話に入る前に、この男の事を語っておこう。
桐生悟。
生徒会長である白銀御行と同じく、高等部から秀知院に入学した男。
彼は混院というのもあって、クラスから若干浮いていた。
彼の朝は、6時半から始まる。
「ふぁぁ……………よく寝た」
彼は欠伸をしながらそう言う。
そう言いながらベッドから出ると、パジャマを脱ぎ、制服に着替えていく。
荷物を玄関近くに置き、リビングに入ると。
「おお、おはよう!悟!」
「眠そうだな」
「おはよう……………」
そんな風に声をかけられ、悟は眠そうに目をこすりながらそう答える。
声をかけたのは、悟の父である桐生浩介と兄の桐生海斗だ。
桐生家は、そこそこ繁盛している定食屋である。
とはいえ、悟は手伝う事はあるが、基本的には定食屋としての仕事は、父と兄が行なっている。
悟は忙しい時のヘルプとして参加している。
そんな彼の朝食は、鯖の味噌煮、ほうれん草のおひたし、豚汁、ご飯、納豆である。
「はぁ……………やっぱり美味い」
「そうか!美味いか!それは良かったぜ!」
「お前は、基本的に飯は不味いって言わないもんな。ほら、弁当も作っておいたぞ」
「ありがとう」
悟はそんな風に染み染みと言い、宗介がそう叫ぶ中、兄はそう言う。
朝食を食べ終えると、食器類は父に預けて、学校に向かう。
ちなみに、悟は自転車登校だ。
本人曰く、バス通いはありだけど、自転車の方が安く済むとの事。
何故、秀知院に入学したのかと言うと、進学校で補償が手厚いからだ。
自転車を走らせて、学校に着く。
そこから放課後までは、特に書く事はない。
勉強して、昼飯を生徒会で食べ、勉強する。
そんな感じだ。
悟は混院である為、最初からいる純院の人とはあまり馴染めていない。
純院の人で仲が良いのは、生徒会のメンバー位である。
放課後、悟は生徒会室で仕事をしていた。
すると、ある女の子が口を開く。
「ラブレター!?それで、なんて書いてあるんですか!?」
口を開いた女の子は、藤原千花。
生徒会の書記の人物で、天才ピアニストと呼ばれた女性である。
そして、大の恋バナ好き。
藤原がそう聞くと、かぐやは答える。
「その……………直接的に付き合ってくれとは書いてなかったのですが、とても情熱的な内容で、一度食事でもどうかって」
「へぇ……………そうなんですか」
「つまり、デートのお誘いって事ですか!」
かぐやがそう言うと、悟と藤原の二人はそう言う。
ただし、藤原が興味津々な中、悟は若干、興味なさげだったが。
それを聞いていた白銀は。
(ふん。四宮にラブレター?バカな男も居るんだな……………。普段、この俺を見て過ごしている四宮だぞ。俺と比較すればその辺の男など、喋る雑草程度にしか映らん事に気づかなかったのか?四宮が相手にする筈もなかろうて)
そんな風に考えていた。
しれっと失礼な事を思っていた。
そんな中、藤原はかぐやに聞く。
「それで……………デートするつもりなんですか?」
「もちろんです」
藤原がそう聞くと、かぐやはそう答える。
それを聞いた白銀は、シャーペンを破壊する。
悟は、何かを察した。
(四宮さんの事だから、会長に引き止めさせる為の作戦だろうな)
そんな風に察した。
その一方で、白銀は。
(血迷ったか四宮!?そんな顔も知らない相手の誘いにホイホイ乗るなんて…………!!)
そんな風に思っていた。
その一方、四宮は。
「やはり、どんなに優秀で容姿の良い人だろうと、きちんと好意を形で示してくれる方でなくてはダメですよね…………。勇気を振り絞ってこんな情熱的な恋文をくれる方です。きっと好きになってしまうに違いありません」
「っ!?」
四宮はそんな風に言い、白銀は驚く。
白銀は考える。
(そんな事が許されてたまるか!どうにかして、四宮を止めなくては…………!!だが、どうすれば…………!もし、ここで引き留めでもしたら……………!)
白銀はそんな風に思う。
白銀の脳裏には、もし引き留めた際のビジョンが浮かんでいた。
『俺以外の男とデートなんて行くな、四宮!』
『あらあら。私が他の人に取られちゃうのがそんなに嫌なのですか?くすっ。お可愛い事……………』
白銀が引き留めると、四宮はそんな風に言う。
そんなビジョンが見えていた。
(俺が四宮を好きだと言っている様な物!告白同然の行為!それは…………それは絶対に避けねばならない!!)
(頭を机にぶつけたけど、大丈夫なのかな)
白銀はそんな風に考えていた。
ちなみに、悟はチラリと後ろを見て、そんな風に思っていた。
その一方で、藤原と悟は。
「かぐやさん、本当に行っちゃうんですか……………っ?」
「へぇ……………まあ良いんじゃないんですか?」
「悟君!?」
藤原がそう聞くと、悟は興味なさげにそう言い、藤原は驚く。
悟としても、ここで横槍を入れれば、面倒な事になる気配を感じていたからだ。
一見、節操のないただの恋愛脳にも見えるかぐやの行動……………。
「ええ、とても楽しみですわ。(行く訳ないでしょうが。この子、脳に花湧いているのかしら?)」
四宮はそう言いながら、藤原を貶す。
無論、ブラフ!
(この私をデートに誘いたいなら、国の一つでも差し出して、初めて検討に値するのよ。誰が好き好んで慈善活動なんてする物ですか)
四宮はそんな風に考えていた。
四宮とて、どこぞの馬の骨とも知らぬ男とデートに行くなどごめんである。
これはあくまで、白銀に引き留めさせるのが目的の戦略!!
