エイシンフラッシュT
「いやー今日も疲れたな」
ファインモーションT
「そうだな、といっても今日は半休だしこれから1週間は休みじゃないか」
「ここ最近働いてばっかだから素直に嬉しいよ」
「校舎の点検だっけ?トレセンの校舎でかいから大変だろうな」
「でもそのおかげで俺たちに休みがもらえるんだ、感謝しかないな」
「まったくだ」
「この休み中基本的にウマ娘のほうもトレーニングも禁止だからな、思う存分休みが過ごせそうだよ」
「フラTは休み中なんか予定あるのか?」
「これと言ってフラッシュからの予定もないしどうするかな」
「フラッシュからの予定がないなんて珍しいじゃないか」
「校舎点検発表されたの2日前だろ?結構突然のことだから急な予定変更で頭を悩ませてるみたいなんだよね」
「あぁ目に浮かぶわ」
「思い切って旅行でも行って温泉に浸かってくるかな」
「お!いいねぇ、俺も久しぶりにのんびりしたいなぁ」
「どっかいい温泉宿で一人旅してくるか」
「フラッシュちゃん連れて行かないの?」
「行かない行かない!温泉ぐらいではスケジュールを忘れてゆっくりしたいよ」
「確かにな!」
「ファイTのところはどっか行くのか?」
「ん?まだ決まってないけど、どうせ定期的にラーメンを食いに行くことになるだろうなぁ」
「……体調管理だけはやっておけよ」
「…おぅ」
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
「たっだいまっと」
エイシンフラッシュ
「トレーナーさん」
「フラッシュ来てたのか、待たせてしまったか?」
「いえ、私が予定時間よりも3分と16秒早く来ただけですから。それよりもトレーナーさん、こちら本日からの予定です」
「ありがとうフラッシュ、えーっと……なぁ、フラッシュさん」
「なんでしょうか?」
「なんかこの予定だと俺明日にはドイツに旅立つことになってるんだけど」
「そうですね」
「なんでいきなりドイツ?」
「だってゆっくりしたいって言っていたじゃないですか、スケジュールを忘れて」
「何でそのことを!?」
あの場にはいなかったはずなのに!?
「だから私の実家でゆっくりできるように予定を組んであげました」
「さぁトレーナーさん、私とドイツに行きましょう?」
「三十六計逃げるに如かず!!」
「させません」
しかし回り込まれてしまった!
「扉をふさがれた!?」
「このトレーナー室の出入口はこの扉のみ、諦めて明日からの荷造りをしましょう?大丈夫です、私も手伝ってあげますから」
「クソ!外国籍になってたまるか!」
出入口がその扉しかないだと?違うね!脱出する手段ならある!
「そんなすぐに捕まるようじゃトレーナーなんてやって行けないんだよ!」
そう言うと扉の前にいるフラッシュより一番遠い窓へ全力疾走する。
そしてその勢いを殺さず窓を体当たりでぶち破る。
「そう来ると思っていましたトレーナーさん、…次にあなたは『このまま逃げ切って見せるぜ!』と言います」
「このまま逃げ切って見せるぜ!」
そして窓をぶち破った先には黒服のウマ娘たち。
「あなたたちは、ファインモーションの……!?」
「申し訳ありませんが捕まっていただきます」
こうして俺は黒服のウマ娘達になすすべもなく捕まりトレーナー室に戻された。
「…私が扉の前に回り込んだ時、脱出のために窓を突き破るというのはトレーナーさんにしてみれば当然の行動。私としては上をいかなくてはなりません」
「フラッシュさーんこれでいいんだよね?」
「はい、ありがとうございます。ファインモーションさん」
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
トレーナー室に連行された俺は、丁寧に設置されているソファーにおろされていた。
俺の前にはエイシンフラッシュ。扉の前にはファインモーション。窓の外には黒服たちと隙のない陣形だ。
「まさかファインモーション、君まで手を組んでいたとは…」
「フラッシュさんとは同じ留学生同士で仲良くなったんだ!それで同じトレーナーが好き同士で協力し合おうって話になってね」
「フラッシュに関してはわかっていたが君も、トレーナーが好きだったのか」
「そうだよ!でも私のトレーナー鈍いから全然気づいてくれなくて」
「そりゃそうだろ、あいつから聞く話ほぼほぼ君とラーメン食べたって話しか聞かないぞ?」
「………」
「…ファインさん、先週はトレーナーさんとお出かけしました?」
「行った」
「どちらへ?」
「ラーメン屋」
「それ以前は?」
「ラーメン屋に行ったね」
「最近の思い出は?」
「この間行ったラーメン屋がすごくおいしかったことかな」
「………」
「………」
「………これあいつ悪くなくね?」
「…私は悪くない!!」
