悪の組織の幹部だけど、魔法少女のオタクやってます【本編完結】   作:高々鷹々

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今更言うまでもないですが、マギアカリーナの衣装モチーフは大体趣味で選んでます。

スーパー布教(フーキョー)タイム
『魔法少女にあこがれて』を一気見したんですが、エロさを前面に押し出しながらも、ちゃんと魔法少女の在るべき姿は貫かせていて、とても面白かったです。
あと、マジアマゼンタとマギアマゼンタでニアミスしててビビりました。


覚醒! マギアネーロ!④

「心に従う、それが(わたくし)の光だと信じて!

 マギアネーロ! それが、今の(わたくし)です!」

 

 シュヴィー──否、覚醒したマギアネーロは、そう高らかに名乗った。

 

 私は物陰からその光景を見ていた。大量の涙を流しながら。

 

 だって! だってぇ・・・・・・とうとう、シュヴィーが、とうとうさぁ・・・・・・!*1

 

 視界が滲まぬよう、涙は基本流しっぱなしだ。それもあって、私の服の首元はビショビショである。

 

「ハッ、姿が新しくなったからなんや! こっちには、お前の力の全てがある! 今更なにも変わらん!」

 

 ガツンドの言葉に呼応して、黒い人形──ミラー・ドッペルが攻撃を繰り出す。

 

「力の全部? おかしな事を言いますね」

 

 その斬撃に対し、ネーロはまるで焦った様子もなく対応して見せる。

 フリルを揺らしながら、半身になって回避し、そのまま反撃として蹴りを放ったのだ。

 

(わたくし)の力の源は、あの日からずっと──(わたくし)自身の中にある!」

 

 戦士としてのシュヴァルツと、全く変わらない動きのキレ。それも当然だ。我々の鎧は、あくまで補助。強さの本質は、鍛えた肉体にある。それでも、鎧があった方が動きやすいのは事実だが。

 

 そんな事より、マギアネーロだ。動く毎に揺れるドレスと髪、そして覗く太股と背中──大変眼福(がんぷく)である。いいぞ、もっと見せてくれ。*2

 

「シュヴァルツさん、ううん、マギアネーロ! 私たちも──」

 

「手出しは無用です。(わたくし)の武器を勝手に使った借りを、返さなければならないので」

 

 良い──やっぱり、追加戦士の初登場は、見せ場が多めに欲しいよな、うん。

 なんとなく、マギアネーロがこちらに視線を向けた気配がしたが、気のせいだろう。*3 それなりに距離は取っているのだし。*4

 

「ハッ、武器を捨てたのはそっちやろ! 俺は落ちてるモンを拾って有効活用しただけや!」

 

「そういうのを、この星では『盗人猛々(たけだけ)しい』と言うらしいですよ」

 

「ッ、シュヴァルツゥ・・・・・・!」

 

 ガツンドの怒りと共に、ミラー・ドッペルが迫り来る。しかし、生身の状態ですら攻撃を見切っていたのだ。魔法少女となった今、その攻撃をいなすなんて()でもない。

 

 今度は側転で斬撃を回避し、更に振るわれた拳を跳んで避けると、そのまま宙返りして着地する。響くヒールの音は、どこまでも軽やかだ。

 そして前側が短くなっているスカート。動きと共にヒラめくそれは、見えそうで見えないギリギリの揺れ方だ。何故だ、どうして宙返りまでしているのに見えない・・・・・・!*5 やはり、魔法でも働いているのか!*6

 

「クソ、こうなったら奥の手や! ()ぃや、コワガーレども!」

 

 自棄(やけ)になったのか、ガツンドは復活させたコワガーレたちをこの場へと呼び出す。

 ・・・・・・どうしてこう、悪役は戦力を小出しにするのだろうか。私としては、その方が盛り上がるので一向に構わんが。

 

「数ばかり増えて・・・・・・面倒ですね」

 

 マギアネーロも対応できないほどでは無いが、如何(いかん)せん数量が驚異的だ。

 しかし、それは問題にならない。彼女は今、一人ではないのだ。

 

「コワガーレは、こっちで引き受けます!」

 

「アナタはしっかり、借りを返しなさい!」

 

 そう。彼女たちはマギアカリーナ。相手が強大ならば、手を取り合って戦う。それが、魔法少女だ。

 

「これは手出しじゃなくて、私たちが私たちで勝手に戦うだけ。

 それなら良いよね、ネーロ!」

 

 ステッキを構え、マゼンタはそう微笑んだ。三人とも、満身創痍のまま──けれど、少しも心は折れていない。

 

「勝手にしてください。

 ・・・・・・感謝だけは、しておきます」

 

 最高じゃん・・・・・・! 今まで敵だった相手との共闘、プライドを傷つけないための言い回し、どれを取っても最高だ。

 

