人を弄るのが好きなマスターの話   作:あまいろ+

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火柱をあげるお話

突然だが我がカルデアでは時々、料理教室のようなものが、開催されている。

 

元々はマスターが戦地で食料も乏しくピンチの際に、草を食むだけでは士気も下がるし味気もないだろうということで、料理ができる者を増やす目的で、キッチンサーヴァントが始めてくれたことだ。

 

最初は仰々しい目的からあまり参加人数は多くなかったが、今では修行の一環で参加する者や、息抜きで参加しようとする者など、スタッフやサーヴァント問わず、人気が出てきている。

 

そんな中で今日も料理教室が始まるのだが、その料理教室の主催、エミヤは苦い顔をしていた。

 

「あー、今日は第23回カルデア料理教室に参加してくれて感謝する。ただ集まってくれた君たちに、こんなこと言うのは忍びないのだが一言、言わせてくれ」

 

そう言って参加者の3人の顔を見渡してから、一言。

 

「帰ってもいいだろうか?」

 

「なんでさ!?」

 

「このメンツを見てわからないのかマスター」

 

「エミヤ、確かにな…、二人とも料理はほとんど初心者だ…。だからと言って学びたい気持ちはないがしろにできないでしょ?俺は今回の料理教室を通して彼女らに料理の素晴らしさを知って欲しいんだよ」

 

「うむ素晴らしい心構えだ。だがなマスター、そこではない。確かに私も学びたい気持ちをないがしろにするほど鬼ではない。だがな?」

 

「だが?」

 

「カーミラ(前科持ち)と、ラクシュミー・バーイー(超不幸)といった目に見えた地雷原に突っ込むことはないだろう!?」

 

「誰が地雷原よ」

 

「君たちしかいないだろう?今日の参加者、君たちが参加すると聞いてから激減したんだぞ?」

 

「だから今日こんなにいないんだ」

 

今この調理室にいるのは、この会の講師エミヤと参加者の藤丸立夏、カーミラ、ラクシュミーしかいない。

 

「いや、いいんだマスター」

 

「ラクシュミー…」

 

「この不幸を招く私が料理を学ぼうとしたのが悪かったのだ…。今回も私のせいで迷惑が掛かるなら潔くこの場から去ろう…」

 

「見ましたカーミラさん?あの男、女の人泣かせましたよ?いったい何人の女をいくつの作品で泣かせてきたのかしら?」

 

「わ…私は泣いてない…!」

 

「最低ねあの男。どうせ思わせぶりな態度で、弓道部の同級生とか、慕ってくれてる後輩を泣かせてきてるんだわ。どうする幻想の鉄処女(しょ)す?幻想の鉄処女(しょ)す?」

 

「いや…そこまでやらなくても…」

 

「わかった!私が悪かった!ラクシュミー、君も参加するといい」

 

「エミヤ…、すまない…感謝する」

 

「あの男、最近では黒髪小学生にも手を出したそうよ?」

 

「怖いわ…次はどんな女を泣かすのかしら」

 

「こちらが折れて参加を認めたのに、その言い草は酷くないか?」

 

「まぁそんなエミヤの心配もわかるからね」

 

「やっとわかってくれるか」

 

「特別に幸運値が高いサーヴァントを連れてきたよ!」

 

「おぉ!私の不運の為に…たのもしいぞマスター!」

 

「最初から連れてくればよかったのでは?」

 

「まったくそのとおりね」

 

「はぁ~幸運D以下が吼えておりますわ」

 

「なんだと!?」「なんですって!?」

 

「幸運が低い奴は敬服しろ!さぁ来てください幸運A以上のサーヴァント!!」

 

ガラガラッ!

