人を弄るのが好きなマスターの話   作:あまいろ+

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重い想いには慎重って話

 

ヤンデレとは、相手への好意が強く高まり過ぎた結果、病的な精神状態になってしまうこと。らしい。

 

ガリガリ

 

例えば、

 

そこらじゅうで不倫しまくる夫よりも、その不倫相手を呪い殺す最高女神『ヘラ』

 

源氏物語の登場人物であり、元祖ヤンデレ『六条御息所』

 

我がカルデアのヤンデレオブヤンデレ『清姫』

 

ヤンデレは古来から存在しており、今にいたるまで認知されている。

 

ガリガリガリガリ

 

ヤンデレは周りを犠牲にしてもいい『覚悟』を持っているし、

 

刃物を持つと飛天◯剣流よりも早くなれる。

 

そんなヤンデレに追われていると言えば恐ろしいが、言い方を変えるととてもロマンチックに感じるのはなぜだろうか?

 

そう、俺はいま……

 

ガリガリガリガリガリガリ

 

「待って…シグルド…私の愛しい人……」

 

俺はいま…天使(ブリュンヒルデ)に追われている。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「仕上がりはどう? 細かな変化でも、成長は成長だ。足場作りはしっかりね」

 

ブリュンヒルデの再臨素材を集めダヴィンチちゃんの強化ラボで最終再臨を行った。

 

無事に最終再臨が成功すると、ブリュンヒルデの力や魔力が目に見えて上昇しているのがわかった。

 

これからもよろしくね!と言おうとブリュンヒルデに話かけようとすると、なぜか虚ろな目で虚空を見つめながら何か呟いている。

 

「優しい人、優しいマスター。こんなにも私を大切にしてくれて……そんなに優しいと私……」

 

あまり聞き取れなかったが、あまりにも虚ろだったので心配になり、ブリュンヒルデに手を伸ばす。

 

その瞬間、バチッと目が合った。合ってしまった。

 

「マスター……マスター? いいえ、あなた……あぁ、もしかして……シグルド? あぁそんな、あなたはシグルドの生まれ変わりなの? それなら、愛さなきゃ! 殺さなきゃ!」

 

その瞬間ダヴィンチちゃんの強化ラボが()()()()()

 

俺はとっさにマスタースキル緊急回避を自分に付与する。

 

崩れゆく強化ラボから脱出し、被害を確認する。

 

「うわぁ……」

 

ダ・ヴィンチちゃんの強化ラボは全壊した瓦礫の山へと名称を変えていた。

 

どうやらダ・ヴィンチちゃんの強化ラボの足場はブリュンヒルデの一撃に耐えられなかったようだ。

 

「ダ・ヴィンチちゃん!!」

 

中にはまだダ・ヴィンチちゃんがいるはずだ。

 

もしかしたらダ・ヴィンチちゃんは危ない状況なのかもしれない。

 

ふとダ・ヴィンチちゃんとの思い出が頭の中を駆け巡る。

 

『ごめんね?今礼装が全部洗濯中でね。予備の女性用しかないんだけれど。なぁに君にも似合うさ!』

 

『マスターくん…昨日掃除してくれただろ?また散らかってしまったから、掃除してくれると嬉しいんだけど…。でも私の発明品をたくさん見れるから役得だぜ?』

 

『資金不足解消にマスターくんの私物とか売る気ない?』

 

あれ、たすけなくっていいかな?

 

いざとなればガッツスキルを使うだろうしね。

 

そんなことより今は……

 

「あぁ…シグルド…」

 

自分のことをどうにかしないといけない。

 

瓦礫の山を踏みしめてこちらに来るブリュンヒルデと対峙する。

 

「シグルド…いや私のマスター…ずっと一緒にいましょう?」

 

「いや、ブリュンヒルデにはシグルドがいるでしょ?不倫はちょっとよろしくないかな?」

 

「大丈夫ですマスター…シグルドもきっと許して下さいます…」

 

「でも……」

 

「私はマスターがそばにいて欲しいだけなんです…例えマスターが……()()()()()()()

 

「さらばだ!」

 

今度は自分に瞬間強化を付与し全速力でカルデアの廊下を疾走する。

 

一瞬生首だけになって船の上で、ブリュンヒルデと一緒に海を漂う姿を想像してしまう。

 

本当に彼女ランサーだよね?バーサーカーじゃないよね?

