旅する狼達よ、鋼鉄の城にて吠えろ(シャングリラ・フロンティア×ソードアート・オンライン)   作:しらすの番人

68 / 91
聖なる加護をその身に宿して

 

「本当に行くのか?」

 

「はい、一晩お世話になりましたキズメルさん!」

 

「そうか、また機会があれば共に話したいな。今度は正式にリュースラの民との協力の証を持ってくるのだぞ」

 

「はい!」

 

現在朝の7:30。俺達はあの後ガレ城で一晩ぐっすり寝かせて貰った。一晩だけの許可だったり、目的地が目的地なので今みたいに朝早くから出ないと間に合わない可能性がある。だが上手く行けば今日の内に目的地までたどり着けるはずだ。

 

「キリトも色々教えてくれてありがとな」

 

「気にしなくていいさ、困った時はお互い様だろ?それにもう分かってるだろうが俺達は第二エリアのフィールドボス攻略に参加出来ない、攻略はお前達に任せるよ」

 

「任された」

 

 

キリト達は黒エルフ側でエルフクエストを進めるためにガレ城に残り、俺達は森エルフ達がいる第三エリアを目指すためにガレ城を後にした。

 

 

 

「よし、今こうやって進んでる内に一つだけ、全員で決めなきゃいけないことがあるよな?」

 

「何かあったっけ?」

 

分からないのかカッツォ、まぁまだ言ってないし当然か

 

「ギルドフラッグは誰が持つのかだ!!」

 

「お、キリト達から許可貰えたんだ」

 

「またジャンケンで決めるんですか?」

 

「僕は持ちたくないなー・・・・・・なんて」

 

まぁ実際どうやって決めるのかが問題なんだよなぁ、やっぱりジャンケンが一番公平なので不満も出ないだろう。もしそれで俺が負けたら憤慨ものだけどな

 

「やっぱジャンケンが一番公正かつ公平だよな」

 

「それでサンラクが負けても文句言わないでよ?」

 

「そっくりそのままお返しいたす」

 

「別にジャンケンで決めなくても普通に私が持てば良くない?槍使いだし」

 

「「「・・・・・・え?」」」

 

え、今ペンシルゴンなんて言った?てかペンシルゴンだよな?俺達の知ってるペンシルゴンなら自分から行動を制限される役割を選ぶはずないんだが

 

「自分から旗持ちをするだって?あのペンシルゴンが?」

 

「他人の不幸を見るどころか蹴落とすのが蜜の味なペンシルゴンが?」

 

「幕末なら平気で死体を盾にしてそうなペンシルゴンが?」

 

「ペンシルゴン は 『優しさ』 をおぼえた!!」

 

「「おめでとう!!」」

 

ぱちぱち、ぱちぱち

 

・・・・・・どうしたんだペンシルゴンその鬼のような形相はって危ない!!やめろペンシルゴン!攻撃が当たったらオレンジになるのはお前なんだぞ!!!

 

 

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

「大丈夫です!雨降って地固まればいいんですよ!」

 

「秋津茜それ意味ちが⋯⋯⋯あってる」

 

「ペンシルゴンを雨扱い?⋯⋯ぼふっ」

 

モルドが笑い出してペンシルゴンの矛先が向きそうになる所で俺達が復帰。

 

ペンシルゴンはオレンジにはなっていないな、俺達はめちゃくちゃ吹っ飛ばされたけどな

 

「ふぅ⋯⋯サンラク君、例の旗出して。使うからには性能確認して持っとかないと」

 

「はい」

 

実体化した「フラッグ・オブ・ヴァラー」をペンシルゴンへ渡す。

 

「⋯⋯⋯サンラク君、前持った時は旗を地面に刺した時の説明しか書いてなかった?」

 

「そうだな」

 

「じゃあ両手槍スキル持ちが持ったからかな?『フラッグ・オブ・ヴァラーを地面や床に立てる前、詠唱を行うことで範囲内のギルドメンバーに「ソードスキルのCT(クールタイム)短縮」「最大HP(ヒットポイント)上昇」の追加支援(バフ)を獲得出来ます』って書かれてるんだけど」

 

「⋯⋯マジ?」

 

「強すぎじゃないのそれ」

 

「あでも詠唱はそこそこ長いや。抜く毎に詠唱での追加効果はリセットされるって書いてあるしまぁ妥当かな」

 

「それでもHP上昇は大きいですね⋯⋯」

 

何気にソードスキルのクールタイム短縮も中々に優秀ではないか、短縮時間がどれ程かにもよるがボスのダウン中に同じソードスキルが使えるようになるとかだったらダメージ効率が格段に上がるな

 

「まぁ今度のボス戦からは確定で使えるようになったのがデカいね、これあったら私達はほとんど回復ポーション飲まなくてもいいんじゃない?」

 

「というか第二エリアのフィールドボスに使えばいいんじゃないかな、フロアボス前の練習という意味でも」

 

「確かにな、じゃあディアベルとかよりも先に攻略しなきゃじゃないか?」

 

「あ、そっか男子は知らないのか」

 

うん?