 

「すべて、すべて。主の御心のままに」(静謐のハサン:幸運A)

 

「いいだろう。お前たちに毒酒を呷る機会をくれてやろう」(セミラミス:幸運A)

 

「さあて、蹂躙しようか!」(ライネス:幸運A+)

 

「よし!!その扉から手を離し、即刻帰るんだ!!」

 

「「「なぜ?」」」

 

「当たり前だろ!この毒物共!」

 

「私たちは我が弟子に呼ばれたからここに来たんだぞ?」

 

「それはわかっている」

 

「わかっているなら話が早い。女帝様とハサンは別として私は大丈夫だろう?」

 

「…君の魔術は月霊髄液だったね?」

 

「そうだね」

 

「液体金属を操る魔術だとか」

 

「良く知ってるじゃないか」

 

「液体金属の中身は?」

 

「水銀だね」

 

「中毒にしたいのか貴様は」

 

「安心したまえ、年よりじゃぁないんだ。変に漏れ出して人の口には入らないさ」

 

「そういや俺、師匠に水銀食わされたわ」(バレンタイン)

 

「………」

 

「何か言い分は?」

 

「弟子は別だ」

 

「出禁だ」

 

「くっ!覚えてろ我が弟子!」

 

「続いてセミラミス、出禁だ」

 

「まだなにも言ってないぞ」

 

「…セミ様」

 

「なんだ」

 

「俺今日までずっとセミ様のこと幸運Eだと思ってた」

 

「そうかそうか。ところで汝、腹は減ってないか?丁度うってつけの場だ。何か作ってやろう」

 

「出禁だ」

 

「くっ!覚えておるがいい…」

 

「貴方この短時間で二名に恨まれたわね」

 

「誠に遺憾」

 

「最後に静謐のハサン」

 

「はい…」

 

「正直この話が始まってから、君が来るのはなんとなく予想出来ていた」

 

「なら私は…!」

 

「出禁だ」

 

「酷い」

 

「覚えておいてくださいマスター……今夜…」

 

「彼女だけ時間指定していたな」

 

「今夜カーミラさんの部屋に泊まるね」

 

「私を巻き込まないで」

 

「はぁ、もういい私が幸運値が高い者を連れてくる。手を洗ったらくれぐれもその場を動かず大人しくしているように」

 

「は~い」

 

「なにかしたらマスター、君の今後一週間の食事はお茶漬けのみになるからな」

 

「はい、大人しくしてます」

 

その後エミヤが連れて来たのは三蔵ちゃん、紫式部、シェヘラザードの三人だった。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「これでやっと料理を始められるわけだが…」

 

「せんせー!今日はなんの料理を教えてくれるんですか?」

 

「そういえば知らせていなかったな。今回は初心者の為にカレーを作ろうと思う。カレーさえ覚えればシチュー、肉じゃがとアレンジが可能だからな」

 

「カレーだと…!?私はそんな難しい料理に挑まなくてはいけないのか…」

 

「私はそんな難しい事を言っただろうか?」

 

「パスタを極めた私には簡単な料理のようね」

 

「カーミラさんはもっと焦って」

 

しかもあなたの極めたパスタは絡めるだけのタイプだ。

 

「早速材料を紹介していくぞ。まずは豚肉500g、人参2本、じゃが芋3個、玉葱3個だ」

 

「普通だね」

 

「料理に奇抜さはいらないからな。では具材を切っていこう。マスターは豚肉、カーミラはじゃが芋を、ラクシュミーは人参を担当して切ってくれ」

 

「はーい」「わかったわ」「わかった」

 

「おっ今日はちゃんと豚肉のようだね、さてと包丁を持って切っていくか……ん?」

 

「………」正眼の構え

 

「………」正眼の構え

 

「せんせー!こっちで剣道が始まってまーす!」

 

「剣道?うわっ危ないな!!いいか二人とも包丁の使い方はこうだ!!切り方は……」

 

慌てて包丁の持ち方を教えるエミヤ。

 

「悪いがマスター、私がカーミラを教えるから、君はラクシュミーを頼む」

 

「わぁった」

 

「よろしく頼むマスター」

 

