悪の組織の幹部だけど、魔法少女のオタクやってます【本編完結】 作:高々鷹々
誤字報告も、いつも本当に助かります。ありがとうございます。
感想、なぜ来ないのでしょうか。本当に何で?
私は、地球に侵略のためやってきた、悪の組織──その幹部である。宿敵マギアカリーナと戦いつつ、彼女たちの行動に一喜一憂する、俗に言う器用な部類である私だが──現在、少々手に負えない状況になっていた。
「黒木さん! あっちに『プリティキュアーズ』のガチャガチャがありますよ!」
「お姉様! あちらに、何やら美味しそうなものが! 『クレープ』と言うらしいですよ!」
右腕をユスラ──マギアマゼンタの変身者である彼女に掴まれて引っ張られ。
左腕をシュヴィー──部下であり対魔法少女用の戦士に掴まれて引っ張られ。
周囲の視線を集めながら、デパートの中を見て回っていた。
何故、こうなったかと言うと──
「ボーナスの使い道がわからない、だと?」
「はい。お恥ずかしい限りなのですが・・・・・・」
悪の組織の拠点にある、私の部屋にて。今日も戦闘記録を見返そうと思っていた私だが、シュヴィーにそんな相談をされたのだ。
どうやらボスは本当にボーナスを支給したようで、彼女の手には地球で使える通貨がかなりの額あった。
「その、時間のある時は基本的に鍛錬か、お姉様の戦闘記録を見──もとい、鍛錬ばかりで。頂いたお給料の使い道が、特に思い浮かばず・・・・・・」
「そうか・・・・・・」
どうやら彼女は、生粋の仕事人間らしい。私が出勤すると基本的に彼女も居るので、薄々そうではないかと思っていたのだが。
というか、私は聞き逃さないぞ、今の発言。私は鈍感系ではないのだ。
「ならば、次の休日に私と出かけるか? 地球の文化はかなり興味深い。一日見て回るだけでも、楽しめるだろう。
無論、無理にとは言わな──」
「行きます。お姉様と、一緒に」
「そ、そうか? 場所だけ教えるから、一人で行っても──」
「行きます。お姉様と、一緒に」
ズイッと顔を寄せてくるシュヴィーの表情は、怖いくらいの真顔だった。自室では基本的に鎧は外しているので、
どうしよう。光堕ちして欲しい理由が増えそうだ。
「では、デパートにでも行くか。色々あるし」
「はい!」
満面の笑みで頷く彼女に、私は犬の尻尾を幻視した。
そこまでは良かったのだが。
『ゆすら! あれはなに?』
「あれはね、アイスを売ってるの。色んな味があって、自由に選べるんだよ」
「
「子供扱いしないで頂戴、
どうして魔法少女たちがデパートに居るんだ・・・・・・! よりにもよって今日!
一瞬見間違いかと思ったが、
非常にマズい事になった・・・・・・・。
私は別に問題ない。顔はバレていないし、前回ユスラと会った時の振る舞いで、彼女からの疑いは消えている。*1
だが、今回はシュヴィーがいる。彼女は戦う時の姿も普段の姿も、ずっと顔を露出したままだ。すなわち、確実にバレる・・・・・・!
そうすれば、私も疑われてしまう。折角運良く何か事情があって悪の組織にいるが、影ながら魔法幼女を助けてるクールで格好いい幹部──くらいのポジションに着地したと言うのに!*2
私が引き
「ここがデパート、ですか。資料で見ていましたが、とてつもなく大きいですね・・・・・・」
「・・・・・・そうだな。まずはあちらから見ていくか。
付いてきてくれるな?」
「はい! お姉様になら、どこまででも!」
正直、こういうのは相手の感情を利用しているようで後ろめたいが・・・・・・・背に腹は代えられない。
私はシュヴィーをさりげなく誘導し、マギアカリーナとは別の方へと向かっていった──のだが。
「あら? 二人はどこかしら。全く、迷子だなんて
どうして居るのだマギアシアン・・・・・・!
