人を弄るのが好きなマスターの話   作:あまいろ+

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結成バンザイ!って話

 

 

「…ここは?どこだ?」

 

藤丸立香は目を覚ますと白い天井が視界一面に広がっていた。

 

白を基調とした部屋、消毒液の匂い。

 

自分が寝ている部屋が医務室である事は簡単にわかった。

 

「お目覚めになりましたか、調子はいかがですか?」

 

ふと俺の横から聞こえる声はとても慈愛に満ちた声であった。

 

声の主を確認するために目を向ける。

 

そうだった。昨日は彼女の…。

 

「あぁ…まるで8ヵ月ぐらい休んだみたいだよ」

 

俺がなぜ医務室で寝ている理由を説明するには昨日のことを思い出さなければいけないだろう。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

某日!

 

それは何度も非情に過ぎ去った『源頼光』のピックアップの日であった。

 

立夏はいつものように溶岩水泳部のメンバー、清姫と静謐のハサンを連れて召喚ルームに訪れていた。

 

「さぁ用意はいいか野郎ども!!」

 

「「おー!!」」「「ぉー…」」

 

「そこ!声が小さいぞ!」

 

「「おー」」

 

「エミヤ!ブーディカ!そんな気合で頼光が来ると思ってるのか!見てみろ清姫と静謐ちゃんの姿を!」

 

「そうです!わたくしたちは気合十分です!」

 

「…フンスフンス!」

 

マスターの呼びかけに気合十分の彼女たちは、頼光のコスチュームを模した法被を着ており、頭にはサイリウム、手には団扇を装備していた。

 

団扇には「頼光手を振って!」「招雷して!」「虹が見たい!」といった文字がプリントされている。

 

「気合十分なのは見てわかるけど私たちあんまり必要なくない?」

 

「何を言っている!?マイルームには金時を配置、召喚ルームには溶岩水泳部の仲間たちを配置、そして足りないママ味をお前らで補っているんだ!」

 

「絶対必要ないよそれ!?」

 

「それに昨日渡した『頼光さんお出迎え法被』はどこに置いてきたんだ!」

 

「あれは昨日改造してキッチンミットになって大活躍しているわ」

 

「そんなあったら便利だけどあまり使わない調理用品にしやがって…。清姫や静謐ちゃんはもちろんエミヤだってとても気合の入った格好をしているじゃないか!」

 

「いや、うんそれは…、そうなんだけど」

 

「そんなエミヤから一言!」

 

「今すぐ部屋に帰りたい」

 

「なぜだ!?」

 

「あんまりです!」

 

「…何に不満が?」

 

「この源頼光の恰好をさせられている私を見てわからないかね?」

 

そう、彼は今これから召喚をする源頼光と同じ格好をしている。

 

もちろん自分の意志ではない。マスターに無理やり着せられているのだ。

 

「……似合ってるよ?」

 

「私の目を見て言いたまえ」

 

目が死んではるわ。

 

「だがそんな目には負けん!」

 

そう、負けられないんだ!

 

「俺はたとえこのガチャで爆死しようが、爆死したのちエミヤに頼光(水着)の格好させようが止まるわけには行かないんだ!!」

 

「おい!今とんでもない言葉が聞こえたぞ!?」

 

「素敵ですますたぁ…」

 

「…一生憑いていきます」

 

「わかった、君たちの頭が爆死していることがとてもわかった」

 

「ではエミヤも納得したことで召喚開始だ!」

 

「納得していないぞ!?」

 

「今日のマスター暴走してるから諦めな…」

 

「ブーディカ!?私の尊厳の話だぞ!?」

 

「今回も爆死をするというのなら、ことごとくを凌駕してその存在を叩き落そう。行くぞ源氏の棟梁、天井になる準備は十分か?」

 

「…ブーディカ、私はこのガチャが終わったらしばらく有休を取ろうと思うんだが」

 

