旅する狼達よ、鋼鉄の城にて吠えろ(シャングリラ・フロンティア×ソードアート・オンライン)   作:しらすの番人

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「...」と「・・・」ってどっちの方が良いんでしょうね。
自分はためを作ったりとか気まずい時を作るので「...」を多用しているのですが、最近「・・・」こっちでも同じようなこと出来ると気づきました。


ラティエル城

 

水路ダンジョンは、ダンジョンというだけあってモンスターが出現する。四層は水辺が多い層である。もれなくその層のダンジョンであるここも影響を受け、魚系モンスターやカニ系モンスターが出現した。普通なら船が傷つかないよう立ち回りながら戦うのだろうが、俺達の「八芒星(オクタグラム)」号は先頭に付いている火炎熊の衝角と牙、プラス船の圧倒的な質量により、突進するだけでモンスターが消えていった。つまりモンスターに割く時間が必要なかったため、「大地切断」などいわゆる「アインクラッド創世記」の話を聞くことが出来たのだ。まぁ倒すのにプレイヤーの攻撃が加わってないので経験値などは一切入らなかったのだが。

 

ライブラリの連中が聞いたらここでも考察班が立てられそうな話の時間も終わり。三時間程船で進み地下水路を抜けた先には、目的地であるこの層の森エルフ達の拠点、この層のエルフクエストの場である「ラティエル城」が眼前にあった。

 

「でか⋯」

 

「こんなに立派なお城見るの初めてです⋯⋯」

 

ラティエル城は周りが山岳地帯に囲まれた湖のど真ん中に建っている。城の本体であろう真ん中に円錐の形をした石造りで白色の巨大タワー。それを囲うようにして出来ている二階建ての建物、というのがラティエル城の全容だ。

 

無数の窓からは白い光が漏れていて真っ暗な空と合わさり幻想的な景色を作り出している。各場所にある尖塔には森エルフの剣とサーベルが交差した模様の白色の旗があり、ここがただの観光地ではないことを表す。

 

そうこう観察している間にも船は桟橋へと着く。ここには俺達以外の船も当然あり、合計十隻以上の船があることから、ラティエル城にはそれだけの人数が滞在していることを示している。

 

縄を使い船を係留柱に固定した俺達は目の前にある正門に向かう。にしてもこの城本当にデカい。小さい頃家族で行ったような覚えがある有名テーマパークの中心に立てられている城より断然迫力がある。城自体がデカいのにつられて門もデカくなっているのだろうか?と思うくらいには巨大な門が俺達を出迎える。

 

「止まれ!ここは人族が立ち入って良い場所ではない!!」

 

まぁある程度予想はしていたが門を守る衛兵二人に止められてしまった。こういう衛兵って何故か声と行動が同時なんだよな。そういう訓練をしているのだろうがいつ見ても感心出来る。

 

「なんか通行書みたいなものあったっけ?」

 

「いやそんなもの貰った記憶ないけどなぁ」

 

「⋯⋯まさかあの人お前らに渡してないのか?」

 

「何がだ?ガリウス」

 

「紋章付きの紹介状」

 

貰ってねぇよぞんなもの!あの人ってのは間違いなくレムザードのことだろう。あの人どんだけ抜けてるんだよ凄い人のはずなのにどんどん株が下がっていくぞ。

 

「やっぱり自分達がついて来て正解だったっすね」

 

「ここは私達にお任せを、ということでガリウス、お願いします」

 

「おい」

 

ここは任せろからの素早いバトンパス、俺でなきゃ見逃しちゃうね。ていうかミーアも中々に悪女だよな、ペンシルゴンと仲良く出来そう。

 

「あー、外に出てた偵察隊のガリウスだ。ほら、騎士の勲章」

 

「何と⋯⋯特務隊の方々でしたか!これは失礼いたしました。他の方々は客人でしょうか!?すぐにもてなしの準備を!」

 

「あぁそれはオレがやるから大丈夫だ。その代わり警備しっかりと頼むぜ?」

 

「承知いたしました!!」

 

何とガリウスが持ってた勲章一つであっさりと門を通過出来てしまった。

 

「何者なんだよお前」

 

「オレが先生の弟子ってこともあってちょっとばかし優遇されてンだよ。いつもこの対応されるしんどいんだぜ?」

 