「まずは皮むきからだね包丁よりもピーラーのほうがいいかな…」

 

「ピーラー?」

 

「皮をむく器具みたいなものかな」

 

「拷問みたいね」

 

「料理に集中してくれミラ様。ピーラーはっと…これか」

 

「これをどうするんだ?」

 

「刃のついている方で、上から下にそってむいていって…」

 

不器用だが、それでも頑張って野菜と格闘するラクシュミー。

 

「こちらも始めよう。まずじゃが芋だが、この芽があるだろう?これは毒を含んでいて有害なので切って除去しておく」

 

「これ?…どうやって切っていくの?」

 

「ああ、それは包丁の刃元を使っていってえぐるように…」

 

「……難しいわね。ねぇマスター」

 

「なに?」

 

「貴方、毒効かないのよね?」

 

「効かないけど、出来上がったカレーはみんなで食べるからな?」

 

「…ならしょうがないわね」

 

「最初に毒物を持ち込もうとした人物とは思えないな」

 

「皮むき終わったぞ」

 

「終わった?おぉ凄いじゃん」

 

ラクシュミーが切った人参は、皮が実を大分持っていっていたが、それでも充分に皮はむけていた。

 

「じゃあ、いよいよ切っていこうか」

 

「わ…わかった」

 

いよいよ切る作業。

 

まな板にニンジンを置き、包丁を構えていく。

 

「エミヤから教えてもらった切り方で切ってみ?」

 

「ああ」

 

返事をするが、人参に包丁をあて切ろうとしないラクシュミー。

 

「どうしたの?」

 

「……ふぅ…これで戦端を開いてしまって、本当にいいのだろうか?いや!これが現状で用意可能な最大限の戦力だ。もう何度も脳内会議で検討を重ねて結論付けたはずだぞ。であるならば、これはただの戦前の怯懦にすぎない。恐れるな、ラクシュミー・バーイー。いざ出陣!」

 

ストン

 

「切…れた…」

 

「切れたね……」

 

「もう一度…。ふぅ…これで戦端を開いてしまって、本当にいいのだろうか?いや!これが現状で用意可能な最大限の戦力だ。もう何度も脳内会議で検討を重ねて結論付けたはずだぞ。であるならば、これはただの戦前の怯懦にすぎない。恐れるな、ラクシュミー・バーイー。いざ出陣!」

 

ストン

 

「悪いんだけど黙って切ってもらえる?」

 

「そんな!?私は気合を込めて!?」

 

「込めるのはいいんだけどさあ!長いよ!何回脳内会議を繰り広げるんだよ!」

 

「そうしないと不幸が…!?」

 

「不幸って気合でどうにかなるもんなの?とにかくもっと短くお願い」

 

「ううむ、やってみる」

 

「よろしく」

 

「ふぅ……いざ出陣!」

 

ストン

 

「それもおかしいけどまぁいいか…」

 

「このまま切っていけばいいんだな」

 

「そうそう、その調子でね。…カーミラさんの方はどう?」

 

「楽勝ね。私はもう皮むきから切る段階まで全て終わっているわ!」

 

「本当!?おぉ本当だ!細かくなってる!!」

 

カーミラさんのまな板には切ったじゃが芋が端にまとめといてあった。

 

が、

 

「カーミラさん一つ聞いていい?」

 

「何かしら今なら何でも答えてあげるわ」

 

「何で切ったじゃが芋の一つ一つが八連双晶みたいな形になってるの?」

 

「人になんでも聞かず自分で考えなさい」

 

「誰に聞いても答え見つかんないだろこれ!えっ凄!?何これ!?」

 

切ってある小さいじゃが芋をよく見ると、なぜか切ったじゃが芋全てが八連双晶の形をしている。

 

「だってこれ飴とかチョコでやるやつじゃん!それを何でじゃが芋でやってんの!?」

 

「なんか…切ったら…こうなっていたのよ…」

 

「切った本人が分かってないとか怖…」

 

