旅する狼達よ、鋼鉄の城にて吠えろ(シャングリラ・フロンティア×ソードアート・オンライン) 作:しらすの番人
あ、SAO内でレベルが1上がった時に貰えるステータス割り振りポイント?的なやつの正確な情報が分からなかったので、本作では「レベルが1上がった時に貰えるポイントは5」とさせていただきます。
十層くらいの攻略が終わったらサンラク達のステータスとか装備諸々を公開する予定でございます。
「玲さん、一旦下ろすよ」
「・・・・・・はい」
とりあえずダンジョンからは抜けられたか・・・・・・。途中でまだ遺物拾いしてるARKの連中もいたが雰囲気を察してくれたのか何も言わないでくれたのは助かったな。冷静に考えてお姫様抱っこしながらダンジョン内走ってる方がヤバいやつには違いないけど。
「玲さん?大丈夫?」
「・・・・・・大丈夫、です」
いやPKが近くにいて大丈夫?て聞くのがおかしいか。近くに人殺しがいますって言われて冷静になれる人なんて一握りだろう。それも多分だが玲さんは聞いちゃいけない何かを聞いてるんだ。出来ることならそれを話してもらいたいが・・・・・・
「なんか顔赤くなってない?」
「ひゃあ!?ちがっ、これは・・・・その、なんでもないんです!」
玲さんだしいつものことか・・・・・・いや普通に恥ずかしさとか?そりゃお姫様抱っこされたまま運ばれるなんてそりゃ恥ずかしいよな・・・・・・。ん?そうすると俺も相当恥ずかしいのでは?
いや冷静に考えればさっきの言動も大概恥ずいな!なんだよ「通りすがりのクソゲーマー」って!日曜日に放送されてるヒーロー物みたいなセリフじゃん!!え、これ玲さんの目の前で言ったの?・・・・・・あああああああ!!!何やってんだ俺えええええ!!!
「ちょっとゆっくり出来るとこないかな・・・・・・」
「もうこの時間だと大体のお店が閉まってるでしょうしね・・・・・・宿に戻ろうとしてもそれなりの距離がありますし・・・・・・」
はい、現在時刻は20:40です。ゲーマーとしてはまだまだこれからの時間が本番だ!と言いたいのだが、まぁ普通にお店は閉まるよねってこと。閉まってるのはレストランとかそういう娯楽系統の店だけなので武器屋とかは普通に空いている。
それに俺達が遺物拾いに来たこの神殿はカルルインの中でも端の方、限りなくフィールドに近い所にあるのだ。俺達が第五層での拠点とした宿とは真反対であり、PK達が追ってくる可能性も考えるとノコノコ戻る場合じゃない。
だが流石に宿に戻らないっていう選択肢はないので、宿に直線的に戻るのではなく少し遠回りしながら戻るか?もしくはまた玲さんを抱えて宿まで全力ダッシュ!・・・・・・は却下か。
もたもたしてる場合じゃないのに──
「・・・・・・楽郎君」
「はい?」
今日何度目だろう、こうやって考えてる最中に玲さんに呼ばれるの。俺の名前を呼ぶ玲さんの表情はいつになく真剣───というか覚悟を決めたみたいな顔をしてる。
「早く、宿、行きましょう」
「いや、でも玲さんそんな無理して早く戻らなくても。まぁどっちみち戻るようなんだけど、てか早いなら早い方が良いのは確かだけど・・・・・・」
「違います」
「え?」
「・・・・・・楽郎君も私を抱えて走ったりして疲れたと思います。・・・・・・それに、私も、今はそんなに移動出来る状態じゃないことは自分でも分かっています」
「じゃあ・・・・・・」
「だから、こうするのはどうでしょう・・・・・・一日、二人だけで近くの宿に泊まるというのは」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?
へ?
〜第五層・カルルイン宿〜
「・・・・・・・・・・・・大丈夫?」
玲さんがめっちゃ布団にくるまってもがいてる。・・・・・・・・・・・・何で?
