悪の組織の幹部だけど、魔法少女のオタクやってます【本編完結】   作:高々鷹々

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あまり言わないようにしていたのですが・・・・・・

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ついでに、感想があったりするとモチベも上がるらしいですよ?(チラッチラッ


総集編の時期②

「──つまりだ! 魔法少女への対策となる戦力を、よりにもよって貴様の(もと)で遊ばせておくなど言語道断! 我の部下として働かせた方がよほど良い!」

 

「・・・・・・抗議は私ではなくボスにでもしろ。切るぞ」

 

「待て! まだ話は終わって──」

 

 待たない。躊躇なく私は通信を切断し、ついでに端末の電源を落とした。セニオからの連絡だけでなく、他の連絡も届かない事になるが──今はそれよりも大事なこと(布教)が先だ。

 

「すまない、待たせたな」

 

「いえ、少しも」

 

 私が戻ると、シュヴィーは先程から微動だにせず待っていた。その姿に、思わず地球の逸話の一つ、主人を待ち続けて石像にまでなった忠犬の話を思い出す。いけない、思い出したら涙が・・・・・・

 

 涙を流すまいと気合いで引っ込めていると、シュヴィーは私へと不安げな視線を向ける。

 

「・・・・・・あの。(わたくし)は、いずれ他の場所に異動させられるのでしょうか?」

 

「・・・・・・聞こえていたのか」

 

 まぁ、セニオがあれだけ大声を出していたのだ。通信機越しでも聞こえてしまったのだろう。*1

 

「はい。今でこそ(わたくし)はお姉様の部下という立ち位置ですが・・・・・・・それは、ずっとではありません、よね」

 

 目に見えて落ち込む彼女。だが、それは杞憂である。私は、彼女を他の幹部の(もと)へ──特に、セニオの所へなど、異動などさせるつもりは無い。

 

「気にするな。君の意に反する異動など、させるはずがないだろう」

 

 だって、それより先に光堕ちするだろうし。*2 そもそも彼女が組織に居る期間なんて、長くても半年だろう。早ければ来月には、新たなマギアカリーナとして活躍していても何ら可笑(おか)しくはない。*3

 

 だからこそ、シュヴィーへ向けて言葉を重ねる。

 

「それに、私にとって君は初めての直属の部下だ。そう簡単に手放すつもりは無い」

 

「お姉様の・・・・・・初めてが、(わたくし)・・・・・・」

 

 ポッ、と音がしそうな程わかりやすく顔を赤らめるシュヴィー。おかしいな、私それなりに良い事を言ったつもりなんだが。言葉の一部分だけに反応しているようにしか見えない。

 

 彼女と会ってからまだ一日も経っていないが、私は早くも彼女から『残念美少女』の波動を感じ取っていた。見た目や置かれている状況は王道なのに、どうしてこうも残念要素が強いのか。*4

 

「不安が払拭されたなら良かった。

 では、続きを見よう」

 

「はい!」

 

 元気すぎる返事にまたも忠犬、という文字が浮かぶが、気にしないことにして映像を再生する。

 

『マギアカリーナ! 今日こそお前たちをブッタばす、もといブッ飛ばしてやるトン!」

 

 画面の中では、またもブダーンが町中でコワガーレを暴れさせていた。

 今回は裁縫箱を元にしたコワガーレだ。チャック部分が口のようになっていて、そこから針や糸を出してくるだけでなく、片手に持ったハサミを使って攻撃もしてくる。遠距離での攻撃手段を持たないマゼンタとシアンにとっては難敵だ。

 

『くっ、これじゃ近づけない・・・・・・!』

 

 両腕で飛んでくる針を防ぐマゼンタとシアン。騒ぎを聞きつけやってきた彼女たちだったが、かなりの苦戦を強いられていた。このままでは(らち)が明かないと判断したのか、マゼンタは決意の瞳と共に、攻撃を受けながらも前に出る。

 

『シアン! 私が隙を作る、だから!』

 

 そうして捨て身の突貫を行い、針による攻撃を自分に引き付けたマゼンタ。シアンは裁縫箱コワガーレを横から攻撃しようとするが、手にしたハサミによって逆に吹き飛ばされる。

 

『ぐうぅッ!!』

 

『シアン!? くっ、きゃああ!!』

 

 マゼンタもまた、コワガーレが口から出した糸に足を掴まれ、叩きつけられた。

 

 打ちのめされ、地面に転がる魔法少女たち。思わず、私は拳を強く握りしめた。

 彼女たちがこの程度で諦めないことはわかりきっている。この後の展開も知っている。だが、私の心は揺さぶられ、つい(りき)んでしまう。それだけ、彼女たちに惹き付けられているのだ。

 

『負けられない・・・・・・だって、あの裁縫箱は! きぃちゃんの大切な物だから!』

 

『ええ。あの怪物を、止めないと! これ以上、好き勝手させない!』

 

 立ち上がる、魔法少女たち。その姿はやはり出血こそ無いものの、酷く傷付いていて、今にも倒れそうだ。けれど、その両の足で、踏ん張っている。

 思わず目頭が熱くなるが、なんとか片手で押さえて耐えた。今は仕事中だ、泣くわけにはいかない。*5

 

 私がさっきから感じる横からの視線をスルーしつつモニターを食い入るように見ていると、画面の中で動きがある。ブダーンが癇癪(かんしゃく)と共にコワガーレへと二人に攻撃するよう命じたのだ。

 

『ええい、しぶとい奴らめ! もっとトンでもない目に合わせてやるトン! コワガーレ!』

 

 再びコワガーレが大量の針を二人に向けて放つ。回避する気力も残っていないのか、二人は目を(つむ)り衝撃に備える──が、予想していた攻撃は、やってこない。

 

