悪の組織の幹部だけど、魔法少女のオタクやってます【本編完結】 作:高々鷹々
感想も普段より多く頂けて、お陰様でモチベが完全復活しました。
市内にある、とある中学校の屋上にて。シュヴァルツ──現在は黒木
「ふぅ・・・・・・流石に疲れましたね」
朝方に黒騎士と同棲中のようなやり取りをしたのが、
転入生として彼女が所属する事になったのは、
それから、隣の席になった桜桃が授業中ずっとこちらを気遣ってきたり、休み時間に
休み時間に質問攻めされるのは当然のこと、歴史の授業では母星とは違いすぎる文化にまるで理解できず、体育の授業では全力を出し過ぎて桜桃たちに説教され、スポーツ系の部活の勧誘を幾つも受け、ついでに愛の告白も受け──もちろん断った──ようやく昼休みになった今、人の居ない屋上に避難してきたところだ。勧誘を止めに来てくれたと思った葵にすら部活へ誘われた時は、本当に逃げ出したくなった。
本来、屋上は開放されていないが、下の階の窓から跳んで移動した。バレたらまた桜桃たちに何か言われるだろうが、それよりも落ち着ける時間が欲しかったのだ。
(しかし、同じ学校でも、色々と違っていますね)
思い返すのは、母星での日々。憧れの背中を追いかけて、多くの時間を
学校も、志由──シュヴァルツが居たのは軍学校に近い戦士を育てるための場所で、そこで主席の座を獲得し、組織へと入ったのだ。
「まさか、地球でまた学び直す事になるとは思いませんでしたが」
自身の制服を見る。肩は動かしにくいし胸元はやや窮屈だし、スカートで動くのは気を遣う。体育の際に着た体操着の方が、よっぽど動きやすい。こんな物を身に着けなければならないのも、大きな違いだった。
黄美から渡された、この星の携帯端末──スマホで、
「あ、本当に居た! もう、駄目だよ志由ちゃん。勝手に屋上に来たら」
『ふぁーたん、おてがら?』
「うん、私たちじゃ気付けなかった。ありがとう、ふぁーたん!」
どうやら、探されていたらしい。転校初日に姿が見えなくなったのだ、心配されただろうと、志由は察した。彼女たちの善性は、お泊まり会やらで嫌と言うほど知っていた。
「すみません、少々疲れてしまって。落ち着いて休みたかったんです」
「あはは、志由ちゃん大人気だったもんね・・・・・・」
桜桃は席が隣になったのもあり、今日一日の志由の様子を身近で見ていた。色んな生徒に声をかけられ。色んな質問をされたり。途中、何度か危ない返答を志由が口にした時には、フォローに回ったりもした。
「面倒ですね、学校と言うものは」
「でも、楽しそうだったよ? 志由ちゃん」
「・・・・・・新しい環境に、振り回されていただけです」
志由はそう言って顔を逸らすが、桜桃の言葉を否定しない。そのことが、桜桃にとっては
その時、学校のほど近くから、人々の悲鳴が響いた。二人は即座に反応する。
「ッ!」
「あ、ちょっと志由ちゃん! 一人じゃ危ないよ!」
呼び止める声に構わず、志由は屋上の金網から飛び出した。そのまま校舎の壁を蹴って勢いを殺し、自転車置き場の屋根を踏んで、地面へと着地。そのまま悲鳴のあった方向へと駆け出す。
「えっ、えっ? わ、私もアレやった方が良いのかな!?」
『ゆすら、おちついて! あおいたちとごうりゅうして、おいかけないと!』
あまりの人間離れした身体能力に混乱する桜桃だったが、ふぁーたんの声で正気に戻る。
慌てて桜桃は屋上の扉から階段を駆け下り、二人を探しに行った。
▽▲▽▲▽▲
校舎から飛び出した
「マギア、リナッシェレ!」
視界が光に染まったのも一瞬のことで、直ぐに
あの見た目──察するに、ブロック塀を元にしたコワガーレでしょうか。それなりに身体も大きく、厄介そうです。
ガツンドも側で高笑いしています。端的に言って、ウザいですね。
そちらへと駆けながら、周囲を見渡せば──居ました。お姉様です。今日はどうやら黒騎士モードのようですね。鎧姿からもわかるオーラがステキです。
さて。では、あそこから見て一番良く映える角度を計算して──
「ハァッ!」
しかし効果は薄いようで、ダメージを与えている感覚がまるでありません。そのままコワガーレを足場に跳んで、反撃を許さずに距離を取ります。
「
「貴方程度、
今の
決まった。これはもう、お姉様も
その確信と共に、再びコワガーレへと攻撃を仕掛けに行きます。構えるのは、使い慣れた大剣ではなく、マギアカリーナの武器であるステッキ。ただ、他の三人のとは異なり、黒がベースとなっていて、頂点の星は紫紺に輝いています。
「まずは、
ステッキから光の刃を出現させ、斬りかかる。が、ブロックが
「今までの戦い方では、いけないようですね・・・・・・」
呟き、ブロックコワガーレの攻撃を回避します。
「ナァーッハッハッハ! どうや、ブロックコワガーレのこの硬さは!」
うるさいですね、気が散るでしょうが。
ガツンドの声に眉を
ブロック塀が集まり、人型になったような姿のあのコワガーレは、全身が防具で、全身が武器。付け入る隙があるとすれば、関節くらいでしょうか。ひとまず、足の関節を狙って動きを封じましょう。*4
「けど、お前にはもっと良い相手を用意してあるんや。裏切り者のお前に、
その言葉と同時に、死角から鋭い斬撃が飛んで来る。全身の感覚が警鐘を鳴らし、
・・・・・・まぁ、なんとなくそんな気はしていましたけれど。
お姉様の部下である
「頼んまっせ、黒騎士サン。アンタの不始末や」
「・・・・・・貴様に言われるまでもない」
お仕事モードのお姉様も、かっこいい・・・・・・。いえ、いけない。こんな調子では、一瞬でお姉様にやられてしまう。
恐らく、お姉様は裏切り者でない事のアピールのために、本気の一部を出すはず。
「・・・・・・行くぞ。せいぜい耐えて見せろ」
「黒騎士様。貴方が相手であろうと、
声が震えているのは自覚していますが、それでもそう言い放ちます。
だって、お姉様が夢中になっているのは。どんな時も諦めず、折れない。そんな魔法少女たちなのだから。
(桜桃さんたちの事は、仲間と思っていますが──ライバルだとも、思っているんです)
黒騎士
大体30代中盤。地球人換算だともっと下になる。
黒木志由
ちょうど20歳くらい。地球人換算だと高校一年生くらい。
ボス
ざっくり■歳。地球人換算だと30歳手前。
ふぁーたん
妖精なので年齢の概念が無い。生まれてからは20年ほど経っている。