旅する狼達よ、鋼鉄の城にて吠えろ(シャングリラ・フロンティア×ソードアート・オンライン) 作:しらすの番人
テスト勉強の合間に他の小説も書き始めるっていうね
「ふむ・・・・・・なるほどなるほど。お疲れ様でした、特にガリウスとカッツォさんは中々大変な目にあったようで」
「あァ・・・・・・オレ、漢目指すわ」
「何が・・・・・・何が原因だったんだ、顔?顔なのか?やっぱり整形するしかないのか?」
無事ミルジルを倒して秘鍵を二つ奪うことが出来たんで俺達はそのまま南下、七層での森エルフ領地に今回の顛末がレムザードに報告しにきたわけだが・・・・・・まぁ、詳細な報告をしなきゃいけない以上、被害者両生類二人があの事を思い出して項垂れるのは必然だ。もし俺がカッツォとガリウスの立場だったらと考えると・・・・・・恐ろしくて鳥肌が立ってくるな。
「で、こちらのフォールンはどうしましょうか・・・・・・」
「ぐ・・・・・・」
ミルジルとの戦闘に突入する前に俺とミーアが捕らえたミルジルの護衛フォールン。その場の判断で殺したり逆に逃がしたりは流石に出来ないと俺達は判断したので一旦生け捕りにしたままここに連れてきたのだ。
「連れてきた俺達が言うのもなんだが、何か利用価値あるのか?こっち来る途中で俺達も灰エルフ達の本拠地はどこだとか、ノルツァーは今どこで何してるとか聞いたが、一切答えなかったぞ?」
「まぁそれはそうでしょうね。忠誠心が低いものなら露知らず、ある程度知識と忠誠心があるなら、下手に情報をはいたらフォールンの本拠地に戻れたとしても裏切りとして殺される、というくらい理解出来てるでしょうし」
「だが先生ェ、こいつは曲がりなりにもフォールン幹部の護衛だったんだ、何かしらの情報は持ってると思うぜ?」
「そのための尋問です。あなた達がここに来るまでに行ったのはあくまで質問。本人がいる前で言うのもアレですが、これからこのフォールンは独房に隔離された後、脅迫だったりなんなり尋問された後、それでも情報をはかないようだったら苦痛を与える等の拷問に移るでしょう。別派閥のエルフに捕まるとはそういうことです。あなた達が折角生け捕りにして連れてきてくれたのです。何かしらの情報は引き出させますよ」
エルフ達にはエルフ達のルールがあるのだろう。現実で例えるなら戦争中に敵国と捕まるのと同義な状況にこの生け捕りフォールンは陥ってしまっているのだ。少し俺達の間に重いような、気まずい空気が流れるが敵対しているエルフだししょうがない所もある。
「それと・・・・・・秘鍵は?」
「大丈夫だ、ちゃんとあるぜ」
じゃらりと音の鳴る小袋、その中からガリウスは小さい鍵を二つ取り出す。一つは四層で黒エルフ側のプレイヤー、つまりキリト達が取ったのであろう「
「なるほど、確かに。これは本物です。良くやってくれました・・・・・・ふむ」
レムザードは何かを考えた後、目を見開いて俺達にこう言った。
「現時点で私達は三層の
「私達は今から、大きな賭けに出ようと思います。現時点で七層に集結している森エルフの偵察、実働隊、全て総力を上げて、速攻で琥珀の秘鍵を取りに行きます。現在、黒エルフは裏切り者が出たとかで大きな混乱が起こっているとか。今ならば、やつらに邪魔されることなく琥珀の秘鍵を私達の手に納めることが出来るでしょう」
「そうすれば、私達が所持する秘鍵は六つになり、聖堂への王手をかけられる。皆さん、どうか、あなた達の力を今一度私達にお貸し下さい」
琥珀の秘鍵があるほこらは、森エルフ領地と、黒エルフ領地──こっちは「ハリン樹宮」と言う名前がつけられている──のちょうど真ん中、位置にして、俺達が先程までミルジルと戦闘していた「竜の骨」がある「白骨の平原」と「ヴェルディア草原」のちょうど砂漠と草原の境界線上にありとても目立つ場所にあるらしい。
