旅する狼達よ、鋼鉄の城にて吠えろ(シャングリラ・フロンティア×ソードアート・オンライン)   作:しらすの番人

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穿て天井、見下ろすは虚ろなる巨像也 其のニ

 

「ルスト!!!」

 

「は?───」

 

地面から突如生えた黒い手に、ルストは捕まり、その手は伸び切ったのかルストを捕まえたまま空中で止まり───その手を握りしめた。

 

「これはどういう攻撃なんだキリト!?」

 

「分からない!βの時だと最初から巨大ゴーレムが相手だったんだ!少なくともこの攻撃は⋯⋯見た事がない!!」

 

とりあえずあの伸び切った腕に攻撃するしかなさそうだな!ルストは俺とほぼ変わらない俊敏特化のステ振りだ。俺は先のPK達とのやり取りの際に残ってたポイントを全部STRに振ったので、数値的な面で見るならば俺の方がSTRは高い。

 

つまり、ルストのSTRは低い=それだけ装備できる防具の種類に限りがある、のだ。耐久力が高い防具はそれなりにSTRが要求される。

 

それが今の状況と何が関係しているかというと、ルストはこの中で一番耐久力がない。それつまり──

 

「ルストのHPがどんどん削られてる!キリト!アルゴ!」

 

「分かってる!」

 

「あいヨ!」

 

ルストを握っている黒い腕目掛けて俺達三人は突撃、黒い腕を三角形で囲むように移動した俺達は、それぞれソードスキルを発動する。

 

俺は【バーチカル・アーク】を、キリトは【ホリゾンタル・アーク】を、アルゴは見たことのない爪の武器のソードスキルを使って黒い腕に攻撃。

 

三人のソードスキルの集中砲火で、一定以上のダメージを与えれれたのか、黒い腕は握り締めていた手を開きルストを解放、それと同時に腕は地面の中に戻っていった。

 

「大丈夫かルスト?」

 

「問題ない」

 

空中で解放されたルストは見事な宙返りを決め地面に着地。HPは一割り程削られ装備の耐久値も減っているようだが本人は全然平気そうだ。装備を替えて次の攻撃に備えようとしている。

 

「サンラク!次はお前の足元だ!」

 

見ると先程ルストが捕まった時と同じような赤い魔法陣のような紋様が俺の足元に出ている。すぐに俺は後退──その直後、ルストを捕まえたのと同じ黒い手が地面から伸びてきた。

 

「ナイスキリト!助かった!」

 

「どういたしまして!まだ安心は出来ないけどな!」

 

キリトの言う通りで、まだあの腕は生えたままだが、これで攻撃が終わりだとは限らない。だがまだボスの姿すら見えてない以上、下手に動くことも出来ない。

 

・・・・・・一旦皆が待つフロアまで戻った方が良くないか?このままだとランダムで襲いかかかってくる手を避けるだけで進展の兆しがない。

 

「次はキー坊のトコだ!避けロ!!」

 

「・・・・・・危ね!!生えてくる腕は一つじゃないってことか!」

 

「腕が二つあるのは別におかしなことじゃない・・・・・・」

 

腕が二つあるのはおかしいことじゃない?まぁそりゃそうだな。普通に考えれば人間には腕が二つあるわけで・・・・・・・・・・・・足は?

 

「なぁ、腕が二つあるってことはさ、足も二つあるんじゃ?」

 

「「「・・・・・・」」」

 

「・・・・・・避けろ!!」

 

俺の声に反応して三人はすぐにその場から回避する。すると今度は天井から───足が伸びてきた。地面に足がつき、凄まじい衝撃がボス部屋を揺らすが、どうやら足での攻撃はそれだけじゃ終わらないらしい。

 

「衝撃波!?」

 

「不味い!ジャンプして回避しろ!!」

 

足が地面に勢いよくついた衝撃で、床が波打ち、その影響で衝撃波というかショックウェーブというか、とにかくそういう類のものが発生した。

 

「ふっ」

 

ちゃんと見ればそんなに速くはないないのでジャンプで普通に回避出来る。当たればどうなるのかは分からないが、恐らく波による転倒やスタン、軽いダメージとかそういうものだろう。これが連続して来るならそれなりの脅威だ。

 

「って──」

 

「回避!回避ー!!」

 

天井を見上げると、また俺の上に赤い紋様が浮かび上がっている。・・・・・・そりゃそうだな!腕が二本あって足は一本です、なんてことはないもんな!!

