「意見箱を設置しようと思うんだ」
ミーティングの最中にダヴィンチちゃんが突然言い出した。
「意見箱ですか?」
「そうだよ、マシュ。わがカルデアもサーヴァントが増えてきて手狭になってきただろう?」
はじめは人数が少ないカルデアだったが、時がたつにつれ、マスターである藤丸立夏に応えてくれる者、慕ってくれる者など今では百を超えるサーヴァントがマスターに契約してくれている。
「サーヴァントの数が増えるにつれマスター君も全員の意見を聞けないだろう?だからこその意見箱さ!」
「確かに一理ありますけどうまくいきますかね?」
「なぁに心配ないとも!このカルデアでマスター君を嫌っているものは少ない、そうそう変な意見はこないさ!」
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「ということで意見箱を設置する事になりました」
「ということでもなにも俺ミーティングに参加してないんだけど」
「先輩はその時ベッドで丸くなっていましたから……」
「あ、寝坊して参加しなかったのねごめんなさい」
「いえ、ダヴィンチちゃんも疲れてるだろうから寝かせといていいよって言ってくれて」
多分それは反対意見を少しでも無くすためだろう。
確かに今ではサーヴァントが増えて、全員とコミュニケーションが取れてるかと言われると怪しいところだ。
「まぁそこまで実害があるわけではないかもね」
「わ、私も手伝いますから」
「ありがとうマシュ。それで意見箱は?」
「それは、これですね」 ドン
というとマシュは30×30×30ぐらいの箱を取り出す。
「見たら結構入ってるね」
「いえ、まだ……」 ドン
「…まぁ皆の意見が聞けるのはありがたいよね」
「………」 ドン
「3個め!?」
ついに無言で箱を置き始めるマシュに嫌な予感がする。
「置き始めて1時間で3箱がいっぱいになりました」
「どれだけ不満があるんだよ!開けたくないんだけど!?」
そんなにカルデアってブラックだったっけ?
「私も……手伝いますから……!」
「よろしく……」
開ける前から既に空気が重くなるのはどうにかしてほしい。
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「とりあえず読んでいこうか」
「そうですね、改善できるのことは改善していきましょう」
「さーて1枚目っと、なになに?」
『出番が欲しい セイバーアルトリア』
「運営に言えよ!!!」
「先輩!?」
「絶対意見する場所間違えてるよ……」
しかもご丁寧に名前が極太のマジックで記入されている。
「ま、まだ1枚目ですから!次はもっとまともなのがきますよ!」
今遠回りに、まともじゃない意見って言った?
その通りだから擁護できねぇ。
「よーし、じゃぁ二枚目!」
『マスターにメカクレ礼装希望』
「だから運営に言えよ!!!」
思わずテーブルを叩いてしまう。
「こんなのがこれから続くの……?」
「ま、まだ始まったばかりです!頑張りましょう先輩!」
マシュの励ましによって、しぶしぶ開封作業に戻る。
しかし開封作業で頑張りを求められるとは。
「ほらこれなんてどうですか?」
『食堂のデザートの種類を増やして欲しい(特に和菓子) 代筆 沖田総司』
「いいね、平和で。あとでエミヤとブーディカに相談してみるか」
おそらく子供サーヴァントのお願いを、沖田さんが書いてくれたのだろう。
さりげなく(ないけど)自分の好物を希望しようとしているけど、全然許容範囲だ。
沖田さんには今度、激辛煎餅を差し入れしてあげよう。
「そしたらこのデザート作りマシュも参加してみる?」
バレンタインの時も思ったがマシュのチョコ作りはプロ級だ。
例えチョコじゃなくてもまったく問題はないだろう。
「私ですか?……もし私が作ったら先輩も食べてくれますか……?」
「もちろん、一番に食べに行くよ」
「なら私も参加したいです……」
そういうとマシュは紙で顔を隠しながら、下を向いて照れてしまった。
俺の後輩かわいい。
「で…では次のご意見を見て見ましょう!先輩!」
焦って箱の中をガサガサしてる後輩もかわいい。
「次はこれです!えーと……」
『マシュと同じ編成をお願いしたい ランスロット』
ビリィ!!
「どうやら塵紙が混じっていたようです、先輩」
「……そっか」
あれ?さっきまで目の前にいたかわいい後輩はどこ行ったのかな?
今俺の目の前には冷たい目で意見表を破き、舌打ちしてる後輩しかいないぞぅ?
どうやら親子のコミュニケーションはまだ上手くいかないようだ。
気を取り直してまた箱を漁る。
「さて次のご意見はっと……」
『新薬を試したいので実験に協力してくれる人探しています パラケルスス』
「これはランスロット卿にお願いすれば大丈夫ですね。はい、解決です」
「待って待って、結論が早いよ」
流石に娘に拒絶された後に、毒を飲めとは言えない。
(我が友、これは毒ではありませんよ。薬です。……少し体の一部分が変化するかもしれませんが、毒ではありませんよ)
俺の心の中のパラケルススがそう呟く。
「どこの黒で始まって、髭で終わるライダーのサーヴァントでいいかなぁ」
「先輩それはもう、黒髭さんです」
「大丈夫だよ、黒髭はライダーだから。何かあってもキャスターに有利だしね」
それにフレポで腐るほど出るしね。
(マスターこのカルデアにいる黒髭はオンリーワンですぞ!ああでもでもメアリーたんからこれ飲んでって顔を赤くしながら言われたら飲んでしまいますな!デュフフ)
俺の心の中の黒髭がそうほざく。
よし!最悪ガッツあるからいけるっしょ!
「さーて次いきますか!」
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『少し用事があってロンドンに行きたいんだけど、いいかな? ジキル』
『勇者と共に旅をしたい オジマンディアス』
『聖杯を下さい 天草』
『バーに置くお酒を増やしたいのだが。なぁに悪用なんてしないサ M』
『大勢でお茶会がしたいわ! マリー』
『俺を前線に出すな、出さないで下さい、お願いします イアソン』
『聖杯希望 時貞』
『強ぇ奴と手合わせしたい、誰か紹介してくれねぇか? ベオウルフ』
『今度一緒に航海しようよ! メアリー』
『有給希望 ロードエルメロイⅡ世』
『S E I H A I Amakusa』
『君といろんな場所が見たい エリセ』
『食堂のメニューにキュケオーンを追加しても良いだろうか? キルケー』
『金色で杯の形をした魔力リソースが欲しいのですが 益田四郎』
『聖杯』
『私の部屋の棺そろそろ撤去して欲しいのだけれど カーミラ』
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意見箱の結果からいうと、
有益な意見が15%、サーヴァントの願望が60%、パーティー編成の相談が20%、天草四郎時貞による聖杯の要求が5%であった。
「いや大変だったね……」
「そうですね…その分サーヴァントの皆さんが何を望んでいるのかもわかりましたね」
「とりあえず参考にしながら編成でもしてみるかな」
「応援しています、先輩」
そう言うとマシュは自分の部屋に帰って行った。
マシュが帰って少し立つとドアをノックされる。
「どうぞー」
「失礼しますマスター、早速ですが聖杯が欲しいのですが……」
「自重しろ天草」
FGO作品5作目