「…ゆっくりしてきな」

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「まずは10連!」

 

「アマゾネス女王、ペンテレイシア。召喚に応じ参上した。……まず聞くがアキレウスがいるなら出せ。隠し立てすると殺す」

 

「宝具レベル4!!アキレウスはこの部屋出て右!その突き当りを左!そしてそっから見える左側通路の3番目の部屋!もう来るな!!」

 

「ア…アキレウスゥゥゥーー!!!」

 

「…エミヤ、あれヤバくない?」

 

「我々は何も見ていない」

 

ーーーーー

 

「そして20連目!」

 

「全てを燃やし、何もかも喰らい尽くしてやる……!」

 

「宝具レベル12!!ジャックはここから左に出て2つ目の通路を右!てゆうか12回も来てればわかるだろ!!」

 

「ジャ…ジャックゥゥゥーー!!!」

 

「あれはほっといてもいいよね?」

 

「大丈夫だろう」

 

ーーーーー

 

「はい30連目!」

 

「……ウゥゥゥゥゥ」

 

「フランちゃんいらっしゃい!よく来たね!!」

 

「ウゥゥ」

 

「いらっしゃいフランケンシュタイン」

 

「これからよろしく頼む」

 

「ウー……」

 

ーーーーー

 

「40連目!」

 

「全てを燃やし、何もかも喰らい尽くしてやる……!」

 

「以下省略!!ハウス!!!」

 

「何度も出てきて恥ずかしくないんですか?」

 

「…恥を知るべき」

 

「ウー!(涙目)」

 

「流石に酷い」

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「クソ!出てこない!何が足りないんだ!?」

 

「人を思いやる心などではないか?」

 

「なんだぁ?お前の設定資料を全サーヴァントの前で音読してやっても良いんだぞ?」

 

「そういうところだろうが!?」

 

「ママ味か?母性が足りないのか!?クソッキアラ呼んで来い!!」

 

「ますたぁ!彼女は母性ではなくただの年増です!」

 

「…マスター落ち着いてください彼女が与えられるのは何一つありません」

 

「……その通りだ。悪かった、おかげで少し落ち着けたよ。」

 

「これ本当に仲間を増やそうとしている人の会話なのかしら?」

 

「よし気を取り直して50連目!」

 

「あら騒がしいわね?」

 

「エレナさん」

 

「あっちこっち騒がしくて嫌になっちゃうわ」

 

「何かあったのかね?」

 

「あったわよ!ある部屋では流血騒ぎ、レクリエーションルームでアタランテオルタがすすり泣いていたし、モリアーティ教授なんかやたらテンションが高くなっていて、シゲルソンにシメられていたりと本当に騒がしかったわ」

 

「それは大変だったねエレナさん」

 

「このマスター、白々しすぎる」

 

「それで静かなところを探してたらここに来たってわけ」

 

「そしたらこっちの椅子に座って休むといいよ」

 

「あら、ありがとう」

 

「…よし清姫捕まえろ」

 

「了解しました」ガシィ

 

「なにするのよ!?離しなさい!…いや力強!!」

 

「これでもバーサーカーですから」

 

「よしこれからエレナブラヴァッキーのママ味を触媒にして源頼光を召喚する」

 

「ちょっと!そんなことできるわけないでしょ、そんな非科学的なこと!」

 

「マハトマが何言ってんだ」

 

「マハトマはいるもの!」

 

「さぁレッツトライ」

 

石と触媒を用いて召喚装置を起動する。

 

起動し光始めると、

 

「これは!?」

 

「「「「「虹だ!!!!!」」」」」

 

装置から発せられる虹色の光。

 

皆が希望をもってその光の様子を見つめる。

 

そして、光が激しくなり部屋を虹色の光が一瞬大きく包みこんだ。

 

「召喚できたのか!?」

 

徐々に光が小さくなっていき、その中に人影が現れる。

 

