「貴方、私の扱い雑じゃないかしら?」
それは午後の出来事。
クエストや周回を終えてマイルームでゆっくりしていると、『吸血鬼』のカーミラさんが訪ねて来た。ちなみに仮面はしていない。とても綺麗な顔面である。
とりあえず部屋の中に入れて、お茶を用意していると開口一番にカーミラさんがそう言ってきたのだ。
「いやいや、とても尊敬してリスペクトしていますよ」
まったくもって嘘ではない。
彼女はあの『吸血鬼』なのだ。
空想や伝説の生き物であり、夜の王。不思議な力を多数持ち、人の生き血を吸う不死の生き物である。
カーミラさんの言葉を否定しながら、カーミラさんの前に飲み物を出す。
「お待たせしました」
「ありがとうマスター」
カーミラさんに飲み物を出した後に自分の紅茶をいれて、空いている椅子に座る。
「ところでマスター?貴方が飲んでいるのは何?」
「これですか?アールグレイですね。お茶好きの英雄から分けて貰いました」
「……そういい臭いね。安物にはない上品な香りがするわ」
「カーミラさんに褒められるってことは、やっぱりいいお茶なんですね」
なんて会話していると突然「ふぅ…」と溜め息をつき始めた。
「……ところでマスター?私にいれ…持って来てくれたのは?」
そういうとジッと睨まれる。美人に睨まれると迫力すごいな。
「何って飲み物ですよ?」
と言って、テーブルの上を見る。
テーブルの上には……
「どう見たって飲み物(輸血パック)ですよ?」
「これをどうみたら飲み物に見えるのよ!」
カーミラさんが怒ってテーブルをバンバン叩く。
「しかもそれ貴方、冷蔵庫から出したわよね!冷蔵庫の用途それでいいの!?」
「ちゃんとパック以外も入ってますよ」
ただ1スペースがカーミラさん専用になっているだけだ。
「吸血鬼にはとりあえず血を出せばいいものじゃないのよ?」
「喜ぶかと思ったんですけど」
「そんな得体の知れない血液飲めるもんですか!紅茶を出しなさい!さっきのやつ!」
激おこなカーミラさんの言う事を聞いて立夏と同じ紅茶をいれ始める。
「でも得体は知れてますよ?」
「……誰の血よ?」
「エリちゃん」
そういうと背後から猛烈な殺気を感じる
「答えによっては、貴方にはこれから串刺しになってもらうわ」
あ、これ絶対後ろにアイアンメイデンいるわ。
「いや、だって美人だったから。一応昔のカーミラさんだし」
そう言うと後ろからの殺気が徐々に薄くなる。
お茶をいれ終え振り替えると、カーミラさんが凄い渋い顔をしていた。
「……あれと一緒にしないで欲しいわ」
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「そういう所よ」
お互い紅茶を飲みながら一息ついていると、カーミラさんが口を開いた。
「何がですか?」
「なにか私を軽く見てるというか、とにかく雑に扱ってない?」
「そんなわけないですって、きちんと尊敬しておりますよ」
「貴方、先日赤龍の子召喚したわね」
「あぁ金時のことね」
「あの子を呼んだ時のこと教えなさい」
「えー?普通だったと思うけど」
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『おう、よろしくな。悪いがしばらく世話になる。オレの事はゴールデンと呼んでくれ』
『召喚に応じてくれてありがとうゴールデン!』
『おう!これからよろしくなマスター!』
『早速だけど種火食べてもらっていい?再臨もしようね!』
『おいおいせっかちだなマスター、でもいいぜ、ド派手にゴールデンに出陣だ!』
『頼もしいね!』
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「普通だったでしょ?」
「えぇ普通ね、次に私を呼んだ時の事を覚えているかしら?」
「もちろん覚えてますよ、あれは……」
・
・
・
『あら。これも運命というやつかしら。サーヴァント、アサシン。カーミラと呼びなさい』
『お越しいただきありがたき幸せ』
『先輩!?どうしてそんなにひれ伏しているのですか!?』
『あらいい態度ね』
『早速ですがお部屋と施設のご案内をいたします』
『お願いするわ、まず部屋に案内しなさい』
『承知いたしました』
『先輩!?待ってください先輩!?』
ここで余談だがサーヴァントの中には自室をガラッと模様替えしてしまう者もいる。
黒髭は海賊風、刑部姫は暗く炬燵やパソコンが常備してある。
しかし元は全員ベッドや机しかない白い部屋を与えられる。
それを自分好みに変えていくのだ。
『こちらがお部屋でございます』
立夏が部屋を開けると、その部屋は既に古い洋館の一室のような部屋だった。
例えるならインドにある建物の一室のような部屋だった。
『先輩…カルデアにこんな部屋ありましたっけ?』
『いずれカーミラ様が来てくださった時の為に作りました』
全員で部屋に入り、見回すとその部屋には家具が一つしかなかった。
『あちら特別に職人に作ってもらった家具です』
『先輩、石造りの棺桶を家具とは言いません』
そう、この部屋は部屋の中央に棺桶しかない部屋だった。
『ふざけているのかしら?』
『お気に召しませんでしたか!吸血鬼と伺っていたので最高の部屋だと思ったのですが。使用人でも用意いたしますか?』
『もうそんな次元ではないけれど、お願いしようかしら』
