旅する狼達よ、鋼鉄の城にて吠えろ(シャングリラ・フロンティア×ソードアート・オンライン)   作:しらすの番人

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明日までに五層終わらせ・・・・・・るのは無理かもだけどキリが良いとこまではいきたい


穿て天井、見下ろすは虚ろなる巨像也 其の七

 

「ボスのHPが回復しやがった!!」

 

「そんなのアリかよ!?」

 

天井から巨人となり現れた真の姿の「フスクス・ザ・ヴェイカント・コロッサス」。フスクスは十メートルを超える見た目のインパクトを与えると同時に、「HPバー三本回復」という今までのボス達もビックリの所業をやってのけた。

 

「guooooooo・・・・・・」

 

「あのモーションは・・・・・・!ネズハ、頼む!」

 

「分かりました!」

 

巨人になっても変わらないデバフ攻撃をしようとしてくるフスクスにネズハはチャクラムを投げる。流石のコントロールでチャクラムは額へと当たる、が

 

「そんな!?さっきまでよりも削れ幅が小さい!」

 

「ギミックボスじゃなくなって火力が必要になったってことか!!」

 

チャクラムが弱点に当たっていたことは間違いない。それでもHPが20%程しか削れていないのはネズハのATK値が足りていないということに他ならない。まだレベルが10と少しと言っていたので、逆にここまでの火力が出せたことを誇るべきだろう。

 

回復してしまったことによりフスクスのHPはまだ半分以上ある、が・・・・・・

 

「そんなデカい図体じゃただの的だぜ?」

 

「ステータス考えたらギミックより力比べの方が有利だよねぇ?」

 

旅狼メンバーの平均レベルは22。まだ五層にしてはとんでもない高さらしいことは三層や四層のダメージの通り具合からしてなんとなく察している。ただその分20を超えた辺りから明らかにレベルが上がる時間が大幅に増えたけどな!!

 

アルゴが前口にしていた情報によるとSAOの階層の攻略推奨レベルは「階層数×3」もしくは「階層数+10」ということらしい。前者だと100層の時は推奨レベルが300だし、後者の時は一層の時に11レベ推奨になったりとちょっと謎が多いが、今どちらに当てはめても五層の推奨レベルは15。俺達は平均22なのでレベル7オーバーということになる。

 

「【ホリゾンタル・スクエア】!」

「【バーチカル・スクエア】!」

 

俺とカッツォが放った【ホリゾンタル・スクエア】と【バーチカル・スクエア】はどちらも四連撃技、違いはホリゾンタルが横の技に対しバーチカルは縦の技。最後に横と縦に四角形を形成する二つの技は、フスクスの右足のすねと太ももを切り裂く。

 

「guoooooaaaaaaaa!!!」

 

「ボスの体勢が崩れていきます!」

 

「やるじゃんサンラク君とカッツォ君」

 

よっしダウン取ったり!!今のでHPは──ふむ、50%切ってるな。これならこのダウン状態で一本は消せそうだ。

 

「サンラク達の動きを無駄にするな!俺達も攻撃しよう!!」

 

「おいサ!」

 

硬直が解けたんで俺も叩くけどな!今までフスクスには散々イライラさせられたし、ここいらでストレス発散と洒落込もうじゃねぇの!!

 

「ソードスキル撃ちまくりじゃおらアア!!」

 

「ちょっと待ってくれサンラク」

 

「あん?何だよキリト、早く殴りたいんだよ邪魔すんなよ」

 

「まぁまぁ、折角ならさ、デカい一撃入れてみたくないか?」

 

「・・・・・・それちょっと詳しく」

 

 

 

「なぁこれホントにいけるのか!?」

 

「いけるかどうかじゃない、やるしかないんだ!!」

 

なんでそんな死ぬ一歩手前みたいなセリフを・・・・・・あとなんかキャラ変わってないか??

