赤い野良猫は海を行く   作:ペペック

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フーズ・フーさんの二次創作少ないなあ……
&
女体化成り代わり系二次作品面白いなあ……

この二つの勢いが合体事故を起こして書きなぐった作品です


ひとまず投獄は避けたい

ここが『ONE PIECE』の世界であると気づいたのは、住み慣れた孤児院から移住した地名が『グアンハオ』であると聞いた瞬間であった。

それ以前でも地名や友人達の名前、自分の容姿の異質さからここが日本ではなく異世界であることは確信していたものの、まさか前世で流行っていた人気マンガの世界とはまず思うまい。

 

といっても自分は『ONE PIECE』の内容はアニメ版はウォーターセブン編の序盤まで、原作はスリラーバーグ編から魚人島編の中間までしか見ておらず、あとはSNSで流れてくるネタバレ感想などで情報を知っている程度。正直ファンとは言えないにわかだ。

それでもグアンハオやサイファーポールのことはネタバレ記事で知ってはいたので、共に切磋琢磨しあう同期達がどういったキャラクターなのかは理解できた。

そしていろいろと情報を整理した結果、どうやら自分は『ONE PIECE』の登場人物の一人『フーズ・フー』に転生してしまったらしいことが判明したわけである。

 

原作では百獣海賊団の飛び六砲の一人で元CP9。

かつて物語のキーアイテムとなるゴムゴムの実の護送に失敗した責任を取られて投獄された挙げ句、これまた物語の鍵を握る『ニカ』の名を知ってしまったばかりに古巣に追われる身となってしまった、ある意味『ONE PIECE』の歴史的瞬間に関わったキャラだ。

 

なぜよりにもよって将来苦労することが確定しているキャラに転生してしまったんだろう……。

せめてモブ………いやダメだ、どの道あの世界は海賊をはじめ革命軍の反乱による大混乱に陥るだろうから、下手なモブなんて野垂れ死ぬこと間違いない。

しかも自分としてはさらに頭を悩ます懸念が一つ。

 

 

 

 

 

 

 

洗面所で顔を洗う友人に、鏡に映る自分の顔を見ながら問う。

 

「………ねえジャブラ」

 

「なんだ?」

 

前髪が長いせいで目元が見えないピンク色の癖っ毛と、頭から伸びる牛みたいな二本の角。まだ幼いため原作の渋い雰囲気こそないが、興味本位で見た飛び六砲の幼少期の姿に描かれていた彼の姿に酷似しているので決定的だろう。

ただ一点を除いてだったが………

 

 

 

 

 

 

 

 

「………私って、女だよね?」

 

「はあ? そんなの見りゃわかるだ狼牙」

 

 

そう、私は女なのだ。

 

女 な の だ

 

 

何度前世の記憶を思い起こしても記憶の中のフーズ・フーは立派なオッサ………成人男性であったはず、それがなぜ女児になっているのだろうか。あるいは私という異世界人の魂が入ってしまったことで、肉体の性別が変異してしまったのか?

だとすると彼の存在を抹消してしまったみたいでなんだか申し訳ない気がする。

 

「姉さん?」

 

「なにため息してんだ?」

 

やるせなさに気落ちする自分の顔を心配そうに覗き込む二人の少年、同時期に引き取られた幼なじみのジャブラと弟分のブルーノである。

そういえばこの三人、出身地が同じ北の海だったからファンの間ではなにかしらの繋がりがあるんじゃないかと噂されていた気がする。特にジャブラとフーは年が近いし、同じ女性に告白して振られるなど共通点があった。

原作ではどうだったか知らないが、少なくとも私と彼らは同じ孤児院で一緒に暮らした兄弟同然の仲で、グアンハオに来てからもそれは変わらない。

なんでもないよと首を振ってからグアンハオの空を眺める。

 

………しかし困ったな。

本当にこの世界がONE PIECEで自分がフーズ・フーなのだとしたら、この先私の身に待ち受けるのは事実上の破滅である。

世界政府の横暴やニカのことを考えるなら、シャンクスにゴムゴムの実を奪ってもらうのが正しいのだろうが、そうするとフーズ・フーは投獄されて凄惨な拷問を受けた末に脱獄し、海賊に身を落とすしかない。どうにか百獣海賊団の幹部に登り詰めても、最終的にルフィ達に敗北して海軍に捕まる。

そこから下手に逸脱しようものなら、物語のシナリオに異変が………

 

 

(ん? 待てよ………)

 

原作のフーズ・フーがやったことって、ドレークの捕縛とジンベエとの戦闘だけじゃなかったっけ?

ジンベエにニカのことを聞いたりはしたけれど結局教えてもらえなかったし、彼の口からルフィ達にその件を話されたとも思えない。そのあと彼がどうなったか知らないけど、少なくともルフィや仲間達の覚醒に直接関わる要素はなかったはず。

 

(あれ、なら別に回避してもよくない?)

 

もしかしたらシナリオの強制力というものもあるだろうが、最悪の場合シャンクスがゴムゴムの実を奪った瞬間に本部に帰らず、そのまま蒸発しちゃえば拷問を受けずにすむのでは?

どうせそのあとお尋ね者になるわけだし。

 

そう思い至り、改めて自分の手のひらを眺める。

今の年齢はだいたい8歳ぐらいか。

 

原作のフーズ・フーの年齢は38歳、運命の日が来たのはその13年前、そこから逆算すると運命の日は26歳に訪れる。なら少なくともあと20年近くは猶予がある、それまでは必死に足掻いてみるのもいいかもしれない。

 

「………よし」

 

そうと決まれば善は急げだ。

きょとんとする二人を尻目に、私は今後の備えをするべく訓練場に駆け出すのだった。

 

 

 




というわけで、こちらでもよろしくお願いいたします
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