恋愛頭脳戦!!
恋愛関係に於いて、『好きになった方が負け』は絶対のルール!!
好きになる、好きになられるというのは、明確なパワーバランスの序列である!
女王蜂と働き蜂、社長と社員、王と奴隷!
好きになるという事は、魂の隷属であり、告白とは、魂の降伏宣言に等しい!
プライドの高い両者に於いて、自ら告白するなど、あってはならない!
ならば、己の知略と技術を以て、相手に告白させる以外に無い!
(自然に四宮のデートを阻止する方法はないか?考えろ、何か手はあるはずだ!)
問われる知性!
(無駄です会長。私は会長が頭を垂れて素直にお願いしない限り、絶対に取り消したりしません)
巧妙な策略!
それが恋愛頭脳戦!
二人の間で繰り広げられる決闘なのである!
(……………また始まったよ。まあ、横槍を入れたら、何をされるかたまったもんじゃないからな)
そんな中、約1名はこの恋愛頭脳戦に気づいていて、横槍を入れないと不干渉を決め込んでいた。
すると、白銀は動く。
「四宮、先ほどから話が聞こえてきたのだが……………」
白銀の頭脳から導き出された手段は…………。
「生徒会長として、不純異性交遊は推奨出来ないぞ」
搦め手!
一個人ではなく、生徒会長として意見すれば、ダメージはない!
巧妙な切り口!
それに対して、四宮は。
「不純異性交遊なんて大袈裟な。食事に行くだけですよ」
「判断するのは教師だ。裁量次第では、停学処分という事も十分あり得る。どうしても行くというのなら、そうだな……………俺から教師に話を通しておいてやろう」
「えっ!?」
「あぁ……………」
四宮がそう返す中、白銀はそんな風に言う。
教師チクリ!
その効果は絶大であり、使った者は卑怯者のレッテルを貼られかねないリスキーな選択!
だが白銀は、名誉よりもデートを阻止する方が重要と判断。
その覚悟は四宮にも効いた。
(まさか、会長がそんな禁じ手を使うとは…………。どうやら、私もリスクを背負わなければならない様ですね。例え、親や教師にチクられ様とも……………このまま貫き通す!)
四宮はそう思う。
すると、四宮は立ちながら口を開く。
「構いません。それが真実の恋ならば、私は停学だろうと退学だろうと受け入れるつもりです」
「た……………退学!?」
「真実の恋にならば、身も心も捧げる覚悟はあります」
(身も心も!?)
四宮はそんな風に言う。
それを聞いた藤原と白銀は驚いた。
ちなみに、悟は仕事を続けていた。
すると、白銀が口を開く。
「ばっ……………バカな事を!!」
「バカじゃありません!向こうはこうして、熱烈な愛を伝えてきているんです!退学も覚悟で応えなくては、不義理ではないですか!」
「っ!?」
白銀がそう言うと、四宮はそんな風に言う。
すると、白銀は口を開く。
「ふ……………ふざけるな!だ……………だったら、だったら俺が俺がお前に告白…………!」
「っ!」
「……………を仮にしたら、仮にだぞ。その男の事は忘れるのか?」
白銀はそう叫ぶと、四宮が反応する。
念の為に釘を刺しながら、四宮にそう聞く。
それを聞いた四宮は。
「…………っ。か…………可能性はあります」
四宮は顔を赤くして、顔を逸らしながらそう言う。
チラリと見ると、白銀がかなり近くに来ていた。
「その程度のものが、真実の恋ねぇ?」
「っ!」
「他の男に言い寄られた程度で忘れる物が真実の恋な筈がない。バカな考えは早いうちに捨てるんだな」
「可能性はあるって言っただけじゃないですか!」
「そうか、そうか。御大層な恋だな」
「〜〜〜〜っ!!(私が心配なら、なりふり構わず止めるのが道理でしょう!)」
白銀はそんな風に言う。
四宮の反論に対してもそう言う。
四宮はそんな風に思うと、鞄を手に取る。
「もう知りません!本当に行くんですから!(泣くほど情熱的に告白でもされない限り、本当に行きますからね!)」
四宮はそんな風に叫び、そう思いながら出て行こうとする。
すると、四宮の肩に誰かの手が置かれる。
(会長…………?)
白銀かと思い振り向くと、そこには涙目の藤原が居た。
「かぐやさんが誰かの物になっちゃうなんてやだー!!退学なんてやー!!私が告白しますからー!!愛してますから、大好きですからー!わーん!やだやだー!いなくなっちゃわないでー!!」
藤原はそんな風に泣きながら四宮に抱きつく。
ちなみに、白銀も声をかけようとしたが、藤原の圧に負けて、手を引っ込めた。
それに対して、四宮は。
「あーもう!行かないから放してー!!」
そんな風に叫んだ。
それを見ていた悟は。
(藤原さんの前で煽りすぎたんじゃないですかね?)
そんな風に思っていた。
本日の勝敗 かぐやの敗北
今回はここまでです。
今回は、悟の紹介兼、かぐや様は止められたいの話になります。
悟の家は定食屋という設定です。
その為、弁当は定食屋での余りです。
次回は弁当の話にしようかなと思います。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
悟のヒロインに関しては、どうするのかはまだ未定です。
考えているのは、そもそもヒロイン無しにするのか、誰かとくっつける感じです。
くっつける場合は、考えているのは早坂か、四条眞妃か、オリジナルのキャラですかね。
意見があればよろしくお願いします。
悟のヒロインはどうするか
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早坂愛
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柏木渚
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四条眞妃
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オリキャラ
-
その他
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必要ない