「鉱山都市を滅ぼした後みたいなセリフだな」
「フラッシュさんとあなたがうまぴょいした後に、あの人をアイルランドに連れて行けば全部解決するから大丈夫」
「そうですね予定を少し変更してトレーナーさんは私とぴょいしてから空港に向かいましょう」
「何でそうなった!?」
「そうすれば責任を取っておとなしくドイツ行きを観念するからです」
「私たちの」
「合言葉は」
「「人間がウマ娘に勝てるわけがない!!」」
「なんて最悪な合言葉」
「さて観念してください、天井のシミを数えている間に終わりますから」
「それふつうは男性側が言うセリフなんだど!?」
まさに絶体絶命!!の時。
コンコンッ
「「「!!!???」」」
「おーいフラTー?いるかー?」
「ファイT…!?」
「ファインさんのトレーナー…!?」
「何でキミが…!?」
「さっき気づいたんだけど、お前に借りてた本返しに来たわー」
「なんと間が悪い…!?しかしこれはチャンスですね…」
その後も何度かファイTが声をかけるのが続く。
「トレーナーさん、ファインモーションさんのトレーナーにむかって『助けてくれ』と言いなさい」
「!?」
「『助けてくれ』と言うんです。そう言えばドイツ行きは少しの間勘弁してあげましょう。その代わり彼にはアイルランド送りになっていただきます」
「開けるぞーフラT?」ガチャ
扉を開けて目に入ったのはソファーに座ったフラT、そしてフラTの後ろにいるエイシンフラッシュ。
彼には扉の影に潜む自分の愛馬、ファインモーションの姿に気づいていない。
「なんだいるんじゃないか、え、何で窓割れてんの?」
「早く言ってください。怪しんでいるじゃないですか」
あくまでファイTに聞こえない声量で話すフラッシュ。
一言も発しないフラTと部屋の状況を見て怪しんでいるファイT。
「早く言ってください、そんなにドイツに行きたいんですか?」
「あいつを引き込めば…、あいつを差し出せば…、本当にドイツ行きは勘弁してくれるのか…?」
えぇ、勘弁してあげます。ファインさんという国外結婚という前例を作った後はどうするかはわかりませんが。
「約束しましょう、彼と引き換えですが、さぁ早く呼んでください」
「だが断る」
フラTの一言でエイシンフラッシュとファインモーションの両名は驚く。
「何ィ!?」
「このフラTが最も好きなことのひとつは、人間がウマ娘に勝てるわけがないと思っているやつに『NO』と断わってやる事だ!」
そしてまだ状況がつかめていないファイTに彼は告げる。
「逃げろファイT!!この部屋に入ったら逃げ場はない!国籍が変わるぞ!」
「やってくれましたね…!」
だが彼はファイTが逃げると思った。だが彼は、
「逃げろって言われてよぉ、大事な同僚を置いて逃げると思うんすか!?助けてやりますよ!」
あろうことか部屋に入ってしまった!
「な…!?なんてことするんだファイT…、せっかく危機を教えてやったのに…、うまぴょいされるぞ!!」
ファイTが部屋の中に入って来た為、扉の陰に隠れていたファインモーションも動き出す。
「奴はもうお前を射程に捕らえた!」
ガシィ!
「ファイン…!?なぜそこに!?」
「やっと捕まえた、さぁ一緒にアイルランドに行きましょう?」
「腕が…!?くいこんでいる!」
「お二人とも仲良く国籍を変えましょうか」
「この手段は使いたくなかったが……仕方ない……!!」
するとフラTは空中に何かを描き始める。
「トレーナーさん?いったい何を?」
『
「これは、小さなフラッシュ…!?」
フラTが空中に描いていたところからぱかプチサイズの小さなエイシンフラッシュが出現する。
フラッシュやファインは何が起こっているかわからないようだった。
俺にしか見えていないのか?
そしてぱかプチサイズのフラッシュが俺に触れると、
「なんだこれは!?」
触れたところが紙のようにめくりあがりそこに小さいフラッシュが何やら書き込んでいる。
「今お前に書き込んだ予定は『14時28分時速80キロで自分の体は背後に吹っ飛ぶ』だ!」
「おっ!?うああぁぁぁ!!!」
「お前もトレーナーなら時速80キロで飛んでも問題ないだろう、あとは頼んだぞ!」
「…少しうるさいですね、そんなトレーナーさんにはドイツに行くかうまぴょいするか、すぐさま選んでもらいましょうか」
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「フラT…」
幸いトレーナーということもあって傷ひとつなくあの部屋から出ることができた。
「お前の犠牲は無駄にしない!!」
この状況を打開するには助けが必要だ!
俺が頼れる中で一番有力なのは、
「…エアグルーヴT」
担当ウマ娘が生徒会の副会長であり、ファインの同室だ。
グルTもベテラントレーナーだし彼らに頼るしかない!