 

「実はだね、昨日の内にキズメルちゃんから第二エリアのダンジョンまでの近道を聞いておいたのだよ。現に昨日歩いてた道とは違うでしょ?」

 

「いやそんなの分かるわけないじゃんか、昨日は暗かったんだし」

 

「まぁとにかくこの道を進めば二時間くらいでダンジョンに着くらしいよ」

 

「それは凄いけど」

 

それから俺達は休み休みだが、少しずつダンジョンに向けて歩いて行った。マップを見る限り、本来ならエリア内を大幅に遠回りに進まなければ行けないところを突っ切って進んで行ってたようだ。まじで黒エルフ様々である、俺達は別に黒エルフに思うところはないが、それでも敵陣営には属しているので何とも不思議な感覚になる。

 

そして予定より早い一時間半程で俺達は第二エリアのダンジョン前まで着くことが出来た。

 

 

「⋯⋯まだディアベル達はこのダンジョンクリアしてないよな?」

 

「流石にまだじゃない?だってまだ11時になったばかりだよ?朝から出発してたとしても三、四時間で着けるわけないと思うよ、俺達は近道して来たわけだし」

 

となると、このダンジョン内にはギミックも宝箱も作られたそのままの状態で残っているということになる。意外とだが、今回が初めて旅狼にとっての未踏破ダンジョンの攻略になる。

 

「昨日サンラクが自分で言ったんだからね、「次のエリアのギミックは俺が代わってやるよ」って。期待してるよー」

 

「そんなこと言ってた気もするな」

 

当然第二エリアなので第一エリアの箱入り娘よりも難易度の高いパズルがお出しされるのだろうな⋯⋯パズルに慣れるためにもやっておいて損はないな

 

「みんなフィールドボスだからって油断しないでねー?どんなギミックかも分かってないんだから」

 

「もちろん」

 

「ばっちこい、です!!」

 

 

さて、未踏破ダンジョン攻略と行きますか⋯⋯!

 

 

シュイン、スススススス、シュインシュインシュイン・・・・・・

 

「・・・・・・ねぇ」

 

シュインシュインシュイン・・・・・・『15コンボ!!ステージクリア!!』

 

「よしクリア!!」

 

「ねぇってば!」

 

「何だよ」

 

「いやおかしいと思わないの??」

 

何がだろうなぁ、第一エリアは箱入り娘でちゃんとムズいパズルだったのに第二層は同じ色のブロックを五つ揃えれば消せる近代的なパズルのことかなぁ

 

「ごっつぁんです」

 

「俺の時はあんなにムズいアナログパズルだったのに・・・・・・」

 

「こっちもどんどん必要コンボ数上がってるだろ」

 

「でもサンラク大体そのコンボ数超えたコンボ組んじゃうから意味ないじゃんてかサンラクにとってはヌルゲーでしょ」

 

「何のことだかなぁ」

 

正直このダンジョンのパズルが近代的なパズルだったのは嬉しい誤算だ、もっとムズそうなパズルを想定していたからな、それが世に出尽くされた落ちゲーパズルだったのは本当にツイてる。今やこの手のゲームはスマホやパソコンのブラウザにゴロゴロ転がってるからな、小さい頃にやっといて良かったわほんと

 

第一の扉は一コンボ、第二の扉は三コンボ、第三の扉は五コンボときて第四の扉は十コンボだったのでおそらくラストだろう次は十五か二十コンボ程要求されそうだ。

 

「さて、次もとっとと終わらせてフィールドボスに殴り込みと行こうじゃねぇの!!」

 

 

 

「あ、扉あるよサンラク(^^)」

 

「了解ー」

 

何故かニコニコ顔のカッツォが俺に扉があることを報告、十中八九宝箱でレア目なアクセアリーが出たことが要因だろうがそこまでニコニコになりますかね

 

スススススス、シュイン

 

