赤い野良猫は海を行く   作:ペペック

4 / 17
実際のところ、この二人はどういう関係だったんだろ……


にゃんこには鈴をつけろ

現在のグアンハオには天才ロブ・ルッチがまだいないせいか、私が一番優秀な訓練生ということになっている。どうやら私自身が生命帰還をはじめ様々な分野の習得に貪欲なため、教官から将来有望な優等生と見られているかららしい。

私はただ生き残る術を一つでも多く学びたいだけなんだけど……。

 

ちなみに次点で優秀なのがジャブラで、原作でも彼はルッチとカクに次いで強いと言われていたし妥当な評価だろう。なので私達二人は、大人達から将来のサイファーポール筆頭候補と期待されている状態にある。

 

そんなジャブラはとても負けず嫌いだ。

強さに絶対の自信を持つ彼にとって、女である私に劣っていると周りに見なされているのが面白くないらしく、なにかと私に対抗心を抱いて勝負を挑みにくる。

強くなりたい私としても唯一の同格である彼との組み手は非常に有意義なもので、負ければ敗因を調べて次の鍛練の参考にできるので喜んで全身全霊で迎えうつ。

 

 

 

 

そんなある日のこと。

 

「おい!」

 

本日の生命帰還の修行が終わったところ、なにやら自信満々な笑顔でジャブラが声をかけてきた。こういう時は何か私に勝つ作戦を思いついて挑戦しに来るのである。どれも成功した試しはないが。

 

「今日はどんな作戦を思いついたの?」

 

「へへん! 笑ってられるのも今のうちだ!」

 

そう言ってポケットを探ると、ジャブラの手の動きに連動するようにチリチリンと綺麗な音が鳴り響く。

 

「これをつけろ!」

 

取り出したのは金色の二つの鈴で、よく見るとそれはピアスだった。

 

「これ……」

 

私はその特徴的な形のアクセサリーに見覚えがあった。確か、シャンクスの回想で若かりしフーズ・フーが着けていたピアスと同じもののはず。

 

どうしてジャブラがこれを……!?

 

「お前は猫みたいに音もなく近付いてくるが、これを着けてればお前がどこから襲いかかってこようとわかるぜ!」

 

だが対するジャブラは悪戯が成功した少年らしい笑顔で胸を張っている。なるほど、特に深い意味はなく私にハンデを与えるための策らしい。しかしこういうのはわざわざ私に教えないほうがいい気がするが、変なところで素直なジャブラらしい。

 

でも私は、正直なところ嬉しくはあった。

ジャブラとは孤児院にいた頃からの付き合いで、ある意味では弟分のブルーノ達より特別な存在でもある。それがグアンハオに来てからは競争しあうようになってしまい、内心嫌われていないかと不安になってもいた。彼にそんなつもりは毛頭ないのだろうが、いわばこれは友人からのプレゼントになる。

 

「………ありがとう、大事にするね」

 

はにかんで笑ってみせれば、なぜかジャブラは顔を赤くする。

 

と、近くでガサリと茂みの音がして視線を向けると、いつからいたのかフクロウ達がこそこそと顔を覗かせていた。

内クマドリとブルーノは見つかった気まずさから、ジャブラは一連のやり取りを弟分達に見られていた恥ずかしさから、互いに目を見開いて硬直していたが、

 

 

 

「ジャブラがおねえちゃんにプレゼントしたー!」

 

 

 

案の定三人の中で一番噂好きのフクロウがはしゃぎだし、真っ先に硬直状態から持ち直したジャブラが真っ赤な顔で走り出した。

 

「黙れやフクロウ!!」

 

「こんやくゆびわってやつ!?」

 

「指輪じゃねえしプロポーズでもねえわ!!」

 

ぎゃあぎゃあと騒ぐ二人による月歩と剃を駆使したおいかけっこが始まり、私はそれを見てクスクスと笑う。

 

「姉さん、それ……」

 

「ん?」

 

「あ、いや……なんでもない」

 

その時ブルーノが何か言いたげに口をパクパクしていたのだが、なぜか目を反らすだけで何も言わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、せっかくだからとヤマンバ子先生に頼んで早速着けてもらうことになった。前世含めてもピアスなんて初めてだから少し緊張してしまう。

耳に針が貫通する痛みに我慢してピアス穴を開け、その間ピアス穴が安定するまでの手入れ方法や注意点をしっかりと覚える。そのそばでなぜかジャブラ達も立ち会い固唾を飲んで見守っていたものの、しばらくしてピアス穴の状態が落ち着いた頃を見計らい、ようやく私は鈴ピアスを着けることができた。首を傾げればチリンと涼やかな音が耳元で鳴る。

 

「似合うかな?」

 

鏡で見る限りは結構さまになっていると思うものの、一応みんなにも感想を聞いてみる。

 

「お……おう……」

 

「似合うよ姉さん」

 

「こいつはぁ、ぁ誂えたかのようでぇっございやす!」

 

「おねえちゃん綺麗ー!」

 

みんなが自分のことのように褒めてくれるなかでジャブラだけたじろいでいるのが気になるが、悪感情によるものではないのは察せられた。

みんなありがとうと笑顔でお礼を言えば、笑いあうブルーノ達をよそにジャブラは必死に顔を反らす。

 

「お、終わったならメシ行くぞ!」

 

「あ、待ってよジャブラ!」

 

どもりながら逃げるように走るジャブラの背中をブルーノ達と一緒に追いかければ、駆けるごとにチリンと鈴の音が私達を包みこむように優しく響き渡るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえジャブラ……女の子のプレゼントにピアスって……」

 

「な、なんだよその目は!? やめろ距離をとるなドン引きすんな!!」




フーちゃん:友達からのプレゼントだ! 大事にしよう……(嬉)

ジャブラくん:最初深い意味はなかったのですが、笑顔を向けられたせいで自分がもの凄く恥ずかしいことをしてしまったことに気づいてしまったのです。

ブルーノくん:こいつやべえ……(引)

フクロウ:ジャブラがついに告白(?)したぞ~!!

クマドリ:んよくわからねえがあっ! あおめっっとさんでさあ!!(唯一ジャブラの行動のヤバさに気づいてない)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。