旅する狼達よ、鋼鉄の城にて吠えろ(シャングリラ・フロンティア×ソードアート・オンライン) 作:しらすの番人
なんと日間とルーキーのどちらにも本作がランクインしていました。それもどちらも十位台の中々の高順位。ほんとありがとうございます。これからも本作をよろしくお願いします。
皆さん楽玲がお好き・・・・・・ってコト?
前話でこっからノンストップうんぬん言ったんですが、その前にこれだけ挟みます。別に挟まなくても良かったんですけどどっかで入れたいなぁと思ってた話なので。
都合よく戦闘訓練可能な施設もあるようですし
深く、深く、深呼吸。いつもならこんなに緊張しない。だが、今は、今だけは違う。今持つ力・集中力を全て注げ。
「ふーっ」
「・・・・・・ここまで熱い展開になったの、便秘でも無かったんじゃない?」
「ないな、初めてじゃないか?」
次へのカウントダウンは30秒以上前から始まっている。残り秒数、10、9、8、7・・・・・・。
俺は右手に持っている短剣の「ウーデン・ダガー」をしっかりと握り直す。考えろ、アイツはまず先に何をして来る?カウンター狙いか?それとも速攻?
6、5、4
全ては、カウントの後、一瞬とも言える攻防で決まる。あと一分もしない内に、勝者と敗者は決まっているだろう。
3、2、1
期待、緊張、楽しさから来る武者震いを抑える。感情が高ぶるのはいい、だが冷静さは失うな、相手を見ろ。例え刹那でも、永遠に感じる一秒でも目を逸らすな。
「行くぞカッツォ!!」
「泣いても笑ってもこれが最後だよ、サンラク!!」
「「おおおっ!!」」
互いに地面を蹴り、相手に肉薄。俺が短剣なのに対してカッツォは片手剣、なのでリーチではカッツォに負けているが、AGIつまりスピードなら俺の方が早い。真正面からは分が悪い。速度で撹乱して横から叩く!!
「警戒しないわけないよねぇ!!」
「と思うじゃん?」
「!?」
俺はカッツォの周りを走って撹乱する作戦をしかけて、そのままカッツォの方に短剣を向け、そのまま斬りつける。まんまとカッツォは騙しに引っ掛かりHPは一割弱削れる。馬鹿めもう二回も決めてんだからカッツォに対策されない、なんて俺が考えない訳がないだろう?お前はどんなに受けでユニークが自発出来なくてもプロゲーマー。俺がまた初手グルグル撹乱作戦をしてきたら範囲技の【バーチカル】で牽制+迎撃。普通ならそれで大体は狩れるだろう。だがその作戦、バレてますよ?
「本当嫌らしいことしてくるよね!」
「今回はガチで勝ちに来てるから、な!」
だが流石は俺を持ってしても三割しかいかないプレイヤーと言うべきか、カッツォはすぐに後方へジャンプし、俺からの追撃を避ける。これによりHPは俺の方が優位になったが、カッツォは片手剣なのでリーチは長いわ一撃の威力は短剣よりも高いわでこれでイーブンみたいな所はある。
「じゃあ次はこっちの番だね!」
カッツォはそう言うと剣を振りかぶり俺へと肉薄して来る。俺はここで回避も選択出来るがそのまま応戦を選択。正直少し離れた遠距離・中距離が短剣では一番面倒臭いのだ。わざわざカッツォが選択した理由は謎だが、短剣はぞの短いリーチからも分かるように、お互いが肉薄している超近距離戦闘が最もダメージを与えるチャンスを作りやすい。
「バカ正直に突っ込んできて良いのか!?近距離は俺の方が有利だぞ!」
「・・・・・・まぁ、そうだけど!!」
片手剣はそのリーチから短剣のような超近距離より、近距離は近距離でも少し間が空いていたり、中距離が戦いやすいハズだ。結局、今ももう一回俺に一撃を入れられ、体制を整えるためまた少し後ろに下がろうとしている。だが、それを見逃す俺でもなく、
「らしくねぇなカッツォ!!」
「・・・・・・引っかかったね!サンラク!!」
後ろに下がろうとしていたハズのカッツォの足が浮いて──やられた!これは体術のスキルの中の一つの【弦月】!
