生まれて初めて文章を書きましたので温かい目で見ていただけるとありがたいです。
それではどうぞ。
ここは古代ギリシャ、クレタ島、クノッソス宮殿。
その日、ポセイドンの怒りによって狂わされたミノス王の妻
パシパエーがポセイドンへの供物にするはずだった牡牛と
交わり孕まされた子供が産み落とされた。
パシパエーはその過酷な出産に耐え切れずその子に一言囁いてその短い生涯を閉じた。
事切れた王妃の姿に騒然とする名工ダイダロスとクレタ島の王にして夫のミノス王。そして衛兵たち。
しかし、みな王妃が亡くなった悲しみに暮れる暇はなかった。
パシパエーから産み落とされし子は異形の子であったのだ。
目は赤く、その頭には立派な牛角が生えていた。
クレタ島の王であり父であるミノス王はその子に名を与える。
〈雷光〉アステリオスと。
後にギリシャ神話随一の怪力の英雄となり、力においては
かのヘラクレスをして勝てぬと言わしめ、
〈ミノス王の牡牛〉ミノタウロスと評されたアステリオスの誕生である。
side:ミノス王
我が妻パシパエーが狂い牛と交わりその腹に子を宿したと聞いたとき、私はすぐさまその子供をおろすように妻に命じた。王妃が牛の子を産んだなどと噂されれば王としての沽券にかかわるからだ。
しかし、狂った妻はそれを拒んだ。愛する子を産むのだと言ってきかなかった。
私は宮殿の魔術師たちにお腹の子を流産させる魔術をかけるよう命じた。
我が妻パシパエーはあのアイアイエー島に住む魔女キルケーの妹だ。太陽神ヘリオスの血を引き魔術の才能もある彼女に生半可な魔術は通用しなかった。それでも何度も子供をおろすように命じたが何度言っても聞かなかった。
パシパエーの産気づき始めたころ、パシパエーの姿が宮殿内で見かけなくなった。
クレタ島の随一の名工たるダイダロスが妻の出産に手を貸し宮殿のどこかに妻を隠したのだ。
急いで衛兵とともに宮殿内を探し回り、ひとりの衛兵が隠し部屋を突き止め入口を突き破った。
そこで見たものはすでにこと切れていた我が妻パシパエーの姿であった。
パシパエーは子供を産み死んだのだ。悲しみを感じながら生まれた子供を見て驚愕した。
パシパエーが産んだ子供は目が赤く、頭に角が生えた異形の子であった。
このような異形の子をわが王族に迎えるわけにはいかない。ましてやこれは人間ではない。
これは怪物である。
名工ダイダロスはあの怪物をその身を挺して庇いだした。
「この子に罪はない。これは私が狂ってしまった王妃の命令に従った私の罪である。私の身を罰せ」と。
そうだ。貴様が原因ではないか。
宮殿内では皆パシパエーが狂ったのは私が白き牡牛をポセイドンに返上しなかったからだと噂していた。違う、あの白き牡牛は私のものだ。パシパエーが呪われたのは私が原因などではない。パシパエーが狂ったのは貴様がそそのかしたに決まっている。
貴様が牝牛の木像を作り、交わらせたからパシパエーは死んだのだ。貴様がすべての元凶だ。貴様を殺せばすべて丸く収まる。
そうしてダイダロスもろともその怪物の子を殺せと命じようとしたその時だった。
突然、強烈な光が部屋中を照らし出した。その光のため手で目を覆い、その光の原因を探すためにみながあたりを見渡した時、驚くべきものを目にした。
なんとあの怪物が生まれたばかりの身で魔術を扱い雷を放ったのだ。
産声を上げながら、体中から雷光を放つ牛の角を持つ異形の子。
その場所にいた者たちはみなその姿を静かに見ていた。
その姿は奇しくも
衛兵たちは歓喜した。
「この子はゼウスの化身である。クレタ島の繁栄を約束せし子である。」と。
しかし私が感じたのは恐怖だった。
私の行いに我が父ゼウスが怒りを露わにし、こうしてこの世に現界せしめたのだと。
この怪物は罰だ。神々を侮った私の罰がこの世に生まれたのだ。