「マギアカリーナァ・・・・・・! ドイツもコイツも、俺の邪魔をしよってェ!」

 

 苛立ちのままに歯ぎしりするガツンド。その表情は、怒りで染まっていた。

 

「奇遇ですね。以前から(わたくし)も、貴方のことを邪魔に思う事があったんです」

 

 そう言いながら、攻撃してくるミラー・ドッペルへ蹴りで迎撃するマギアネーロ。

 

 だがやはり、彼女には剣がないとだな。あの人形から奪い返す事も出来るだろうが──私は、大剣のぶつかり合いが見たい。やはり少女にはデッカい武器を持たせるべきだ。

 

 と言うことで、私は自分の剣を実体化させ、ついでに特殊機能を使ってサイズと形を変更させる。色合いまでは変えられないが、彼女が振るうのに最適な形にはなっただろう。

 

「・・・・・・ハッ!」

 

 そのまま、それを投擲する。黒剣は寸分(すんぶん)(たが)わず狙った場所──ミラー・ドッペルの斬撃を防ぎながら、マギアネーロの真正面へと突き刺さる。

 

「ッ! これは!」

 

 ネーロの瞳が、驚きに見開かれ──直後に、満面の笑みと共に剣を引き抜いた。

 

「な、なんやその剣は! どっから!?」

 

「教える義理はありません、ね!」

 

 黒剣を手にした彼女は、明らかに動きが良くなっていた。私の剣には、そこまでの機能は無かったはずだが、きっと初登場補正だろう。*7

 

 最適な動きを機械的に繰り出すミラー・ドッペルに対し、マギアネーロは相手の動きを読み切って封殺する。変身と共に傷一つ無くなった彼女の身体は、一切の汚れを寄せ付けない。

 

 鏡映しに見えるネーロとドッペルの戦いは、しかしネーロが圧倒的に優勢だった。

 

「そろそろ終わりにしましょう」

 

 マギアネーロの身体から、魔力が(ほとばし)る。

 それは、マギアカリーナたちが合体魔法を使う時と同じ輝き。しかし異なるのは、それを彼女が一人で行っていることだ。

 

「星よ、(つむ)ぎ出せ。()が輝きは、揺らぐ事ない!」

 

 これは! 追加戦士特有の、アレンジ詠唱! 本来協力して放つ必殺技を、一人でやり遂げる強キャラムーヴ! お約束とは言え、やはりテンションが上がるな!

 

 魔力を帯びた黒剣が、更に巨大化する。膨大な魔力が地面を伝って溢れ、黒き傀儡の動きを封じた。

 

「クラヴァッタ・アモーレ・ネーロ!」

 

 振り下ろされるのは、無慈悲なる巨剣。しかし、それはどこか温かさを感じる光だ。

 空間全てを満たさんばかりの輝きは、ミラー・ドッペルのみならず、この世界そのものを浄化していく。

 

 どことなくケーキ入刀に見えたのは気のせいだろう。*8 心なしか、マギアネーロの衣装も黒いウェディングドレスに見えてきたが・・・・・・ああいう派手なドレスもあるか。*9

 

「あ、ありえへん・・・・・・この俺が・・・・・・」

 

 気付けば、私たちは元の世界へと戻ってきていた。マギアネーロの魔法が、鏡の世界ごとミラーコワガーレを浄化したのだろう。他の取り込まれていた人々も無事な様子だ。

 

「どうやらここまでのようですね。ガツンド」

 

「それとも、まだやるつもりかしら」

 

 膝を突くガツンドの前に佇んでいたネーロの隣に、自然な形でマギアカリーナたちが立つ。

 ガツンド、今だけそこ変われ! 四人揃ったところを正面から見たい!

 

「まだや・・・・・・これで終わりやない。覚悟せぇや、マギアカリーナ・・・・・・!」

 

 捨て台詞と共に、転移するガツンド。彼の姿が完全に消えたのを確認して、マゼンタとイエローがその場にへたり込む。

 

「つ、疲れた・・・・・・」

 

「ずっと変身したまま、戦い続きでしたからね・・・・・・」

 

「暫く動けそうにないわね」

 

 シアンも立ってはいるものの、ステッキを杖にしてなんとか体重を支えている状態だ。

 

「・・・・・・改めて。感謝します、マギアカリーナ。今回は助けられました」

 

 そんな状況に苦笑しながら、マギアネーロは改めてお礼を口にする。それに首を振って応えたのは、マゼンタだ。

 

「お礼なんて。だって今は、貴方もマギアカリーナなんだから」

 

 「仲間を助けるのは当たり前だよ」と、マゼンタは何でもないように言った。

 それをそのまま受け取る事は出来ないのだろう。ネーロは少し困ったように笑うのみだ。まだ、自分が彼女たちの仲間だと感覚が、薄いのだ。シュヴィーは。

 