 

少し走るとガリガリと何かを削る音がする。

 

音が気になって振り返ると、

 

「待って…愛しい人…」

 

ブリュンヒルデが追いかけて来ていた。

 

大きくなった槍にカルデアの廊下は狭いのか、進むたびに床や壁をガリガリと削っている姿が見える。

 

ブリュンヒルデの宝具って、好意の大きさでサイズと威力変わるんだったよね。

 

愛されて嬉しいなぁ。

 

実害がなければ。

 

「困ります…逃げないで…マスター」

 

「こっちが困ってるんだけど!?」

 

「少し…痛いだけですから…」

 

「英霊基準で言わないで!」

 

しかも英霊でもあの大きさの槍の一撃は少し痛いではすまないだろう。

 

しかしこうなったら実力行使だ。

 

足を止め振り返りブリュンヒルデの方を見る。

 

「ついに私を受け入れてくれたんですね…大丈夫…ずっと私がお世話してあげますから…誰も知らない場所で…二人きりで…」

 

足が逃げたくなるのを必死で抑え、令呪をかかげる。

 

「こい!俺のセイバー!」

 

手の令呪が熱を持ち、俺の願いを聞き届ける。

 

すると俺とブリュンヒルデの前に眩い光が発生し、サーヴァントが現れる。

 

「どうした余を呼び出すとは?緊急事態かマスター?」

 

「ジークフリートここに参上した」

 

「マスターご無事ですか?」

 

「ラーマ!ジークフリート!ランスロット(不貞野郎)!」

 

「とぉわ!?」

 

おっと流石にランスロットに精神攻撃をするのは後にしよう。

 

「みんなお願い!」

 

「あぁマスターがまた遠くに…行かないで…マスター…」

 

呼んだサーヴァント全員がブリュンヒルデを視認する。

 

「…なぁマスター、余達はサーヴァントだ。だが修羅場の調停は本人同士でやって欲しいのだが」

 

「すまない、空気が読めなくてすまない」

 

「だからあれほど恋人は一人にしておけと…」

 

「ちげーよ!!バカ!!暴走してんだよ!」

 

全員並みの英霊ではないのだから状況確認はしっかりしてほしい。

 

あとランスロットお前に恋愛のアドバイスとか貰いたくない。

 

「そうか、なら行くぞ皆の者!」

 

ラーマの掛け声と共にブリュンヒルデとの戦闘が始まる。

 

死がふたりを分断つまで(ブリュンヒルデ・ロマンシア)

 

「シータ……許してくれ……」

 

「無念はない──ありがとう」

 

「王よ…せめて一目、貴方、に…!」

 

みんなーーーーー!!!(愛する者特攻!!!)

 

ブリュンヒルデの特攻宝具をくらい全員退場していった。

 

正直召喚されたときに嫌な予感はしていたが、的中してしまうとは。

 

「こうなったら頼れるのは自分の足しかない!」

 

アメリカを横断した健脚をナメるなよ!

 

みんなの犠牲でチャージされた瞬間強化をまた自分に掛け、再びカルデアを走り始める。

 

「もう逃がさないわ…」

 

そしてまた(天使)ごっこが始まる。

 

「逃げるんだよぉーー!」

 

「私がこんなにも貴方を想ってるのに…なぜ逃げるの…」

 

「重いからだよ!愛も!槍も!」

 

「でも私の愛が一番、誰よりも重いでしょう…?」

 

「そうだね!誇っていいよこの野郎!」

 

「私がいちばん…私がいちばん……」

 

しばらく走っていると曲がり角に差し掛かり、角を曲がると同時にブリュンヒルデがほんの少しの間、見えなくなる。

 

その一瞬

 

故国に愛を、溺れるような夢を(ラ・レーヴ・アンソレイエ)

 

『なぜあなたが…シグ、ルド……』

 

強烈な愛情の気配(殺気ともいう)が消えた。

 

恐る恐る角の向こう側を確認しに行くと戦闘不能になっているブリュンヒルデと、

 

「シャルロット!!」

 

「マスターご無事ですか?貴方のシャルロットですよー?」

 

