旅する狼達よ、鋼鉄の城にて吠えろ(シャングリラ・フロンティア×ソードアート・オンライン) 作:しらすの番人
「で、これからどうするのさ?もしかしなくともこのナンバープレートを解き続けるわけじゃないでしょ?」
「あったりまえでしょカッツォ君。こんなの解いてちゃ一週間もかかっちゃうよ」
とは言うがこの外道共、会話をしている間にもナンバープレートと睨み合いをしてハマった数字を見つけては地面に羽ペンで書いてやがる。もうお前達一週間ここにいたら??
「なんか皆は意見あるー?こうしたいとかここ行きたいとか」
「あ!はいはい!じゃあ私あそこに見えてる大きな館に行きたいです!」
そう言って秋津茜が指さしたのは、少し離れた、マップだとスタキオンの端の方に表示されているだろう西洋っぽい城みたいな館。角々した豆腐ハウスもどきの建物が並ぶこの街においてとても異質な存在感を放っており、あの館兼城がこの街の最高権力者的地位の人物が住む建物だと見ていいだろう。
「・・・・・・無駄にデカい」
「ここからじゃあまり全体は見えないけど・・・・・・下手したら四層のラティエル城くらいあるのかも?」
「流石にあれほどデカい城はそうそう出てこないと思うけどなぁ、案外近づくとしょぼい可能性」
「じゃあまず茜ちゃんの意見が一つ目ね。他誰かある?」
「じゃあ私は・・・・・・フィールドに出たい、です。最近あまり攻略という攻略をしていない気がするので・・・・・・」
「あー確かに」
レイ氏が出した二つ目の「フィールドに出て六層攻略」という案、考えれば最もな意見である。俺達は第三層でエルフクエストを開始してからと言うものの、四層ではラティエル城で長期間滞在してほとんどフィールド攻略に参加していないし、五層もフスクスの電撃攻略作戦のための準備をしていたので、情報収集だったり攻略はアルゴやキリト達、ARKの連中がしていた。つまるところ、ここ二週間くらいはまともなフィールド探索だったり攻略をしていないのだ。
そんな中でレイ氏のような意見が出るのは当然とも言える。MMOというジャンルのゲームは素材の収集や周回を行うのが常だったりするのだから。
「レイちゃんので二つ目。他誰か・・・・・・ってまぁこんくらいしかなさそうかな」
「じゃあその二つからどっちか選ぶ感じか」
いやでもなぁ・・・・・・正直後のこと考えると館にはあまり行きたくないんだよなぁ
「まぁ俺はどっちでもいーよ」
「僕も・・・・・・あ、でもパズルは勘弁してほしいかな」
「もうこのまま多数決で決めちゃいますか?」
うーむ、これは理由明かして俺が反論するべきか?遠回りになるだけだから別にどうとでもなるっちゃなりそうだが・・・・・・
「あ、じゃあ私からちょっといいかな?」
「ペンシルゴン、何かあるの?」
「折角提案出してくれた茜ちゃんには悪いんだけどねぇ、私あの館には行かない方が良いと思うんだよね」
ほう
「その心は?」
「まぁ皆も大体予想つくとは思うんだけど、ああいう大きい建物って、何かしらクエストあるじゃん?もしそのクエストが長い連続クエストだった場合、ミーアちゃん達の方に行くのも遅れるし、またフィールド攻略に参加出来なくなるかもって話」
「なるほどねぇ、確かにそれは危惧すべきことかも」
・・・・・・驚いた。俺の考えてたことはペンシルゴンとほぼ同じだ。連続クエストかどうかは考えてなかったが何かしらクエストがあるだろうとは考えてた。ここは一つペンシルゴンの方に乗りますか
「俺もペンシルゴンと同じだな。現状六層ではどこでエルフクエが始まるのか分かってないし、先に進むのが安牌じゃね?」
「確かにです!私あまり考えてませんでした!!でしたらフィールドの方に行きましょう!!」
「反論した側だけどそんなにあっさり認められると怖くなってくるね・・・・・・」
「気にしなくて大丈夫ですよ?私も早くガリウスさん達と会いたいですし!!」
争わないで即答してくれるのはとても良いことだと思う。が、秋津茜の場合今のところ全肯定YESガールなんだよな・・・・・・ちゃんと自分の考えは持ってるっぽいので大丈夫そうではあるが
「あのー」
「ん、どうしたのさ京極ちゃん」
