旅する狼達よ、鋼鉄の城にて吠えろ(シャングリラ・フロンティア×ソードアート・オンライン)   作:しらすの番人

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やりたいことが多すぎる⋯


いざ船造り

 

「ごめんください、どなたかいますか!」

 

「人は居ると思うんだけどなぁ」

 

俺達が今いるのは少し人通りが少なく、建物の数も多くはない主街区の裏口であろうエリアだ。その中でも特に古ぼけている、屋根にイカダがくっついていなければただの民家のような建物に俺達は訪れている。ただ流石にショップのようなオープンな雰囲気の建物ではなそうなので、俺達は何らかのクエスト関連の建物だろうと推測、建物の外から呼びかけるということをしているのであった。

 

「鍵はかかっとらん。入ってくるなら勝手に入ってこい。」

 

少し無愛想なぶすっ、とした声が建物の中から聞こえてくる。ちょっと冷たくないかと思うが、とりあえずは許可が降りたので俺達は建物の中に入ることにする。

 

「「「「「「「「お邪魔しまーす」」」」」」」」

 

古びたドアを開けた先には、ギシギシと音を鳴らす木製の椅子に座り、酒瓶を持った鋭い目をしたお爺さんがいた。

 

「こんにちは、お爺さん!」

 

「⋯⋯随分と大人数じゃな、何の用じゃ?」

 

「外にあったイカダが気になりまして!あれはお爺さんが作ったんですか!?」

 

目をキラキラさせながらお爺さんに言う秋津茜、お爺さんは依然ぶすっとしたままだが、少しため息をつくとぽつりと話し始める。

 

「⋯⋯あれは前にわしが作った最後の船じゃ。...もっとも、まともな材料で作ってやれんかったがの」

 

俺達はイカダだと思いこんでいた物は、実は船だったと言う。確かに思い返してみれば低いが壁があり、舳先っぽいものもあったので船とも言えなくはないだろう。

 

「何かあったんですか?」

 

「ふん、水運ギルドの連中に材料を取り上げられてしまったんじゃよ。そうは言ってももう何年も前のことじゃが」

 

「「「「「「「「水運ギルド?」」」」」」」」

 

「なんじゃお主ら、水運ギルドのことを知らないのか?さては川を左側の道で下って来よったな?右側だと絶対にあいつらのことを見るはずじゃからな。」

 

ここでも左の道を選んだことによるデメリットが...運営は一体何のために左側の道なんて作ったんだよ、少し流れが穏やかになる以外特に情報面で右側の道に劣りすぎなんじゃないか?

 

「何にせよその水運ギルドって奴らムカつくね、お爺さんは水運ギルドに何かしたの?」

 

「ふん、答えたくもないわい。⋯⋯ほら、用が済んだのならとっとと帰るんじゃな、あまり年寄りの時間を取るもんじゃないぞ」

 

俺達はてっきりこのお爺さんが何かしらのクエストを受けさせてくれるのではないかと考えていたのだが、お爺さんの頭上にはクエストが受けられる証のハテナマークは浮かんでいない。話の内容的に水運ギルド、というものの情報をもっと集めなければならないのか。それとも──

 

「⋯⋯なぁ、お爺さん」

 

「何じゃ」

 

「あんた材料を取り上げられたって言ったよな、じゃあもし材料があったら船を造ることができるのか?」

 

「ふん、言ったろう。この建物の屋根についてる船はわしが作った、と。」

 

「⋯⋯じゃあ、俺達に船を造ってくれないか?」

 

「⋯⋯!」

 

お爺さんの頭上にピコン、とハテナマークが浮かんだ。

 

 

〜第四層・熊の森〜

 

「それにしてもサンラク、よくクエスト発生させられたね?」

 

「あ、結構勘だぞあれ」

 

「そうなの?」

 

「「船はわしが造った」ってお爺さんが言ってた時点で元船大工ってのは分かってたんだ。水運ギルドって単語が出てきちゃったから、それを調査してくれってクエストか船を作れるクエストかの二択にはなったんだが、決めてはこの四層の地形だな」

 

「こんな水路だらけの層にどこが..ってあ、そうか」

 

「そう、その水路だらけって所が問題なんだよ。浮き輪で川下りしてた時にこの層のメインの道は水路だってことは分かってただろ?てことは、浮き輪よりも早くかつ安全に進むことが出来る船を造ってくれるクエストだと考えたんだよ」

 

「建物の屋根に船を飾ってたのもプレイヤーにわかりやすくするためってことかな」

 

「そういうことだと思うぜ」

 

カッツォと話をしていると俺達は探していた「木」であろうものを見つける。

 