特務隊とか言ってたしガリウス含めこの三人はやはり森エルフの中でも強い方なのだろう。なんか三層で退場してったグレトリクセルの株がどんどん上がっていってるような気がする。

 

「こっからはオレが案内するわ。ミーア、ルイド、また後でな」

 

「了解っす。まぁ近い内に合流するでしょうけど」

 

「しばらくのお別れね、またたくさんお話したいわ」

 

ミーアとルイドは城の中に入ると俺達が進む真ん中の道とは違う、右側の道へと進んでいった。あっちの方にエルフ達が生活する部屋でもあるのだろうか。

 

「俺達はどうするんだ?正直めっちゃお腹空いたんだが」

 

「まぁまずはちょっとオレについて来てくれや、その後この城の説明とかするからよ。この城のご飯も前と同じくらい美味いぞ」

 

「それは楽しみだな」

 

と他愛のない話をしながら、この城の中心であろうタワーの階段を上っていく。流石に世界観を守るためかエレベーターとかはない。もしあったらどんなに楽だったろうか。ちなみにだが、城とかにある無数のちっちゃい穴とかは穴から銃や弓で攻撃するためにあるらしい。ラティエル城にも所々に穴が空いているし、籠城戦も想定されて建てられたのだろう。

 

そして俺達はラティエル城で一番高いであろうタワーの最上階に着く。赤い絨毯とシャンデリアがおりなす空間はこれぞ貴族、みたいな感じで派手派手である。目の前にある木製の扉の向こうにはさぞ偉い人が待ち構えているのだろう。ん?何かデジャブを感じるような?

 

〜第四層・ラティエル城司令官室〜

 

「皆さんお久しぶりですね、私です、レムザードですよ」

 

やっぱ待ってたのはコイツだった。デカい城だけあって、この城で一番偉い人が使うのであろうこの部屋の中央、年季を感じる木製の椅子に座り、ドンとニッコリ糸目で構えていた。

 

「久しぶり、レムザード。こっちでも司令官なのか?」

 

「実はですね、私こう見えても結構偉い立場でして、私が移動しちゃうと否応なくそこのトップになっちゃうんですね、あはは。」

 

「凄い人ってのは分かるんだけどさ」

 

「なんか抜けてるんだよね」

 

そう京ティメットとペンシルゴンが言ってるが完全に同意である。こう、のらくらりと躱していくような、どこか気の抜けている雰囲気がレムザードにはあるのだ。それが自然なのか意図してやっているのかはまだ分からないが。

 

「なぁ先生ェ?前にこいつらに渡しそこねたモンがあンじゃねぇのか?」

 

「はて何のことでしょう⋯⋯あ、確かに!紹介状渡すの忘れてましたね!いやあ本当申し訳ない!あははは。」

 

「天然」

 

「忘れん坊」

 

「まぁ皆さんそう怒らないで下さいな。これからはちゃんとこれで森エルフの領域だったらどこでも入れるようになりますから。おまけで私のサインも書いて外部からだと最上級の扱いをして貰えるようにしましたので。」

 

そう言うとレムザードは俺達一人一人に紹介状という名の森エルフの文様が書かれた紙を渡してくる。そこには確かに「レムザード」と手書きで書かれた文字とハンコらしきものが押されている。

 

「特別ですよ?()()()()()()()()()()には私のサインなんて書いてないんですから」

 

これがあれば普通より良い扱いが受けられるならそれに越したことはないな。この点はレムザードには感謝しなきゃな。⋯⋯ん?今「他の人族に渡す時」って言ったよな。それつまり、クエストは独立してないってことにならないか?用は他のプレイヤー達のことも認識しているってことだよな。

 

「あぁ、それとちゃんと偵察してきたぞ。黒エルフは近場に待機してたりとかはしていない様だった。」

 

「ご苦労でした、ガリウス。後でミーアとルイドも一緒に報酬を上げましょう。しかし、いつ皆さんと合流したんです?」

 

「任務終わって帰る時コイツらが船に乗って来たんだよ、オレ達とフォールンエルフ共の拠点に繋がる道に。オレ達が船に乗せて貰う代わりに、コイツらの事情にも付き合ってやったんだ。おかげで帰りは船で楽だったわ。」

 

考えがまとまらない内にガリウスとレムザードの会話が始まってしまった。まぁ後で考えればいいか。

 

