桐生悟は見守りたい   作:仮面大佐

2 / 14
第1話 かぐや様は止められたい

 話に入る前に、この男の事を語っておこう。

 桐生悟。

 生徒会長である白銀御行と同じく、高等部から秀知院に入学した男。

 彼は混院というのもあって、クラスから若干浮いていた。

 彼の朝は、6時半から始まる。

 

「ふぁぁ……………よく寝た」

 

 彼は欠伸をしながらそう言う。

 そう言いながらベッドから出ると、パジャマを脱ぎ、制服に着替えていく。

 荷物を玄関近くに置き、リビングに入ると。

 

「おお、おはよう!悟!」

「眠そうだな」

「おはよう……………」

 

 そんな風に声をかけられ、悟は眠そうに目をこすりながらそう答える。

 声をかけたのは、悟の父である桐生浩介と兄の桐生海斗だ。

 桐生家は、そこそこ繁盛している定食屋である。

 とはいえ、悟は手伝う事はあるが、基本的には定食屋としての仕事は、父と兄が行なっている。

 悟は忙しい時のヘルプとして参加している。

 そんな彼の朝食は、鯖の味噌煮、ほうれん草のおひたし、豚汁、ご飯、納豆である。

 

「はぁ……………やっぱり美味い」

「そうか!美味いか!それは良かったぜ!」

「お前は、基本的に飯は不味いって言わないもんな。ほら、弁当も作っておいたぞ」

「ありがとう」

 

 悟はそんな風に染み染みと言い、宗介がそう叫ぶ中、兄はそう言う。

 朝食を食べ終えると、食器類は父に預けて、学校に向かう。

 ちなみに、悟は自転車登校だ。

 本人曰く、バス通いはありだけど、自転車の方が安く済むとの事。

 何故、秀知院に入学したのかと言うと、進学校で補償が手厚いからだ。

 自転車を走らせて、学校に着く。

 そこから放課後までは、特に書く事はない。

 勉強して、昼飯を生徒会で食べ、勉強する。

 そんな感じだ。

 悟は混院である為、最初からいる純院の人とはあまり馴染めていない。

 純院の人で仲が良いのは、生徒会のメンバー位である。

 放課後、悟は生徒会室で仕事をしていた。

 すると、ある女の子が口を開く。

 

「ラブレター!?それで、なんて書いてあるんですか!?」

 

 口を開いた女の子は、藤原千花。

 生徒会の書記の人物で、天才ピアニストと呼ばれた女性である。

 そして、大の恋バナ好き。

 藤原がそう聞くと、かぐやは答える。

 

「その……………直接的に付き合ってくれとは書いてなかったのですが、とても情熱的な内容で、一度食事でもどうかって」

「へぇ……………そうなんですか」

「つまり、デートのお誘いって事ですか!」

 

 かぐやがそう言うと、悟と藤原の二人はそう言う。

 ただし、藤原が興味津々な中、悟は若干、興味なさげだったが。

 それを聞いていた白銀は。

 

(ふん。四宮にラブレター?バカな男も居るんだな……………。普段、この俺を見て過ごしている四宮だぞ。俺と比較すればその辺の男など、喋る雑草程度にしか映らん事に気づかなかったのか?四宮が相手にする筈もなかろうて)

 

 そんな風に考えていた。

 しれっと失礼な事を思っていた。

 そんな中、藤原はかぐやに聞く。

 

「それで……………デートするつもりなんですか?」

「もちろんです」

 

 藤原がそう聞くと、かぐやはそう答える。

 それを聞いた白銀は、シャーペンを破壊する。

 悟は、何かを察した。

 

(四宮さんの事だから、会長に引き止めさせる為の作戦だろうな)

 

 そんな風に察した。

 その一方で、白銀は。

 

(血迷ったか四宮!?そんな顔も知らない相手の誘いにホイホイ乗るなんて…………!!)