 

何でキリトがこんなセリフを言ってるのか?それは俺達が壁を走ってるからだな、正確には壁にある少しの足場か。

 

この足場はゴーレムのフスクスが出てきた時に壁が縦にも動くようになったことでジャンプで届くようになった。言わば想定されている追加ギミック、という扱いだろう。

 

チャクラムや鎖みたいなお手軽遠距離攻撃の手段を持たない俺達剣士は、こうやって落ちたら落下ダメの危険性を抱えながらフスクスの頭近くまで走り、ジャンプで直接弱点の紋様を狙うしかないということだ。

 

「なぁこれ攻撃当てれても落下ダメ喰らわないか!?」

 

「多少はな!けど受け身とかで多少は減少出来る!!」

 

それはいいことを聞いた。そういうところもちゃんと再現されてんのな。

 

「もうすぐだ!カウント0で飛ぶぞ!」

 

「3、2、1、0!」

 

壁から飛び出した俺達はフスクス見据える。ダウン状態が終わりかけなようで、フスクスはもう立ち上がろうろしている。そして幸いなことにフスクスは飛んでくる俺達に気づきこちらの方に顔を向けてくれた。

 

「額見えたぞ!」

 

「外すなよサンラク!」

 

「俺より自分の心配しときな!」

 

フスクスは俺達の落ちる軌道上にいる。何を撃っても額に当てることが出来るのはほぼ確定的。なら何のスキルを出すべきか──

 

威力・連撃数、そして攻撃後まで考えたら【シャープネイル】一択だよなぁ!!

 

「喰らえやクソゴーレム!!」

 

三連撃ソードスキル【シャープネイル】。スクエア系の技より一撃少ないが、あれらの技よりこっちの方が動きにクセがなく当てやすい。

 

「おおおおお!!!」

 

キリトはモーション的に【ソニックリープ】を選択したようだ。・・・・・・あいつ多分攻撃後のこと考えてないな。

 

二回目のソードスキル空中発動ということで若干の不安はあったがソードスキルは無事発動。まずは左上からの垂直斬り下ろし──

 

【Genuine Critical!!】

 

ん?

 

次に右下からの垂直斬り上げ──

 

【Genuine Critical!!】

 

最後に一撃目と二撃目の間を垂直斬り下ろし──

 

【Genuine Critical!!】

 

いつものクリティカルとは違う・・・・・・Genuineの意味から考えて「真クリティカル」か?・・・・・・いや気持ち良!色も普段のクリティカルの黄色とは違って赤だし音もなんか凄いぞ!?

 

 

「guoooooooooooo!!!???」

 

「え、何今のサンラクのやつ」 

 

「見間違えじゃなければさ、HPバーの三段目ほとんど削れてない?」

 

「今のサンラク君のが要因、ということでしょうか?」

 

「多分そう、クリティカルにしては色も音も違ったしアレは何か別のものだと考えた方がいいかも」

 

 

 

「は”え”え”え”!!??」

 

「やっぱ考えてなかったのかよ!」

 

【ソニックリープ】は急激に加速して対空にも使えたり距離を詰めるのにも使える優秀は技だが、空中に向けて使うとその速度が「ソードスキルが終了した後にも引き継がれる」のだ。つまり何が言いたいかっていうと、絶賛キリトは超スピードで落下中である。

 

対して他のソードスキルは、というのもさっき空中で【レイジスパイク】を出した時に気づいただけだが、「ソードスキルが終了すれば速度はソードスキルを使う前の状態に戻る」のである。つまり俺は【シャープネイル】を発動する前、空中に飛び出してフスクスに向かっている時の速度になる。

 

それでも六メートル程の高さからの落下なのでダメージは免れまいが今のキリトよりかはマシだろう。普段六メートルくらいの高さから落下しても一割に満たないくらいのダメージしか受けないが、今のキリトの速度だと三割くらいはもってかれてしまうのではないだろうか

 

「へぶ」

 

情けない声を出しながらキリトは地面に着地、何とか受け身は取れたようだがゴロゴロと転がっていってる。

 

「よっ」

 

俺は別に受け身を取らなくてもいいと判断し着地。三メートル程の高さから発生するこのジーンとした足の鈍い痛みのような感覚はリアル程とはいかないものの多少の不快感がある。

 

 

「お疲れーサンラク」

 

「おう、それで?今フスクスのHPはどんくらいだ?」

 

「・・・・・・見れば分かるよ」

 

・・・・・・フスクスは何でまた倒れてんの?

