午後の5時頃
立夏は、いつもの用に素材の周回を終えカルデアに戻って来た。
一緒に周回をしていたサーヴァントを労いながら、マイルームに向かって廊下を歩いていく。
マイルームの前まで着き、部屋のロックを解除すると、
「ただいまー、って電気ついてる?」
「お帰りなさいませ」
「ご飯にしますか?」
「お風呂にしますか?」
「それとも」
「シャルロットですよー?」
男からすれば可愛い女の子にそんな事言ってもらうことは、嬉しさの極みであろう。
ただし、5人も部屋にいれば別である。
「ふぅ波乱の時間だぜ……」
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「ちょっとコルデーさん?打合せ通りにお願いしますと言ったでしょう?」
「すみません…マスターの顔を見たら頭から抜けてしまって…」
「そうですよコルデーさん、しかしその気持ちはわかります」
「シグルド……」
言い争うならぜひ外でやって欲しい。
だがこれはチャンスだ。上手くすれば逃げれるかもしれない。
立夏は音をたてずに後退りをし、距離を取り始める。
よし、部屋の中の4人は気づいていないな。
………4人?
「マスター……どちらに?」
静謐のハサンの声を背後から聞くと、部屋の中の全員が一斉にこちらを見てくる。
「どうされましたますたぁ?今日も周回でお疲れでしょう?どうぞ中へ」
「そうです先輩、中に入って早く休んで下さい」
「どうぞ中へ…」
「中に入ってくれないと、困ります…」
「早く中に入りましょうマスター!」
全員が笑顔で中に入ることを勧めてくる。
なにこれ凄い怖いんだけど。笑顔だけど誰も目の奥が笑ってないんだけど!
「…じゃぁ中に入ろっかなー、せっかくだし!」
「フフ…おかしな人、貴方様の部屋ですのに」
「そうだよね!」
立夏も意を決して中に入る。
「……これを使わなくてよかった」ジャラッ
誰だ!今ボソッと怖いこと言ったやつは!
本当に何が起こるの!?助けてエミヤ!
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「……で今日はどうしたの?」
「先輩が昨日癒しが欲しいと言っていたので私達が癒しをお届けに来ました」
「…確かに言ったね」
マイルームで誰も居ない時に、ね!
「それで癒しなら奥さんだろうと、皆さんで話あって皆さんで先輩の妻になろうと」
「まぁわたくしはすでに妻ですが」
「困ります、そんな戯れ言を言われても…」
「…わたくしが嘘をついてるとでも?」
「…マスター、少し待っていて、下さいね?」
「あー!他に誰に相談したのかなー!気になるなー!」
「ますたぁ、そんなに大きな声を出されてははしたないですよ?」
誰のせいだ誰の。
「ダ・ヴィンチちゃんにも相談に乗ってもらいました」
あの野郎。だから帰り際ニヤニヤしていたのか。
「では先輩、上着をお預かりします」
「え?あぁ、ありがとう」
マシュに上着を渡すといそいそと上着を片付けてくれる。
そうだよ、こうゆう気遣いだよ。
預かった上着の埃を叩いて落とすマシュ。
預かった上着を丁寧にたたむマシュ。
預かった上着をジップロックに入れるマシュ。
懐から新しい礼装を取り出すマシュ。
「ってちょっと待った、待って?」
「どうしました先輩?」
「おかしくない?なんで新品と交換してんの?」
「私の部屋に持って帰るからですけど?」
この子怖い、悪びれもせず答えやがった。
「誰だ!?マシュにこんなこと教えたのは!?」
4人を見るとあからさまに目線をそらすたわわが1人。
どうやらマヌケは見つかったようだ。
「シャールーロットー!?」
「痛い痛い!?こめかみをぐりぐりするのはやめてください!!」
うちの子にこんな悪い教育しやがって。
「だってマスターの衣服はオークションで高値で売れるんですよ!?あ、でも私は売ってませんよ?えっへん偉いでしょう?ああ!!痛い!アイアンクローに移行しないで!!」
「知りたくなかったわ!そんな事実!」
着る度に新しくなってるなーとは思っていたが、まさか売られていたとは。
「あのマシュさん?できればこの2日前のズボンと交換していただけますか?」
「レア度が高いズボンですか…ですが2日前の物……」
「では私の☆4マスターブロマイド2枚で交換しませんか?」
「☆4ですか!?」
「あぁ!静謐さんズルいですよ!?」
「そこぉ!!怪しい取引をしない!!」
こいつら本当に癒しに来たんだろうか?