流石、八連双晶のアサシン…。そろそろお祓いを検討していただきたい。

 

・

・

・

 

「マスター!人参切り終えたぞ!」

 

幸運の高いサーヴァントがいるおかげか人参を切る段階では不幸が訪れなかったラクシュミー。

 

それが嬉しかったのかテンション高めに立夏に出来たことを教えてくれる。

 

「次は玉葱を切っていこうか?」

 

「わかった!」

 

ちなみにカーミラさんは豚肉の方を担当し切ってくれている。

 

「もう俺が皮をむいたからまずは半分に切ってもらって」

 

「いざ出陣!こうか?」

 

「…そうだね。次に繊維があるでしょ?これに沿って包丁を玉葱が4等分になるように入れていって」

 

「いざ出陣!こうだな」

 

「もう何も言うまい」

 

ドタドタドタドタドタ!!ガラガラッ!

 

「ん?」

 

「おおぉおぉぉぉおおおジャンーーヌッ!」

 

「うへぇでたな、まぎれもない不審者」

 

「このような場所にいましたかッ!!何故ッ!何故ッ!私めも呼んでくださらなかったのですか!?」

 

「いや、だからな…私は」

 

「ジャンヌーーーーーッ!!!」

 

「ジルドレイか…マスターひとまずここは頼む、私はこいつを…」

 

「いや大丈夫だ。ラクシュミー、その手で目つぶし」

 

「?いや目つぶしはするが…」

 

ブス!!

 

「ホゥ!?私の眼球を諫める……メェェェェェ!!??」

 

「うわっ!なんだ!?」

 

「一つ教えておこう、ラクシュミー。玉葱って切ると目がしみる物質が出るんだ」

 

「あっ私が今玉葱を切ってたから…」

 

「メェェェェェェェェ!!!」

 

「エミヤ悪いんだけどソレ燃えるゴミに出しといて」

 

「心得た、すぐに処理しよう」

 

「私のせいで申し訳ない…しかし、そんな道端のゴミを捨てるように…」

 

「道端のゴミ以下の存在だから気にしなくていいよ」

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「では材料も切り終わったので、次は煮込みの作業に移る」

 

「はーい」「わかったわ」「わかった」

 

「切った材料をこちらに持ってくるから、下の戸棚から鍋を出しておいてくれ」

 

「了解した、さっそく取り出そう」

 

「ラクシュミーどれかわかる?」

 

「心配するな、これだろう?」

 

「それは雪平鍋だねぇ…、両側に取っ手がある鍋ない?」

 

「まったくしょうがないわねぇ、私が探すわ。えっと、ほらこれでしょう?」

 

「それはしゃぶしゃぶとかで使う真ん中に穴が開いた名称がよくわかんない鍋!」

 

ていうか何でこんな鍋があるんだ?使ってるとこ見たことないぞ。

 

「見つかったか?」

 

「エミヤ」

 

「あったわよ」

 

「ありがとう…いや何だこれは!?何でこんな鍋があるんだ?使ってるとこ見たことないぞ!?」

 

「キッチン担当者が知らなくて草」

 

「鍋はこの深底のやつだ!カーミラはパスタ茹でる時に見たことあるだろう?」

 

「いい女過去を振り返らないのよ」

 

「振り返ってくれ、それか常に過去が見れるように後ろ向きで走っていてくれ」

 

「な…鍋も見つかったしカレー作りを再開させようじゃないか?」

 

「む、そうだな、再開しよう。最初に鍋を火にかけ熱する。ではその作業を…」

 

「私がやるわ」

 

「マスター頼めるか?」

 

「あいよ」

 

「………」

 

「鍋をコンロに置いて、火を…」

 

「マスター」

 

「なに?」

 

「私が火をつけるわ」

 

「怖いからダメ」

 

「いいじゃない!つけさせなさい!」

 

「なんでそんな必死なの!?」

 

「なんでもいいから火をつけてみたいの!!」

 

「放火魔と同じ発想じゃねえか!そんな怖いやつにつけさせてたまるか!」

 

「……だって前回はつけさせてもられなかったもの」

 

「つけはしたでしょ、2回も。意味わかんないくらいの強火だったけど」

 

「リベンジがしたいのよ!」

 

「…一回だけね」

 

「見てなさい」カチ!