落ちゲーでコンボを狙うのに重要なのは色ブロックの数だ。例えば赤ブロックが六個あるとしたら、五個一まとまりとして消したら赤ブロックは一個余ってしまう。途中からはもう運ゲーなので、最初動かせる盤面でなるべくコンボ出来るようにブロックを五個ずつで揃えなければならない。俺はこの道のプロというわけでもないので流石に余ったブロックの配置調整までは出来ないが、それでも盤面にあるブロックを全部五個ずつにするくらいは出来る。

 

ススススススススス、シュインシュインシュインシュイン・・・・・・

 

『23コンボ!ステージクリア!!』

 

「必要コンボが20なのに対して23か・・・・・・結構ギリギリだったな」

 

「まぁクリア出来たしいいんじゃない?それよりも扉、開いたよ」

 

ギギギと音を立てながら開ききった扉の奥には、第一エリアこそいなかったがフィールドボスが待ち構えている部屋があるだろう。まだ宝箱が開けられていなかったこともここにまだディアベル達が来ていないことを示している。

 

「そういやペンシルゴンは旗突っ立てたら何してんだ?まさか棒立ちしてる気じゃないだろうな」

 

「そう言われるだろうと思って・・・・・・じゃーん」

 

「チャクラム・・・・・・なるほど、それでなら確かに攻撃に使える」

 

「そう、チャクラムもちゃんと武器扱いになってるからソードスキルは使えなくなるけどね、まぁ旗立ててる間はどうせ槍使えないんだし似たようなものだよ。てゆーかチャクラム(これ)無かったら私旗持って良いなんて言わなかったし」

 

「なるほど通りで」

 

まさかあんなに快く言った理由がチャクラムだったとはな、クルクル楽しそうに回しやがって・・・・・・てかそれなら結局優しさで言ったわけじゃねぇじゃねぇか!!

 

「まぁ部屋入ったらペンシルゴンはすぐ詠唱に入ってくれよ、その間は俺達(特にモルド)が引き付けるから」

 

「今何か言葉にしない悪意を感じたんだけど」

 

「その詠唱って何秒くらいかかるの?」

 

「うーん、実際言ってみなきゃ分からないけど・・・・・・二、三十秒はかかりそうかな」

 

「長っ、まぁ効果を考えれば妥当かな」

 

「私が詠唱してる間はお任せするよ」

 

そして俺達は扉を通り一本道を進んでいく、ダンジョンのフィールドボスを少人数で倒すのも始めてたが、四層でフィールドボス相当のマグナテリウム君を俺達だけで倒しているので多分今回も大丈夫なはずだ。それに今回からはギルドフラッグもある、フィールドボス如きで苦戦はしないだろう。

 

「グルォォオオオ!!」

 

「いたぞ!」

 

「ワニ・・・・・・っぽい?」

 

「ダルアル・ザ・アリゲーター」、それがここのフロアボスの名前だ。全体的にワニってかワニそのものだが、尻尾の先が鉄球にトゲが生えたような形をしているし、何より歯が顔全体よりも大きい。巨大化しているしで俺達が知っているワニとは全然違う。

 

「来るそ!まずはモルドが挑発スキル使ってペンシルゴンから離れた場所に移動だ!その間にペンシルゴンはさっさと詠唱して旗を立ててくれ!」

 

「了解!【スレットフル・ロアー】!!ワニはこっち!!」

 

モルドが挑発技を使用したことにより、ワニのヘイトは全部モルドへ。モルドはペンシルゴンの反対側へ走る。

 

 

『今、勇気を示すあなた達に祝福を与えん。私は願う、果てを目指す彼等に夢があることを。私は願う、果てへと続く道には愛があったと知ることを。私は願う者、私は見守る者。』

 

 

ペンシルゴンが詠唱を始めた。俺達はモルドのサポートとボスに少しでもダメージを与えなくちゃあな!ワニだから弱点は尻尾か首か!?

 

 

『果てへ続く道は長く険しいでしょう。苦難・争い・喜び・楽しみ・出会い・別れ。いくつもの出来事を超え、あなた達は進むでしょう。終わりは此処に、始まりは其処に。始まりを超えたあなた達は強く、そして気高く進むでしょう。』

 

 

とりあえず【バーチカル】!うーん良いところに当たりそうだったがかすったな。だがHPはまずまずだが減ってる。・・・・・・てかペンシルゴンの声なんか脳内に響くように聞こえてきてるんだけど、何これ大丈夫なの?というかペンシルゴンがこんな壮大なこと詠唱してんのなんか笑えてくるな。

 

「サンラク!あれ見て!ペンシルゴンが光ってる!!」

 

「うわほんとだ、何だアレ」

 

ペンシルゴンは旗を両手で持ち、前に掲げ詠唱を行っている。目を瞑っているので本人は気づいていないだろうが、ペンシルゴンの体を包むように黄金の輝きが発しているのだ。SAOに神秘的なやつってあったのか???

