吹き上がる火柱
ひび割れた壁
倒れ伏す仲間たち
幾多の特異点を踏破した藤丸立香はのちにこう言った
『あそこは間違いなく戦場だった』
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「小腹がすいたな……」
現在16:00。教師系サーヴァントの講義も終わり、カルデアの廊下を歩いていると、ふと空腹に気づいた。
正直夕食の時間まで我慢できるが、この先に食堂があることに気づく。
「つまみ食いをさせてもらおう」
ブーディカあたりにお願いすれば、仕方ないなぁと言って許してくれることが多い。
間違ってもエミヤは駄目だ。
どんな小言を言われるかわかったもんではない。
とりあえず食堂を裏手から周り、キッチンに顔を出す。
そこには、顔に手をあて顔を覆うキッチンの守護者、無理に明るく振る舞っているブリテンの女神、床に倒れて泡を吹く玉藻ナインの一人、
そして、八連双晶のアサシンがキッチンにいた。
よし、回れ右だ。
キッチンの状況を確認し、すぐさま撤退の行動にうつる。
キッチンをあとにしようとすると、足元の何かを蹴ってしまう。
「しまっ!?」
「マスター!貴方見ているわね!」
「くっ!バレた!」
「マスター!?よかった!今人手が足りなかったんだ!手伝ってくれる!?」
「ははは、楽しい調理実習といこうじゃないか」
ヤバい。
遠回りだが助けを求めているブーディカはいいとして、エミヤは疲労で声も目も笑っていない。
「カーミラさん何してたの…?」
「料理を教わっていたのよ」
料理、ねぇ。
キッチンを見渡すと、ありとあらゆるところに八連双晶が転がっている。
「だったらキッチンでやった方がいいよ?八連双晶製造所カルデア支部でしょここ?」
「貴方の部屋でやってあげてもいいのよ?」
丁重にお断りしながら、キッチンに入りコンロに置かれている鍋を確認しようとする。
「練習メニューは?」
「パスタよ」
「茹でるのは大丈夫として、ソースは何作るの?」
「実は…これなんだマスター…」
エミヤが口ごもるように言って差し出したのは、
『混ぜるパスタの元 ペペロンチーノ味(粉末タイプ)』
「………完成品は?」
スッとブーディカが指差した先には、お皿に乗ってる八連双晶(ペペロンチーノの粉末がけ)が鎮座なされていた。
「どうして!?混ぜるだけじゃん!混ぜるだけって書いてあるじゃん!」
「うるさいわね!こうなったんだから仕方ないでしょ!」
「仕方ないの範疇を超えてるわ!」
八連双晶に呪われてるじゃねぇか。生前ゴーレムに祟られたのだろうか。
「もう我々ではどうすることもできないんだ……」
「なんとかならないかな…?」
「カルデアキッチン三人衆(一人撃沈)が無理なら俺なんか絶対無理だと思うけど」
「そこをなんとかお願い!」
流石にいつもお世話になってるから助けにはなりたいが、
「…お願いできないかしら…マスター?」
「…わかったよ」
渋々許可をだすと心配そうだったカーミラさんが笑顔で顔を赤くし喜んでいた。
(そんな顔されたらね…)
だがこれから立香は戦場と向き合うことをまだ知らない。
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「ところでマスターはパスタを作れるのか?」
「失敬な。空の鍋にタイダルウェイブして、それから鍋をクリムゾンフレアして、シャンパーニュしたらパスタと塩入れればいんでしょ」
「まったくわからないわ」
「とりあえずお湯沸かして、ミラ様」
「誰がミラ様よ」
文句を言いつつも鍋に水を入れるミラ様。
そしてコンロにセットし火をつけると、
ゴオオオオオオオオッッッッッ!!!!!!
「「「ギャーーー!!!」」」
火をつけると鍋をも覆う火柱が現れた。
「鎮火!鎮火!」
・
・
・
「あんな強火中華料理屋でも見たことないんだけど!?」
「なんでかしら?風邪気味なのかしら?」
「機械にまで影響する発熱なら医務室行ってこい!」
結局火は危ないのでエミヤがつけてくれた。
「お湯が沸いたから次はパスタ入れるよ、見たことあるパスタ?」
「馬鹿にしないでちょうだい」
「パスタ茹でて素材作るとか馬鹿にもしたくなるわ」
「………」カチッ カチッ!
ゴオオオオオオオオッッッッッ!!!!!!
「無言で火を消してまたつけるんじゃない!!」
「パスタ入れろパスタ!」
火をまたつけて(エミヤが)パスタを投入した。
「今の所八連双晶に変わる兆しは見えないね」
「貴方の教え方がいいのね」
誰が教えても八連双晶にはならない。
「にしてもなんでいきなり料理なんて始めたの?」
「特に理由はないわ、ただ貴方に私の料理を食べて欲しかっただけよ……」
「そっか……ありがとうカーミラさん」
そこからはお互い黙って、時々鍋をかき混ぜながら、パスタの様子を見た。
……鍋の中には八連双晶ができていた。
「……なんで?」
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それから数日後
「見なさい!マスター!ついに八連双晶じゃないパスタが出来上がったわ!」
「おぉ凄いですね!」
カーミラさんが持ってきたパスタはまるで透き通る青色をしていた。
「凄い色ですね!」
「でしょう?自信作よ?」
「褒めてません、ちなみにお味は?」
「ナポリタンよ」
「真っ青なナポリタンとか聞いたことないんですが。何入れたんですか?」
「企業秘密よ」
「倒産してしまえそんな企業」
「何を入れたかは言えないけど、ただ無害だし味も変わっていないわ」
「マジで何入れたんですか?」
「さぁ食べなさい!」グイグイ
「わかりましたから押し付けないで!」
カーミラさんからフォークを受け取り青いナポリタンを巻いていく。
なんだ青いナポリタンって。
巻き取って顔に近づけてみる。
「心配しないで」
「心配してるよ、主に午後の体調とか」
意を決して一口。
……美味しい。本当にナポリタンの味がする。
「美味しいよカーミラさん」
「でしょう?もっと食べてもいいのよ」
フフンと上機嫌なカーミラさん。
「火柱あげて、味見した人倒したりしてた人が成長したね」
「成長するのよ私も」
結局あのあとも爆発したり、毒味をしたシェイクスピアが気絶したりと大変だったのだ。
それに比べれば物凄い成長である。
「ごちそうさまでした」
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昨日は食べ終わったあとカーミラさんが上機嫌で帰って行った。
感想言うだけであんなに嬉しそうにするなんて、こっちまで嬉しくなってしまう。
しばらくカーミラさんは料理にはまるかもしれないなぁ。
その時はまた味見でも手伝うかな。
とその時、マイルームの扉が勢いよく開いた。
「子イヌ!わたしにも料理を教えなさい!」
「勘弁して下さい」
FGO作品8作品
Mira様が八連双晶を量産するお話です
拙き作品ですが宜しくお願いいたします
作者はある作品をリスペクトしています