「いやー、これからいざフィールドに!って時に悪いとは思うんだけどさ・・・・・・・・・・・・まず朝ご飯食べない?皆もまだ食べてないよね?普通にお腹空いてきたんだけど」
「京ティメット」
「京極ちゃん」
「・・・・・・はい」
「「それはアリ」」
ということで、出発も何も朝飯食ってなかったよねってことで朝から開くレストラン的な店を求めて俺達は「難問奪亭」という名のレストラン・・・・・・でいいのかこれ。読み上げると明らかに日本語で通じる言葉になる名前の飲食店の前まで来た。
「・・・・・・ねえ、扉に何かついてない?」
「なんでしょうこれ」
店に入るための茶色の扉にぶら下がっているのは、これまた茶色の正方形の箱。片手で持てるようにデザインされているその箱の表面には1から15までのブロックがランダムで埋められており、一マスだけブロックが埋められてない所があった。
「フィフティーンパズル、だねこれどっから見ても」
「・・・・・・何でパズルが扉にぶら下がってるのさ、ただの飾り?もう何でもいいけど早く店の中に入ろうよ」
どんだけ腹が減ってるのか知らないが、そう京ティメットは言い扉を開けるために取っ手を掴み、扉を開けようとした
「・・・・・・何してんの?」
「見れば分かるでしょ!?開かないんだけど!!」
取っ手を京ティメットが両手で掴み、足を踏ん張ってふんぬー!と言い、体を仰け反りながら扉を開けようとしてる何ともシュールな光景になっている。・・・・・・やばいちょっと面白い
「これパズル解かないと開かないやつだと思うよ京極ちゃん」
「・・・・・・・・・・・・」
何こいつ昨日何も食ってなかったりしたの?もしかしてパーティ終わりで一日中寝てたとかか?そう思えるくらいにはぐったりしてるんだけど
「カッツォ、解いてやれ」
「あいあいあー」
俺が解かない理由?そもそもやったことないのに出来るわけないんだよなぁ、見たことはあるけど。・・・・・・とは言ってもこの層にいる内に最低限解けるようにはならなくては。もうこの層以降パズルが出てこないと決まったわけじゃないし
「速い・・・・・・」
カッツォはパズルを取るや否や左手でパズルを持ち、右手でシュシュシュと高速でパズルを解き始めた。なんか
「・・・・・・解けたぁ」
カッツォがパズルを解き始めて二分くらいか、完成したパズルを見るとそれはもう綺麗に左上から順番に数字が並んでいた。
「カッツォの意外な特技」
「意外も何もこういうのも仕事の内なんだよなぁ」
ガチャ
「開いたみたいだね」
「ほんと?早く入ろうそうしよう」
店内へと突っ込んでいく京ティメットを中心に、俺達は名前からして怪しい店へと入っていくのだった
「・・・・・・ここまで露骨に層のテーマを推してくるなんてことがあるんですね」
「ぜーんぶパズル!パズルパズルぱずるぱじゅる・・・・・・」
もう京ティメットが壊れかけなんだけど
「いやまぁモーニングセットとか書いてあるし、一応は食事なんじゃないか?」
ちなみに「難問奪亭」の朝メニューはこちらの通りである
・ワクワク!易問パズルモーニングセット
・ドキドキ!良問パズルモーニングセット
・ハラハラ?難問パズルモーニングセット
・バラバラサラダ&ブレッドセット
なにこれ
「もしかしたらなんだけど、一発目からものすごいお店を引いたんじゃ・・・・・・」
「モルド、その通りの可能性が高い」
「いやもうこんなの易問セット一択でしょ」
「京極と同じく」
「ルストと同じく」
「んー、私はちょっと良問てのが気になるから良問セットにしようかな」
「私もペンシルゴンさんと同じにします!」
「難問って言われて黙ってるわけないよねぇ、プロゲーマーとして!!」
俺は正直難問以外だったら何でもよさそうなんだよな・・・・・・皆まだ上げてないしバラバラサラダセットにでもするか。バラバラってのが若干引っかかるがそれさえ目を瞑ればただのパンセットだろう
「俺はバラバラサラダセットで」
「私も、サンラク君と同じで」
全員の注文が決まった所で店員さんを呼ぶ。
内訳としては、京ティメット・ルスト・モルドが易問セット、ペンシルゴン・秋津茜が良問セット、カッツォが難問セットで、俺とレイ氏がバラバラセットだ。・・・・・・改めて見ても凄いネーミングセンスだな。流石にこれ茅場が考えたわけじゃないよな?
