MY NAME IS KAISEN... JUJUTSU KAISEN!!! 作:ごごてぃー
「釘崎野薔薇 喜べ男子紅一点よ」
「………」
「伏黒恵」
「ちょっと、そこのあんた自己紹介ぐらいしなさいよ」
「まーこれから長い付き合いになるかもだし、体験してもらったほうが早いかもね。KAISEN、自己紹介しちゃって」
「HEY YOU!!! MY NAME IS KAISEN... JUJUTSU KAISEN!!!」
「…なんなのコイツ」
☆
憧れの東京、そしてこれから長い付き合いになるだろう同級生のインパクト抜群な自己紹介。
特に後半に感情を揺さぶられはしたが、その
「縛り、ねぇ」
「五条先生が言うには、だが。正直KAISENについてわかってることは少ない。もしかしたらなんらかの術式や中にいる呪いの影響なのかもしれない」
五条先生もあんまり自信ないって言ってたしな、と黒髪ツンツンの少年は付け加えた。
KAISENという田舎では見かけない名前の少年についての
「それにしても何がどうなったらこんな意味不明な言動が出来上がるのよ」
現状わかっている、KAISENが喋れる言葉が記されたメモ、通称KAISENメモ(伏黒恵作)の内容はあまりにも意味不明すぎる。
仮に何者かがKAISENをネットで適当に翻訳したような語彙しかない存在に変えたとするのなら、そいつは何を考えていたのだろうか。
そんな疑問をこめ、奇怪な話し方をする少年、KAISENをじろりと睨む。
が、それは当然答えられることはなかった。
「喋ることもできなければ、筆談、絵、手話もできず、文字を目線で追って読み取ってもらうこともできない。*1間違いなく一般の仕事にはつけないだろうね。呪術師なら話は別だけど」
「五条先生が言うと説得力が違いますね」
「恵ー、それってどういう意味?」
「そのままの意味です」
「KAISENのときのことはもう謝ったじゃん*2」
「俺はまだ許していないです」
「殴らせろって言われて、素直に殴られる人間も珍しいと思うけどね」
ま、それは置いといて、と白髪の男は無理矢理話を変えた。
付き合いが短い私でもこの男がろくに謝らなかったであろうことは簡単に予測できた。
「目的地に着きました!君たちにはこれから呪いを祓ってもらいまーす」
☆
どうやら新しい教師は地方民にとって、東京がどれだけ大きいのかわかっていないらしい。
新しい教師、五条悟に六本木に行くと騙されてついていった先は場所は廃ビルだった。
流石に、こう、なんか、もっと東京らしい場所に連れて行ってほしいと思う。
…田舎暮らしからすれば廃ビルも東京らしい場所と言えなくもない所がなんとも悲しい。
「あーもう、なんで東京来てまで呪いの相手なんか……」
せっかくあのクソ田舎から出てきたというのに、呪いの相手だなんて冗談じゃない。
それに一緒に呪いを祓う相方も相方だった。
この相方の奇妙な言動に気持ち悪い、とかそういう感情を持っているわけではない。
しかし、会話が成立しないだけならまだしも、意味のわからない(もしくはわかりにくい)言葉を連呼されて辟易しないほど精神が強靭じゃなかった。
「も
「なに?あんた慰めてくれてんの?」
しかし、こんな中でもいいニュースがあるとすれば、この小学生が思いつきそうな呪いにかかった少年は、(言動は変だが)案外優しいのだ。
別に厳しくされることに喜ぶ一部の人間じゃないので、優しいに越したことはない。
現状からすれば明日の天気のような些細なニュースではあるが。
「あんた放置して私一人で行動するわけにはいかないわよね…」
話を聞く限りでは、この少年は少し前まで一般人だったらしい。
間違いなく、呪霊との戦いなんてしたことはないだろう。
一人で行動させるにはかなり不安だ。
本当に仕方なくだが、今日観光するのはあきらめて呪いを祓うことに専念しよう。
───────
「五条先生はKAISENのことどう思ってますか?」
「どうって?」
自称JUJUTSU KAISEN、戸籍上は虎杖悠仁。
同級生に話を聞いて回った限りでは、少し前までは普通だったらしい。
しかし、自分たちと接触する少し前から、急に人が変わったような奇妙な言動を始めたとのことだ。
調べた限りでは、豹変する前に、何者かとの接触した記録もない。
つまり、宿儺の器として覚醒した経緯が不明なのだ。
少し前まで何も知らない一般人だった人間が、唐突に宿儺の器として覚醒することなどあり得るのだろうか?