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「全員正座!」
とりあえずマシュ、清姫、静謐ちゃん、ブリュンヒルデ、シャルロットの5人を正座させる。
「どうやら貴方達の夫婦像と、俺の夫婦像は違うようですね」
「そんなことありません!必ず妻となって先輩を癒してみせます!」
「そうです!確かに行き過ぎた愛はあるかもしれませんが、立派に妻となって癒してみせますとも!」
確かに俺のためにやってくれていることなので、嬉しくないわけじゃない。
が、正直なところ5人もいたらこっちが疲れてしまう。
「そうだ、ならこうしよう、今から理想の夫婦生活を語ってもらって1番いいなって思った人に今日はまかせることにするよ」
「「「「「え?」」」」」
……なんか変なこと言った?
「「「「「マスターが気に入った人と結婚…」」」」」
「今日だけね?あと結婚じゃねぇから」
「いいでしょう…なら1番手は先輩の正式サーヴァントのマシュキリエライトがいきます」
「とくと見せてもらいましょうか、貴方の理想を…」
「お手並み拝見…」
「困ります、そんな意気がられては…」
「面白いそうですね、どんなお話が聞けるんでしょうか、ね?」
「ずっとそのテンションでいくの?」
ーーーーー
case1マシュ
先輩お帰りなさい、お仕事お疲れ様です
鞄お持ちしますね?
今日は何してたかですか?
ゴミ出しや買い物をしていましたよ。ほら、今日は先輩の好きなハンバーグですよ?
ですけど先輩の帰りが待ち遠しくて、ずっと先輩のこと考えてました……///
あの、せ、先輩!ご飯にしますか?お風呂にしますか?
それとも……キャっ!
私がいいって先輩…///
ほら…先輩見てください。先輩が前に可愛いって褒めてくれた服で今日1日いましたよ
この『デンジャラスビースト』で
ーーーー
「はい!!ストーップ!!、ちょっと待って?1日デンジャラスビーストだったの!?」
「そうですけど?」
「ゴミ出しも!?買い物も!?」
「はい、先輩がそうしろって……」
「想像のな!!」
「すばらしい…お話でした…」グスッ
「泣いてんの!?完全に痴女の話だったけど!?」
「では次にこのわたくし、清姫が参りましょう」
「もう1人目聞いて時点で疲れたんだけど」
ーーーーー
case2清姫
お帰りなさい旦那様
お外は寒かったでしょう?
こぉと、お預かりいたしますね?
いつもありがとう、ですか?
これも妻のつとめですから
愛しているからこそですよ
フフフ……
……あら?旦那様少し失礼 スンスン
この臭い、別の女の臭いがしますね?
……旦那様、誰と会っていたのですか?
私の目を見て、どうか嘘をつかずにお答え下さいね
いったいどなたと 会 っ て い た の で す か ?
ーーーーー
「ちょっと待って!?なんで俺が浮気してる前提で話がすすんでるの!?」
「こうならないようにしてくださいね?」
「…ためになりますね」
「凄い感心してる!」
「次は私が…」
「静謐ちゃんか、うんお願い」
ーーーーー
case3静謐のハサン
ご主人様ただいま戻りました
今ご夕食の準備をしますね
え、いらない?これから出かけるのですか?
で、では私も…ついて来なくていい?
そうですか……え?お金ですか?
うちにはもうお金が…キャッ!