その人物は

 

「こんにちは、愛らしい魔術師さん。サーヴァント、セイバー……あら? あれ? 私わたくし、セイバーではなくて……まあ。あの……源頼光みなもとのらいこうと申します。大将として、いまだ至らない身ではありますが、どうかよろしくお願いしますね?」

 

まさに待望した源氏の棟梁、源頼光その人であった。

 

「…あのマスター、お久しぶりです。その…き、来ちゃいました♪」

 

「……う……だ……」

 

「え?」

 

「宴だーーー!!!」

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「あぁそうだった」

 

確か頼光さんを無事召喚できた喜びのまま、召喚ルームのメンバーを引き連れて教授のバーに向かったんだっけ。

 

溶岩水泳部やキッチン組と一緒にお迎え会をしたり、

 

一番の功労者のエレナさんを神棚に飾り、酒を樽ごとお供えしたり、

 

同じくフランが召喚されてテンションがぶちあがった教授と一緒にはしゃぎ倒したりしてたら疲れて眠ってしまったんだ。

 

「頼光さんが連れてきてくれたの?」

 

「はい、マスターが眠ってしまわれたのでエミヤさんに案内してもらってこちらまで運ばせてもらいました」

 

「そっか、ありがとう」

 

「……マスター、ひとつ聞いても?」

 

「いいよ」

 

「あの会の皆様に聞きました、マスターが私を呼ぶためにたくさん苦労されていたことを。始まりのきっかけは私だったとはいえ、なぜこんなにも尽力してくださったのですか?」

 

「……簡単だよ、楽しいと思ったからだ」

 

「それだけで?」

 

「大切なことだよ、一緒に遊んだり、戦ったり、問題を起こしたり、起こされたりと一緒にいて楽しそうだったから呼んだんだ」

 

「…そんなあなただからこそ私も呼んで欲しかったのですかね…」

 

「それはわからないけど、俺が呼んで答えたからには全力で迷惑かけるからな?」

 

「ふふっ困ったマスターですね」

 

…さてそろそろ医務室もお暇するかな。

 

でも何で医務室なんだ?エミヤが案内したなら俺の自室に運んでくれれば良いのに。

 

コンコン

 

「はーい」

 

「失礼いたします」

 

「あれナイチンゲール?」

 

「おはようございます、早速ですが治療を開始します」

 

「ちょっと待った、手をボキボキ鳴らしながら近づくのは治療の準備じゃない」

 

「安心してください、絶対に貴方を救います。…貴方の命を奪ってでも」

 

「いやこうして医務室にいるけど健康なんだって!?」

 

「多数のサーヴァントから聞きました。昨日から司令官の様子がおかしいと」

 

「誰だ病院に密告したやつは!?心当たりが多すぎる!!」

 

「まずは頭蓋を取り外し患部を摘出します」

 

「まずでやっていい手順じゃない」

 

「貴方には治療が必要です。おとなしくして、痛みは生命活動の証です」

 

「助けてバーサーカー!!」

 

「安心してください、必ず助けます」

 

「おまえじゃねぇよ!いや、俺の言い方も悪かったけど!頼光さんヘルプ!」

 

「すいませんマスター、エミヤさんやブーディカさんから手を出すなと言われていまして…」

 

「くそぅやはりあの2人か!!」

 

「それに…」

 

「それに?」

 

「マスターなら逃げられるだろう、と」

 

「嫌な信頼のされ方!!」

 

「本格治療を開始します、覚悟は宜しいですね?」

 

「やべぇ!スキル発動させやがった!?我の十八番!三六計逃げるに如かず!」

 

そうして俺は医務室から脱出し楽しい鬼ごっこを命がけでするのだった。

 

……楽しくないわ!




FGO作品16作目
母の日作品です
祝日みたいな日はネタがでていいね
全然母の日じゃないけど
拙き作品ですが宜しくお願いいたします
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