 

 そんな風に思っていた。

 その一方、四宮は。

 

「やはり、どんなに優秀で容姿の良い人だろうと、きちんと好意を形で示してくれる方でなくてはダメですよね…………。勇気を振り絞ってこんな情熱的な恋文をくれる方です。きっと好きになってしまうに違いありません」

「っ!?」

 

 四宮はそんな風に言い、白銀は驚く。

 白銀は考える。

 

(そんな事が許されてたまるか!どうにかして、四宮を止めなくては…………!!だが、どうすれば…………!もし、ここで引き留めでもしたら……………!)

 

 白銀はそんな風に思う。

 白銀の脳裏には、もし引き留めた際のビジョンが浮かんでいた。

 

『俺以外の男とデートなんて行くな、四宮!』

『あらあら。私が他の人に取られちゃうのがそんなに嫌なのですか?くすっ。お可愛い事……………』

 

 白銀が引き留めると、四宮はそんな風に言う。

 そんなビジョンが見えていた。

 

(俺が四宮を好きだと言っている様な物!告白同然の行為!それは…………それは絶対に避けねばならない!!)

(頭を机にぶつけたけど、大丈夫なのかな)

 

 白銀はそんな風に考えていた。

 ちなみに、悟はチラリと後ろを見て、そんな風に思っていた。

 その一方で、藤原と悟は。

 

「かぐやさん、本当に行っちゃうんですか……………っ?」

「へぇ……………まあ良いんじゃないんですか?」

「悟君!?」

 

 藤原がそう聞くと、悟は興味なさげにそう言い、藤原は驚く。

 悟としても、ここで横槍を入れれば、面倒な事になる気配を感じていたからだ。

 一見、節操のないただの恋愛脳にも見えるかぐやの行動……………。

 

「ええ、とても楽しみですわ。(行く訳ないでしょうが。この子、脳に花湧いているのかしら?)」

 

 四宮はそう言いながら、藤原を貶す。

 無論、ブラフ!

 

(この私をデートに誘いたいなら、国の一つでも差し出して、初めて検討に値するのよ。誰が好き好んで慈善活動なんてする物ですか)

 

 四宮はそんな風に考えていた。

 四宮とて、どこぞの馬の骨とも知らぬ男とデートに行くなどごめんである。

 これはあくまで、白銀に引き留めさせるのが目的の戦略!!

 恋愛頭脳戦!!

 恋愛関係に於いて、『好きになった方が負け』は絶対のルール!!

 好きになる、好きになられるというのは、明確なパワーバランスの序列である!

 女王蜂と働き蜂、社長と社員、王と奴隷!

 好きになるという事は、魂の隷属であり、告白とは、魂の降伏宣言に等しい!

 プライドの高い両者に於いて、自ら告白するなど、あってはならない!

 ならば、己の知略と技術を以て、相手に告白させる以外に無い!

 

(自然に四宮のデートを阻止する方法はないか?考えろ、何か手はあるはずだ!)

 

 問われる知性!

 

(無駄です会長。私は会長が頭を垂れて素直にお願いしない限り、絶対に取り消したりしません)

 

 巧妙な策略!

 それが恋愛頭脳戦!

 二人の間で繰り広げられる決闘なのである!

 

(……………また始まったよ。まあ、横槍を入れたら、何をされるかたまったもんじゃないからな)

 

 そんな中、約1名はこの恋愛頭脳戦に気づいていて、横槍を入れないと不干渉を決め込んでいた。

 すると、白銀は動く。

 

「四宮、先ほどから話が聞こえてきたのだが……………」

 

 白銀の頭脳から導き出された手段は…………。

 

「生徒会長として、不純異性交遊は推奨出来ないぞ」

 

 搦め手!

 一個人ではなく、生徒会長として意見すれば、ダメージはない!

 巧妙な切り口!

 それに対して、四宮は。

 

「不純異性交遊なんて大袈裟な。食事に行くだけですよ」

「判断するのは教師だ。裁量次第では、停学処分という事も十分あり得る。どうしても行くというのなら、そうだな……………俺から教師に話を通しておいてやろう」

「えっ!?」

「あぁ……………」

 

 四宮がそう返す中、白銀はそんな風に言う。

 教師チクリ!