「それはそれは、皆さんありがとうございます。またガリウスが世話になったようで」

 

「全然気にしないでいいよ。それに、こっちの野郎一人がミーアちゃんに誤解させるようなもの見せちゃったし。ねぇ、ドスケベサソラク君?」

 

「何も言えない⋯⋯」

 

「あはは、随分面白そうなことがあったようで。時間があったら是非お聞かせ願いたいですね」

 

「勘弁してくれ⋯てかそうだ、あのこと話さなきゃじゃん」

 

「あ」

 

「完全に忘れてました⋯⋯」

 

「何かあったのですか?」

 

「これは実際聞いたサンラクが言った方が良いね」

 

「そだね、てことでサンラク君。レムザードに説明お願い。」

 

「任された」

 

ということで「あのこと」つまり灰エルフ達の倉庫的な場所で聞いた、ノルツァー将軍のことや五日後に森エルフの拠点、ラティエル城が秘鍵を盗まれるために襲撃される計画のことなどをレムザードに説明した。

 

「ノルツァー⋯⋯この近くに彼がいるのですか」

 

「知り合いなんですか?」

 

「昔戦ったことが何回かあるくらいですけどね。大体はあっちが撤退して終わりです。」

 

レムザードあんた強すぎだよ⋯⋯それでもノルツァーはレムザードから逃げられるくらいの力はあるってことだ、油断は出来ない。

 

「事情は把握しました。感謝します、この情報がなかったら私達は何も知らないまままんまと襲撃に成功されていたでしょう。後で別にお礼をさせて下さい。」

 

「いや別にそんな、俺達もほんと偶々だったし。それよりも今は今後どうするか考えるべきじゃないか?」

 

「そうですね⋯⋯本来なら、あなた達にはこの層でおつかいだったり秘鍵を取りに行ったりを依頼しようと思っていたのですが、五日後襲撃されるなんて分かったらそんなことは出来ませんね」

 

「私達は五日後、秘鍵を奪いに来るフォールンエルフ達と迎撃戦を行うことになるでしょう。どうでしょうか、この迎撃戦に皆さんも参加しては貰えないでしょうか」

 

ここでレムザードの頭の上にハテナマークが表示される、この迎撃戦に参加し、秘鍵を守り切る、ということがこの層でのエルフクエストなのだろう。当然、俺達はOKボタンを押し、ペンシルゴンが答える。

 

「もちろん、私達も森エルフ達の場所が襲撃されるって聞いてただ黙って見てる訳無いし。寧ろ言われなくても参加するつもりでいたよ」

 

「ありがとうございます、もちろん報酬は多めに払いましょう。作戦等々はこちらで考えます。皆さんはこの城に滞在してもらって構いません。あぁ、この城内には戦闘訓練が可能な場所があるんです、もし希望があればガリウスに案内させましょう。」

 

「まぁ先にご飯が食べたいかなぁ」

 

「では、先にガリウスに食堂へ案内させましょう。ガリウス、頼みましたよ」

 

「あいよ」

 

第四層のフィールドへ戻っても特にやることはない俺達は、襲撃までの五日間をラティエル城周辺で過ごすことで決定した。レベリングがあまり出来ないのは痛いが、ちまちま魚やカニ系モンスターを倒すことにしよう。第四層の攻略もほとんど未参加になるが、そこら辺はキリトやアスナやエギル達、ディアベル達もいるのであまり心配はいらないだろう。

 

とりあえずこの城にて武器の新調だけは済まさなければならない。ガリウスによるとちゃんと鍛冶師はいるそうなので、明日にでも向かえばいいだろう。とりあえず今はフォールンエルフ達の追跡や長時間の船旅で減ったお腹を満たすべく、俺達は食堂へと向かうのだった。

 




プログレッシブの方だと黒エルフ側に森エルフ達が攻め込んでるんですよね。多分キリト達が秘鍵を黒エルフ側に渡したからだと思いますが。

今回は森エルフ側に秘鍵がありますね。さてどうなるんでしょうか。

ラティエル城って名前にしたのは黒エルフ側のヨフェル城の名前の元ネタが天使だったからですね。天使の中から似たような名前を選びました。

城主?レムザードに全権を託したってことにしてくだせぇ、最後にちょこっと登場させるくらいに留めようと思います。
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