「ごふっ」
チャンスだと思ったが罠だったとは。完璧に誘い込まれて後方宙返り蹴りを喰らって後ろに下がった俺のHPは一割と少し減少。HP的にはまだ俺の方が有利だ。
「(どう崩す?どう動いたらカッツォに隙が出来る?)」
まだ俺の方は有利とは言え、この状況がいつまで続くか分からない。SAOではまだ対してステータスやスキルの力同士で戦える程育っているわけではない。やはりこの場を突破出来るとしたら
「(ソードスキル・・・・・・)」
それはカッツォも同じだろう。ソードスキルは技後硬直こそあるが、もしまともに当たりさえすれば今でも勝てる可能性がある。
だが、ここは障害物も何もないラティエル城の訓練室。こうして考えながらカッツォと近づいては引く攻防を繰り返す間にも、周りには俺とカッツォの
「・・・・・・そろそろギャラリーも見飽きちまうな?カッツォ?」
「・・・・・・そうだね、サンラクにしては結構持った方だと思うけど、」
「「次で終わりだ」」
やはりソードスキル。単純な問題なのだ、強い技を当てたら倒せる。打った後に硬直があるというデメリットを差し引いても、威力面・速度面を考えたら十分お釣りが来るレベルだ。
次の攻防でラストとしたので、お互いに距離を取り呼吸・体制を整える。俺は今短剣の熟練度が120なので、使えるソードスキルは【サイドバイド】【アーマーピアース】【ケイナイン】【ラウンド・アクセル】の四つ。【アーマーピアース】と【ケイナイン】はどちらも単発なので回転率はいいがこの場面だと少々馬力不足だろう。初期技と熟練度を上げたら開放される技ということでほとんど、厳密には違うのだろうが【サイドバイド】の上位互換である【ラウンド・アクセル】がこの場には一番適している。
「カウントダウンでもしようか?」
「いいな、フライングは無しだぜ?」
「流石に今はしないよ」
無意識とじゃなくて普通に「今は」とかいうんだからなぁ。普通だったらカウントが2くらいになったらもう動き出してるな。
「「5、4、3、2、1」」
「「0」」
よっしゃこれで最後だ!今まで便秘じゃ大体負け越してばっかだったが今勝てばSAOでは勝ち越しの状況になる!どうせ勝率抜かされるとしても勝ったらここ一ヶ月は煽りの種にしてやるよカッツォ!!
「まずは体制崩してその後に大技ぶち込んでやるよ!!」
「そう上手くはいかせないよ!!」
俺のセリフは警戒させるための
じゃあどうするのか?答えは簡単、わざと体制を崩されたフリをしてカッツォの油断を誘う。言わばさっきされたことをやり返すような作戦だ。
「ぐっ!?」
作戦を上手く進行させるため、まずわざとカッツォから浅い一撃を貰う。普通に思い切り振られたやつ当たったら負けるからな。そしたらカッツォは絶対にこの隙に飛び込んでくる。アイツだったら何かあるのかくらいに警戒しても、短剣を使ったことがないので俺の作戦を知りようがないのだ。
結局を言うと、二連撃短剣ソードスキル【ラウンド・アクセル】の「全方向攻撃」という特性を使った初見殺しには過ぎないのだが、それも使えるなら使うものだ。
「これで決める!」
勝った。カッツォが選んだのは、角度・青のライトエフェクトから考えて二連撃ソードスキルの【ホリゾンタル・アーク】だろう。これならカッツォより先に技を打たなくても、二連撃を防いだ後に打てばそのまま勝ちだ。
ガン!ガン!と打ち付けられる攻撃を短剣でガード。ソードスキルなので速度は十分あるが、生憎その技は俺も知っているんでね、ガードできない訳がないのさ!
「これで勝ちだ!」
そして俺は青色のライトエフェクトを出しながら短剣用二連撃ソードスキル【ラウンド・アクセル】をカッツォに当てて勝ち!
のはずだったのに
「───は?」
「やっぱり知らなかったね!片手剣と短剣の二刀流なんてしてるからだよ!」
カッツォの【ホリゾンタル・アーク】ならさっき受けきったハズだ。だが、だが──まだカッツォの剣のライトエフェクトは消えていなかった。
「ごほあ!!??」
そのまま───これは後に聞いたが、片手剣四連撃ソードスキル【ホリゾンタル・スクエア】により、俺の体力は三割程まで削られ、正方形の軌跡とともに敗北を示すウィンドウが表示された。
「・・・・・・あー、クッソ。これで勝てたら勝ち越しだったのに」
「まぁ最後のは言っちゃ初見殺しだったからね。まだサンラク片手剣の熟練度150にはなってなかったでしょ?俺は片手剣一筋だったからもう熟練度は150超えてて、さっきの【ホリゾンタル・スクエア】と【バーチカル・スクエア】が開放されてたわけ」
「分かる訳ないだろそんなん・・・・・・」
まぁ俺も初見殺しで勝とうとしていたので普通に作戦負けなのだが。もうちょい観察してからスキルを発動すれば良かった。
結局、このデュエルで負けたため、カッツォとは十一戦の内五勝六敗で負け越すことになってしまった。久しぶりに勝ち越すチャンスだったため、俺は最初あんなにも緊張して集中していたのだ。
なお、この後カッツォにはしっかりとリベンジしたし、京ティメットには五連勝を決めた。あっさりと連勝できちゃって何だかこっちが申し訳なくなった。
あれ?本当はサンラクとガリウスのタイマン書くハズだったのになんでサンラクとカッツォになってるんだろう??