旅する狼達よ、鋼鉄の城にて吠えろ(シャングリラ・フロンティア×ソードアート・オンライン) 作:しらすの番人
SAO書籍の方だと8巻に載っていましたね
エピソード自体短いんですぐ終わるでしょう
「ソードアート・オンライン」正式サービス開始から3日が経った。その間俺たち「旅狼」はサービス初日に削られたメンタルを十分に回復させていた。
宿屋でのNPCの店員さんに「全員が1つの部屋でお休みになられますか?それともある程度の大きさの部屋か個室、どれがよろしいでしょうか」と聞かれた俺たちは、流石に男女混合は不味いということで俺・カッツォ・モルドの男子組、ペンシルゴン・秋津茜・レイ氏・京ティメット・ルストの女子組で部屋を分け、休息を取る事にした。
「あそーれ変なおじさんたら変なおじさん!」
「ぶふっ・・・・・・!ね、ネタが古すぎる・・・・・・!けど、面白いいぃひひひっ!!」
「だっふんだ」
「あそーれややいのやーい」
「あっはっはっはぁ!!」
ノリが高校生の修学旅行である。まぁ俺が17歳でカッツォが19、モルドが16なのであながちこの例えは間違っていないのかもしれないが。
このようにして俺とカッツォはモルドのことを笑わせて遊んでいた。モルドは超がつくほどの「ゲラ」であり、なんでもない時に「布団が吹っ飛んだ」と言っても「ぶふっ」と反応するレベルである。そんな特徴があるので「Nephilm Hollow」というゲームでは、ルストに指示を出すモルドを止めるためにモルドを笑わせて使い物にならなくする、という戦術が真面目に考えられていた。
「ほんとこんなんでよく笑うよね」
「いいんじゃないか?グループに1人でもいれば面白いキャラだろ」
コンコン
「ちょっと男子組はもう準備できたのー?さっきからモルド君の笑い声しか聞こえて来ないんだけど」
そうペンシルゴンがドアをノックして言ってくる。どうやらあちらは準備が出来たらしい。3日間十分な休息を取った俺たちはここいらでフィールドに出てみようという話になったのだった。まぁ準備とは言ってもアイテムなどはインベントリにしまえるのであまり時間はかからないのだが
「もうとっくに終わってるぞー」
「じゃあ早く出てきなよ」
その通りである。決してモルドを笑わせるのが楽しくなって時間を見ていなかったとかそう言うのではない。うん、ない。
「じゃあ行くか」
「「はーい」」
木製の少し古びたドアを開ける。そこには当然ながら5人の女子プレイヤーが待っていた。
「おはようございます、サンラク君」
「ん、おはようレイ氏」
そう挨拶してくるレイ氏の顔には一切の不安はなく、むしろこれからの冒険を楽しみにしている様子だった。
「あ、出発する前にパーティ編成しなくちゃ」
「確かに」
SAOのパーティは1パーティ最大6人で組むことが出来る。俺たち旅狼は8人なので4人のパーティを2つ作ることにする。
「決め方はどうする?」
「古来から2択の時はこれで決めるでしょ」
「せーのっ」
「「「「「「「「グッパーグッパーグッパッパ!」」」」」」」」
そう、グッパーである。グーかパーかのどちらかを出し、どちらかの陣営になるという、こと2択においては他の決め方よりも郡を抜いて強い決め方である。
幸い今回はどっちかに偏り7:1などになることはなく、グッパー1回で決まった。
グーがAチームでパーがBチームなので───
Aチーム:サンラク・サイガ-0・京極・秋津茜
Bチーム:サシカッツオ・ペンシルゴン・ルスト・モルド
このようなチーム分けになった。戦力の分散的にもちょうどいいのではなかろうか。何故かいつも通りルスモルコンビが一緒になっているのかはあまり深く考えない。
それぞれのパーティのリーダーを決めないと行けない訳だが・・・・・・まぁここはそれぞれ俺とカッツォがリーダーを請け負う。
