悪の組織の幹部だけど、魔法少女のオタクやってます【本編完結】   作:高々鷹々

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おのれ年度末(あいさつ)

お待たせしております。いつの間にかお気に入りが2000件を超えていました。本当に嬉しいです、ありがとうございます。
そしてどうやら今ある評価が99個らしいです。ありがとうございます。100個にならないかなー!?(露骨なアピール)


決戦! マギアカリーナvs悪の組織①

 私は、地球への侵略を目論む悪の組織──その幹部の一人である。名乗るほどの名前は無い。組織の中では『黒騎士』と呼ばれている。

 侵略のためにこの星にやってきた我々だが、その目的を邪魔する存在がいる。

 

 魔法少女たち──マギアカリーナ。清く気高い精神と、魔法という超常的な力を持つ、この星の戦士たち。

 幾度となく我々の作戦を邪魔し、ついには部下のみならず幹部二人をも討ち取った*1彼女たちだが──最後の幹部であるこの私、黒騎士と、ボスであるタマノマカミは、そうはいかない。

 

 何せ、この三日間の猶予の間にマギアカリーナたちの活躍映像を何周も見ているからな! 眠気と疲労感はそこそこあるが、テンションは常にMAXパワー、決戦の準備は万全だ。*2

 

 思えば、彼女たちと戦い始めてから、既に半年以上が経過している。そう思えば、この最後の戦いへの感慨も()()()()というものだ。正直、もう一年くらい戦っていたかったが。

 

「さて。そろそろ頃合いか」

 

「頃合いか、じゃねぇンだよ。お前、まだ勝手に最終決戦の日付を決めたこと許して無いからな」

 

「それに関しては本当にすまないと思っている・・・・・・」

 

 いや、だってさぁ! あの流れはもう、宣戦布告するしか無いじゃん! そうでもしないと、桜桃(ゆすら)も悩んだままだった可能性も高い。

 故に、ボスには既に何度も謝り倒しているし、その上での作戦会議も(マギアカリーナ鑑賞会をしながら)怠ってはいない。

 

「ったく・・・・・・それじゃ、始めンぞ」

 

「ああ」

 

「総員、作戦開始!」

 

 ボスが無線越しに号令を下せば、構成員たちが地球の大地へと降り立って行く。その数は、百を優に超えている。彼らはいわゆる下っ端で、戦闘能力はそんなに無い。成人男性一人分くらいだ。

 無論、最終決戦らしさを出すための演出である。こういうのが大事だからな。

 

「さぁ、アークスの精鋭たちよ! 我らが故郷のため、この星を恐怖に沈めるのだ!」

 

 下っ端たちの士気を上げるため、ボスが檄を飛ばす。やられるにしても、派手にやられた方が見栄えも良いし。

 そうして人々を怪我させない程度に痛めつけさせれば、当然──魔法少女がやって来る。

 

「そこまでです、悪の組織!」

 

「あなた達のこと、ぶっ飛ばしに来てあげたわよ!」

 

「お久しぶりですね、下っ端の皆様。退いていただきます!」

 

 マギアイエロー、シアン、ネーロ。そして、マギアマゼンタ。

 

「貴方たちにも事情があるんだよね。でも──

 戦うって、決めたから!」

 

 どうやら、決心はついたらしい。炎すら幻視するように、マゼンタの正義感が燃え上がっているのを感じた。ふぁーたんの姿が見えないが、これは最終決戦だ。きっと何かしてくれるに違いない。

 

 登場するなり下っ端たちを蹴散らしていくマギアカリーナたちだが、こちらがただやられるだけだと思ったら大間違いだ。

 

「マギアカリーナ! ここで会ったが百年目!

 今日こそお前らを恐怖のトン底、いやドン底に落としてやるトン!」

 

 そう、下っ端たちを率いるのは、復帰してきたブダーンだ。最終決戦と聞いて、すぐさまこちらまで来てくれた。故郷の様子をいち早く知らせてくれたのも彼だし、やはり優秀である。

 

「貴方、ブダーン!? なに、私たちに負けに来たのかしら!?」

 

「もう誰も、貴方に傷つけさせないよ!」

 

「あれ、どなたでしたっけ?」

 

「そっか、ネーロちゃん(シュヴァルツ)とはほぼ入れ替わりだから・・・・・・」

 

 イエローの苦笑に、ネーロはあぁ、と下っ端を蹴飛ばしながら頷いた。

 

「そういえば居ましたね、そんな(かた)。忘れていました」

 

「こ、このブダーン様を忘れるなんて、トンでもないヤツだトン!

