旅する狼達よ、鋼鉄の城にて吠えろ(シャングリラ・フロンティア×ソードアート・オンライン) 作:しらすの番人
〜第三層迷宮区・ボス部屋前〜
「ではこれより、第三層ボス攻略作戦会議を始める!!」
今日は12月の16日、時刻は10:00と朝は過ぎたとは言え冷え込んでいる時間。俺達は第三層ボス部屋前に集っていた。
人数は45人。一人いないが事情があって最前線を抜けたというその一人を除き、この45人で第三層の攻略会議を開き、そのままボス戦を行うことになっていた。
「まぁその前に、ここに俺達がギルドを作ったことをここに報告させて貰う!」
さっきから話しているこの声の主はディアベルだ。そしてこのセリフを待っていたかのようにキバオウとリンドがディアベルの両脇に立つ。
「今ここにいる大部分が所属していることになる、「アインクラッド解放騎士団」略して「ARK」だ!そして俺がそのARKのギルドリーダーのディアベルだ!改めてよろしく頼む!!」
今までは野良だった現ARKプレイヤーだ歓声を上げたり拍手したり口笛を吹いたりする。エギルやキリト達はARKには入ってはいないようだが拍手をしている。
「そしてこちらが幹部のキバオウとリンドだ!副団長は一人しか決められないから、話し合った結果、副団長に名乗りを上げてくれた二人は幹部という扱いにすることにした!!」
またARKのメンバー達の歓声等々が上がる。ソロでやっていく人もいるだろうと思ってたが、ここにいる大体のメンバーがARKに所属したことが俺には少々意外に思えた。
「またここで宣伝みたいなのも言っちゃうけど、ARKは幅広く団員を募ろうと思っている!この中で今フリーの人も、もしARKに入りたくなったら遠慮せず団員に声をかけてほしい!!」
ディアベルはここでARKに入っていない少数派である俺達やエギル、キリト達を見ながら言う。そして最後に何故か俺の方を向いてこう言った。
「サンラク達は言わなくていいのか?」
「・・・・・・は?」
すると周りのプレイヤー達の視線が一気に俺達に集まる。うわやってくれたなディアベルあいつ!いや別にやましいことはないんだが。ディアベルは俺達もギルドを作ったことを言わなくていいのか?と言っているのだろう。てか事の次第によってはディアベルかアルゴのどちらかをとっちめねばならないな。確実にディアベルがアルゴから情報を買ったかアルゴが言いふらしたかの二択しか俺達がギルドを作ったとバレる訳がないのだから。
「・・・・・・どうするよペンシルゴン」
「何で私に聞くのさ」
「そりゃお前がリーダーだからに決まってんじゃん」
「めんどくさいなぁ」
「ギルド作ったって言っちゃうとまずいんですか?」
「いや別にそんなことは無いんだけどね秋津茜ちゃん?ただほら、あんま目立つのは何かね...」
「仮面被ってるとは言え身バレが怖いんだろお前ら」
「うるさい!」
「そこで俺も含めるのはやめてくれるかなぁ!」
「ま、ここはリーダーに頼むってことでいいでしょ」
「え普通にヤダ」
「「「「「「賛成」」」」」」
「・・・・・・oh」
少しだけ考えた後、ペンシルゴンはコツコツとディアベル達の横の方に歩いていった。
「えーじゃあまぁ簡潔に言いまーす、私達は「
そう言うとまたコツコツ歩いてペンシルゴンは元いた俺達の方へ戻ってきた。
少しの静寂が流れてから、
「「「「「「「「
決して少なくない数のプレイヤー達が声を上げた。俺達を知ってるのかビックリした顔をする者や、何が起きてるのか分からないと困惑している者──これはキバオウである──などがいた。
「旅狼ってシャンフロの?」
「じゃあやっぱサンラクってツチノコさんか!!」
「ペンシルゴンって「
「それにあれって「ドラ姫」じゃないか!?ほとんど顔変わってないじゃん!!」
「てかツチノコさん意外と好青年じゃない?」
「メンバーの数的に旅狼全員巻き込まれてるんじゃないか!?」
元シャンフロプレイヤーやゲームメディアなどで俺達を見たのであろうこの場にいる半数以上のプレイヤーが口々にこれと似たようなこと言う。流石国内トップのプレイヤー数を誇る「シャングリラ・フロンティア」だクソッタレ!予想は出来ていたがまさかここまでとはな!あと俺が
ボス部屋前をカオスにしやがった当のディアベルはしてやったり、みたいな顔でこちらを見ている。やっぱ一層でもうちょい痛い目にあっていた方が良かったんじゃないだろうか。俺が真顔でディアベルを見つめると我に帰ったのか声を上げる。
