人を弄るのが好きなマスターの話   作:あまいろ+

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発明家には気を付けようって話

 

「暇だ……」

 

いつものカルデアのマイルーム。

 

白を基調とした(しすぎた)飾り気のない部屋。

 

しかし立香には自分が落ち着ける大切な場所である。

 

立夏はここである不満を抱えていた。

 

「暇すぎる……」

 

現在カルデアでは新しい特異点を探している最中の為、立香にはお休みが出されていた。

 

当然、立夏には手伝えるわけはなくこうして暇をもて余しているわけなのだが、

 

朝のミーティングをして、日課の種火周回を終え、サーヴァント達も今日は誰も来ない。

 

「騒ぎが起きないとこうも静かなんだなぁ」

 

なんて感慨深く思ってみる。

 

いつもなら、やれインドの兄弟喧嘩だの、やれエリちゃんsがライブを始めただの、やれランサーが自害しただのと望んでなくても問題が山ほど来て騒がしい日々なのだが、今日は自分の独り言が少し部屋に響く音しか聞こえない。

 

もうこのまま寝てしまおうかとその時、部屋の扉からノックが聞こえた。

 

「いるかね?マスター?」

 

どうぞーとベッドに寝転がりながら答える。

 

「ご機嫌ようマスター、今時間はいいかな?」

 

と、筋骨隆々のライオンヘッドことエジソンが入って来た。

 

「ぜんぜん暇してたから大丈夫だよ」

 

「ならよかった。早速だが少し頼みたいことがあるんだが」

 

そういうとエジソンは申し訳なさそうに……してねぇや。なんかちょっと自慢気に、

 

「今作っている発明品が完成しそうなんだが、私としたことが素材が足りなくなってしまってね。よければ少しとってきてくれないか?」

 

「よくってよ」

 

「…何故エレナ君の真似をしたのかわからないが、助かるよマスター」

 

いつもなら忙しいから(面倒ともいう)断るが、あいにく今は暇をもて余してる。

 

発明に付き合って欲しいより全然まともだ。

 

「それで何が欲しいの?」

 

「無間の歯車があと10個程欲しい」

 

「ん、わかったよ」

 

そしたらロンドンかなぁ。オートマタだからキャスター呼んでくるか。

 

頭の中で編成を考えながらふと気づく。

 

「エジソンは来ないの?」

 

「あぁ、私は今作っている発明品が気がかりだから遠慮しておく」

 

「弁護士の準備をしておけよ?」

 

「ちょっと待て!?何故訴える準備をするのだ!」

 

当たり前だ。自分の発明のためなのに自分は行かないとのたまうのだ。相性有利のくせに。

 

「ならマスターの欲しい物を作っておこうじゃないか!これでいいだろう!?」

 

「欲しい物ねぇ」

 

欲を言えば無論石なのだが、それをエジソンに言ってもしょうがない。特に欲しい物はないのだが。

 

ふとエジソンを見てみる。

 

SFチックな衣装。ムキムキの手足。肩から生えているランプ。ふさふさのたてがみ。

 

ふさふさのたてがみ。

 

「……バリカンかなぁ」

 

「人の頭を見ながら言わないでくれないか!?」

 

それほど罪深いということだ。

 

しょうがないのでコーヒーメーカーを頼んでおく。うちには岩窟王はいないのだ。

 

「じゃぁ行ってくるよ」

 

「頼んだぞ、マスター」

 

そう言って部屋を出ていこうとするエジソンに、

 

「任せなさい☆」

 

と言ってみた。ウインク付きで。

 

何故か渋い顔されたので、絶対バリカンを用意すると心に誓った。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

さぁやって来ましたロンドンに。

 

「おかあさん解体したよ?」

 

「こっちも大体終わったぜ」

 

「うむ、蒸気機関良好である」

 

あのあと食堂や廊下で暇してたサーヴァントを誘ってロンドンにやって来た。

 

賭け事に精を出していたクーフーリン(槍無)

 

「今変な注釈入んなかったか?」

 

廊下でうろうろしていたバベッジ。

 

「(蒸気音)」

 

ロンドンに行くと言ったら、私達も行きたいと言ったジャック。

 

「おかあさん、解体したら素材が出たよ?」

 

そして、

 

「………チーン」

 

ただの屍(三徹明けのシェイクスピア)

 

この三人+屍のサーヴァントとロンドンに来ました。

 

「そのおっさん死にかけてないか?」

 

クーフーリンとバベッジが編成に決まった際にちょうど書斎の前を通ったのだ。

 

中を覗くと白目を向いたシェイクスピアがソファで横たわっていたので、ついてきてもらった。

 

バスターのサポートは必要だからね!