『マゼンタちゃん、ありがとうございます。

 私も、二人と一緒に戦います!』

 

 新たな魔法少女、マギアイエローが、魔法による壁を作って攻撃を防いだのだ。劇的で完璧なタイミングだ。思わず拍手をしてしまうほどには。

 

 今にして思えば、マゼンタの口にしていた『きぃちゃん』とはイエローの事なのだろう。この場面は、自分の大切な物のために戦ってくれている友達を守りたくて、イエローが奮起した所だったのか。見返す事で新たな発見がある。これもまた、映像作品の醍醐味だろう。*6

 

『私がお二人をサポートします!』

 

 イエローがそう言って魔法を使い、マゼンタとシアンの傷を癒やす。完全に回復していない辺り、制限はあるのだろうが、何度見ても破格の魔法だ。

 

『ありがとう! これからよろしくね、イエロー!』

 

『助かったわ。このお礼は、働きで返す』

 

 そうして、戦闘が再開される。しかし、コワガーレの繰り出す針や糸は全てイエローによって防御され、マゼンタとシアンがアタッカーとなってコワガーレを追い詰めていく。

 

『お裁縫箱は! そうやって使う物ではありません!』

 

 シアンの蹴りを受けて(ひる)んだコワガーレの口を、イエローが魔法で針と糸を操作し、縫い付ける。咆哮を上げることすらままならなくなったコワガーレは、混乱と共に立ち尽くしていた。

 

『マゼンタ~! シアン~! いまなら、さんにんでつかえる! がったいまほう!』

 

 近くで見ていたのであろう、妖精(ふぁーたん)が彼女たちの元へやってきてそう伝えると、三人のステッキが輝きだした。

 

『やろう、みんな!』

 

 マゼンタの号令で、彼女たちはステッキを掲げる。

 

『光を(つむ)ぐ、星の輝き!』

 

『奇跡の(しるべ)に導かれ!』

 

『我らの心を、ここに重ね合わせん!』

 

セレスティア・セレーネ!!!

 

 放たれたのは、いつか見た極大の光。それはコワガーレを包み込み、浄化していく。それはまるで、暗闇に差す鮮烈な日差し。

 今日はフル詠唱バージョンだ! やはり魔法というのは、こうでなくっては!

 

 私が感動している間に、映像が終わる。この他にも戦闘記録はあるが、今回はここまでで良いだろう。一気見も悪くは無いが、毎日少しずつ見るのもまた、日々の充実を感じられて良いものだ。

 

「マギアシアンは近接戦闘における身のこなしが強力。そしてマギアイエローは支援において(ひい)でている。誰一人として、(あなど)って良い相手では無いな」

 

「はい。真っ先にイエローを潰すべきですね。味方の回復が可能なのは厄介ですが、能力が絡め手に寄っていて攻撃的な魔法が少ない様ですし」

 

 だから、正論はNGだ。

 

 実際、過去にブダーンもイエローを狙った事があったが、それに激怒したマゼンタがいつも以上の力を発揮してコワガーレを撃破したのだ。場所が周囲に被害の少ない水辺だったのも悪かったな、アレは。彼女の炎の魔法が遠慮無くぶっ放されていた。

 

「お姉様。(わたくし)、決めました」

 

「何をだ」

 

「絶対、魔法少女に勝ちます。ボコボコにします。原型を留めないくらいに」

 

「お、おう・・・・・・? そこまでする必要性は無いが・・・・・・?」

 

 やる気があるのは良いが、私は別にそんな事は求めていない。むしろ、彼女たちの仲間に入って欲しいのだが。

 

「だってお姉様、あんなに魔法少女に夢中になって・・・・・・(ねた)ましい・・・・・・ッ!」

 

 シュヴィーが小声で何か言っているが、当然聞こえている。

 本当に彼女たちをボコボコにされては困るので、仕方なく私は彼女を説得する事にした。

 

「シュヴィー。確かに私は彼女たちに夢中だが、そんな彼女たちを君が再起不能な程に打ち倒してしまったら、どうなる? 私の楽しみが減るだろう*7

 

「ッ!?」*8

 

「それに、彼女たちは君が相手でも、そう簡単には負けない。何故なら彼女たちは『マギアカリーナ』、地球を守る正義の魔法少女たちだからだ。守るべき物がある存在は、強い」

 

 私の言葉に納得が行かないのか、歯を食いしばって私を見つめるシュヴィー。しかし私は普段通りの顔で視線を受け流した。

 そんな私と彼女が見つめ合うこと数分。先に根を上げたのは、シュヴィーだった。

 

「いつか必ず、(わたくし)に夢中にさせて見せますからッ! 鍛錬に行って参ります!」

 

 私の考えが変わらないことを悟ったのか、顔を真っ赤にして部屋から出て行く。その後ろ姿を眺めながら、私は思った。

 

 ──光堕ちして魔法少女になってくれれば、直ぐなんだけどな・・・・・・

*1
実際はすっごい聞き耳を立てていただけ

*2
台無し

*3
可笑しいのはコイツの思考

*4
人のことを言える立場ではない

*5
そもそも仕事中に見ているテンションではない

*6
なんか違う

*7
娯楽的な意味で

*8
戦闘的な意味で、だと思ってる




黒騎士
公私混合マン。裏でシュヴィー光堕ち計画を練っている。

シュヴァルツ
マギアカリーナへと対抗心を燃やす。私だって黒騎士様の頭を自分の事で一杯にしたい。
が、最後の発言は流石に恥ずかしかったのか、赤面して頭を抱えている姿をレインに発見された。

回復魔法
実際は自己治癒能力の促進、みたいな感じなので、万能ではない。
それはそれとして、真っ先にイエローから潰すべきなのはそう。
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