柏木渚という生徒の相談に乗って、しばらくが経ったある日。
体育館には、白銀と悟の2人が居た。
「すまないな、バレーの練習の付き添いに付き合ってもらって」
「いいって。気にすんな」
2人はそう話す。
2人が体育館に居る理由は、白銀がバレーの練習をしたいとの事で、悟はその付き添いだ。
そして、白銀がサーブをしようとすると。
「ぶっ⁉︎」
「………………え?」
白銀はボールではなく、頭に手をぶつけて、そのまま倒れ込む。
悟が唖然となりながら見ていると。
「後ちょっとだったのに……………!」
「……………何でそうなるんだ?」
白銀は悔しそうにそう呟く中、悟は何とも言えない表情を浮かべて、そう聞きた。
その理由は、白銀の運動センスにあった。
勉学に於いて、非常に秀でているが、運動においては人様にお見せできない壊滅っぷりだった。
様々なバイトをこなしている為、身体能力が低いわけではないが、運動センスが壊滅的である為、この様になっているのだ。
すると、白銀の足元にボールが転がってくると。
「っ⁉︎」
「大丈夫か?」
「あ、ああ……………」
白銀はボールに足を取られて転倒する。
それを見て、悟はそんなふうに話しかけつつ、手を差し伸べる。
白銀は悟の手を取り、立ち上がると。
『来週にはバレーの授業が始まる…………!それまでにはマスターと言わずとも…………人並み程度には出来るようにならなくてはと言うのに…………!このままでは…………!』
白銀はそんな風に思う。
そもそも、バレーの練習をしようと思ったのは、来週からバレーの授業が始まるのだ。
生徒会長として、無様を晒す訳にはいかないのだと。
白銀の脳裏には、ある光景が映っていた。
『会長…………真面目にやって下さい』
『え…………?あの死にかけのアルパカみたいたの会長?』
『お可愛いこと……………』
それは、白銀が無様を晒して、生徒たちが呆れる中、かぐやが侮蔑する様な視線を向ける光景だった。
「ダメだァァァァァ!」
「うおっ⁉︎」
その光景が浮かんだ白銀はそう叫んで、サーブをしようとして、悟はそう叫んだ。
だが、白銀のサーブは失敗して、白銀が滑って床に倒れると、頭にボールがぶつかる。
「大丈夫か?」
「くそっ!何故上手くいかない⁉︎」
悟が心配しながらそう話しかけると、白銀はそんな風に悔しそうに言う。
すると。
「会長、大丈夫ですか?」
「あぁ。何の問題も……藤原書記⁉︎」
そこに、1人が声をかける。
白銀の背後には、藤原の姿があった。
「何でここに居るんだ?」
「忘れ物しちゃって取りに戻ってきたんですけど…………」
悟がそう聞くと、藤原はそう答えた。
忘れ物をしてしまった為に、取りに来たのだと。
それを聞いた白銀は。
『見られた⁉︎今のアホみたいな動きを見られた⁉︎終わった…………!文武両道、何でも出来るという白銀会長のブランドが…………!別に何かしてるわけでもないのに、何でもそつ無くこなしちゃう俺のイメージが…………!』
白銀はそんな風に思っていた。
ちなみに、悟の場合は入学時からの親友というのもあって、見られた事は気にしていなかった。
すると、白銀の視線に入ったのは。
「ボール楽しい〜」
そんな風に言いながら、ボールと戯れる藤原の姿だった。
それを見ていた2人は。
『…………まぁ、藤原にならダメージは低いかな……………』
『…………まーいっか。藤原書記相手なら、コレに何思われても大してダメージ無いわ。藤原書記1人になら、バレても問題ない』
そんな風に思っていた。
2人とも、藤原にバレても、大してダメージが無いと思っていた。
白銀は藤原に話しかける。
「…………今度バレーの授業があるだろう。夜間だけ体育館を借りられたから練習してるんだ。どうもサーブが苦手でな」