 

 

『あなた達に祈りましょう、捧げましょう。私は祝福を、私は加護を。あなた達が歩む道にどうか、幸福が多くあらんことを、あなた達にどうか、強き輝きを。』

 

 

ペンシルゴンは詠唱を終え、目を見開く。黄金に包まれた自分にびっくりしているが、すぐにボス部屋の真ん中に移動し、旗を突き立てる。

 

「これでどうだ!」

 

ペンシルゴンを包んでいた黄金も旗の下へと集まり、地面へと広がっていく。少しずつ、円形状に広がっていく輝きは俺達がいる地面までも飲み込み、この部屋一面を輝きで満たした。

 

「おお!ちゃんとバフもついてる!」

 

ATK(攻撃力)上昇」「DEF(防御力)上昇」「対阻害(デバフ)耐性上昇」「移動速度上昇」「ソードスキルCT(クールタイム)減少」「最大HP(ヒットポイント)上昇」、合計六個のバフが俺達にかかる。・・・・・・おお!なんか体がすげぇ軽く感じる!!今だったら100メートル九秒切りとかも現実で出来そうな感じがする!てかこれバフ意外にも隠し要素でテンション上昇とかない?マジで全能感が凄いんだが

 

「モルド!そのままヘイト持っとけよ!!」

 

試しにどんくらい火力が上がったのか試さないとな?さっきは失敗したが今度はちゃんと尻尾に狙い定めて・・・・・・【バーチカル】!!

 

「グルァアア!???」

 

良い感じに入ったどころかクリーンヒットだなこりゃ!お前の大事な尻尾に一直線の傷跡がついちまったなぁ?HPは・・・・・・おぉ!まともに当たったとは言えバーチカルでHPバーの二割弱くらいは持ってってる!!火力は多分・・・・・・1.3倍くらいまで上がってるか?バフの一つにしては十分すげぇじゃねぇの!!

 

「今なら空だって飛べそうです!!」

 

「あはは!なんか良く分からないけど凄いね!!」

 

「私は旗支えるために動けはしないけど、その分チャクラムでボスの動きを邪魔して上げるよ!!」

 

モルドはサポート無しでボスの攻撃を受けきれるようになるまで防御力が上昇した。モルドにとっては最大HP上昇も嬉しい効果だろうな!そもそもダルアルは動きがそんなに早くないので移動回避でも避けられるくらいだ。尻尾やデカい体を使った範囲攻撃をしてくるのは厄介だが、俺やルストは元々が速度特化のステータスなので攻撃がまず当たらない。その他のメンバー防御力とHPが上昇しているので喰らっても大したダメージにならない。

 

ワニの正面に立つと時たま腹を上げて、腕と伸びた爪を使った攻撃を仕掛けてくる。俺は全体的に濃い緑の色をしたワニが唯一白色をしているこの腹が最大の弱点だと踏んだ。腹の真下は安全圏なのでそこまで移動して───

 

「【バーチカル・スクエア】!!」

 

縦方向に斬る四連続技は見事全撃腹に命中し、フルボッコにされていた巨大ワニのHPはそこで潰えた。

 

「グルォアア・・・・・・」

 

文句なしの圧勝である。まさかギルドフラッグ一つでここまで変わるとは思ってなかった。

 

【 You got the Last Attack!! 】

 

ラストアタックを表すメッセージが表示され、俺達の単独フィールドボス戦は終わった。




詠唱、良いですよね。シンプルカッコいいので入れてみたくなりました。

てかもうちょい速く投稿する予定だったんだ・・・・・・昨日はテストで仕方なかったとは言え今日は十七時くらいには投稿する予定だったんだ・・・・・・

予想以上に長くなりすぎたのが敗因です。

あとこのワニ君、HPも低いし速度も遅い代わりに攻撃力が高いっていう特徴があったんですけどまぁギルドフラッグお披露目会では不要ですね。
そりゃ推奨レベルよりも全然高いやつらにバフついたらこうなるよねっていう。

てかあの詠唱、何気結構重要です。詠唱って言うか思いっていうかなんというかなんですけどもね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。