「あ、きたきたってうわ、すごい、ジグソーパズルがついてる」
「へぇ、パズルを解かないと食べれないとかじゃなくて、パズルがおまけで付いてくる仕様だったんだ」
「あ、私達のは最初からめちゃくちゃにされてるルービックキューブです!!」
「え゙。何この知恵の輪。五重くらいになってるんだけど」
パズルはあくまでおまけ。チェーン店とかで売られているおもちゃ付きセットの上位互換版と言ったところか。
「で、俺達のは⋯⋯ん、何もついてなくね」
俺とレイ氏が頼んだバラバラサラダ&ブレッドセット。確かにトースト二枚とサラダとスープとスクランブルエッグ、ジャムでちゃんとしたセットなのだが、肝心のバラバラ要素であろうパズルがない。ジグソーパズルは易問セットと分かっていたので、こっちはバラバラに崩されたプラモデル型パズルのようなイメージをしていたのだが
「もしかして⋯⋯やっぱり、サンラク君、サラダを見てください」
「⋯⋯えぇ」
メニュー名にもあるセットのサラダ。盛り付けられたボウルの中にはレタス・紫玉ねぎ・トマト・サラダチキン・ゆで卵と完全にサラダ中のサラダなのだが、トマト・ゆで卵以外の具材が混ぜられているのだ。
「いやまぁ確かにバラバラサラダって言えなくもないが⋯⋯」
「こう、拍子抜けですね⋯⋯」
メニュー名に書いてある価格で察するべきだった、他のモーニングセットは軒並み75コルなのに対し、このサラダセットは45コルなのだ。この差額30コルがパズルの価格と見ていいだろう。
「まぁいいんじゃない?サンラク達もたべなよ。結構おいしいよ」
「ふむ⋯⋯」
このSAOで食べた物の中で、間違いなく一番美味しいと言えるのはラティエル城で食べたディナーなのだが、単品で見るならこのセットに入っているスクランブルエッグも匹敵するかもしれない、特に味が俺好みの濃い味付けで大変よろしい。
なんならスープのミネストローネもトマトの味が全面に出ていて結構上手い。店の名前見た時は少し不安になったが、ちゃんと料理は上手くて良かった。
「あーお腹いっぱいになったよ」
「京極ちゃん良かったですね、さっき本当に切羽詰まった顔していましたよ?」
「あはは⋯⋯昨日もっとちゃんと食べとけば良かった」
「よぉし!じゃあ野郎共!お腹も膨れた事だし、フィールドに繰り出すとしよう!!」
「おー!って言いたいところだけど、ちょっと待ってくれ」
「⋯⋯どうしたのさサンラク君、今とても良い気分だったんだけど??」
「いや、あれ見てくれよ」
俺はペンシルゴンが気合いを入れる発言をする直前にちょっとドアの方を見たんだが、店に入る前にカッツォが解いたフィフティーンパズルと同じような箱が見えた。
「嘘でしょ???」
「この層はどれだけパズルが好きなのさ」
「行け!カッツォ!パズルを解いてこい!!」
「また!?」
これが第六層パズル事件その一である。もうほんとパズル&パズルである。
食事とパズルで一話終わっちゃった。
日常回と考えればいいのか?
もし書き終えられたら今日中に一層の人物紹介的なの投稿するかもです。多分一層は長かったので前後編なります。