俺達は今、そんなほこらに俺達旅狼とガリウス達特務隊、三強レムザードを先頭にして、総勢五十名程からなるチームで向かっていた。総力を上げると言った割には人数少なくね?と思うやつがいるのなら大間違いだ。百を超える森エルフの偵察隊は俺達よりも先に行動を開始して各地に散らばっているし、俺達の後ろについてきている森エルフ達の戦士達は現時点で集められるエリート中のエリートだ。最近俺はレベルが26になり、最前線プレイヤーの中では相当な上澄みであろうはずなのに、俺とレベルが同じかそれ以上のレベルの戦士達がうじゃうじゃいる。その事実も、この琥珀の秘鍵獲得作戦が重要なことであると告げている。
「まさか一日に二回も砂漠行くことになるとはねぇ」
「迷宮区もこっち側だから、後でもう一回通る必要がある」
「うへ」
「残酷な事実をルストが告げたことにより、京ティメットのメンタルは削られた」
「棒読みやめようサンラク、それにそんなことでメンタルが削られるわけないじゃん」
「皆さんもう少しで着きますよ?」
砂漠と草原の境界線なんて見るのは初めてだな、ゲームの中でこれ言うのもアレだが、黄色の砂が溢れる砂漠と緑の草が生い茂る草原がマジで隣接してるのを見ると「ゲームみたいだ」っていう感想が出てきやがる
視界に、小さいほこらが見えた気がした。一歩ずつ、一歩ずつ歩くたびに、それは少しずつ大きく見えてくる。チームの歩く速度はゆっくりだが、逆にそのある程度の遅さがあそこにほこらがあると実感させてくれる。
結局、レムザード達は何のために聖堂を開けるのを目標としてるのか、聖堂に何があるのかは全然分からん。六層でレムザードの意味深発言でとりあえず聖堂を開けようとしているというのは分かったが、その聖堂が具体的にどんなもので何があるのか、もしくは開けると何が起こるのかが分からないと話にならない。エルフクエストは最終的にその聖堂が関わってくるのだろうということは予想出来るが、それがエルフクエストの結末にどう関係してくるのかもさっぱり分からない。ストーリーを進ませるために謎を多くして興味を持たせるのもいいが、もう少し情報開示してくれてもいいんじゃないですかね
「おお!あと少しだ!」
不意に、静かに歩いていた集団の中からそんな声が上がった。恐らく後ろにいる森エルフの誰かなのだろう、それは期待と安堵の色を含ませていて、皆もそれに同意しているような雰囲気だった。
だからだろうか、俺達が目指すほこらのその反対側に現れる
「何だあれ!?」
「ッ!皆さん、急いであのほこらへ!!」
レムザードのその言葉で、俺達は歩くの止め走り出した。何か良くない色をしている煙が何もしないよう祈りながら。
「ふむ、やはり来たか、レムザード。だが、我々の方が一歩、いや、十歩程早かったようだ」
黒や紫、禍々しい装飾品を服につけたいかにも偉そうな男はレムザードに向けてそう言い放ち、
「ノルツァー・・・・・・。いやはやまさか、今君に出し抜かれるとは思ってもいなかったよ」
逆に、白や黄色の光る装飾品を身に着けているレムザードは、ノルツァーに向けそう返した。
「ここに集いしフォレスト共よ!我々は宣言しよう!!今回はこちらの考えが一つお前達を上回った!そして⋯⋯次も上回る。来る九層での『聖堂決戦』!そこでお前達フォレストもダークも打倒し、我々フォールンが聖堂が開くと!!」
声高らかに、四層のフォールンアジトで圧倒的な存在感を放っていたノルツァーはそう言った⋯⋯だが!
「生憎とこういう時のための大人数作戦だ!こっちにゃレムザードもいんだ、一人で来るのは無謀なんじゃないのか!」
俺達とあのノルツァーが秘鍵を取ったほこらまではもう十メートルほどの距離しかない。今ここであのスキルを使えば最大加速で攻撃出来る!!