 

・・・・・・さっき壁から飛び降りる前に見た時は三本目に突入したくらいだったよな?

 

「なんかHPバーが一本少なくね?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・俺とキリトのやつでそこまで削ってことか?」

 

「逆にそれ以外何かあると思う?何かサンラクの攻撃の時だけ見慣れない赤色が見えたんだけどそれじゃないの」

 

「あー確かに「Genuinu Critical」・・・・・・「真クリティカル」ってやつが表示されてたな」

 

「普通の弱点を攻撃することで出るクリティカルとは違うっぽいね」

 

「名称も違うしなぁ、出る条件は分からないがこっちの方が強そうだ」

 

「そりゃこんなに削れてるからね」

 

「voaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」

 

「やっと起き上がってきたか」

 

ダウンされてタコ殴りにされた挙げ句もう一回倒されて怒り心頭、って感じだなこりゃ。残りHPバー約二本。ラストスパートだな。

 

 

「皆聞いてくれ!今までは何とかなっていたが、残りラスト二本。最後まで何もなく終わらせるためにも一貫した行動を取ろう!俺・カッツォ君・モルド君はボスのヘイトを集めて攻撃を受けるタンク。ネズハ君・ミトさんは遠距離から額の紋様を攻撃し続けるメイジ、その他全員は足を中心にして攻めるアタッカー。これでどうだろうか?」

 

「もう文句言うやつなんていないだろ。・・・・・・あ、LAは狙いに行ってもいいよな?」

 

「倒せれば何でもいいさ」

 

「goooooooooooo!!」

 

「ボスももう待ちきれないそうだ・・・・・・では、行動開始!ラスト二本、全力で削ろう!!」

 

「まずは僕がヘイトを集める!【スレットフル・ロアー】!!」

 

モルドが左手の盾を掲げてから右手を振り上げ突き出す。するとカァーンと甲高い音が部屋に響く。恐らくは盾系統の挑発スキル。どんどんタンクが様になっていってるな。

 

「goaaaaaa・・・・・・」

 

フスクスはモルドに殴りかかったりストンプ連打を仕掛けたりするのかと思いきや、何もしない。それどころか、モルドを見つめるように真っ直ぐ見て──

 

「モルドにレーザー行くぞ!」

 

「voaaaaaaaaa!!」

 

「ぐっぅ・・・・・・!」

 

フスクスはモルドをただ見つめていたのではない、狙いを定めていたのだ。赤く光った目からは赤い色をした超高温のレーザービームが発射され、モルドの盾を貫かんとしている。

 

「モルドが耐えてる内に殴れ!!」

 

「言われなくとも、よっ!!」

 

仲間達は足に走り、ソードスキルを叩き込む。だが、レーザー中は衝撃遮断でもついているのかビクともしない。ダメージこそ合計でHPバーの20%程を削れたものの、レーザーを中断させたりすることは出来なかった。

 

「guoooooooooooo」

 

レーザー攻撃を終えたフスクスは足に攻撃する俺達を気にする素振りもなく、ただモルドを中心としたタンク陣を見て、右拳を天井に届きそうな程高く持ち上げる。

 

「モルドは一旦下がって!次は俺とディアベルで受ける!!」

 

「vogaaaaaaaaaaaa!!!」

 

勢いよく振り下ろされたまるで岩のような拳は、もちろんモルドを狙うが、それはモルドの前に出たカッツォとディアベルにより受け止められる。

 

 

「流石に強い・・・・・・!」

 

カッツォとディアベルは二人がかりでフスクスの拳を受け止めたが、それでも数メートル程後ろに押される。

 

 

「時間をかけすぎるとタンク陣が持たないかもな・・・・・・」

 

現在五本目のHPバーはやっと半分を割った所、まだまだこのままだと時間がかかるのでまた弱点を狙いにいくなりなんなりしなければならない。

 

