悪の組織の幹部だけど、魔法少女のオタクやってます【本編完結】 作:高々鷹々
スーパー
『休日のわるものさん』という漫画があるんですが、オススメです。魔法少女は出てきませんが、悪の組織側の視点で繰り広げられるほのぼのコメディです。アニメもあるので是非。
私は、魔法少女の敵、悪の組織の幹部である──周囲には『黒騎士』と呼ばれ過ぎていて、本名を忘れそうになるのが最近の悩みだ。
先日の休暇はシュヴィーや魔法少女たちに振り回されて過ごしたため、肉体は未だに疲弊を引き摺っているが、精神的にはとても回復している。
あの後、やはりシュヴィーの事にマギアカリーナは気付かなかった。彼女の装備に認識阻害の機能があるのはほぼ確実だが、毎回このように肝を冷やしていては身が持たない。そのため、彼女の装備の詳細を聞くべく、私はレインの部屋へと訪れていた。
ノックをすると、「どうぞ」と彼女の声がする。
「・・・・・・失礼する」
部屋に入れば、レインは一人で何かのデータを確認している様子だった。モニターに映る資料を見るに、シュヴィーの装備のようだ。
「丁度良い。シュヴィーの鎧について、詳細が聞きたい」
彼女の前では着ている必要が無いので、鎧を外す。重かったり暑かったりすることは無いのだが、着たままだとやはり閉塞感は覚えるのだ。
「それは構わないが・・・・・・珍しいね、君が他者を気にかけるなんて。やはり、直属の部下は可愛いかい?」
「ああ。シュヴィーは可愛いな」
「・・・・・・ぷっ、ハハハ! そういう意図じゃ、無かったんだけどね!」
私の返しが余程おかしかったのか、レインは腹を抱えて笑う。確かに少し外した返答をしたが、そんなに笑うことだろうか。
「だって君、まるで表情を変えずに言うんだもの! ふぅ、笑った笑った」
「さて、彼女の装備の資料はどこだったかな」
「先に確認したい。彼女は素顔で戦っているが、鎧に認識阻害の機能はあるのか?」
「当然だろう? ブダーンのように地球人への擬態能力があるならともかく、彼女は姿を変える
レインの言葉に、胸を撫で下ろす。この組織、意外と福利厚生はしっかりしているのだ。
「ああそう、そのブダーンなんだけどね。任務から離れる事になった」
「・・・・・・何?」
え、まさか、クビ!? クビなのか、ブダーン!?
あそこまでテンプレ通りの悪役は、そう居ない。毎回ちゃんとそこそこの怪物を用意して魔法少女たちの見せ場を作り、綺麗に負けてくれる名悪役をクビだなんて、何を考えているんだ。*1
「・・・・・・聞いていないが」
「おや、すまない。君に言うべき程の事だとは認識していなかった」
言ってくれ、頼むから。
「何かあったのか」
「ふぅん? 君がそこまでブダーンの事を訊いてくるとはね。案外、彼の事を気に入っていたのかな」
気に入るも何も、彼のお陰で私はマギアカリーナの活躍を安心して見る事が出来たのだ。気にもかける。
魔法少女に苦戦はさせつつも勝利しない、というのは、かなり難易度が高いのだ。やってみるとわかる。
「気にする程の事でも無いよ。持病の腰痛が再発したらしくてね。母星に戻って
まさかの理由だった。いや、『お前はもう用済みだ』的な理由でなくて安心したが。
しかし、まさかこんな形で交代する事になるとは。そろそろ話数的に交代の時期とは言え、初めて聞いたぞそんな理由。*3
「・・・・・・そうか」
「保険も効くようだし、君が気にかけるような事じゃ無いさ。
さ、コレが彼女の装備データだ」
差し出された資料を受け取ると、それなりの量があった。私の鎧と同じくらい多機能なようだ。
というのも、この組織の幹部であり研究者でもあるレインは、やたらと色んな機能を試したがるのだ。私の鎧も、何に使うのかわからない発光機能とか、冷暖房だとか、BGMを流す機能だとか・・・・・・用途不明な機能が数多くある。
しかし、私にはそれよりも気になる事があった。
「・・・・・・ブダーンの後任は」
「ああ、確かセニオが部下から一人選ぶと言っていたが・・・・・・やはり、魔法少女たちと戦う相手が気になるのかな」
「そんなところだ」
セニオの部下か・・・・・・まぁ、魔法少女たちを害しかねないような選出なら、ボスが却下するだろうし*4私が気にする事では無いのかもしれない。
「それもあって、シュヴァルツに出張って貰う機会も増えるだろうから、伝えておいて欲しいな。
どうやらセニオは、本気でマギアカリーナを排除するつもりのようだし」
やっぱ駄目だ、気にしよう。
おのれセニオめ、マギアカリーナたちの身体に傷でも付いたら、どう責任を取るつもりだ!?*5 そうなったら同じ組織として私が責任を取るしか無いな!?*6
しかし、こうなると魔法少女側にも戦力増強が必要だな。マギアカリーナがそう簡単に負けるとは思っていない*7が、もし
そろそろ進めるか・・・・・・シュヴィー光堕ち作戦を・・・・・・!
黒騎士
魔法少女が負けるとは思っていないが、それはそれとして怪我はして欲しくない。
レイン
武器には色んな機能を付けたがる。今は黒騎士の鎧を食べられるように出来ないかと模索中。どこを目指しているんだ。