距離も距離だし状況も状況だしで二人だけで宿に入ることになったのはもういい、空き部屋が一つしかなくて同室で寝ることになってしまったのもまだ(?)いい。───で、色々あって疲れたのでシャワー浴びたら宿に行こうって言った張本人がもがいてるんですがそれは───
「・・・・・・気にしないで貰いたい、です」
「そう・・・・・・」
まぁ何はともあれ、だ。流石にあいつらが追ってきてたとしても追いつけないだろう。なんてったって宿の中に入ってしまったんだからな。しかも空き部屋はないっていう保険付き。他の仲間達にはPKに襲われそうになったから今日は安全を取って別のところで休む、と連絡済みである。まぁ何があったのか問いただされるのは確定だが、まずは俺も玲さんから何かあったのか聞かなきゃなんだよな。
う、シャワー上がりなのでこの季節の気温にブルっと来た。あらかじめベッドを二人で使うのはしょうがない、ということになったので遠慮なくベッドの中に入らせて貰うとしよう。
・・・・・・・・・・・・流石に玲さんとは距離を取って、だ。まぁベッド自体そんなに大きくないのであんまり意味はないけどな。
「・・・・・・玲さん、もし良かったら、落ちた後のこと説明してくれないか・・・・・・?」
こればっかりは聞かないと始まらないのだ。あんなにひどい表情をしてたのでまず間違いなく話すのは嫌かろうがそれでも聞かないといけない。
「・・・・・・分かり、ました。・・・・・・私は落ちた後、サンラク君は来てくれるだろうと思って、目立ちやすいよう真ん中辺りを目指すことにしたんです。」
「・・・・・・それで、少し進んだら、あの人達が話しているのが聞こえてきたんです。そしたら確か・・・・・・「カウントダウンイベントをぶっちして迷宮区突破を目指す」って言葉が聞こえてきたんです」
「カウントダウンイベント・・・・・・迷宮区突破・・・・・・?」
「・・・・・・はい。・・・・・・それで私はどうにも怪しいと思いまして・・・・・・話の続きを聞こうとバレないようにあの窪みに隠れたんです。」
「それで続きを聞いてたら・・・・・・「三層と四層では少しひよった」とか「キバちゃんとリンちゃんにはぶつかって貰わないと」とか・・・・・・あと
「それは・・・・・・」
なんてこった、ARKに反乱分子がいたのか?キバちゃんとリンちゃんは十中八九キバオウとリンドのことだろう。どっちもARKの副団長を目指してたはずだ。そこを良いように狙われたか?
「・・・・・・これだけでも私は怖くなってしまったのですが、あの体のデカい人が「新入りの教育は出来てるのか?」って聞かれて「じゃなきゃヘッドに殺される。怖気づいたヤツは処したけどな」って答えて、それで私、怖くて震えが止まらなくなっちゃって・・・・・・」
玲さんがそう言う体は今も小刻みに震えだしている。泣きそうな表情にもなっている。───何してんだよ、俺は・・・・・・!!
「・・・・・・ごめん、俺があの時間に合っていれば──」
「・・・・・・私、楽郎君にも申し訳なく思ってるんです。浮かれてて、トラップに引っかかっただけでも恥ずかしいのに、更に私は何も出来なくて楽郎君に助けられた。・・・・・・もし楽郎君がいなかったら今頃私は──」
「そんなこと、思っても言わないでくれ・・・・・・!」
俺は意を決して玲さんの体を引き寄せる。
「玲さんは頑張ったんだ。そんな場所にいて、バレなかったんだ。もし、玲さんが速攻で見つかったりしてたら、俺も間に合わなかったと思う。その時出来る最善の行動をしたんだよ、玲さんは。現にこうやって情報も持って帰ってくれた。」
「楽っ郎、君。──私、は」
「泣いてもいい。怖いことがあったら泣くのは当然のことだろ?俺でも、誰でもいい、周りの人を頼ってくれていいんだよ」
「・・・・・・!!らく、ろう、くん・・・・・・!!」
しばらく玲さんはすすり泣いた。今は、玲さんを落ち着かせるのが最優先だ。異性の同級生が泣いてる所を抱きしめているということに恥ずかしさを感じないわけでもないが、それで泣き止んでくれるのだったら喜んでやるさ。
「・・・・・・楽郎君、手を出してくれませんか?」
「・・・・・・?はい」
俺は玲さんの方に左手を差し出す。玲さんは俺の左手を───右手で握った。
「・・・・・・ちょ」
「・・・・・・今日は、こうさせてください。そしたら、安心して眠れる気がするんです」
「・・・・・・分かった」
数分後、玲さんは安心した表情で眠りに落ちた。それはもうぐっすりと。
いや───いやいやいやいや!?俺こんな状況で寝れるわけないじゃん!!なんで女子と手繋いで寝ることになってんの!?今までこんなことなったことないからさっきも心臓バックンバックン言ってたよ!?
それはそれとして俺も眠い──
カウントダウンイベント、迷宮区突破。明日起きたら考えなきゃ行けないことは山積みだ。
まずディアベル辺りに聞かないとな。
頑張れ、明日の俺───
その日は何故か俺もぐっすりと眠ることが出来た。
あれ?何かここのヒロインちゃん積極的すぎじゃない?
お姫様抱っこされて情緒吹っ飛んじゃったのかな??
サンラク君はなんでうなじを見てるのかな??