「【ソニックリープ】!!」
もう確認しなくても分かるスキルが発動した感覚。スキルを発動し地を蹴った次の瞬間、ほこらの目の前で堂々と立つノルツァーに肉薄し───
「浅はかな人族よ、その刃が閣下に届くことはない」
その緑の光が届くことは無かった。煙から現れた巨漢が俺の全速全力で出した一撃を、あまつさえ片手で止めてしまったから。
「随分ッ・・・・・・重いなオイ!!」
長く止められては危険、最悪反撃される可能性があるからな。一旦引き下がるしかないかこれは!
「クソ!」
「サンラクゥ!一旦落ち着け!」
追いついてきたガリウスが俺に声をかける・・・・・・が、これで落ち着いてられるってならそれは相当な無感情だな、この状況じゃ寺の坊さんでさえ目を見開くだろう。
「更に人が・・・・・・!?」
「あの煙なんなのさ!あれ多分ワープでしょ!?SAOにそんなの無かったはずだよ!」
なんと・・・・・・って言ってもノルツァーが煙から現れた時点で薄々嫌な予感はしてたが、あの奇妙な灰色の煙、どうやらどこからか飛んで来れるワープ的な役割を果たしているらしい。
「はっはっは、私の研究したモノも無駄では無かったようですねぇ」
最終的にノルツァーの他二人が煙から現れた。一人はさっき俺の攻撃を軽く受け止めた灰色の巨漢。もう一人は最後に出てきたメガネをした灰色の長身男。
「『爆力のダグダロス』と『聡明のガスト』・・・・・・」
ミーアが何やら呟いてるな、二つ名持ちってことは恐らくあの二人はフォールンの幹部。今まで戦ってきた中だとカイサラとミルジルがそれに該当する。
「閣下、お下がりを。伝えるべきことはもう終えられたのでしょう?」
「あぁ、そうしよう。ガスト、調整ご苦労だった」
「おお!ありがたき幸せでございます」
そしてノルツァーは振り返って煙の中に消えていく前に、レムザードにこう言った。
「レムザード・・・・・・俺は、今度こそお前に勝つ」
「いやぁ、あんなことが起きるとは。あはは」
「先生ェ、なんでそんなテンションでいられんだ・・・・・・」
ノルツァー達が去ってから、俺達は帰ることになったが、作戦が失敗したことにより仲間達の雰囲気が重くなってしまったことは言うまでもない。ただ、レムザードはその中で一人、何故か普通のテンションでいたのだ。
「考えてもみて下さいよ。私達は今五つの秘鍵を持ってるんですよ?それで琥珀の秘鍵はさらに今の立場を盤石なものにし、ダーク達引いてはフォールン達への牽制として機能させるために取りに行こうとしてたのです。まぁその琥珀の秘鍵はノルツァー達に取られちゃいましたが、依然私達が圧倒的優位な立場にいることは変わりません。それにノルツァーは九層で仕掛けて来ると明言してくれたんです。対策立てやすいことこの上ないですよ」
そういうレムザードの言葉には確かに説得力のあるものだった。七つある内の五つは自分達側にある、それは俺達が今まで積み重ねてきた結果だ。今フォールン達と戦うわけでは無くなったし、少し仲間達の合間にも明るい空気が流れ始めた。
「そう言えばレムザードってさ、前に何回かノルツァーと戦ったことある的なこと言ってたよな。今戦っても勝てるのか?」
俺の口から放たれた、何の意図も裏もない。ただただ素朴で純粋な疑問、レムザードはそれに、ニッコリ笑顔でこう答えた。
「もちろん。ボッコボコです、あんなヤツ」
レムザードがそう言うのと、俺にキリトからメールが送られて来たのは同時だった。
なお、レムザード対ノルツァーの戦績
5勝0敗0引き分けでレムザードの勝ち!!
大体レムザードが強すぎて「今度は俺が勝つからな!」となるノルツァー君なのであった。だがノルツァーが生きている、ということは勝ちはしても殺してはいないということ。大体ノルツァーが撤退していくけど、追おうとすれば追えるのにレムザードはそうはしなかったのだ。