基本的にはボス戦などでこのパーティを基本として戦うことになる。別にバラバラでもやれないことも無いのだろうがパーティのメンバーはそれぞれパーティメンバーのHP数が見えるので、誰が戦えるか、誰が下がって回復するべきかを考えることが出来るので、パーティは組めるなら組んでおく方がいいに違いない。
「よーし、それじゃあフィールド探索行ってみよー!」
「「「「「「「おー!」」」」」」」
ペンシルゴンの言葉にメンバーが反応する。そう言えばクラン機能などは実装されていないのだろうか。
―始まりの街・西フィールド―
「戻ってきたなぁ」
「そうだね」
俺と京ティメットはそう話す、俺たちはとりあえずサービス初日に転移門前は強制転移される前にフレンジーボアやプリックワスプを狩っていた場所へと戻ってきていた。俺達と同じように宿を借りて休んでいるのか、それとも一致団結して先へ進んでいるのかは定かではないがあまりプレイヤーの姿は見かけない。
「ここに戻ってきたのはいいと思うんですが・・・何します?」
そう秋津茜が発言する。正直そう言われるとレベル上げくらいしかなくねと思うがいかんせんここら辺のモンスターは大体レベル1か2の雑魚モンスターが出てこないし、たまに出てくるプリックワスプの女王バチもレベル4程である。素材もここら辺のものは前回の探索であらかた取ったのでレベリング・探索共に不向きだろう。
俺よりも先に結論付けたのかルストがこう発言した。
「メンバーも全員揃っているし先に進むのも悪くないと思う。それに、いつまでも同じところにいちゃ先に進めない。」
その言葉には一切のマイナスな感情がなく、むしろ溢れる闘志を身にまとっていた。上手くモルドがルストを鼓舞してやる気を出させることに成功したみたいだ。
「あ、そうだ。」
俺はSAOにログインする前に見ていたサイトで「あるクエスト」の存在を思い出す。
「皆聞いてくれ。ここから北西に向かって森を抜けた先に、村があるらしいんだけど、そこでクエストを受けられるらしいんだ。」
「へぇ、それは一体どんなクエストなの?」
「クエスト自体は良く覚えてはいないんだけど確か、村のおかみさんからのクエストで、それをクリアすることで武器が貰えるらしいんだ。」
「武器ぃ?」
「あぁ、それも俺が覚えている限りだと第一層で取れる武器の中では最強だと書いてあったな。」
「はぁ!?一層最強!?もっと早く言えよその情報!!」
「ほんとその通りだとサンラクくぅーん?なんで今まで黙ってたのかなぁ?」
「答え次第だと斬るよ?ていうか斬っていい?」
主に外道連中から責められる。いやまぁ悪かったけどこちらにも事情があるのだ。
「色々あったし忘れてたんだよ!それにこんなことになると思ってなかったからネタバレ食らうのは嫌だと思って流し見してたからな。寧ろここで思い出したことに感謝してくれていいんだぜ?」
「よし、斬るね」
ビュン!と京ティメットが振るう刀が飛んでくる。ちょおまマジやめろって!悪かった悪かったから!!
そう考えながら急いで回避する。俺が退いて1秒もしない内に京ティメットが振るう刀が俺がいた場所の空気を斬っていた。
「あぶねえええ!悪かったって!!当たったらどうすんだよ!!結構ガチ目に力入れてたろお前!?」
「あはは、流石に手加減したよ。それにこれくらいなら避けられるでしょ?サンラクなら。実際避けてたし。」
「心臓に悪い・・・」
そう言いながらも体は土下座の構えを取っている。大体何かやらかした時はジャパニーズ土下座をすればなんとかなる。
「本当に申し訳ございませんでしたぁっ!!」
手を地面に着け頭を地面にぶつかるほどの勢いで下げる。この時、頭は下をむいているが体は水平であればあるほどポイントが高い。
「まぁそのくらいでいいんじゃない?有用な情報には変わりないし」
「けどまぁ次やったら「オハナシ」案件だよねぇ?」
少し寒気がするが俺は土下座を解く。ん〜生きてるって素晴らしい!!