 

許可?ちゃんとロンドン行こって言ったよ?

 

沈黙は肯定と同じ意味だもんね♪

 

さっきから度重なる戦闘でさらに限界が来たのか、地面に突っ伏しているシェイクスピアをクーフーリンが心配して聞いてくる。

 

「大丈夫だよ、たしかアレ持ってきたから」

 

皆がアレって?というハテナマークを出しながら立夏の行動を見ている。

 

立夏はゴソゴソと荷物を漁り赤い注射器みたいなものを取り出す。

 

「とりあえず首でいいかな」

 

と、サーヴァントが制止する前に地面に寝ているシェイクスピアの首に魔術髄液をぶちこむ。

 

するとシェイクスピアは痙攣を起こし、治まると無言で立ち上がった。白目を向きながら。

 

「ほら、シェイクスピアもまだ行けるってさ!まだたくさん魔術ずい…お薬あるからまだまだたくさん行けるね!」

 

 

というと、立香はシェイクスピアの背中をバンバン叩きながら皆に笑顔を向ける。

 

ジャックは「元気になってよかったね!」と喜ぶが、他の二人は喜びよりも恐怖を覚えたのは言うまでもない。

 

その後の戦闘は白目を向きながら、黙ってスキルと宝具を発動させ続ける機械より機械らしい英雄がいたとか。

 

 

「これで全部かな皆ありがとう、お疲れ様!」

 

最後の戦闘が終わりサーヴァント達を労うと、

 

「あー疲れた」「楽しかったね」「戦闘終了 蒸気機関冷却中」「アバババババババ」

 

と、皆好きに力を抜いている。

 

途中から魔術髄液を打ちまくったシェイクスピアは口から泡を吹いているが、動いているから大丈夫だろう。

 

「これで目標は達成かな」

 

「そういえば坊主、その素材何に使うんだ?」

 

強化か?再臨か?

 

なんて聞かれるので

 

「違うよ、エジソンに頼まれたんだ。素材がないから調達して欲しいって」

 

その話を聞いていたのかバベッジがビクっとする。

 

「……マスターよ、とりあえず端末で今カルデアにある素材の数を数えて欲しい」

 

「素材の数?」

 

端末を起動し、素材の数を確かめる。

 

「えーと無間の歯車が……」

 

その数に驚愕する 。

 

「……0個」

 

あり得ない。ほとんどの素材が30個以上はあるのだ。しかし無間の歯車だけ0個。どういうことだ?

 

「実は私もエジソンを探していてな。数日前に大量の無間の歯車を嬉しそうに持って行くエジソンを見てな。それを問いただそうとしたのだが」

 

今回周回に誘った時にバベッジはただふらふらしていたわけではないということだ。

 

ふらふらしてたのではなくエジソンを探していたのだ。

 

以前、奇奇神酒を勝手に持ち出し宴を開いていたサーヴァントがいたのだ。まぁそのサーヴァントはスパルタクスの刑に処したのだが…。

 

そうじゃなくても素材の持ち出しは禁止されている。

 

ということはあの動物頭、素材を持ち出した挙げ句、足りなかったからまた持ってこいと言ったのか?

 

「……上等だよ」

 

訴訟や丸刈りなんて生ぬるい。

 

加工品にしてやるよ。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「ただいまエジソン」

 

「おぉ!戻ったかマスター!素材は集まったか?」

 

「もちろん、ちゃんと集めてきたよ」

 

「これでやっと完成させることができる!」

 

「ところで聞きたいんだけど」

 

「なんだね?マスター?」

 

「倉庫にあった無間歯車持って行った?」

 

「あぁすまない!しかし大いなる発明には仕方がなかったんだ」

 

「そっか!じゃぁ仕方ないね!」

 

「そうとも!」

 

「「あはははははははははは」」

 

「……ところでエジソン」

 

「なにかな?マスター?」

 

「頭の壁飾りと、毛皮のカーペット、どっちが好き?」

 

…パチンッ

 

「主殿に首が貰えると聞いて」

 

「おかあさんに解体できると聞いて」

 

「……待って欲しいマスター、話を聞いて欲しい」

 

「狩れ」

 

「これぞ我が伝説のひとつ。我が肉体は、鳥のごとく水面を舞う─。『壇ノ浦・八艘跳』!

 

 

「此こよりは地獄。わたしたちは炎、雨、力─殺戮を此処に……『解体聖母』!」

 

「グアアアアアアアアアアア!!??」

 

 




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