悪の組織の幹部だけど、魔法少女のオタクやってます【本編完結】   作:高々鷹々

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評価が増えてる・・・・・・ありがとうございます。誤字報告も、とても助かります。

それと、『かつて魔法少女と悪は敵対していた』というアニメがあるのですが、オススメです。是非見てください。マンガもあります。是非是非。


変身中は攻撃しないお約束

 『黒騎士』──彼は地球侵略を目論(もくろ)む悪の組織の幹部であり、最近は部下も得て公私(こうし)共に充実した日々を過ごしている。

 

 そんな彼だが、今回はシュヴァルツ──部下であるシュヴィーに魔法少女たちのことを学ばせるため、とあるキャンプ場に来ていた。今回のブダーンの任務先だ。

 

 まずは敵を知るところから、という建前でブダーンの任務を影から観察するつもりだった。以前のような同行という形ではないのは、まだシュヴァルツという存在を魔法少女に伏せておくためだろう。

 

 しかし、その様子は少々異様だった。

 

「えっと、お姉様? 本当にコレで上手く行くのでしょうか」

 

「全く問題ない」

 

 彼らの状況を端的に現せば、フル装備の状態で枝を両手に木々に紛れ込んでいる状態だ。

 

 もう一度言おう。全身鎧とぴっちりスーツの少女が枝だけで木々に紛れたと思い込んでいる状態だ。

 

 見事にシュールな絵面が出来上がっていた。

 誰がどう見ても一発でわかるような状態であったが──今のところ、地球人にバレてはいない。というのも、両者共に眼が良すぎるため、そこそこ離れた場所から観察しているためだ。

 

 シュヴァルツは首を傾げたが、

 

「お姉様が言うなら、そうなんでしょう」

 

 と、納得してしまった。彼への強い信頼がためだろう。尤も、その黒騎士の行動はアニメ・マンガ由来だが。

 

「ブッハッハッハ! やっちまうトン、テントコワガーレ!」

 

 どうやら今回、ブダーンがコワガーレに選んだのは、キャンプ場にあるテントらしい。キャンプに来ていた人々や、林間学校に訪れていた中学生たちへと襲いかかり、悲鳴を上げさせていた。

 

 後は、マギアカリーナたちの到着を待つのみ。そう気を抜きかけた黒騎士だったが、ふと見知った声が耳に届く。

 

「折角の林間学校をメチャクチャにするなんて、許せない!」 

 

 そう、真仲桜桃(ゆすら)──黒騎士がプライベートの時に出会った少女だ。思わずそちらを振り返れば、既に三人の少女たちが光に包まれていた。

 

マギア・リナッシェレ!

 

 

▽▲▽▲▽▲

 

 

 私が気付いた時には、彼女たちは光に包まれ、変身が始まっていた。

 

 とうとう念願の変身バンクが見られる! テンションが限界値まで上昇した私は、視線を逸らさずシュヴィーの肩に触れ、彼女にも気付かせる

 

 彼女たちの衣服が輝きに包まれ、魔法によって変化していく。折角だ、訓練で(つちか)った思考分裂を駆使(くし)して一人ずつ見ていこう。

 

 まずはユスラ──マギアマゼンタ。淡い茶髪がピンクに染まり、ボブほどのワンサイドアップから長く伸びてツインテールに結ばれる。両手から胴にかけて白い布が覆っていき、そのままとぉ持って行った胸元で光が弾けると、大きなリボンが蝶を(かたど)る。両足も爪先から白いタイツに包まれ、太股までを覆うと、腰には華やかなスカートが踊った。両足を地面に打ち鳴らせば、ピンクのローファーがリボンと共に出現し、足元を彩る。それと同時に、腰にも大きなリボンが。

 仕上げとばかりに光が弾け、ツインテールの根元にそれぞれ星型と魔女帽型のアクセサリが輝いた。

 

 次は、黒髪のつり目の少女──マギアシアン。長い黒髪が海のように青くたなびき、出現したシュシュによって結ばれる。胴体部に水色のインナースーツが光と共に現れ、そこから更にスカートが伸びる。そのままリボンが両腕に巻き付くようにしてアームカバーへと変化し、袖口にはフリルが飾られる。しなやかな太股はハイソックスが(つや)めき、サンダルが足を支える。

 彼女が手を掲げると、幾つもの光と共にシュシュが輝き、星のアクセサリが煌めく。

 

 最後に、栗色の髪の垂れ目の少女──マギアイエロー。ボブヘアが黄色く変化し、光と共にワンピースを身に纏う。指先から肘までを輝きが覆い、白い手袋へと変わると、同じように爪先から膝までを白いソックスが包んだ。溢れる光がエプロンへと姿を変えると、彼女はそれを自ら身に着け、後ろ手に紐を結ぶ。そして、結ばれた紐が大きなリボンへと弾けた。

 光の中から現れたカチューシャを手に取って装着すれば、その両端に星のアクセサリが輝きと共に彩られた。

 

 そして三人がステッキを構え──そう、名乗りだ!!!