「キリト!また弱点狙いに行くか!?」

 

「いや無理だ!あれだけタンクにヘイトが向いてちゃ俺達が空中に飛んでも見向きもされない!!」

 

「・・・・・・ヘイトをあなた達に向けられればいいの?」

 

「紫少女・・・・・・」

 

「だから私はミト・・・・・・まぁいいわ、私に一つ、案がある。成功したらあなた達の方へ顔を向けられるとっておきの策がね。・・・・・・やる?」

 

「「もちろん」」

 

 

 

「さて、また壁に上ったわけだが・・・・・・」

 

俺達の下、つまり地面では残りHPバーがついにラスト一本に突入したフスクスが暴走モードになり、アタッカー・タンク関係なく、ただ目の前にある生物を潰すために連続攻撃を続けている。

 

「本当にやれるのか・・・・・・?」

 

「さぁな、今は皆とあの紫少女を信じるしかないだろ」

 

紫少女に言われたことはたった一言「なるべくボスの近くの足場で待ってて、一回、必ず弱点への攻撃チャンスを作り出すから」というものだけだった。

 

「・・・・・・疲れてきてるな」

 

フスクスはゴーレムだが、何も無尽蔵のスタミナというわけではないだろう。あれがどういう原理で、またどういうエネルギーで動いているかが分からないが、ボスが暴走モードに突入した場合、必ずダウンに繋がる隙、つまり疲れが見える。その状態に今、フスクスはなりつつあるのだ。

 

「あ、紫少女とモルドが動き始めた。」

 

現状挑発スキルを使えるのがモルドだけなので、必然的に一番ヘイトを集めているのはモルドになる。暴走モードになったことで少しはヘイトが分散されたが、それでも他に比べると攻撃が優先されているのが分かる。

 

「モルドを誘導して──俺達の目の前?」

 

モルドが俺達の真下になるように誘導し、当の誘導した紫少女はフスクスの足をすり抜け反対側へ、つまり俺達と向き合うような状態になる。

 

「・・・・・・キリト、すぐ攻撃出来る準備を!」

 

「あぁ、分かってる!」

 

ようやく俺達は紫少女がしたいことが分かった。現在フスクスはモルドの方、つまり俺達の方を向いている。顔の方向はモルドを見るため下に傾いているが。

 

そして、紫少女は鎖を光らせ、先端を投げる───

 

「今だ、飛び出せ!!」

 

「これで決める!!」

 

俺達は鎖が投げられた瞬間、足場を走り、空中へと身を投げ出す。

 

鎖は足を抜け、ありえないような角度に曲がり──ちょうど、フスクスの頭に当たった。

 

「guoooo?」

 

フスクスは攻撃が来た方、つまり俺達の方を見る。紫少女は俺達の方へフスクスのヘイトを向けるために一番ヘイトを集めているモルドを利用し、頭に攻撃を当てることで、強制的に俺達の方を向かせるよう仕向けたのだ。

 

「・・・・・・距離が微妙に足りない!」

 

「こういう時にピッタリな技があんだろ!!」

 

「「【ソニックリープ】!!!」」

 

剣を構え、振る───超高速に加速した俺達の体と剣はフスクスの顔にどんどんと近づく──

 

「voooooooooooooooo!!!」

 

殴ろうとしても、もうコンマ何秒も、遅い。

 

振り下ろされた二つの剣は、フスクスの額にある赤い紋章に吸い込まれて───

 

 

【Genuine Critical!!】

 

───【 You got the Last Attack!! 】───

 

 

 

 

フスクスが爆散し、システムメッセージが開かれ、俺とキリトが落ちる最中、とんでもないものを見た気がした。

 

 

【世界の真理書 「虚像編」】と書かれたアイテムを。




カーディナル「この世界をより良くしたい!お?なんやええ感じのやつあるやん!ちょっと学習させてもらお!!」

〜シャングリラ・フロンティア〜

茅場「ふぁっ!?なんや俺のパソコンいじられてるしなんか変なプログラム追加されてるやんけ!?うーん・・・・・・面白そうだしええか!!」
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