はい…用意しますからどうかお許しを……
あ、今月の生活費が……
………また稼がないと
ーーーーー
「ごめんマジで泣きそう」
「その他にも私を物のように扱ったりして……」
「静謐ちゃんは俺がこうゆう風に見えてんの!?」
「いえ、このように私を使ってくだされば…」ブルッ
「変態だ!!」
静謐ちゃんの知りたくなかった一面を知れた。
嬉しくない。
「これは…私も負けて…いられませんね…」
「負けていいと思うよ」
「では次に私が…」
ーーーーー
case4ブリュンヒルデ
ただいま戻りましたあなた…
ふふ…待ちくたびれてしまいましたか?
今ご飯を…あげますね カチャ
今日もとても、いとおしいあなた
はい…あーん…
美味しいですか…あなた…?
あっ…こんなにこぼして…悪い子ですね…
でも大丈夫です…きちんと私が…お世話してあげますから…
例え…あなたが…もう…動 か な く て も …
ーーーーー
「死んでるじゃねぇか!!」
「それでもあなたを愛してます」
「言いたくないけどこれブリュンヒルデが原因だよね」
「大した推理ですね…マスターは小説家になった方が…いいと思います…」
「そんなたいした推理じゃねえわ、げんた君でも解けるわ」
「くっ!見事に愛の深さを見せられましたね!」
「シャルロット本当にそう思ってる?」
「では最後に僭越ながらこのシャルロットコルデーが語らせていただきます」
「やっとこれで最後か…」
ーーーーー
case5シャル
深い森の奥の奥
そこにある一軒の小さな小屋に私達は住んでいる
朝早く起きてしまった私は、大好きなあの人が起きてくる前に、日課の水汲みをする為近くの川に向かう
水を汲み、小屋に戻る途中、不幸にも木の根に躓いてしまう
持っていたバケツ放り出し、慌てて手を出すが間に合わず、地面に激突してしまう
…前に背後から大きな腕が私を抱き止めてくれる
私は抱き止めてくれた人を見る
身長はゆうに190cmはあり、私の胴よりも太い腕や脚には無数の傷があり、長年戦場にいたかのような雰囲気のある凛々しいお顔の右半分には、縦に大きな切り傷が刻まれている。
私はその人を認識すると胸が凄く高鳴りドキドキしてしまう
だって貴方は私の大好きな……
…立夏さん///
ーーーーー
「いや誰!!!???」
「もちろんマスターです」
「もちろんって何!?誰!?別人じゃん!!」
「ちなみに顔や腕などについている傷は、私がつけたものです」
「とんでもねぇヤバいやつじゃねぇか!!」
「流石と言わざるをえないお話でした……」パチパチ
「なんでこれで拍手ができるの?」
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「皆さんのお話を聞いて私もまだまだ先輩への愛が足りないと感じました」
「わたくしもですわ…ますたぁの愛がこんなにも足りないなんて」
「私もです…負けていられません…」
「困ります…これからみなさんで…」
「修行!ですね!」
「「「「「マスター!待っていて下さい!」」」」」
「もう好きにすればいいさ」
「ではこれから修行開始ですよー!」
「「「「おー!!!!」」」」
そうして彼女達は出ていった。
マスターに癒しではなく疲れを残して。
闘え立夏!耐えろ立夏!考えたらそこでおしまいだぞ!!
「………とりあえず体鍛えるかな」
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「あっマスター!」
「あぁシャルロット、どうしたの?忘れ物?」
「マスターに伝え忘れたことがありまして」
「まだあるの!?」
「耳かしてください」
「なぁに?」
「……別にマスターはそのままでも十分かっこいいですよ?」
呆然とする立夏の前に立ち、口パクで、
『だ』『い』『す』『き』
「伝わりました?」
「……うん」
「それは良かったです!」
というとすぐに部屋から出てしまった。
「あれは癒されるな……」
カルデア内に赤い顔をした者が2人。
嬉しそうに笑っていた。
FGO作品6作目
最近あまり弄れてない気がする
拙き作品ですが宜しくお願いいたします
(いいねや感想等をいただき、ありがとうございます)