悪の組織の幹部だけど、魔法少女のオタクやってます【本編完結】 作:高々鷹々
また、新たに記号を追加しました。
▽▲▽▲▽▲ があれば次は他の視点→黒騎士視点
▼△▼△▼△ ならこれから黒騎士視点→三人称視点、という感じです。
▼▲▼▲▼▲ みたいな感じで、他のキャラとの切り替えでも使おうと思っています。見づらかったら申し訳ありません。
鏡の世界は、左右の反転した世界だ。町並みは反転し、文字も反転し、全てが反転している。見知っているのに、見知らぬ街は、違和感と不気味さを
それだけではない。以前に倒したはずのコワガーレたちも復活し、倒した場所の近くで暴れているのだ。脱出するための手がかりを探そうとするマギアカリーナたちに、復活したコワガーレたち壁として立ちはだかる。
「そんな、どうして倒したコワガーレたちが!」
「恐らく、彼らも鏡写しの存在です。実体のない、形だけの存在・・・・・・!」
事実、現れたコワガーレたちは左右が反転した姿をしており、シュヴァルツの推察を裏付けていた。
「けど、一回戦った相手ってことは!」
「倒し方もわかってるってことです!」
魔法少女たちは、立ちはだかるコワガーレを次々と撃破していく。数の差なんてまるで感じさせない。この数ヶ月で成長してきた彼女たちにとって、一度戦ったコワガーレとの再戦は苦戦するようなものでも無い。戦えない状態のシュヴァルツと共に行動している事すら問題にならなかった。
しかし、一筋縄では行かないのがこの鏡の迷宮だ。
「待ってください。なんだか、おかしいです」
「イエロー?」
「これだけ進んでるのに、大通りに出ません。それに、このお店・・・・・・これは、商店街のお店だったはず。
建物の位置が、変なんです」
資産家の家系であり、この街の地理に詳しいイエロー──黄美が真っ先に気付く。この街で育ったマゼンタとシアンも、程なくして勘づいた。どうやら、少しずつ場所がズレているらしい。あるいは、自分たちが知らず知らずのうちに他の場所へ移動させられているのか。
「ですが、これでわかりました」
「何がよ」
「この世界のコワガーレを倒されると、相手は困ると言う事です。恐らく、このコワガーレを生み出す際に、以前までの戦いで生まれた感情エネルギーを使っているんでしょう。
そうでなければ、ここまで厄介な能力である事に説明がつかない・・・・・・」
シュヴァルツは神妙な顔でそう推察する。
実際、今から向かおうとしていたのは前に信号機コワガーレと戦った場所だった。もしかすれば、復活したコワガーレ全てを倒す事が、この世界から出る方法なのかもしれないと考えて。それは、あながち間違っていなかったのかもしれない。
それはそれとして、マゼンタはイエローに耳打ちした。
「ねね、きぃちゃん。シュヴァルツさんたちが感情エネルギーを集めてるって話、たぶん初めて聞いたよね?」
「はい・・・・・・私たち、本当に何も知らないんですね」
「うん。だから、詳しい話を聞くためにも──今できる事をしないと」
そして、そのやり取りが聞こえていないシアンは、改めてシュヴァルツの姿を見つめていた。
「やっぱり、その格好だとカッコつかないわね。なんか、変な気分になるわ」
「だから、着たくて着ているのではありません!」
非常事態だと言うのに、気の抜けた発言をするシアンに、シュヴァルツは顔を赤くしながら突っ込んだ。
そして、気付く。彼女たちは、ずっと変身したままだ。戦闘記録の中でも、ここまで長時間の変身は無かった。今の発言も、恐らく疲弊から来るものだろう。
マギアカリーナたちの限界も、近いのかもしれない。シュヴァルツは、己の拳を強く握りしめた。
▽▲▽▲▽▲
というやり取りを、鎧の機能をフルに使って端末に映し出し、ニヤついている私だ。*1 いや、今は隣に
ともあれ、これで向こうの現在地はわかった。出来れば合流したいところだが──私はこの街の地理に明るくない。更に、迷宮化し場所のズレが起きているともなれば、恐らく私は迷子にしかならないだろう。
『えっと、くろき? これから、どうするつもり?』
「さて、どうしたものかな」
まいったな、ここから先はノープランだ。少し衝動で動きすぎたらしい。
せめて近くにさえ行ければ、良い感じにシュヴァルツが覚醒しそうな時に、ふぁーたんを投げつけてやれるのだが。*2
『いきあたりばったり! どしがたい!』
さてはコイツ、ユスラたちと居る時には猫を被っているな? いやまぁ、被っているも何も、外見は猫っぽいのだが。
「臨機応変に対応できるようにしているだけだ。
それよりも、彼女たちの居場所がわかった。出来れば合流したいが、道案内を頼めるか?」
『とうさつ? なぞぎじゅつ・・・・・・もしかしなくても、へんたい?』
「そうか。どうやら君とはここまでのようだ」*3
『まってまって! あんないするから、ばしょよくみせて!』
改めて液晶端末を差し出せば、ふぁーたんが見た目にそぐわぬジトっとした瞳を向けてくる。
『ここなら、ばしょわかる! こっち!』
ふぁーたんの先導に従って駆けていけば、いつか見たコワガーレ──ロードローラーコワガーレの姿が見えた。
『コワガーレ! くろき、うかいしてほかのみちを──』
「フン」
私は一瞬で剣を抜刀しコワガーレを両断すると、そのまま納刀し剣を収納した。よほど目が良くなければ、私の腕が動いた事ぐらいしか認識できないだろう。
邪魔しないでもらおうか! 私は直ぐにでもマギアカリーナの活躍をこの眼で見たいんだ!
「さて。このまま直進で問題ないか?」
『・・・・・・えー』
ふぁーたんの何とも言えない声と視線をスルーしながら、私は何食わぬ顔で再び歩き出した。
再現されたコワガーレ程度、一撃あれば十分だ。このやり方ならば、ふぁーたんに私が黒騎士だとバレはしないだろうし、完璧な作戦と言っても良い。
待っていろ、マギアカリーナ! シュヴィーの光堕ちはすぐそこだ!
黒騎士
アドリブ全振りで生きてる。顔の良さとミステリアスな雰囲気でずっと誤魔化してるだけ。
ふぁーたん
コメディ担当になりつつある。実は黒騎士とは相性が良いのかもしれない。