発言からして、彼女は迷子なのだろう。しかも、それに無自覚なタイプと見た。正直そういうのメチャクチャ好みだが、今はただ恨めしい。
「見てくださいお姉様! 綺麗なネックレスがありますよ! ほらこの宝石、お姉様みたいに真っ黒です!」
「そうか。ではそれを二つ買おう。私も欲しい」
「お姉様と、お揃い・・・・・・!」
彼女が感激している間に会計を済ませ、手を引いてその場を離れる。装飾品の類いは邪魔だから身に着けない主義だが、仕方ない。こうするしか無いだろう。
シュヴィーは彼女たちがマギアカリーナとは気付いていない。もしそのことを教えれば『どうして知っているのか』『なぜ知っていて黙秘したのか』と問われるだろうし、下手すればそこから組織に彼女たちの正体がバレてしまう。私は魔法少女たちには
私は再びシュヴィーをさりげなく誘導し、マギアシアンとは別の方へと向かっていった──のだが。
「もう、どこに行っちゃったんでしょうか、葵ちゃん。チャットも既読が付きませんし・・・・・・。
普段
どうして居るのだマギアイエロー・・・・・・!*3
いや、わかる。彼女はチームの中で比較的精神年齢が高いのだろう。故にこういう時に気を遣えるし、常に無茶しがちなマゼンタを思いやれる。正直そういうのメチャクチャ好みだが、今はただ恨めしい。
「お姉様、『たいやき』というこの食べ物はなんなのですか? 資料で見た『
「その鯛を模した焼き菓子だ。折角だ、全種類入ったセットでも買って、食べ比べてみるか。
ああ、私はそんなに食べきれないだろうから、半分こずつで良いか?」
「お姉様と、間接キッ!? こ、心の準備をしないと・・・・・・!」
彼女があたふたしている間に会計を済ませ、手を引いてその場を離れる。私は食事を必要としないため、こういった食べ物は必要ないのだが。まぁ、食べられない訳ではないのだ、これも経験だろう。
もしシュヴィー経由でマギアカリーナたちの正体が組織に把握されれば、彼女たちの私生活が
私は
「もー、葵はどっか行っちゃうし、きぃちゃんも私には待ってて、って言うし。二人で探した方が効率いいのにね?」
『ゆすら、さみしい?』
「折角こうして三人で遊びに来たんだもん、そりゃさみしいよ」
どうして居るのだマギアマゼンタ・・・・・・!*4 薄々そんな気はしていたが!
いやいや、わかっている。誰かを待つならばフードコートを使うのはおかしく無い事だし、シアンの少女がここに来る可能性も考えれば、一人は同じ場所にいた方が良いのだろう。
ユスラはテーブルの上で腕を枕にして周りからは寝ているように見せかけつつ、
「お姉様、色んな食べ物のお店が並んでいますよ! 飲み物だけのお店もあるみたいです!」
「みたいだな。だがまた今度にしよう。たいやきが冷めてしまう」
「お姉様と、また来れる・・・・・・!? はい! 次回の楽しみに取っておきます!」
彼女が喜んでいる間にユスラから離れた席を選び、万が一にも顔を見られないよう、ユスラの方向に背を向ける形で二人並んで座る。
「っ!? え、え!?」
「どうした? 私の隣は嫌か?」
「いえ、とても嬉しいです! とても!」
そうして二人でたいやきを食べきり──美味しかった──今度はもう遭遇する事は無いだろうと、ウィンドウショッピングを再開した──のだが。
「やーっと合流できた! もう、迷子にならないでよ葵!」
「迷子? はぐれたのはそっちでしょ。その、ちょっと浮かれてたのは、認めるけど・・・・・・」
「もういっそ、お父様に頼んで葵ちゃんの位置情報をいつでも見れるようにしましょうか?」
どうして居るのだマギアカリーナ・・・・・・!*5
黒騎士
たぶん今日の運勢最下位。推しを間近で見れているので幸運ではあるが、接触は出来ない板挟み。
シュヴァルツ
実は会計の全部を黒騎士が払ってしまっているため、当初の目的はまるで達成していない。
マギアマゼンタ
お出かけをはじめ、予定の立案者になりがち。
ふぁーたんは基本彼女のところに居る。
マギアシアン
方向音痴というより、気になったものがあると吸い寄せられがち。本人無自覚。
マギアイエロー
家が超が付くほどのお金持ち。