「苦手ねぇ……………」
「何だよ、その顔は」
「いや?」
白銀は藤原にそう説明する。
それを聞いた悟が苦笑気味にそう呟くと、白銀はそう聞く。
それを聞いた悟がそう答えていていると。
「あ〜…………なるほどです〜。私で良ければ教えましょうか?」
「ハァ…………お前な…………人に教えるには自分が出来なきゃダメなんだぞ?」
「私だって、バレーくらい普通に出来ます!」
事情を知らない藤原がそう言うと、白銀は呆れ気味にそう言う。
白銀の言葉に藤原がそう反論しつつ、サーブを行う。
藤原は手に持っているボールを上にトスし、落下してきたボールを掌で叩いたを
ボールは山なりに飛んでいき、相手陣地に入った。
「ほらっ。ねっ!」
「すげええええぇぇぇ!なんて洗練されたサーブなんだ‼︎」
「あははは……………」
藤原がそんな風に言うと、白銀はそう叫んだ。
ちなみに、あくまで白銀基準の評価である。
悟が苦笑する中。
「どやさぁ」
「お、お前にこんな特技があったとは…………!」
「私に教わったらきっとすぐに上手くなっちゃいますよ〜?」
「グっ…………!」
「会長、人に教えを請うときはどんな態度が適切ですかね〜?」
藤原がドヤ顔をして、白銀がそう呟く中、藤原はマウントを取る様にニヤケ顔でそう言う。
すると。
「………お…………教えてください…………」
「はーい、いいですよ〜」
「さて、どうなるのか」
「ん?じゃあ、何本かサーブを打ってみてください。問題点を洗い出してみましょう!」
白銀がそう言うと、藤原はそう答える。
悟がそう呟く中、藤原は首を傾げつつも、白銀にサーブを打つ様に言う。
白銀がサーブを打つ事になったのだが…………。
「ふっ!」
「え?」
「たぁっ!」
「ん?」
「へぶっ!」
「んんんんん⁉︎」
白銀は3本くらいサーブ練習を行うが、全て空振りだった。
最後に至っては、自分で自分の顔面を引っ叩いており、藤原は驚愕と困惑の合わさった表情を浮かべていた。
悟が眉間を抑える中、藤原は目から光が消えた状態で口を開く。
「………どうして、そうなるんですか?」
「俺にも分からん。何度やっても自分の頭や顔に手がぶつかるんだよな。頭に気をつけると、今度はタイミングが合わない。完全なデッドロック状態だ」
「え?あ、はい」
「そうか…………」
藤原がそう聞くと、白銀はそんな風に言う。
それを聞いて、藤原と悟が困惑する中。
「まずですね。ボールを打つ時は目を開けるんです」
「何を当たり前の事を………目を開けなくてはボールが見えないではないか」
「そうだよな。とにかく、俺は白銀のサーブのフォームを動画で撮るから、白銀は目を開ける事を意識してサーブをしてくれ」
「そんなんで変わるものか…………」
藤原がそう言うと、白銀はそう突っ込む。
悟がそんな風に提案すると、白銀はそう呟く。
悟がスマホを構えて、録画を開始すると、白銀はサーブを行う。
「せやぁー!」
ボールは白銀の手には当たらず、体育館の床にバウンドするだけだった。
悟は撮影を終えて、その映像を藤原に見せる。
「コレなんだけど……………」
「え…………?」
「………ほら、やっぱダメだろ?」
悟がその映像を見せると、藤原は固まった。
白銀がそんな風に言うと。
「開いてない!」
「え」
「開いてないんです!なんでそんな"言う通りやったのに"感が出せてるんですか!ほら動画見てみてください!」
藤原はそう叫ぶと、悟からスマホを奪い取り、映像を見せる。
実際、白銀がサーブを行う瞬間、目を閉じていたのだ。
それを見た白銀は。
「もしかしてこれ……イップスってやつか!」
