悪の組織の幹部だけど、魔法少女のオタクやってます【本編完結】   作:高々鷹々

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私「うーん、次の話どうしよっかな~」
友「なに行き詰まってるん?」
私「もっと後の話は決まってるんだけどさ~(展開の説明)」
友「じゃあ、ちゃんと魔法少女を倒そうとする敵を出したら?」
私「それだ!」

で、この話が生まれたってワケ。


好きな相手、苦手な相手

 私は、悪の組織の幹部である。常に全身を黒い鎧と兜に身を包み戦う私は、いつしか周囲から『黒騎士』と呼ばれるようになった。

 戦場では無類の強さを発揮し、傷らしい傷を負わずに帰還することに定評のある私だが*1──だからといって、疲労を感じない訳ではない。

 

「疲れた・・・・・・」

 

 事務用の机に腰掛け、私は長い息を吐く。

 

 ブダーンの任務に同行した後、それについてレポートを纏めるよう言われ、先程まで作業していたのだ。何故、私に任務を頼んだ時に伝えてくれなかったのか・・・・・・!

 

 しかも内容は、ブダーンの働きについてだ。私は魔法少女たちについても書こうとしたのだが、そちらは別の担当ということで、私は好きでもないブダーンの任務についてのレポートを作成する、拷問のような時間を過ごていたのだ。

 くそ、だったら同行しなかっ・・・・・・いや、するだろうな。魔法少女の活躍は、できる限りこの目で見たい。

 

 更に言えば、私は組織の幹部である。*2 ある程度は自由に動けるものの、事務仕事やら見回りやら、普段からしなければならない仕事もある。気の進まない仕事があるだけでやる気というのは出ないもので、いつも以上に疲れた。

 

 更に更に、組織の拠点内に居る間、私はずっとこの鎧を身に纏っている。というのも、組織に所属する者の多くは私の素顔を知らないのだ。私が鎧を脱いでいると、誰も私が私であると気付けない。故に、私は常に鎧を身に纏っている必要があった。

 これが中々に窮屈で、精神的に疲れる。鎧の機能によって鎧の中は快適なのだが、篭手を()めたまま指を動かし仕事をするのは、かなり神経を使うのだ。

 

 そんな仕事も一段落し、上がってきた魔法少女についての報告書にでも目を通そうとしたところで、部屋の扉が勢いよく開けられた。

 

「黒騎士! 貴様、敵を前に戦いもせず逃げ帰ってくるとは、どういう了見だ!」

 

 最悪だ。帰りたい。

 

 私の部屋にやってきたのは、私と同じく幹部である巨漢──セニオだ。筋骨隆々なその見た目の通り頭が固く、私の苦手なタイプだ。

 

「・・・・・・私が頼まれたのは、同行することのみだ」

 

「それが戦わない理由になるか! 同胞が負けたのだ、仇を討つのが(しょう)の務めであろう!?」

 

 そんな義務はない。というかそもそも死んでもないのに仇討ちとか言うな。

 そう言い返せれば良かったが、そうすると彼の長く暑苦しい説教モドキが始めるので、私は黙って席を立つ。

 

「貴様、どこへ行く! 話はまだ終わっていないぞ!」

 

「・・・・・・無駄話に付き合うつもりはない」

 

「無駄話だと!? 我は今、重要な話をしているのだぞ!

 良いか! 将たる者、部下の失敗を受け止め、その始末を付けてこそ──」

 

 始まってしまった・・・・・・思わず返した言葉に、セニオは怒りで顔を赤くしながら私に話しかけて──というか、怒鳴りつけてくる。面倒この上ない。

 セニオは部下思いで人望にも厚く悪い奴では無いのだが──一度火が付くと中々止まらないのだ。勘弁して欲しい。

 

「その辺りにしておきなよ、セニオ。黒騎士が困ってる」

 

「ヌ、レインか。だがしかし、此奴(こやつ)は──」

 

「はいはい。どうせブダーンのことだろう? 黒騎士の個人主義は今に始まったことじゃ無いんだ、今更言ったって変わらないさ」

 

 扉が開いていたから、やり取りが外まで聞こえたのだろう。セニオの言葉を遮ったのは、白衣を纏った細身の女性──レイン。今回、ブダーンへの同行と、そのレポートを私に要求してきた人物だ。

 彼女は丸縁の眼鏡に手をかけて、普段通りの飄々とした態度で言う。

 

「それに。どうやら黒騎士はあの魔法少女たちにご執心らしいからね」

 

「・・・・・・」*3

 

「きっと、成長すれば自分と対等に戦えるとでも考えているんだろう? 強者との戦いを望む、君らしい考えだね」

 

「・・・・・・」*4

 

 ビックリした、オタバレしたのかと思った・・・・・・

 

 どうやら私は、強い敵との戦いを望むバーサーカーか何かに思われているらしい。下手に訂正してボロが出ると良くないので、取り敢えず黙っておく。

 

「フン。貴様の考えはまるでわからんが・・・・・・すまぬ。少々熱くなりすぎた」

 

「・・・・・・気にしていない」

 

 本当はメッチャ気にしてるし腹も立ってるけど、さっさと帰りたいので適当に頷いておく。早く扉の前から退()いてくれないかな、二人とも。

 

「だが、我は魔法少女たちを今のうちに倒すべきだと思うがな! 強者と戦いたいなどと・・・・・・相手が弱い内に少ない犠牲で倒すのが(いくさ)というものだろうに!」

 

「セニオ。落ち着きなよ」

 

 再びヒートアップしそうになったセニオを、再度レインが(いさ)める。カルシウム足りて無いんだろうか。我々と地球人では肉体の構造がやや違うから、カルシウムで苛立ちが軽減されるかわからないが。

 

「・・・・・・失礼する」

 

「おや。もう帰宅するのかい、黒騎士。最近ずいぶんと帰るのが早い気がするけど」

 

 レインの指摘はスルーした。時々、妙に勘が良いから彼女は困る。

 

 だが私には、帰って『プリティキュアーズ』の続きを見るという大事な使命があるのだ。残業なんてやっていられない。

 私は未だに話し続けている二人を放置し、部屋を後にした。

 

 

 その後、帰り道に初めてコンビニエンスストアに寄り、ちょうどやっていた魔法少女アニメとのコラボの商品を見つけて爆買いしたのだが──それは完全に余談だろう。

*1
自画自賛

*2
二度目

*3
図星を突かれて絶句している。

*4
勘違いされてホッとしている。




黒騎士
コミュ障というより、コミュニケーションを面倒に思ってるタイプ。

セニオ
180cmくらいある巨漢。スキンヘッド。

レイン
実は一話からセリフがある。ギャルゲーに出てくる保健室の先生みたいな見た目。
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