 

「心を照らす、炎の(きら)めき! マギアマゼンタ!」

 

「心が磨く、剣の輝き! マギアシアン!」

 

「心で包む、慈愛の(またたき)き! マギアイエロー!」

 

星の導きと共に、誰かの平和を守り抜く!

 

我らこそ、マギアカリーナ!

 

 眩しい・・・・・・あまりの眩しさに、涙が・・・・・・

 感動のあまり兜の下で涙を流すが、視界に問題は無い。横から困惑したような空気が伝わってくるが、いずれ彼女にもこの感情を共有できるようになるだろう。いや、私がそうする。*1

 

「・・・・・・お姉様、ハンカチをお貸ししましょうか?」

 

「ああ、すまない」

 

 受け取ったハンカチで、仮面の隙間から涙を拭った。流石に鼻水は出していないので、すぐに済んだ。

 

「ありがとう。洗濯して返そう」

 

「いえ、そのままで構いません」

 

「・・・・・・? だが汚れて──」

 

「そのままで構いません」

 

 私の部下、時々怖いんだけど・・・・・・?*2

 

 しかし、魔法少女たちの戦いを見逃す訳にはいかない。ここまでの会話も全て、あちらに目を向けながら行っている。シュヴィーは何故かちょいちょいこっちを見ていたけど。

 

「出たな、マギアカリーナ! 今日こそ、お前らの活躍を(トン)挫させてやるトン!」

 

 ブダーンは、『トン』か『ブタ』絡みで何か言わないといけないノルマでもあるのだろうか。しかし、『活躍』と暗にマギアカリーナを認めているのは高評価だ。今度ボスに給料アップの相談をしておこう。

 

「ここは、みんなで楽しくキャンプするための場所──みんなの楽しい時間を返してもらいます!」

 

「全く、アナタも懲りないわね。良いわ、今回も倒してあげる!」

 

「行くよ、二人とも!」

 

 良いよね、変身後のこういうセリフ──それぞれの個性が出ていて、とても良い。思わずニヤニヤが止まらなくなるくらいには。

 

 魔法少女たちがテントコワガーレとの戦いを開始する。だが、この程度のコワガーレなんて、もう彼女たちの敵ではないだろう。

 

 マギアカリーナの活躍は2クール目に突入するような時期だ。*3 だというのに、未だに序盤の敵であるブダーンの繰り出す怪人は、以前までと変わっていない。

 対して、魔法少女たちは着実に成長している。経験を積み、新しい魔法を会得して、絆を深めている。ずっと見てきた私が言うんだから間違いない。*4

 

 そして、いつもよりも早いペースでコワガーレが攻略されていく。シアンにダメージを与えられ、マゼンタによって体勢を崩され、イエローによって動きを封じ込められたテントコワガーレは、もう()(すべ)が無かった。

 

「これで終わりよ!」

 

トリニタ・ターリオ!!!

 

 あれは、私がスカートの下を見ようとした時の! なんというファンサ・・・・・・*5 アレは私との戦いで会得した魔法だし、実質(じっしつ)私が教えた必殺技と言っても過言ではないのでは?*6

 

 隣からのジトッとした視線なんてなんのその。今の私は、無敵だ。

 

「くっそ~! 覚えていろトン!」

 

 ブダーンが撤退する。さて私たちも帰るかと隣を見てみれば、そこにはシュヴィーの姿は無かった。──まさか!?

 

「マギアカリーナ──確かに少しはやるようですね。あの方が気に入るだけの事はあります」

 

「ッ、貴方は!?」

 

 マギアカリーナの前に姿を現したのは、彼女たちとそう変わらない年の少女。しかし、その宵闇(よいやみ)のように暗い双眸(そうぼう)には、激しい敵意が宿っていた。

 

「初めまして。(わたくし)の名前はシュヴァルツ──貴方たちの、敵です

 

 そう言って、彼女──シュヴァルツは、自分の背丈ほどはある剣を構えた。

 

 勝手な行動をした部下に対して、私は思わず嘆息(たんそく)し、思う。

 

 ──それメッチャ格好いい奴~!

*1
強い布教の意思

*2
おまいう

*3
『プリティキュアーズ』基準

*4
※悪の組織の幹部です

*5
違う

*6
過言




黒騎士
とうとう変身シーンと名乗りを見られてテンションMAX。もしうちわかサイリウムを持ってたら全力で振っていた。

シュヴァルツ
敬愛する相手が敵に夢中な姿に思わず乱入。オタク的には百点満点の動き。

マギアカリーナ
時期的にはもう二ヶ月くらい戦ってる。そろそろお話が動く時期。
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