 

「どわあああ!!??」

 

俺は辛くも足プレスと衝撃波を回避することに成功する。っていうか速度とか衝撃波が出ることから考えても、どう考えても腕より足の攻撃の方が危険すぎる!!

 

「ルストちゃん!下、下!!」

 

またもルストの下に赤い紋様が出現し腕が伸びるが、ルストはそれを難なく回避。それどころかギリギリ当たらない所で止まり、伸びた腕にソードスキルを打ち込む余裕まで見せた。

 

「だが、このままだとキリがない!!」

 

腕や足に攻撃をしかけようにも、一旦仲間達のとこに逃げようとしても、何にせよこの攻撃が止まらない限り逃げまくるしかないのだ。俺達が逃げるほど攻撃の頻度が上がってきているような気がするのは気の所為だろうか?攻撃が仕掛けられているのは確かなので、何かしらのギミックがあるのは確定なんだが

 

───いや、どうやらそれは気の所為じゃなさそうだ。

 

「皆!それぞれ攻撃を避けたら、足元の線を踏まないような所で止まってくれ!!」

 

「了解!」「わかっタ!!」「了解」

 

三人はそれぞれ腕と足、衝撃波を避け線がない場所に移動する。

 

「攻撃が来ない」

 

「それに地面の線が動いてル・・・・・・?」

 

「そう、俺達はずっと動いていたせいで分かりづらかったが、この線はずっと動いていたんだ。恐らく初めて攻撃された時から」

 

俺は部屋の中心にある地面に描かれたサークルを見る。多分だが、あの円に入るまでは攻撃などのギミックが作動しないような仕組みだったのではないだろうか。

 

そして

 

「動いてる線を踏まなければ攻撃は来ない・・・・・・?」

 

「多分な、だから今は絶対に線を踏むなよ」

 

「逆に言えば、線を踏むことで腕と足を出現させられる」

 

「なるほどナ。わざと線を踏んで、腕と足を出現させテ、それを攻撃することで本当のボスが出現するってわけダ」

 

「まぁ現にボスっぽいの出てきてないし、そういうことなんだろうな」

 

「βの時と全然違う・・・・・・」

 

踏めばまた攻撃が来るのだろう青い線は、上から見たら幾何学的な模様になるのであろう動きをして移動し続けている。もし全員で来ていたら一旦止まるどころの話じゃなかったな。

 

「大体情報も集まったし一回戻るか」

 

「そうだな、結構またせちゃったし」

 

「部屋も揺れてたしナ、今頃気が気じゃないんじゃないカ」

 

「とりあえず線は踏まないようにな」

 

分かってしまいさえすればこっちのもの、というのはこんな時に使う言葉なんだろう。第一形態がこの手足二本ずつで、第二形態でゴーレムになられたとしても、ゴーレム状態の方が対処がしやすそうである。寧ろこっちは人数が多い分、この手足だけの方が線を踏みまくって厄介なのではないだろうか。

気は抜けないが、区切りの層で今までよりも強いと聞いていただけに、少し拍子抜けた感覚を覚える。これならまだ、第二層の将軍王の方が強かったような───

 

「───おい!さっきの振動はなんだ!?お前ら無事か!?」

 

「キリト君!大丈夫!?」

 

「おー広いねー」

 

「あれ、でもまだボス出てない?」

 

「「「「は──」」」」

 

おいおいおい、さっき俺達が戻るまで待機って言ったじゃないか!?

 

エギル、アスナを中心として仲間達がどんどんとこのボス部屋に上って来ている。まずい、これは非常にまずい。何故今来てしまったのか、本当に危険なら誰か一人を送って呼びに行くとか出来たのに。

 

まだ、仲間達には「青い線を踏むと攻撃が来る」という情報を伝えていない。それにもう伝える暇もない。

 

それが何を意味するのか?

 

「総員、回避!!回避ィ!!!!」

 

線を踏みまくった仲間達の上と下に、二つずつの赤い紋様が出現。次の瞬間、下から二つの腕、上からの二つの足が仲間達に襲いかかった。




まぁ下で待ってていきなり上から振動が何回も来たら普通は心配になるよね
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