 というか、なんか増えてるトン!?」

 

 そうか、ブダーンは知らないんだったか。私たちも情報共有は最低限しかしていなかったからな、伝え忘れていた。

 

「あら、貴方に名乗るのは初めてでしたね。

 アークスのシュヴァルツ改め、マギアカリーナが一人、マギアネーロ! それが、今の(わたくし)です!」

 

「なっ、シュヴァルツ!? 寝返ったトン!?」

 

「随分と置いてけぼりみたいね、豚足だからかしら!」

 

 言いながら、シアンがブダーンへと斬りかかる。しかしブダーンも負けじと拳で応戦した。下っ端たちの数の暴力も相まって、魔法少女三人までなら拮抗できそうだな。

 

「私も出る。ボス、準備を」

 

「・・・・・・私も前線に出たいンだがなぁ」

 

 ボスとは、前に出るのでは無く奥でどっしりと構えておくモノだ。ボス自身もそれを理解しているのだろう、不承不承ながらも頷いてくれた。それに、ボスが戦うには少々準備が必要だしな。

 

 私がマントを翻し、船から降りようとすれば、それに気付いたのかネーロがこちらにウインクしてくる。・・・・・・おかしいな、どうして船の場所だけでなくカメラの角度まで完璧に把握しているんだ? 魔法ならそうだと言って欲しいが。

 

 出鼻を挫かれながらも、私は地上へと降りながらマギアネーロへと攻撃を仕掛ける。重力ごと威力に乗せた斬撃を、彼女は笑みと共に回避した。

 

「お待ちしておりました、お姉様!」

 

「・・・・・・勝負だ、マギアネーロ」

 

「黒騎士さん・・・・・・」

 

 ここでは周囲の下っ端たちも巻き込んでしまうからな、場所を変えるか。

 マギアカリーナたちに吹っ飛ばされた下っ端たちは転移の応用で基地へと戻っているが、そうなる前に致命傷を負わせてはいけないからな。

 

「ブハハハハ! 黒騎士様が来たのだ、もう貴様らに勝ち目は無いトン!」

 

「ブダーン。そっちの三人は任せた。私はネーロの相手をする」

 

「なんですと!? いや、トンと来い、もといドンと来いだトン!」

 

 ふむ。強がれているなら大丈夫そうだな。まぁ、ブダーンが負けたらボスが出張ってくるだけだ、問題は無い。

 

 ネーロへ向けて斬撃を飛ばし、(かわ)した先へと先回りして蹴り飛ばす。ステッキで防がれたが勢いを殺しきれなかった彼女は、戦場の外へと放り出された。

 

「くっ!? 皆さん、後はお願いします! あ~れ~!?」

 

「ネーロちゃん!?」

 

「良い勢いで飛んでいったわね・・・・・・」

 

「黒騎士さんはネーロに任せよう! 私たちはブダーンを!」

 

 そして私も、彼女を追って空を駆ける。装備がなくても空ぐらい走れるが、鎧の補助があるとやりやすいな。

 

 どこかのビルの屋上へと着地する私たちは、互いに剣を構えた。

 

「・・・・・・あの、お姉様。この建物がどういう物か、わかっていてこちらへ?」

 

「? いや、気にしていなかったが」

 

 なにやら派手な看板に「ホテル ブラックナイト」と書かれているが、特に変わったところはない。我々と関連した名前だから、という理由だけでこの場所を選んだのだが、不都合があったのだろうか。

 

「そ、そうですよね・・・・・・」*3

 

「気になるなら、この戦いが終わったら一緒に来るか?」

 

くぁwせdrftgyふじこlp!?(ぜひよろこんで!)