「行かせません」
グルTの元へ行こうとすると、そこには道を阻む黒服のウマ娘の姿があった。
「SP隊長!」
「すみません殿下のご命令ですので、おとなしく捕まってください」
「こんな勝手なことが許されると思っているのか!」
「殿下からトレーナーという生き物には人権がないと教わりました」
「泣きそう」
それはアイルランドでの共通認識なのか、ウマ娘の中での共通認識なのか?
どちらにしてもやばいことに変わりない。
「何かないか!?」
必死で自分のベストの中をあさる。
これは…!?
「…つめきり」
「トレーナー様それは…」
「………喰らえ!!」
「その装備で挑むのですか!?」
「こうなったら自棄だ!」
「自棄になりすぎでは!?」
「うおぉぉー!!」
·
·
·
「爪が~!!」
「いや、うん、まさか勝てるとはね」
ウマ娘vs人間
だいぶ手加減してくれてたからなぁ。
他の黒服の皆さんはフラTの所にいるようだ。
フラTがまだ頑張っている証拠だ。
今のうちに行かせてもらおう!
「爪が~!」
なんかごめんなさい。
そう思いつつその場を去るのだった。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
ついにグルTのトレーナー室まであと20メートル。
目標達成も目の前の時、
「やっぱりいるよなぁ、ファイン」
「やっぱり来たねトレーナー」
「当たり前だ、こっちはフラTを失っているんだ」
「もうおとなしくアイルランドにおいでよ、乱暴な事はしたくないんだ」
「……ファイン、何でそんなにアイルランドに連れてきたいんだ?」
「えっ!?何でって、ほら私の故郷だし良いとこいっぱい知ってほしいなーって思って」
「こないだファインがウマインやってる時にさ、たまたま後ろからグループ会話が見えちゃったんだよね」
そこのグループ名が『猟友会』だったのはここで触れる必要もないだろう。
「………」
「そこで言ってたよね?そろそろトレーナーとお父様を合わせないとって」
「………」
「……ファイン、もう一度聞くね?何でそんなにアイルランドに行きたいんだ?」
」
「……バレちゃったら仕方ないね」
「ファイン…」
「その通りだよトレーナー、アイルランドに行く目的はキミとお父様を合わせるためだよ」
「……」
「キミが悪いんだよ?私はキミのことが好きなのに、私のアピールに気づいてくれないから」
「アピールって、もしかしていつの間にか財布の中にパンパンに札束が入っていたのはファインがやったのか?」
「そうだよ!」
「もしかしてうちのドアストッパーがなぜか金の延べ棒になっていたのもファインがやったのか?」
「そうだよ!」
「もしかしてうちの風呂にお湯を貯めるといつの間にか金粉が浮かんでるのもファインがやったのか?」
「そうだよ!」
「分かるか!!!」
「何で私の愛を分かってくれないの!?」
「怖いんだよ!!明らかに誰か侵入した形跡のある風呂に入んのは!」
「個性があっていいでしょ!」
「むしろ個性しかねえわ!この世間知らずめ!もうちょっと世間にもまれろ!」
「わかったよ、じゃぁ選んで暴力を使うか、薬を使うか」
「乱暴なことしたくないって言ってたお口はどこ行ったの?」
その時グルTのトレーナー室が開き、
「何やっているんだ?こっちまで声が届いていたぞ?」
「あれ?ファインモーションにファイTじゃないか?」
「エアグルーヴ!グルT!」
[[rb:救世主 > メシア]]来た!
「助けてください!今大変で!」
「あーすまないな」
「え?」
「これからこのたわけと温泉旅行に行くんだが、電車の時間が近くてな」
「いやー申し訳ない」
「たわけ!貴様が出発の時間が近いのにだらだらしているからだろうが!」
「まだ時間あると思っちゃってさ」
「まったく罰として旅館に着いたら思いっきりたわたわしてやるからな♡」
「3泊もあるんだ、お手柔らかに頼むぞ?」
「それは貴様次第だ、たわけ♡」
「…」
「…」
「じゃぁ行ってくるよ」
「騒ぐのはいいがあまり問題を起こすなよ」
仲良く腕を組みながら歩いてく二人を見送る俺たち。
神はいなかった。
「トレーナー?なにか言い残すことある?」
「せめてロイヤルファミリー入りだけはどうか……」
「うん、それ無理♪」
その日二人のトレーナーが日本から出国した。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
レースに勝たせたいという強い精神エネルギーが具現化したもの。
能力は能力者によって違うがいずれも担当の個性に似た能力が発現している。
総称として(
対象を行動を書き込んだ通りの行動を取らせることができる。
ただし具体的に書き込まなければいけなく、時間も秒数まで指定しないと発動しない。
多分もう出ない。
ウマ単1作目
ウマ娘にも手を出して見ました
今回はやりたいこと全部やった感じの作品です
拙き作品ですが宜しくお願いいたします