 それを察しているのかはわからないが、シアンは二人の事を気にせず、ミラー・ドッペルの残骸──壊れたシュヴィーの装備へと目を向ける。

 

「これ、壊れちゃってるわよね。どうするの? 大切な物なんでしょう?」

 

「中身はともかく、形だけなら、修理も可能かもしれませんが・・・・・・」

 

「お気遣い、ありがとうございます。一応、自己修復機能があるので、時間はかかりますが、元に戻るかと・・・・・・」

 

「え、凄いねこれ! 勝手に直っちゃうんだ!?」

 

「マゼンタちゃん、だからって不用意に触るのは・・・・・・」

 

 更に壊す心配が無くなったためか、マゼンタはパーツの一部を手に取って眺め始める。それをやんわりとイエローが止めに入った。

 

「あの!」

 

 そんな彼女たちの空気を遮るように、ネーロは声を荒げた。三人が、彼女に視線を向ける。

 

「どうして、(わたくし)を仲間のように扱うのですか?

 (わたくし)たちは敵同士で、それ以外の事は、お互い何も知らないのに・・・・・・」

 

 彼女の言葉に、三人の少女は顔を見合わせる。そして、ちょっと笑って──変身を解除した。

 

「・・・・・・・・・・・・えっ」

 

 その少女たち──ユスラ、アオイ、キミを前に、ネーロの表情は固まった。完全に思考が停止した顔だな、アレは。

 気が抜けたためか、ネーロの変身も解除される。布面積の怪しい、インナー姿のシュヴィーだ。

 

「とゆー訳だから! 何も知らない訳じゃないと思うんだ。

 それに、知らない部分、わかんない部分は、これから話してくれるんでしょ?」

 

 悪戯が成功した子供のような笑みで、ユスラが言う。

 

「今日は疲れたし、話すのは明日にしようよ。あっでも、シュヴァルツさんって帰れる場所ある?」

 

「でしたら、私の家はどうでしょう。お客さん用の部屋なら余っていますし」

 

「え? あの、」

 

「なら、私は黄美の家に泊まるわ。まだ信用するには早いし、見張っておかないと」

 

「それなら、みんなでお泊まり会しない!? 私、久しぶりにきぃちゃん()に泊まりたい!」

 

「あの、ちょっ、」

 

「良いですね。早速じいやに連絡します」

 

「全く・・・・・・けど、いざという時のために、その方が良いかもしれないわね」

 

「わ、(わたくし)は何も言っていないのですけれど!? あの!?」

 

 戦いの後に相応(ふさわ)しい、(なご)やかな雰囲気だ。正直お泊まりイベントとかメッチャ見たいが・・・・・・プライベートに干渉するのはポリシーに反する。そろそろ、私も退却しよう。

 

『ようやくみつけた。くろき!』

 

「・・・・・・ふぁーたんか。何の用だ」

 

 ひとまず拠点に戻ろうとしたところで、ふぁーたんに呼び止められた。先程まであの空気を壊さないため、全力で隠密していたので、気付かなかったのだろう。

 まぁ、私の正体に関しては完全に隠しきったので*10、大した用事ではないだろう。

 

『とうさつのこと、ばらされたくなかったら・・・・・・しってることをはなしてもらう』

 

 思いっきり脅迫だと!? 貴様、マスコットの自覚が無いのか!?

 

 シュヴィーから恐らく私のこともバレるだろうが、それはそれ。ふぁーたん経由で正体バレするのはこう・・・・・・なんか違うだろう! どう思う、マスコットがしれっと敵幹部の正体を掴んでいたら!

 

 そんな訳で、いつもの(ごと)く誤魔化して何とかすることにした。こればっかりだな、私。

 

「・・・・・・・・・・・・さらばだ」

 

『あ、くろき! まてー!』

 

 待たない。

 

 思わぬ伏兵に内心をドキドキさせながら、私は全力でその場を去った。

*1
どうしようもないオタク

*2
ド変態

*3
フラグ

*4
慢心

*5
確実に事案

*6
消えない勘違い

*7
勿論、敬愛する人の武器を手にしてテンションMAXなのが理由

*8
勘は冴え渡っている

*9
しかし感情には鈍い間抜け

*10
無理がある




黒騎士
世界広しと言えど、マスコット枠に脅迫された敵幹部は彼ぐらいじゃ無いだろうか。
あと、感想欄でちょいちょい聞かれるんですが、彼は性別無いです。無性です。お兄さんでもお姉様でも呼べてお得ですね。

マギアネーロ
黒騎士の存在に勘づいているし、自分の姿がどう見えているのかを計算して戦ってた。
いつか必ず、自分に夢中にさせる──それを全力で有言実行してる。
黒い剣は後で返すつもりだが、取り敢えずしばらくは抱いて寝るつもり。
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