 

 驚愕と羞恥と興奮と歓喜と悦楽と、一瞬で百面相のごとく表情を変えたネーロを余所に、死亡フラグっぽい発言をしてしまったと私は気付いた。いかんな、どうやらかなり浮かれているらしい。

 

「今のお言葉、忘れないでくださいね! お姉様!!」

 

「あ、ああ・・・・・・」

 

「元より全力を出すつもりでしたが──

 今のでやる気が天元突破いたしました! 出番です、シュヴァルツ・アームズ!」

 

 頬を上気させた状態で、ネーロは虚空へと手を伸ばし──そして、黒剣を掴み引き抜いた。

 

「これは魔法ではありませんが──あえて言いましょう!

 マギア・リィンカルマ!

 

 起動のパスとして設定していたのだろう、音声入力によって剣が稼働し、ネーロの周囲へと鎧が展開されていく。

 

 これは、もしかしなくても──最終決戦限定フォーム!? 見逃すわけには行かない、録画もしているがまずはこの目に焼き付けなければ。

 

 私がじっと見ているのは関係ないだろうが、満面の笑みでネーロは剣を足元へ突き立て、更なる変身を開始する。

 

 髪がほどけ、空へと流れた後で両手足の装飾品が弾けて光に溶けた。

 展開されたアーマーは、今の彼女に合わせるために変形し、一部がメタリックなグローブとブーツになって装着される。続けて背面へとアーマーが回り、魔法の輝きと共に白い羽を展開、モノクロの翼となって粒子を羽ばたかせる。

 仕上げとばかりに最後の装備が頭部へと装着され、ヘッドドレスへと形を変える。そしてサイバーチックなレースが展開され、全身のアーマーも含め各部がスライドし、紫色の光を放つ。

 

 そしてマギアネーロのステッキと、シュヴァルツの剣が合体し──羽の映える、一つの大剣となった。

 

 新たな姿となった彼女はヒールを鳴らし、私へと大剣を突きつける。

 

マギアネーロ・ブライド・・・・・・これが(わたくし)の、全てです!」

 

 思わず、拍手してしまった。今は戦いの最中(さなか)ではあるが、賞賛せずにはいられない。決して、兜の下で泣いているのを誤魔化すためではなく。

 

「ふふふ・・・・・・お好きですものね、こういうの」

 

「ああ、大好きだ。愛していると言っても良い」

 

「あっ、愛・・・・・・!? え、お姉様が、(わたくし)に!?」

 

 自分で聞いておきながら動揺している今の彼女は隙だらけだが、ここで攻撃するのは野暮というものだろう。

 

 マギアネーロ・ブライド──最高じゃないか! 彼女たちは中盤で強化フォームが無いタイプの魔法少女だとは感じていたが、まさかここに来て強化形態! しかも、二つの力の融合とは!

 マギアネーロとしてのフリルのあしらわれたドレスという魔法少女らしさはそのままに、シュヴァルツとしてのサイバーチックな武装が追加されている。

 なにより、あの翼──黒いアーマーに魔法陣が展開され、白く鋭い羽を生み出している。二つの力を組み合わせた、いまの彼女を強く感じさせる装備だ。

 

 ありがとう、ありがとう──それしか無い。ああいけないな、また涙が。

 

「この姿なら、お姉様とも渡り合える、はずです! では、お覚悟を!」

 

「ああ。全力で来るといい」

 

 私たちは互いに剣を構え──激突した。

*1
諸説あり

*2
本当か?

*3
とても「ここラブホです」とは言えない顔




マギアネーロ・ブライド
志由(シュヴィー)の全力、マギアネーロとシュヴァルツの力を合わせた最強の姿。
本来は窮地でシュヴァルツの姿に変身、の予定だったがノリと勢いのまま生み出された。一人チェイサーマッハ。
実は変身の過程でドレス側も変化していて、胸元、肩、背中、太股と露出が増えている。更にアーマー部分以外はレースになっており、肌が若干()けている。全力で黒騎士へアピールした姿。
モチーフはお色直し。ウェディングドレスはそのままに、装飾品だけ新しくしたイメージ。
魔法少女よりはシンフォギア寄り。

ネタバレ
ちゃんとマギアカリーナ側にも最終フォームはあるし、ボスは魔法少女の大量摂取で大変なことになる。
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