 その効果は絶大であり、使った者は卑怯者のレッテルを貼られかねないリスキーな選択!

 だが白銀は、名誉よりもデートを阻止する方が重要と判断。

 その覚悟は四宮にも効いた。

 

(まさか、会長がそんな禁じ手を使うとは…………。どうやら、私もリスクを背負わなければならない様ですね。例え、親や教師にチクられ様とも……………このまま貫き通す!)

 

 四宮はそう思う。

 すると、四宮は立ちながら口を開く。

 

「構いません。それが真実の恋ならば、私は停学だろうと退学だろうと受け入れるつもりです」

「た……………退学!?」

「真実の恋にならば、身も心も捧げる覚悟はあります」

(身も心も!?)

 

 四宮はそんな風に言う。

 それを聞いた藤原と白銀は驚いた。

 ちなみに、悟は仕事を続けていた。

 すると、白銀が口を開く。

 

「ばっ……………バカな事を!!」

「バカじゃありません!向こうはこうして、熱烈な愛を伝えてきているんです!退学も覚悟で応えなくては、不義理ではないですか!」

「っ!?」

 

 白銀がそう言うと、四宮はそんな風に言う。

 すると、白銀は口を開く。

 

「ふ……………ふざけるな!だ……………だったら、だったら俺が俺がお前に告白…………!」

「っ!」

「……………を仮にしたら、仮にだぞ。その男の事は忘れるのか?」

 

 白銀はそう叫ぶと、四宮が反応する。

 念の為に釘を刺しながら、四宮にそう聞く。

 それを聞いた四宮は。

 

「…………っ。か…………可能性はあります」

 

 四宮は顔を赤くして、顔を逸らしながらそう言う。

 チラリと見ると、白銀がかなり近くに来ていた。

 

「その程度のものが、真実の恋ねぇ?」

「っ!」

「他の男に言い寄られた程度で忘れる物が真実の恋な筈がない。バカな考えは早いうちに捨てるんだな」

「可能性はあるって言っただけじゃないですか!」

「そうか、そうか。御大層な恋だな」

「〜〜〜〜っ!!(私が心配なら、なりふり構わず止めるのが道理でしょう!)」

 

 白銀はそんな風に言う。

 四宮の反論に対してもそう言う。

 四宮はそんな風に思うと、鞄を手に取る。

 

「もう知りません!本当に行くんですから!(泣くほど情熱的に告白でもされない限り、本当に行きますからね!)」

 

 四宮はそんな風に叫び、そう思いながら出て行こうとする。

 すると、四宮の肩に誰かの手が置かれる。

 

(会長…………?)

 

 白銀かと思い振り向くと、そこには涙目の藤原が居た。

 

「かぐやさんが誰かの物になっちゃうなんてやだー!!退学なんてやー!!私が告白しますからー!!愛してますから、大好きですからー!わーん!やだやだー!いなくなっちゃわないでー!!」

 

 藤原はそんな風に泣きながら四宮に抱きつく。

 ちなみに、白銀も声をかけようとしたが、藤原の圧に負けて、手を引っ込めた。

 それに対して、四宮は。

 

「あーもう!行かないから放してー!!」

 

 そんな風に叫んだ。

 それを見ていた悟は。

 

(藤原さんの前で煽りすぎたんじゃないですかね?)

 

 そんな風に思っていた。

 

本日の勝敗 かぐやの敗北




今回はここまでです。
今回は、悟の紹介兼、かぐや様は止められたいの話になります。
悟の家は定食屋という設定です。
その為、弁当は定食屋での余りです。
次回は弁当の話にしようかなと思います。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
悟のヒロインに関しては、どうするのかはまだ未定です。
考えているのは、そもそもヒロイン無しにするのか、誰かとくっつける感じです。
くっつける場合は、考えているのは早坂か、四条眞妃か、オリジナルのキャラですかね。
意見があればよろしくお願いします。

悟のヒロインはどうするか

  • 早坂愛
  • 柏木渚
  • 四条眞妃
  • オリキャラ
  • その他
  • 必要ない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。