「・・・・・・人ってあんなキレイに土下座できるんだ」
「ルストこんなもので感激しちゃだめだからね!?」
「あはは・・・」
「サンラクさんお見事な土下座でした!!」
見ていた他のメンバーが次々に言う。レイ氏の少し引いた目が痛い。
「じゃあとりあえずはその村を目指すってことでいいんじゃい?特にやることも無いし」
チャキン、と振るった刀を戻しながら京ティメットは言う。・・・・・・いつか絶対やり返してやるからな。
「じゃあ善は急げってことで!早速その村を目指そう!!誰かさんが早く言わなかったせいでもう他のプレイヤーに気づかれてるかもしれないからね!!」
「「「「「「おぉー!」」」」」」
にこぉ、と笑いながらペンシルゴンは言う、ほんとごめんなさいでした。
―第一層・西フィールド森林―
「はああああぁあっ!!」
ソードスキル【ホリゾンダル】、青い光を放つ水平斬りの一撃はイメージ的には食中植物のウツボカズラのようなモンスター「リトル・ネペント」を二体まとめて撃破する。
「しゃおらっ!」
俺のレベルは道中のモンスターを倒したことで4から5に上がっている。自分よりレベルが上のモンスターならまだしも、リトル・ネペントは大体がレベル3か4なので遅れを取るわけがなかった。
「おつかれー、こっちも終わったよ」
そう言ってカッツォたちBチームがやってくる。リトル・ネペントが群れでいたので2チームで分かれて誘導・討伐することにしたのだ。
「なんともグロいモンスターだったね」
リトル・ネペントはウツボのような見た目の上の方に葉を見せつけながら口がでろんと空いている。目などがないため、フレンジーボアやワスプ達と比べとてもグロい、恐ろしい見た目のモンスターになっている。さながらそれは「虫食い草」よりも「人食い草」の方が異名として合うように。
「あ、あれ出口じゃないですか!?」
そういう秋津茜が指す方向を見る。森林はあまり光が通らず薄暗かったのだが、奥の方に眩しい光が見えている。
「お手柄だねぇ秋津茜ちゃん」
俺達はその方向へと走っていく、すると間もなく森を出て──小さいが村と呼べるものがそこにあった。
―第一層・ホルンカ村―
「おぉ・・・・・・」
見れば僅かだがNPCが経営しているショップと宿があり、20棟ぐらいしかない村は補給地点と呼べるだけのものは揃ってあった。小さかったからかそれともまだ開拓されていないのか他のプレイヤー達の姿は無かった。
「ここにそのクエストを受けられるNPCがいるの?」
「あぁ、おそらくな」
村の目の前には看板が建てられておりそこには「Holunka」、ホルンカと書いてあった。
「・・・・・・ホルンカ、いい名前ですね」
レイ氏の言葉に皆が頷く。街の雰囲気といい名前といい、落ち着くのどかな田舎を連想させる。
「そんじゃあ手分けして例のNPC探すか。もしかしたら正式版になって変わってるかもしれないから注意深く話を聞こう。あんまり広くはないから1時間くらいで終わるだろ。時間になったらここ集合なー」
「「「「「了解!!」」」」」「「了解です!!」」
そしてそれぞれNPC達に話を聞くため散らばっていく―あ、俺はやることがあるんだ急げ急げ。
〜1時間後〜
「ぜんっぜん見つからないんだけどぉ!!」
「・・・・・・1時間村長の無駄話につきあわされた」
「私もそんな感じ〜」
「あはは・・・思ったよりも骨が折れそうだ。」
そもそも俺達はクエストがあるということを知っていてもそれがどう発生するのかを全くしらない。分からないということはつまり、クエストが元も存在しない可能性もある訳で――
「さぁんらぁくぅくぅ〜ん??これは一体どういうことかな???」
「俺も何がなんだかさっぱり・・・・・・やめて京ティメット!刀を出そうとしないで!!」
今度は京ティメット以外の外道共も殴りかかってきそうな顔をしている。これは本格的にまずい
「あ、皆さーん!多分そのクエストらしきものを見つけましたよー!!」
救 世 主 光 属 性 が あ ら わ れ た ! !
1話で終わると思ってた自分がバカでした...
まさかのホルンカ村編前後編の二話構成になります