「烏滸がましい!プロみたいなこと言わないでください!多分、会長は自分のイメージと実際の動きが噛み合ってないんです!一つ一つの動作を丁寧に、確実にマスターしていきましょう!」
「そうだな。まずは、ジャンプしたまま目を開ける練習から始めるか」
「そんな水の中で目を開ける練習みたいに言われたの初めてだ」
「俺も初めて言ったぞ」
白銀がそんな風に叫ぶと、藤原はそんなふうに叫んだ。
悟の言葉と共に、練習を開始していく。
そんな練習が3日続いて、4日目の夕方。
「はぁッ……はぁッ……」
「おい…………大丈夫か?」
「会長、もういいんじゃないですか?普通の人までとはいかなくても、普通に下手な人位にはなれたじゃないですか。
『さらっと酷い…………』
白銀が息を切らして床に手をつきつつ、汗を拭っていると、悟と藤原はそう言う。
藤原の毒発言に、悟がそう思っていると。
「………まだだ……俺はまだ……やれる……!」
「………どうしてそんなに頑張るんですか……?」
「……カッコ悪いところは見せたくないからな……。見せるなら………やっぱカッコいいところだろう」
「白銀…………」
白銀がそんなふうに言うと、藤原はそう聞く。
それに対して、白銀はそう答えた。
白銀はこの秀知院という環境において、天才では無く、努力型の天才と言える存在だった。
だからこそ、努力をするのだと。
悟がそう呟く中。
「もしかしてそれ好きな人ですか⁉︎誰⁉︎誰なんですか⁉︎」
「ばっ!全然ちげーから!」
「隠す事ないじゃ無いですかーっ!誰⁉︎誰ですか⁉︎」
『相変わらずだな…………』
白銀の言葉を聞いた藤原は、恋の気配を感じたのか、そんな風に聞く。
白銀と藤原のやり取りを見ていた悟は、そう考えていた。
そんなやり取りの後の翌朝。
白銀はボールを持って、サーブを打つ体勢になると、白銀はトスを上げて走る。
「ふっ!」
白銀は落下してきたボールを完璧に掌に当て、ボールは向こうコートに勢いよく突き刺さる。
「…………やったな」
「や、やったー!やったやったぁー!」
「………あぁ。藤原書記、それに桐生。お前達のおかげだ」
それを見た悟と藤原がそう言うと、白銀はそう答える。
「大変でじだね!でもよぐやり遂げまじだぁ〜!」
「流石に疲れたな…………」
藤原と悟は、達成感を感じたのか、そんな風に言う。
だが、その感慨はあっという間に吹き飛んだ。
何故なら………………。
「では、藤原書記、桐生。次はトスとレシーブを教えてくれ」
「「………………っ⁉︎」」
白銀はいい笑顔でそんな風に言う。
それを聞いた藤原と悟の表情は、絶望に満ちた。
そんな一件から一週間後、バレーの授業が始まった。
白銀はバレーで大活躍をしていた。
そんな中、白銀の地獄の特訓の被害者達は。
「ぎょっ⁉︎」
「あの子、私たちが育てたんですよ」
「母⁉︎」
かぐやが白銀の活躍を見ている中、藤原がボロボロなのに気づいて驚いていると、藤原はそう言う。
それを聞いて、かぐやが困惑する中。
「……………どうしたの?何でそんなボロボロなの?」
「……………何も聞かないでくれ」
早坂がボロボロの悟を見て、そんな風に聞くと、悟はそう答えた。
本日の勝敗
白銀&藤原&悟の勝利
今回はここまでです。
大晦日にかぐや様の新作を見て、書きました。
今回は、白銀のバレー特訓の話です。
だが、藤原と悟は、地獄を味わったという。
この地獄が、まだまだ続きます。
次回は、相合傘関連の話はカットして、遂に生徒会の会計のあのキャラが登場する話です。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
今後の展開でリクエストがあれば、活動報告から承っております。