『ではパラケルススという英霊が作ったヌケサクというホムンクルスを…』
『先輩!いい加減にふざけるのは……あぁ目が凄い綺麗です』
『いいから、部屋を変えなさい』
『くっ!わかりました。後で新しい部屋に棺桶を運んでおきますね』
『それもいらない』
その後トボトボと部屋を出るマスターに可哀想な子を見る視線を向けるカーミラだった。
・
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・
「あれ真面目にやってたのよね…」
「もちろん大真面目だったよ」
「まだあるわよ」
「まだあるんですか」
「あんまりにも多いからまとめたわ」
「いちいち回想移るのもめんどいですしね」
「メタいわ」
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①宝具について
『カーミラさんのステータスについてなんですけど』
『何かしらマスター?』
『カーミラさんの宝具って《[[rb:幻想の鉄処女 >ファントムメイデン]]》だけですか?』
『まぁそうね、大体の拷問器具は呼び出せるけど宝具となると《[[rb:幻想の鉄処女 > ファントムメイデン]]》かしらね』
『本当にそれだけですか?』
『…何が言いたいのよ?』
『第二宝具《[[rb:空裂眼刺驚 > スペースリパー・スティンギーアイズ]]》とかないんですか?』
『……聞いたことないけどどんな宝具なの?』
『高圧で体液を目から発射する技です』
『なにそれ恐い』
『建物を切り裂くぐらいの威力です』
『絶対バスター宝具じゃない』
②再臨にて
『あぁ……これが美よ……!』
『再臨成功です!先輩!』
『カーミラさんが仮面を取った!』
『ここまでやってくれたのです、そろそろ顔ぐらいは見せてあげようと思ってね』
『ありがたき幸せ』
『貴方、急にへりくだるのやめなさい』
『カーミラさんも先輩の扱いに慣れてきましたね』
『まぁ…ね、ところでマスター?』
と言い、立夏の頬を両手で包み自分の顔を近づける。
『私の顔いかがかしら?』
『カーミラさん!?先輩と顔が近すぎます!』
『いいじゃない、でどうかしらマスター?』
『美の象徴』
『貴方こんな時までふざけてないで……目がとても、澄んでいるわね……』
気に入らないわと言いながら立夏の顔から手を離す。
『カーミラさん、その外した仮面ってどうするんですか?』
『これ?もう使う機会もないしどうしようかしら?』
『もしよかったら貰えませんか?』
『…いいけれど、何に使うつもり?』
『究極の生命体の研究』
『究極の生命体ですか?』
『カーミラさんを究極の生命体にする研究』
『やめてくださる?』
『マシュも見たくないか?カーミラさんが生物を生み出し、空を飛び回り、太陽を克服した《[[rb:究極の生命体 > アルティメット・シイング]]カーミラさん》を』
『見たい見たくないで言えば見たい気持ちがありますが、まずカーミラさんは太陽の影響はないです』
『私どうなっちゃうの?』
『…じゃぁ、俺はダヴィンチちゃんに用事ができたから行くね!これからもよろしくねカーミラさん!』
『私どうなっちゃうの!?』
その後、ダヴィンチちゃんと共にノリノリでカーミラさん究極の生命体化計画を実行しようとしたら、本人とマシュに止められたので、諦めました。
③霊衣
『ふふ…この夏に向けて新クラスで霊衣を新調してみたわ。どうかしらマスター?』
『凄い似合ってます!綺麗ですカーミラさん!』
『そう素直に褒められると照れちゃうわね……』
『凄い似合ってます!……これ再臨すると黄色くなったり、服にハートマークが増えたりするんですか?』
『しないけどしいていえば犬が機械になるわ』
『カーミラさんの新クラスってセイバーでしたっけ?』
『ライダーよ、剣なんて持ってないでしょう?』
『じゃぁ再臨すると時間を止められるようになるんですか?』
『たまに貴方と会話にならなくなるのが不快だわ』
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「……ほら、私の扱い雑…というか、ねぇ?」
「俺的には尊敬してリスペクトしているんだけど」
「もっとする方向を変えなさいよ」
「前向きに検討してみます」
「絶対にしないわね…はぁ…なんだか話していたら頭痛くなってきたわ。立夏、ストレス発散にシュミレーション室に行くからついてきなさい」
「いいですよ」
と言うとカップを片付けて準備をし始める。
そんな立夏の背中を見つめて彼女は思う。
晩年は暗い部屋で孤独を感じながら生きていたカーミラ。
多くの人に蔑まれてきた彼女にとって、立夏のうざったいようで信頼を感じる態度は、
「……嫌いじゃないけどね」
「何か言いました?」
「空耳よ、ほら行くわよ」
と言いながら立夏と並んで部屋を出る。
「カーミラさんって念写とかできそうですよね」
「できないわよ、そういうのはキャスターの仕事でしょう?」
「今度やってみましょうよ、カメラをぶっ叩いて念写する方法で。カメラ壊れるけど」
「それは念写というのかしら?」
「レベルが上がると小突いただけで出来るようになるんだけどね」
「…本当に貴方と会話にならなくなるのが不快だわ」
不快と言うわりには彼女はその美しい顔に小さく笑顔を浮かべていた。
FGO作品3作目