昨日、2年の先輩、しかも学校一の有名人である兎希恋石に話しかけられた。話の内容は明日、つまり今日の放課後に僕が描いた絵を持ってきて見せてということだった。来なかったらずっと美術室で待ち続けるとかいう脅しもされたけど……。
「おい、その顔やめろ」
桐谷に昨日のことを話すと、その顔はニヤニヤと笑みを浮かべており、おちょくろうとしていることがすぐに分かった。
「このまま授業終わったら帰っても良いかな」
「バカお前、なんで俺が急いで行ってるんだよ。それじゃ、俺がノリノリみたいだろ。」
「有り得ねぇだろ」
「相手は何人も振ってる美少女、対して俺は絵しか描いてない地味男子、そもそも釣り合ってない、あと俺は恋愛なんてするつもりない」
「出来なくてけっこうだよ」
放課後になったので美術室へ行くと、先輩はもう既に居た。
??何でこの人こんな早く着いてるんだ?僕も終礼が終わってから直ぐ来たんだけど…
「先輩が速いだけですよ。いつ来たんですか?」
速いな
……僕の名前か?
「夜野です」
そう言って、先輩は苦笑いをした。
「もう始めますか?」
先輩は鞄の中からあるものを取り出し、机に広げた。
「スケッチブックですか?」
「先輩、一つ、聞いていいですか?」
先輩が準備してる間に、気になっていたことを聞いた。
「先輩は、何で絵を描きたいと思ったんですか?」
「別に試してませんよ、ただ聞きたいだけです」
少し考える素振りをした。
………
「良いんじゃないですか」
「僕だって、ただ好きだから描いてるだけですから」
先輩は「フフッ」と笑みを浮かべて
と言った。
机をペンでトントンとしながら先輩は言う。
「……はいはい」