というのも俺達はお爺さんからクエストを受け、「材料は水運ギルドが全部持ってっちまったからな。わしに船を作らせたいならまずは南東の森に行って防水処理に必要な熊の脂を取ってこい。ヌシ熊に出くわしたら逃げた方が身のためじゃぞ?最高の脂は取れるだろうがな⋯⋯」と言われた。ヌシがいるならもちろんそいつに会ってみたい、ということになったので、お爺さんから聞いた目印の爪痕を探すために主街区「ロービア」の東出口から街を出て、森の中に入りウロウロとしていたのだった。

 

「これであってるのかな?」

 

「高くない?」

 

「多分これだと思うけどねぇ、これだけでもヌシ熊は強いって分かるくらい爪痕デカいし」

 

俺達の目の前にある古木にはざっくりと刻まれた四本の爪痕がある。だが問題はこの爪痕がある高さだ。この木は古木ということもあり結構デカいのだが、その中腹、高さ八メートルくらいはありそうな場所に爪痕はある。

 

「熊ってこんなにデカそうかったっけ?」

 

「ヌシ熊..だからでしょうか?」

 

「もうもはや熊じゃない」

 

あーだこーだ言っているのも束の間──

 

「⋯⋯ォォォオオ」

 

「「「「「「「「!!」」」」」」」」

 

鳴き声がした方向を見ると、そいつは前方二十メートルくらい先にいた。

灰色の毛皮、赤くデカい二つの目、口から出る凶悪な牙、巨大な爪の生えた手足、そして額にある黒光りするほど鋭く、太い爪。

 

「ギュゴロロロロ⋯⋯」

 

何よりその巨体と熊らしからぬ唸り声、熊よりも獣・怪獣の方が似合うだろう。

 

「ツノ生えてやがるぞアイツ!」

 

「というよりやっぱりデカすぎじゃない!?」

 

「二階建ての家くらいはありそうですね⋯⋯」

 

流石八メートル程の高さにまで爪痕を残せるもの、と言うべきなのかこの熊は高さが現実の家くらいの高さがあった。多分八メートルくらいはありそうなので一・二・三層のフロアボスより全然高い

 

「もうコイツがフロアボスなんじゃないかなぁ!!」

 

「でもフィールドボスくらいはありそう」

 

「⋯⋯!皆、逃げて!」

 

モルドがそう言った瞬間、熊の喉奥が赤く光る、全員が驚愕する。あれは多分──

 

「ブレス攻撃だ!!」

 

「ゴガアッ!!」

 

全員が熊の正面から避けた次の瞬間、ゴウ!と赤いブレスが吐き出される。そのまま真っ直ぐブレスは進むかと思われたが──

 

「ちょいちょいちょい!?」

 

なんとブレスが俺目掛けて曲がってきている。熊がブレスを吐きながら体の向きを俺の方へと向けているのだ。

 

「うおおおお!!」

 

仲間にブレスが当たらないように逃げる。当たったら危険そうだが、ブレス攻撃も長くは続くまい。

 

「オオォォ...」

 

ブレス攻撃が終わる。ブレスが通った後の草達は焼き焦げて見るも無惨な状態になっている。

 

「後隙狙え!」

 

俺がそう叫ぶ前から仲間達は熊の後隙を狙ってソードスキルで攻撃を仕掛けている。

 

熊の名前を確認すると「マグナテリウム」と書かれている。幸いカーソルカラーはオレンジなので倒せない相手ではないのだろう。三層のグレトリクセルと比べると全然マシだ。あいつは真っ赤を超えて黒になりかけてた。

 

「ふっ!」

 

「やああっ!」

 

モルドとレイ氏がソードスキルを叩き込む、カッツォやルストなどが先にダメージを与えていたため、この攻撃により熊のHPが五分の一程削れている。

 

「これこのまま倒すってことでいいんだよね!?」

 

「多分!コイツ倒せば普通よりも上質な脂が取れるハズだよ!!」

 

京ティメットとペンシルゴンがそう話しているのが聞こえてくる。確かにこのまま熊を倒せば脂を取ることが出来るだろう。だが脂を取ったところで、なのだ。お爺さんは水運ギルドに材料を全て取られたと言っていた。もしかしたら脂を取ったら他の材料も取りに戻ってくるようなのではないか。例えば木材とか。

 

「いや待った!熊に木こりさせよう!」

 

「「「「「「「は?」」」」」」」

 

「多分脂だけ渡しても他の材料取りに戻ってこなきゃいけないと思うんだよ、だからあの俺達じゃ切れなそうなデッカイ木を伐採して貰おうぜ」

 

 

その後避けタンクである俺とルストがタゲを取り誘導することで無事熊に木を殴って貰うことに成功。三十分ほど木を伐採して貰った後戦うことにしたのだが、火炎ブレス以外は大したことがなく、安全な立ち回りを心がけていたら三十分程で倒せてしまったのだった。

 

ちなみにこの戦いで俺達のレベルは全員が22に達した。

 




次で船編は完結⋯できなさそうというかそのままエルフ編突入かなぁと
気持ちが悪い終わり方ですがここら辺にしないと区切りがつかないので⋯⋯
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