そこにいたのは我がカルデア中最強のアサシン、シャルロット・コルデーであった。

 

「ありがとう!シャルロットが助けてくれたの?」

 

「マスターの危機ですもの!お助けしなくてはサーヴァント失格です!」

 

天使だ。もう天使に見える。

 

思わず崇拝してしまいたくなる。

 

「あとでシャルロットの祭壇作ってあげるね」

 

「それはちょっと……」

 

困り顔でエヘヘと笑う。かわいい。

 

「そうだ、祭壇作る前に事後処理をしないと」

 

「それならもう大丈夫ですよ?」

 

「え?」

 

「ナイチンゲールさんも呼んでますし、修復系に強いキャスターさんも呼んでますから」

 

「ありがとう、手際がいいね」

 

「うふふ、見てましたから」

 

助けてくれる前に呼んでくれたのだろうか?

 

「そんなことよりマスター?」

 

と腕にシャルロットがくっついてくる。

 

「お礼ならこれから二人でお昼でもどうですか?」

 

「よーしそしたら今日は奢っちゃうぞ!」

 

「お金かからないじゃないですか」

 

「わかっちゃった?」

 

と二人で笑い合いながら食堂に向かった。

 

そんな天使に追われていた俺は、午後はみんなのお見舞いに行こうかなと計画をたてるのだった。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

 

 

 

私はマスターが曲がり角で姿を消した瞬間に、ブリュンヒルデさんの前に現れた

 

故国に愛を、溺れるような夢を(ラ・レーヴ・アンソレイエ)

 

「どうしてあなたが……」

 

ブリュンヒルデさんが不思議そうな目で見てくる

 

でも当然でしょう?

 

貴方が一番と言ったから

 

皆さんマスターが好きだ

 

でも、我が子、安珍、シグルド

 

本当のマスターを見ていない

 

見ていないのに自分が一番だとのたまう

 

私だけ

 

本当の貴方を見ているのは私だけ

 

本当の貴方を知っているのは私だけ

 

本当の貴方を愛していのも私だけ

 

別の者を見ている人に私のこの重い想いは負けない

 

私の愛が誰よりも重いでしょう?

 

「シグ…ルド…」

 

私の宝具をくらったブリュンヒルデさんは静かに気を失った。

 

そんなブリュンヒルデさんを鋼鉄のような冷たい目で見下ろす

 

私がいちばんですよ

 

向こう側からマスターの気配が近づいてくる

 

いけない、急いで笑顔で迎えなくては

 

私を見つけると驚いた顔で私名前を呼ぶ

 

「シャルロット!!」

 

「マスターご無事ですか?貴方のシャルロットですよー?」

 

貴方のことをいちばん愛しているシャルロットですよ?

 

「ありがとう!シャルロットが助けてくれたの?」

 

「マスターの危機ですもの!お助けしなくてはサーヴァント失格です!」

 

いつでもどこでも駆けつけますよ

 

「あとでシャルロットの祭壇作ってあげるね」

 

「それはちょっと……」

 

でも私の物がマスターの近くにあるのは嬉しいな

 

「そうだ、祭壇作る前に事後処理をしないと」

 

「それならもう大丈夫ですよ?」

 

「え?」

 

「ナイチンゲールさんも呼んでますし、修復系に強いキャスターさんも呼んでますから」

 

「ありがとう、手際がいいね」

 

「うふふ、見てましたから」

 

()()()()()()

 

マスターがブリュンヒルデさんと強化ラボに向かうところも

 

マスターが追いかけられているところも

 

マスターが私以外をお頼りになったところも

 

全部 見 て ま し た か ら

 

 

 

「そんなことよりマスター?お礼ならこれから二人でお昼でもどうですか?」

 

ふたりで

 

「よーしそしたら今日は奢っちゃうぞ!」

 

「お金かからないじゃないですか」

 

「わかっちゃった?」

 

そうしてマスターと一緒に笑い合いながら食堂に向かう

 

でも貴方は優しいからすぐに私以外のことを考えてしまうのですね

 

ほら いまも 別の人のことを考えてる

 

 




FGO作品4作目
作者はヤンデレがとても大好きです
拙き作品ですが宜しくお願いいたします
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