人を弄るのが好きなマスターの話   作:あまいろ+

8 / 26
青色のパスタ作ったお前って話

 

吹き上がる火柱

 

ひび割れた壁

 

倒れ伏す仲間たち

 

幾多の特異点を踏破した藤丸立香はのちにこう言った

 

『あそこは間違いなく戦場だった』

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「小腹がすいたな……」

 

現在16:00。教師系サーヴァントの講義も終わり、カルデアの廊下を歩いていると、ふと空腹に気づいた。

 

正直夕食の時間まで我慢できるが、この先に食堂があることに気づく。

 

「つまみ食いをさせてもらおう」

 

ブーディカあたりにお願いすれば、仕方ないなぁと言って許してくれることが多い。

 

間違ってもエミヤは駄目だ。

 

どんな小言を言われるかわかったもんではない。

 

とりあえず食堂を裏手から周り、キッチンに顔を出す。

 

そこには、顔に手をあて顔を覆うキッチンの守護者、無理に明るく振る舞っているブリテンの女神、床に倒れて泡を吹く玉藻ナインの一人、

 

そして、八連双晶のアサシンがキッチンにいた。

 

よし、回れ右だ。

 

キッチンの状況を確認し、すぐさま撤退の行動にうつる。

 

キッチンをあとにしようとすると、足元の何かを蹴ってしまう。

 

「しまっ!?」

 

「マスター!貴方見ているわね!」

 

「くっ!バレた!」

 

「マスター!?よかった!今人手が足りなかったんだ!手伝ってくれる!?」

 

「ははは、楽しい調理実習といこうじゃないか」

 

ヤバい。

 

遠回りだが助けを求めているブーディカはいいとして、エミヤは疲労で声も目も笑っていない。

 

「カーミラさん何してたの…?」

 

「料理を教わっていたのよ」

 

料理、ねぇ。

 

キッチンを見渡すと、ありとあらゆるところに八連双晶が転がっている。

 

「だったらキッチンでやった方がいいよ?八連双晶製造所カルデア支部でしょここ?」

 

「貴方の部屋でやってあげてもいいのよ?」

 

丁重にお断りしながら、キッチンに入りコンロに置かれている鍋を確認しようとする。

 

「練習メニューは?」

 

「パスタよ」

 

「茹でるのは大丈夫として、ソースは何作るの?」

 

「実は…これなんだマスター…」

 

エミヤが口ごもるように言って差し出したのは、

 

『混ぜるパスタの元 ペペロンチーノ味(粉末タイプ)』

 

「………完成品は?」

 

スッとブーディカが指差した先には、お皿に乗ってる八連双晶(ペペロンチーノの粉末がけ)が鎮座なされていた。

 

「どうして!?混ぜるだけじゃん!混ぜるだけって書いてあるじゃん!」

 

「うるさいわね!こうなったんだから仕方ないでしょ!」

 

「仕方ないの範疇を超えてるわ!」

 

八連双晶に呪われてるじゃねぇか。生前ゴーレムに祟られたのだろうか。

 

「もう我々ではどうすることもできないんだ……」

 

「なんとかならないかな…?」

 

「カルデアキッチン三人衆(一人撃沈)が無理なら俺なんか絶対無理だと思うけど」

 

「そこをなんとかお願い!」

 

流石にいつもお世話になってるから助けにはなりたいが、

 

「…お願いできないかしら…マスター?」

 

「…わかったよ」

 

渋々許可をだすと心配そうだったカーミラさんが笑顔で顔を赤くし喜んでいた。

 

(そんな顔されたらね…)

 

だがこれから立香は戦場と向き合うことをまだ知らない。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「ところでマスターはパスタを作れるのか?」

 

「失敬な。空の鍋にタイダルウェイブして、それから鍋をクリムゾンフレアして、シャンパーニュしたらパスタと塩入れればいんでしょ」

 

「まったくわからないわ」

 

「とりあえずお湯沸かして、ミラ様」

 

「誰がミラ様よ」

 

文句を言いつつも鍋に水を入れるミラ様。

 

そしてコンロにセットし火をつけると、

 

ゴオオオオオオオオッッッッッ!!!!!!

