悪の組織の幹部だけど、魔法少女のオタクやってます【本編完結】 作:高々鷹々
屋上から飛び出していった
「志由ちゃん、先に行っちゃったんですよね。大丈夫なんでしょうか」
「あの子に限って、コワガーレに負けるとは思えないけれど・・・・・・もしやられていたら、後で説教ね」
負けたことにではなく、一人で先走ったことに、だ。無論、小言の一つや二つを言うのは確定だが。
「みんな、そろそろだよ!」
二人に言いながら、コンパクトを取り出す。それに倣って、葵と黄美も構えた。
「「「マギア・リナッシェレ!」」」
詠唱を口にすれば、彼女たちの姿が光と共に変化する。平和を守る魔法少女、マギアリーナへと。
そのまま、コワガーレを止めるべくステッキを構えた。
「そこまでよ、コワガーレ!」
「これ以上は暴れさせない!」
「街を無茶苦茶にした事、許せません!」
彼女たちがそう高らかに言えば、コワガーレがこちらを振り返る。側に立っていたガツンドもまた、マギアカリーナを見下ろした。
「遅かったなぁ、マギアカリーナぁ! コイツで叩き潰したるわ、ブロックコワガーレ!」
咆哮するコワガーレに向けてマギアカリーナが魔法を放とうとすれば、両者の間を何かが
「え・・・・・・?」
「今の、まさか!」
仲間となった少女──マギアネーロであった。
「っ、つぅ・・・・・・流石は黒騎士様、どこまでも容赦の無い・・・・・・」
そう言いながら立ち上がるネーロの頬は、笑みで歪んでいた。直後、轟音と共に黒騎士の放った斬撃が複数、ネーロへと襲いかかり、彼女は跳び上がって回避。マゼンタたちの視界から離れていく。
「え? えっと・・・・・・? と、とにかく! 私たちはコワガーレを倒そう!」
「そ、そうですね! 」
どう見ても割り込めないような激しさに、マギアカリーナたちは
改めて、コワガーレへと向き合う。
「なんや、あっちも盛り上がっとるみたいやなぁ・・・・・・こっちも行くで! コワガーレ!」
「みんな、行くよ!」
マギアカリーナの魔法と、コワガーレの攻撃が、ぶつかり合う──
▽▲▽▲▽▲
剣を振るう。斬撃を飛ばす。放たれた魔法の
「うぐっ・・・・・・
私の斬撃を
このマント、実は私の意思で動かせるのだ。久しぶりに使ったが、やはり便利だな。
「くっ、うああ!」
返ってきた自身の魔法を
「はぁっ!」
「甘い」
というのはブラフで、本命は蹴りだ。読み切っていた私はそれを片手で受け止め、そのまま足を掴む。ついでにスカートの下も見ておくか。*1
「ふ、うっ!」
しかし、そんな
「
至近距離にて放たれる、
「ぁ、んうう!?」
他人に魔力を操られたからだろう、どこか
「お、おね──黒騎士様!? 今のは何ですか!?」
「剣の機能だ。多少ならば、魔力を操れる。最近レインが付けた」
「ズルくありませんか!?」
この剣から近い範囲でしか使えないし、魔力のコントロールを完全に奪える訳では無いのだが。そういった欠点は、
しかし、私が彼女と戦う事になるとはな。身の潔白を証明しろとの指示だったが──ただボスがこの対決が見たかっただけでは?*2
だが、追加戦士が強すぎると面白味に欠けるからな。既存メンバーとは他の敵と闘うのもまた、追加戦士のお約束だ。
彼女たち四人が揃っての変身と名乗りを見られなかったのは残念だが、これはこれで悪くない。
それに、敢えて四人での名乗りを引っ張るとは・・・・・・わかっているじゃないか!*3
「はぁ、はぁ・・・・・・あはぁっ」
ただ、どうして先程から彼女は満面の笑みを浮かべているのだろうか。彼女がシュヴァルツとしてマギアカリーナと戦った時には、もっとキリッとした表情だった気がするのだが。
「本当に、お強いですね、黒騎士様・・・・・・!」
今にも倒れそうな程に、彼女の足は震え、肩は激しく上下している。当然だ、かなり本気を出したのだから。
しかし、私の予想の──期待の通りに、彼女は
「シュヴァルツ──いや、マギアネーロ。貴様も、悪く無かった」
そう言いつつ、剣にエネルギーを溜める。黒い剣に、血が通ったような赤いラインが現れ、発光しだした。
え、なにこの発光。まさかレインめ、また勝手に機能を付け足したな!?*4
ま、まあ良い。出力は以前から変わっていないようだしな。私の、数少ない『大技』と呼べるような攻撃だ。
「これで終わりだ」
そう言いながら、黒剣を振り下ろす。この攻撃が当たれば、マギアネーロと言えども無事では済まないだろう。
──もし当たれば、の話だが。
「
私の攻撃は、乱入してきた少女──マギアイエローの魔法によって防がれた。生み出された盾と、それを更に強固にする障壁が、私の斬撃を受け止める。
しかし、それだけでは防ぎきれない。当たり前だ、これは敵の要塞などを破壊するための技なのだから。*5
「うくっ、ううう・・・・・・!」
徐々に押され始めるイエロー。この攻撃は、一人で受け止めるには荷が重すぎる。
しかし、ただ守られているだけのネーロではない。彼女もまた、誰かを守るために、魔法少女となったのだから。
「
展開されるのは、巨大な鏡面。それはイエローの作ったバリアに重なり、私の攻撃を弾き、逸らした。
轟音と共に、斬撃が地面へと打ち付けられる。同時に、周囲が見えなくなるほどの砂煙が舞った。
「
「言われなくても!」
そう声が聞こえたのも
なるほど、マゼンタが目くらましを用意し、シアンが二人を抱えて離脱したか。良い判断だ。流石は私の推し。
「けっ、逃げよったか・・・・・・まさか、黒騎士サンが敵を取り逃がすなんてなぁ」
「・・・・・・そちらも、敗北しているようだが」
これ見よがしに
これで心置きなく魔法少女たちの戦いを見られるな! 私は晴れやかな気分で、拠点へと転移するのだった。
黒騎士
相手がギリギリ耐えられるくらいの力を出すのが上手い。立ちはだかる壁としてもエリート。
マギアネーロ
元々のスペックが高いので、他のメンバーがまだ使いこなせていない魔法も使える。でも燃費が悪い。
黒騎士に対してのみ、ちょっとMっ気がある。
ブロックコワガーレ
高い攻撃力と防御力を持っていたが、攻撃が単調だったため三人の動きに翻弄され、同じ場所を何度も攻撃されて体勢を崩す。その隙に『セレスティア・セレーネ』を撃たれて敗北した。
例によって戦闘用のため、感情エネルギーはほとんど集められなかった。