 

ゴオオオオオオオオッッッッッッ!!!!!

 

「「ほら見たことか!!!!!」」

 

カーミラさんが火をつけると現れる火柱。

 

三度も見ると流石に慣れる為、エミヤと一緒に消火した。

 

「何でカーミラさんが火をつけると火柱が上がるの!?」

 

「なんででしょうね…しいて言えば私の内側にある情熱のせいかしら?」

 

「今すぐに消火器ぶっかけて消火してやろうか?」

 

「無駄よ、私の情熱は一兆℃を超えているわ」

 

「どこのゼットンだ、ペンシル爆弾ぶつけんぞ」

 

「とにかくカーミラは火に近づくな!」

 

「今回って料理教室よね?」

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「今回は安全上の都合でマスターが火の担当をしてくれ。いいな?」

 

「しかたないよね」「…わかったわよ」「美味しいカレーが食べたいから了解した」

 

「残った二人は別の作業を頼む。では火をつけて油を熱してくれ」

 

「はいはい」カチッ ボ!

 

「安心できる音だな」

 

「もっと強くした方がいいんじゃないかしら?」

 

「黙っててください、ほとばしる情熱」

 

「油が熱せられたら切った具材を投入して軽く炒める」

 

「はいはい」ザラザラ

 

「そうだ、その調子で炒めていってくれ」

 

「あいよ」ザッザ

 

「……」

 

「……」ザッザ

 

「……私は今この瞬間の安心をかみしめている」

 

「そんな大げさな…目潤んでない?」

 

「潤んでないさ…。ん、十分に炒めたようだな、では次に水を入れようか。ラクシュミー、この容器のメモリに合わせて水を入れてくてくれ。…ラクシュミー?」

 

「……ん?ああすまない。皆に不運が降りかからないように、極限まで存在を薄めていた」

 

「だから会話に参加しなかったのか……」

 

「エミヤがその容器で水入れてきてだって」

 

「了解した」

 

「そこの水道から頼む」

 

「わかった……なぁマスター」ズルズル

 

「はーい?」

 

「水道から出る水ってこんなゲル状の物だっただろうか?」

 

「あれ?水道水ってみたことない?」

 

「マスター!?水道からスライム状の液体が出てきたんだが!?」

 

「見たい!けど俺は動けないからエミヤ様子を見てきて!」

 

「了解した!だが私は見たくない!」

 

「火の番変わりましょうか?」

 

「イフリータはマジで何もしないで?」

 

・

・

・

 

「な…なんとか水をくんできたぞ…」

 

「その反応砂漠とかで見るやつなんだよなぁ…」

 

「早速組んできた水を鍋に入れてくれラクシュミー」

 

「ああ!」

 

「ありがと。そしたら煮込むんだっけ?」

 

「そうだ。蓋をして弱火で20分ぐらいか、具材が柔らかくなるまで煮込む」

 

「これで一段落ね」

 

「始めはどうなるかと思ったが、煮込み終わった後はカレーのルウを入れて少し煮込めば完成だ」

 

「皆に感謝する。この私がここまで出来たのは皆のおかげだ」

 

「いいよいいよ、どうせカーミラさんだけでも大変だっただろうから」

 

「マスター…また私に力を貸して…」

 

『オオオオオオオオッッ』

 

「またと言わず今から力を貸して貰ってもいいだろうか?」

 

「くそぅ、変にしめようとするからなんか出よったわ」

 

ラクシュミーが息をついたのを見計らったように、鍋から低い声が聞こえてくる。

 