 

「「「ギャーーー!!!」」」

 

火をつけると鍋をも覆う火柱が現れた。

 

「鎮火!鎮火!」

 

 

「あんな強火中華料理屋でも見たことないんだけど!?」

 

「なんでかしら?風邪気味なのかしら?」

 

「機械にまで影響する発熱なら医務室行ってこい!」

 

結局火は危ないのでエミヤがつけてくれた。

 

「お湯が沸いたから次はパスタ入れるよ、見たことあるパスタ?」

 

「馬鹿にしないでちょうだい」

 

「パスタ茹でて素材作るとか馬鹿にもしたくなるわ」

 

「………」カチッ カチッ!

 

ゴオオオオオオオオッッッッッ!!!!!!

 

「無言で火を消してまたつけるんじゃない!!」

 

「パスタ入れろパスタ!」

火をまたつけて(エミヤが)パスタを投入した。

 

「今の所八連双晶に変わる兆しは見えないね」

 

「貴方の教え方がいいのね」

 

誰が教えても八連双晶にはならない。

 

「にしてもなんでいきなり料理なんて始めたの?」

「特に理由はないわ、ただ貴方に私の料理を食べて欲しかっただけよ……」

 

「そっか……ありがとうカーミラさん」

 

そこからはお互い黙って、時々鍋をかき混ぜながら、パスタの様子を見た。

 

 

 

……鍋の中には八連双晶ができていた。

 

「……なんで?」

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

それから数日後

 

「見なさい!マスター!ついに八連双晶じゃないパスタが出来上がったわ!」

 

「おぉ凄いですね!」

 

カーミラさんが持ってきたパスタはまるで透き通る青色をしていた。

 

「凄い色ですね!」

 

「でしょう?自信作よ?」

 

「褒めてません、ちなみにお味は?」

 

「ナポリタンよ」

 

「真っ青なナポリタンとか聞いたことないんですが。何入れたんですか?」

 

「企業秘密よ」

 

「倒産してしまえそんな企業」

 

「何を入れたかは言えないけど、ただ無害だし味も変わっていないわ」

 

「マジで何入れたんですか?」

 

「さぁ食べなさい!」グイグイ

 

「わかりましたから押し付けないで!」

 

カーミラさんからフォークを受け取り青いナポリタンを巻いていく。

 

なんだ青いナポリタンって。

 

巻き取って顔に近づけてみる。

 

「心配しないで」

 

「心配してるよ、主に午後の体調とか」

 

意を決して一口。

 

……美味しい。本当にナポリタンの味がする。

 

「美味しいよカーミラさん」

 

「でしょう?もっと食べてもいいのよ」

 

フフンと上機嫌なカーミラさん。

 

「火柱あげて、味見した人倒したりしてた人が成長したね」

 

「成長するのよ私も」

 

結局あのあとも爆発したり、毒味をしたシェイクスピアが気絶したりと大変だったのだ。

 

それに比べれば物凄い成長である。

 

「ごちそうさまでした」

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

昨日は食べ終わったあとカーミラさんが上機嫌で帰って行った。

 

感想言うだけであんなに嬉しそうにするなんて、こっちまで嬉しくなってしまう。

 

しばらくカーミラさんは料理にはまるかもしれないなぁ。

 

その時はまた味見でも手伝うかな。

 

とその時、マイルームの扉が勢いよく開いた。

 

「子イヌ!わたしにも料理を教えなさい!」

 

「勘弁して下さい」

 




FGO作品8作品
Mira様が八連双晶を量産するお話です
拙き作品ですが宜しくお願いいたします
作者はある作品をリスペクトしています
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。