悪の組織の幹部だけど、魔法少女のオタクやってます【本編完結】 作:高々鷹々
私は、魔法少女と戦う悪の組織──その幹部である。今日は同僚のレインに呼び出され、彼女の部屋へと向かっていた。
彼女が私を呼び出す事は珍しくない。やれ実験に付き合えだの、やれ鎧の調整をさせろだのと、何かに付けて呼び出されるのだ。この鎧や兜に色んな機能を付け足し実装したのは彼女なので、私も無下にすることが出来ない。
部屋に到着し、ノックしてから返事を待たずに扉を開ける。すると、いつも通り白衣を纏ったレインが目に入った。
「おや、早かったね」
「・・・・・・要件は」
「焦らない焦らない。君が無駄を嫌ってるのはわかるけどね」
別にそんな事は無いのだが・・・・・・ただ単純に、彼女のことが苦手なだけだ。しかし、誤解を解くのも面倒なので、そのまま黙っておく。
「今回は、本部の方からの指令でね。君に部下を付ける事になったんだ。ほら、入っておいで」
「・・・・・・部下だと?」
首を傾げる私をスルーし、部屋の奥から一人の少女が現れる。彼女は私とレインのちょうど中間にやってきて、こちらへと向き直った。
「彼女は本部から送られてきた、対マギアカリーナ用の戦士らしくてね。一番彼女たちの強さを知っているからと、ボスが君に頼むことにしたみたいなんだ」
「お初にお目にかかります。
そう言って優雅に一礼してみせるのは、黒髪の美しい少女だった。闇色の長髪は腰まで伸び、部屋の明かりを吸い込んで輝いている。四肢を含め身体の多くはサイバーチックな白のインナースーツに覆われ、肩や腰、肘先や膝下には私の鎧と似た装甲パーツが装備されている。背中には太刀のような武器を背負っており、その武器や服全体には紫にライン状の光が走っていた。
そして、彼女の佇まいは、完全に優れた剣士のもの。強い自尊心に裏打ちされた、堂々とした立ち姿だ。
思わず私は、仮面の下で目を細める。
「・・・・・・そうか。ではシュヴァルツ」
「シュヴィーとお呼びください」
「・・・・・・愛称で呼ぶつもりはない」
「ですが、
なのでどうか、シュヴィーとお呼びください」
「・・・・・・では、シュヴィー」
「はい!!!」
私が略称で呼んだ途端、彼女は満足したかのように満面の笑みで返事した。
「付いて来い。まずは、マギアカリーナの強さを知ってもらう」
「
やや話の通じない雰囲気のある彼女だが、今の私にとってそんなことは
私は収まりきらない胸の興奮を誤魔化すように、自分の部屋へと向かう。
彼女──シュヴァルツと名乗った戦士は、恐らくマギアカリーナの追加戦士だ。
あの特徴的でエッ──もとい、機能性重視の衣装や、他の戦士と区別して『対マギアカリーナ用』としてここにやってきた事など、根拠を挙げればキリがない。*1
ボスが私の部下として配属したのも、そのためであろう。魔法少女との戦いを通して心を通わせ、正義の心を
そのためにも、マギアカリーナたちのことを、より良く知ってもらう必要がある。私は備え付けのモニターに端末を繋げ、操作する。
「これから、魔法少女たちとの戦闘記録を見て貰う」
「いえ、そちらは既に視聴済みで──いえ、何でもありません。拝聴します。黒騎士様と共に」
データとして既に視聴しているだろうことは予想していたが、今回は私の解説付きだ。一人で見るのとは訳が違う。私も座ったのを見てそれを感じ取ったのか、シュヴィーは控えめに腰掛けた。
「・・・・・・この姿では見づらいな」
私は鎧を外し、収縮させて懐に仕舞う。
隣から何か視線を感じて振り向いて見れば、シュヴィーは驚いたような顔をしていた。かと思うと、瞳に熱を宿して私へと向けてくる。
困惑する私を
「あの────
お姉様とお呼びしても?」
なんて???
黒騎士
性別の概念が無い存在。男でも女でも無いし、本人も性自認とか持ってない。
シュヴァルツ
元より黒騎士限界オタクではあったが、その素顔を見て脳みそが完全燃焼。何か大変なものをこじらせた。