─ちょ」

 

俺は嫌な予感がし、後退ろうとしたが──男が右手に持った筆をツボに突っ込み、取り出して俺の顔にラクガキをする方が速かった。

 

「おおおい!?」

 

そのラクガキの速さは目に見えない程速かった。顔を筆でなぞられたくすぐったい感覚に仰け反る暇もなく、男は俺にラクガキをするのを止め、キリトにも同じことをした。

 

「その「証」は汝等がこの岩を割り、修行を終えるまで消えることはない。信じているぞ、我が弟子達よ。」

 

そう言って男──暫定体術の師匠は、小屋の中へと戻っていった。

 

「──キリト?」

 

俺はキリトにガンをつける。要はこのクエストは、クリアしないとここから出れない上にラクガキも消えないのだ。

 

「あ、あの男はああは言ってたけど、このフィールドから抜け出せない、ってことは無いから安心してくれ。」

 

「あ、そうなの?」

 

とりあえず二つの内の一つの懸念点は解消された。だがどっちかと言うともう一つの方が懸念度は高いのだが──

 

「このラクガキはクエストをクリアしないとマジで消えないぞ」

 

「くそったれええええ!!てかこっちの方のラクガキどうなってんの!?」

 

「うーん、羽付きで負けすぎてなったおっさんみたいな見た目?」

 

外道共(あいつら)に見せたら笑われるの確定じゃねぇか!」

 

「それよりこっちはどうなってる?」

 

そう言われ改めてキリトにされたラクガキを見る。キリトには両目にデカい丸、鼻は真っ黒に塗りつぶされ、左右の頬には薄く三本ずつのヒゲが書かれている。あれこれって──

 

「ドラ◯もん?」

 

「俺も外出れねぇじゃねぇか!!」

 

こうして男二人は岩を割るため高台がある場所に籠もることになった。

 

 

 

サンラク:あー、すまん、ちょっとこっちの都合でしばらく宿帰れないわ

 

ペンシルゴン:ん?どゆこと?

 

サンラク:つまりですね、エクストラスキルの関係で帰ったらまずいんだよ

 

サシカッツォ:はー?もしかしてユニーク?

 

サンラク:キリトに教えて貰ったから俺じゃないぞ、それも全員取れるっぽいし

 

サシカッツォ:ならいいや

 

サイガ-0:その、大丈夫なんですか?

 

サンラク:何か危険な目にあってるとかじゃないからそこは心配しないで貰いたい。 まじで今帰ると不都合なんだよ。帰ったらちゃんと説明するから。                                                

 

ルスト:そうなんだ、頑張れー

 

モルド:まぁ無事に帰ってきてね?

 

サイガ-0:サンラク君、お気をつけて

 

 

 

 

「よし、まずは何もかも挑戦してからだよな」

 

そうして俺は岩の目の前に立つ。まずは基本の正拳突きから試してみよう。

 

「うおおおおおお!」

 

ごちん!と俺の拳が岩とぶつかった音が鳴る。

 

「痛てえええええええ!!」

 

「俺もやって見るかな、ふっ!・・・痛っっっっった!?」

 

俺はグーパンで、キリトは手刀のようにして岩の破壊を試みたが、どちら初めての挑戦はご覧の結果に終わった。

 

 

「これホントにクリアできんの???」

 

「ちなみに情報提供者はβ期間中に受けたらしいんだが、クリアできずそのまま放置したってさ」

 

「前人未到かぁ・・・・・・いいねぇ、それは燃えてきた!!」

 

 

 

〜2日後〜

 

 

「ふぅ・・・」

 

こういうの玲さんとかならすぐクリアできたりするものなのだろうか。あの人生身でも強いからわりと本当にありえそうなんだよな。

 

 

何となくコツは掴めてきている。俺は正拳突きなので、なるべく殴る時に手を振らさずに、岩の真ん中を狙って直撃の瞬間に思いっきり力を込めるイメージだ。あの道着を着た男はあれ以来何も言ってこないので、キリトと二人で挑戦していいということだろう。キリトもコツを掴めてきたようで、先程一緒にやった時は岩がゴゴゴ・・・・・・と揺れていた。もう間もなく割ることが出来るだろう。

 

 

「キリト、次で終わらせようぜ?」

 

「同意だ・・・・・・二日間岩に手刀し続けるって拷問か何かか?」

 

キリトはもう疲れ切っているようだ。俺?数多のクソゲーで鍛えられたメンタルはこんなもので折れるもんじゃないんだよ。

 

「じゃあやるぞ?」

 

「おう」

 

二人ともスッ、と構えを取る。俺は右拳を右の脇腹の横へ、キリトは右手で手刀を作り顔の横へ

 

 

「おおおぉぉぉぉおおおお!!」

 

「せぇやああぁぁぁあああ!!」

 

二つの衝撃が岩にぶつかる。すると、さっきまでは揺れていた岩が、今度はピシッ、ピシシッ、と音が立ち岩にヒビが入り始める。そして──

 

 

バゴッ、ゴゴゴゴゴゴ

 

 

 

岩は完全に崩れ、残ったのは重なった岩の残骸だった。

 

 

 

「「よおおおおおし!!」」

 

 

「良くやった我が弟子達よ!!!信じておったぞ!!!」

 

 

すると道着の男が現れ、クエストクリアのウィンドウが表示されて、俺達はエクストラスキル「体術」の獲得に成功した。

 

 

 




プログレッシブ一巻にあった体術編です。
もう二層でのやることはほぼ終わったと言っていいので次からは第二層迷宮区に入れると思います。


キリト君はSAOのβテストに当たってからはSAO一筋でした。でもその前まではシャンフロプレイヤーだった、ということにしといてください。キリトはなかなかのガチ勢で、ソロプレイヤーの中で噂される程度には知名度があったと思われます。
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