心なしかカタカタと震える鍋は、呼んでいたキャスター陣のおかげでどうにか解呪を行い、無事に煮込む行程を終えるのだった。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「………さぁ無事に煮込む作業を終えたわけだが」

 

「どっと疲れたわ…」

 

「皆すまない…」

 

「後はほとんどルウを入れるだけで終わりだから頑張ろう」

 

「そうだな…では火を止めてカレーのルウを入れようか」

 

「カレールウ…これかしら?」

 

「そうだ、その四角く茶色い物だ。きちんと商品名が分からないように包装は取っている」

 

「どこへの配慮?」

 

「火はもう止めてあるからルウを入れてくれ」

 

「わかったわ」

 

「続いてかき混ぜてルウを溶かしてくれ」

 

「……ねぇ?」

 

「なんだ?」

 

「カレーって白く濁る物だったかしら?」

 

「今度は何をやらかしたんだ!!」

 

「なにもしてないわよ!!ただ溶かすためにかき混ぜてたら白くなってきて…」

 

「きちんとカレールウを投入しているところを私は見ていたはずなのに、なぜだ!?」

 

「私のせいだ、すまない…」

 

「そうよ!貴女のせいよ!」

 

「なら仕方ないな」

 

「しょうがないね」

 

「何でそんなに扱いの差があるのかしら?」

 

「かまどの使い魔と薄幸のドジっ子少女なら当たり前の差別でしょ」

 

「だから全ては無駄なのよ」カチッ ゴオオオオオオオオッッッッッッ!!!!!

 

「火柱をExtraアタックにすんな!!」

 

「というか気軽に火柱をあげるんじゃない!!」

 

急いで消火。

 

「カーミラさんを一時でも火に近づけるんじゃなかった」

 

「はぁ…ようやく最後だ。マスター、そのカレーを弱火でトロミがつくまでかき混ぜてくれ」

 

「…白いからカレーじゃなくてシチューにしか見えないんだけど」

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「ということで完成だオラァ!!」

 

「ぎゃてぇ…おなかすいた~」

 

「鍋の解呪後2回ほど火柱が上がりましたが大丈夫でしたでしょうか?」

 

「安全な場所に行きたいです…」

 

「おまたせ!今よそってくるから一緒に食べようね!」

 

「私とマスターでよそってこよう。カーミラとラクシュミーは座って待っているがいい」

 

「わかった。…キャスターの皆も今日は感謝する。とても助かった」

 

「いいのよー困ってる子は見捨てておけないしね」

 

「知識を得るのには体験することが一番ですから」

 

「今回の料理教室の…内容はカレーだとか…」

 

「はーいおまたせー」

 

「来たー!カレーなんだって?美味しそうな匂い!カレーの匂いだ…かれー?」

 

「いや…これは、白く…シチューと呼ばれる物では?」

 

「匂いはカレーそのものですね。こんな牛乳のように白い、カレー見たことありませんが」

 

「カレーよ」

 

「じゃみんなで食べようか」

 

「あの…マスター…こちら味見などは?」

 

「「「「怖いからしていない」」」」

 

「私…まだ…死にたくないです…!」

 

「大丈夫シェヘラザード」

 

「マスター…」

 

「死ぬ時はみんな一緒だ」

 

「何も大丈夫じゃない……!?」

 

「さぁみんな覚悟は決まったな?」

 

「あたしはまだ…「こたえは聞いてない!いただきます!!」横暴だ!」

 

「「「「「いただきます…」」」」」

 

まずは全員一口。シェヘラザードは食べずにジッとこちらを見てるが、まぁいいだろう。

 

パクッ!

 

「これは!?!?!?」

 

「「「「「「肉じゃがの味がする…!?」」」」」」

 

こうして長い戦いの中、

匂いはカレー。

見た目はシチュー。

味は肉じゃがという、創作料理が出来上がった。




FGO作品23作目
みんなだいすき料理会
拙き作品ですが宜しくお願いいたします
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