「KAISENには怪しい点が多すぎます」
「そうだね。呪力の禍々しさもそうだけどさ、宿儺の器ってのがヤバすぎる」
KAISENの中に眠る呪いの正体、史上最強の術師、両面宿儺。
その強さは
そんな怪物が復活したらその被害は計り知れない。
そして、悲しいことに世の中にはそんな怪物の復活を望む者たちがいるのだ。
「でもさ、僕はKAISENは悪い奴じゃないと思うよ」
「その点については俺も同意します。ですが、KAISENが何者かに利用されている可能性があります」
接触した記録がないのはあくまで調べた限りの話だ。
仮に完璧に痕跡を消し去った相手がKAISENの背後にいるのならかなり面倒だ。
「そのために、僕がいるんだよ。それに…」
「?」
「僕の勘だけど、KAISENは自分の意思で行動していると思うよ」
「…念のためKAISENから眼を離さないでください」
「もちろん。若人から青春を取り上げるなんて、許されていないんだよ。何人たりともね」
☆
「この部屋の中に呪霊いるから、あんた絶対入るんじゃないわよ」
「ソカモナ!」
「それは”わかった”って意味ね?」
「ソカモナ!」
正直、舐めていた。
任務を、ではない。KAISENのことをだ。
もちろん、悪い意味で。
会話が大変だ。すごく大変だ。
そのうえ、KAISENの方に呪霊がいかないように気を遣って戦わないといけない。
呪術師としては成長できるいい機会なのかもしれないが、将来、呪術師になるつもりはない私には、余計なお世話だ。
「おいそこの呪い」
マネキンに紛れて立っている呪霊に話しかける。
しかし、動きはない。バレていないとでも思っているのだろうか。
まぁいいか。KAISENもいることだし、先制攻撃しておこう。
「死ねや」
マネキンの呪霊の頭に釘が突き刺さる。
と言っても接近して直接打ち付けているわけではない。
さながらおはじきのように、金槌で釘を飛ばして、呪霊に突き刺すのだ。
しかし、釘が頭に突き刺さってもマネキンの呪霊は平然としていた。
やはり、都会の呪いは一味違うようだ。
だが、私の敵ではない。
突き刺した釘を起点に私の呪力が流れ込み、マネキンの呪霊の頭部を完全に破壊する。
流石に都会の呪霊もこれには耐えられないらしく、崩れ落ちるように倒れていった。
呪力は感じない。完全に祓えたようだ。
「KAISEN、こっち来ていいわよ」
KAISENをよんだ直後、強力な呪いの気配を感じた。
「よ、んだ。?」
「…最悪」
呪霊の傾向として、人型の方が強くなりやすい。
それは呪霊の生まれ方と関係があるのだろう。
そしてこの呪霊はほとんど人型だ。
さっきのようなマネキンにとりついていた呪霊とはレベルが違う。
呪力だけなら、一級呪霊クラスだ。
だが、一級呪霊にしては、頭がお粗末だ。
おそらく、最近自殺した人間から生まれたのだろう。
「KAISEN、外にいる男たち呼んできてくれる?私なら多少は持つから」
流石に今の私にこの呪霊に勝てる程の力はない。
つまり、今の最善は外にいるKAISENに応援を呼んできてもらうこと。
応援が来るまでは気合で耐える。
「私、久しぶりです」
「…え?」
この少年は何をやっているのだろうか?生まれたばかりとはいえ、相手は一級呪霊だ。
間違いなく、呪術師になったばかりの一般人が勝てるわけない。
「あんた、なにやってんの!?!?」
このままいても二人とも無駄死にするだけだ。
この場での最善は外から応援を呼ぶこと。
しかし、KAISENは応援を呼ぶ気がないようだ。
「エネルギー…吸収…」
KAISENが何かを呟いた途端、ぱん、と呪霊がはじけ飛んだ。
その呪霊が存在した痕跡は、文字通りチリ一つ残っていなかった。
「…は?」
男どもが嘘をついたのだろうか。
KAISENが少し前まで一般人だったなんて考えられない。
というか、こんな一般人がいてたまるか。
「…はぁぁぁぁぁ!?!?ふざけんな!あんためちゃくちゃ強いじゃない!?なんで言ってくれなかったのよ!?」
「」
戦わせなかったのも私だし、KAISENが自分のことを伝えられないのも知っているがムカつくものはムカつく。
もし、最初から戦わせていたらどれだけ早く終わっていたのだろう。
というか、当然のように無視するな。
いや、謝ったら謝ったで怒るのだが。
とにかく、今からでもKAISENを積極的に戦わせたら観光できる時間をなんとか捻出できるかもしれない。
そう考え、強引に歩を進める。
「あんた、なに突っ立ってんの?」
「?」
「さっさと戦って、肉食うわよ!に!く!」
「ソカモナ!」
そのあと、二手に分かれて呪霊を祓った。
KAISENの力で本当に一瞬で終わった。
本当に最初から戦わせておけばよかった…。