「皆落ち着いてくれ!ここはボス攻略作戦会議だ!彼等が気になるなら後で自分たちで行って欲しい!今はこの層のボスについて考えよう!」
自分でこの状況作っといて何言ってんだと言いたくなるがガマンガマン。ディアベルの流石の統一力で静かになったプレイヤー達はディアベルの次の言葉を待っている。
「えーでは本題のボス攻略会議に移る!この第三層のフロアボスはβ時代だと「ネリウス・ジ・イビルトレント」って名前の大型樹木モンスターだ!事前に攻略本などで書いてあったので分かってるとは思うが、ボスは「毒状態」にする攻撃をしかけて来る!毒消しポーションをいつでも出せるように準備していてくれ!」
「また第二層で情報不足のままボスに挑み、危うく死者が出そうだったことを顧みて、この層の主要となるエルフクエストやその他のクエストを攻略したが、有力そうな情報は得られなかったからボスはβ時代とほとんど変わってないと言っていいだろう!だが慎重に、相手の攻撃パターンを見ながら戦ってくれ!」
プレイヤー達が同意の言葉を上げる。βの時とほとんど変わっていなそうとは言え相手はフロアボス。さっきまで騒いでいたプレイヤー達が静かになり、緊張を顕にするには十分は相手だ。
「だがそんなに緊張しないでほしい!一層・二層の死線を超えられた俺達なら今回も絶対勝てる!ここも突破して、SAOクリアの道を一歩進めよう!!」
ディアベルが緊張や不安を感じているプレイヤーを励ます言葉をかける。そのおかげでさっきよりは暖かい空気が戻って来ている。
「それでは、これより第三層攻略作戦を開始する!総員、突撃!!」
ディアベルの一声を持って、第三層攻略作戦の火蓋が切って落とされた。
結果から言おう、文句なしの楽勝だった。
「毒状態」を付与するとかいう、前衛が一斉に喰らったりでもしたら普通に危険そうな要素を持つ「ネリウス・ジ・トレント」君、通称痔レント君だったが。その肝心の毒状態付与の範囲攻撃はボスに直前まで密着してても見てから回避余裕です、くらいには攻撃モーションが遅かったのだ。その範囲攻撃の後は長めの硬直状態になるので、その範囲攻撃を頻繁に使って来た痔レント君は大量のソードスキルによってHPがゴリゴリ削れていったのだ。寧ろ毒じゃない、体から生えた腕を使った振り払いや叩きつけ攻撃の方が強かったりして何かと不憫な痔レント君なのだった。
「よおおし!LAはワイのもんや!!」
今回のLAボーナスは俺でもキリトでも秋津茜でもなく、最後の最後タイミング良くソードスキルをボスに当てたキバオウだった。LAボーナスの緑色をした少し木っぽいコートは素直にカッコいい見た目をしていて、同じARKのメンバーからも妬まれていた。
「何はともあれ勝利は勝利」
「ルスト凄かったね...真正面の攻撃ソードスキルでダメージ与えながら裏に移動してそのまま攻撃続行って...普通にヤバい戦いしてたよ」
「カッツォが真似してそのまま真正面から毒喰らった所は流石に笑ったわ」
「ただの振り払いだと思ったんだって!まさかフェイントかけてくるとは思わないじゃんか!」
「カッツォはそれで死んでも文句言えないからね?」
「うぐぐ」
「所でだけどさ、私達逃げた方が良いかも」
周りを見るとさっき旅狼の話題の時に騒いでいたプレイヤー達の姿が。ここで捕まると色々面倒臭いことになるだろう。よし、逃げよう!
「戦術的撤退〜!!」
そうして俺達は逃げるため第四層ではなく第三層に戻る道を走り始めた。
「あ!旅狼の連中が逃げたぞ!追えー!」
「これ何で追ってんの?何か聞きたいことがあるとか?」
「知らん!けどあいつらならどうせSAOでもユニーク的な情報持ってるだろ!死んだら終わりなんだからここではちゃんと情報吐き出して貰わなきゃな!!」
「確かにそうだな!他の奴らもあいつらのこと追えー!」
後日俺達は元シャンフロプレイヤー達に捕まり、ユニークな情報を出せ!と言われるのだが、そんな情報の心当たりのない俺達は普通に解放された。あとそれはそれとしてシャンフロのサイナやユニーク関連のことも聞かれた。鼻で笑ってやったらムカついてたのが面白かったです。
痔レント君まともに書いて上げなくてすまない。時間もなかったし初めてのボス戦カットという大変名誉ある称号を授けるので許してくれ。
サンラク達がシャンフロの旅狼ってことは今話以降共有されていくのですが、めっちゃ強いプレイヤーがSAOにいる!ってことで逆にプレイヤー達に安心感与えられそうですね。今は仮面してますがカッツォとペンシルゴンの顔がバレた時の方がヤバい。