悪の組織の幹部だけど、魔法少女のオタクやってます【本編完結】 作:高々鷹々
私は、母星の平和維持組織『アークス』──その幹部である。以前は母星にて人々を守るために戦い、周囲からは『黒騎士』と呼ばれるまでになった私だが、今は地球を攻撃する侵略者だ。組織ごと、そうせざるを得なくなった。
長いので詳しい説明は
それに対する不満さえ、物理的にエネルギーに変えてしまえたのが、感情エネルギー化システムの利点であり、重大な欠点でもあった。
そこから大小様々な問題が
故に、我々は他の星へと侵略し、感情エネルギーを集めている。暴走の結果
我々はあくまで、母星の平和のために戦う組織だ。けれど、そのために他の星の生命体を傷つける事に
だからこそ、組織の中でも意見が別れ、しかし我々しか動ける人間がいないため、共に歩むしか無いのだ。
セニオは、この戦いを戦争と捉えている。地球を侵略対象として、母星の人々を最優先に考えている。
レインは、戦いはあくまで補助で、実験をメインに
ボスは恐らく、そもそも戦いに積極的では無いのだろう。だからこそ、自分たちの手で生み出した感情しか集めていない。過剰に感情を奪い、地球を母星のための生け贄にするつもりは無いのだ。
私は・・・・・・何だっただろうか。忘れてしまった。ただ、
まぁ、今となっては過去の話だがな。戦う理由? 魔法少女が見たいからに決まっているだろう!!*1*2*3
つまらない事を考えるのは
ノックをしようと手を持ち上げると、それよりも早くボスの声が聞こえてくる。
『さっさと入れ』
「・・・・・・失礼する」
入室と同時に、私は鎧を外した。要件がわかりきっていたためである。
私がボスの腰掛けるソファの正面へと座ると、ボスはこちらへとその鋭い視線を向けてくる。
「──マギアネーロ、良い・・・・・・」
「ああ、良い。とても良い」
多くは語らず、私たちは『良い』とだけ口にして頷き合う。
「よくやってくれたな、黒騎士──いや、マジで」
「ああ。私も、上手くいったときには涙が止まらなかった」
先日の、シュヴァルツがマギアネーロへと覚醒し、組織を抜けて魔法少女となった件。私は、撮影した動画をボスへと送信しておいたのだ。そのままのデータと、私が編集したものとの二本を。
「いやー、シュヴァルツをお前の部下にした
そう言いながら、ボスは
「思わず五周しちまったよ。途中から見たのも含めれば、もう二十回くらい見てる気がすンな」
「流石だな、ボス」
流れている映像は、ちょうどシュヴィーがミラー・ドッペルの行く手を
「「・・・・・・ッ!」」
しかし、シュヴィーは立ち上がり──
『心に従う、それが
マギアネーロ! それが、今の
「「うおおおおおお!」」
興奮のあまり漏れ出た声が、重なる。やはり、感じることは同じらしい。
「コレだよコレ、私が見たかったのは・・・・・・!」
「ああ。こういうのが良いんだ、こういうのが」
話が進まないので一時停止し、両者共にソファに背中を預ける。*5
興奮の冷めないまま、ボスが口を開いた。
「前々から、アイツには才能があると思ってたが──やっぱりだったな。
マギアカリーナになって、活き活きしてやがる」
「彼女は逸材だったさ。順当にフラグを積み重ね、逆境を乗り越えた。
・・・・・・途中、よくわからない部分もあったが」
私の言葉に、ボスはオモチャを見つけた子供のように笑う。いや、犬の状態だからあくまでそう感じるだけだが。
「良いじゃねぇか。あそこまで真っ直ぐな愛情を向けられるなんて、中々ないぜ?」
まるで、弟妹の色恋沙汰に口を出す姉のような口ぶりだ。実際、
「私としては、少々困るのだがな。私は性別が無いし、恋愛の感情も薄い。彼女の思いは嬉しいのだが」
「お前は生まれが生まれだからなぁ・・・・・・。
ま、最悪レインに頼めば生やしてもらえんだろ」
下ネタはNGだ。
「それはさて置き、だ。
マギアネーロ──可愛すぎだろ。何だよ、最強か? やっぱり魔法少女が最強なのか?」
「ああ、可愛い──前は鎧もあってソリッドだったが、フリルが増えてキュートさが増した」
私が
「過程だけじゃなく、衣装の変化まで楽しめるなんてな。お得すぎねぇか、光堕ち?」
「わかる。一粒で何十回も美味しい」
「それに、マゼンタのネーロを受け入れる姿勢もイイんだよな」
「シアンの『借りを返せ』というセリフにも
「イエローはやっぱり清涼剤だよな、戦闘でも精神面でもサポートしてくれる。一家に一台とは言わねぇから、私の家にもくれねぇか?」
「だがやはり、シュヴァルツの住まいは何とかしなければな。今はイエローの家に泊まっているらしいが・・・・・・」
「ンなもん、お前の家で良いだろ」
「その手があったか」
そうして私たちは、時間の許すギリギリまで魔法少女トークを繰り広げた。
なお、この後シュヴァルツから『お姉様にだけ、特別ですよ?』とお泊まり会の動画データが送られてきて、我々が発狂する事になるが──それは余談だろう。
黒騎士
後方オタク面。マギアネーロは私が育てました。
マギアネーロ(シュヴァルツ)
黒騎士の心を射貫くために色々とやっている。この後ちゃんと黒騎士の家に転がり込む。
ボス
久しぶりの登場。自分も魔法少女に会いたいので仕事を抜け出せないか画策中。