某日。
いつものようにシャーレで仕事中。
しかし、今日の仕事はいつもよりも比較的量が少なく、午後を回った今では今日の業務の底が見える状態だった。
「ふ~……もう少しで仕事も終わるし、目立って急ぎの仕事もない。毎日こうだったらいいのに……」
業務が少ないとはいえ、長時間座っていた身体のコリをほぐすように私は身体をそらし、伸びをする。
傍らにあった紅茶を一口飲んで残りの仕事を片づけようとしたところ、シッテムの箱からピロンと通知音がなった。
『先生!生徒さんからモモトークが来ましたよ!』
「ありがとうアロナ。誰からきたの?」
『はい!えーっと……あの…スバルさんからなんですけど……』
「スバル?」
今連絡が来た生徒、梯スバル。
アリウス分校所属の優しく、責任感が強い後輩思いの生徒。
アリウスでの支配の歴史や冷遇された過去を振り切り、新しいアリウスを目指している。
確か今はアツコ達、アリウススクワッドと一緒に学園の基盤を共に作っていたけど。
「なになに?」
私はシッテムの箱を手に取り、スバルからのモモトークを確認する。
『せんせたすいあかなばむり』
「……どうしちゃったのスバル?」
スバルは決してこんなメッセージをふざけて送るような子ではない。
何かあったのではないかと思い、急いで外出の準備をしようとすると今度は同じアリウス所属の秤アツコから通話の連絡が来た。
『先生?今大丈夫?』
通話に出ると、落ち着いたアツコの声が向こうから聞こえる。
「大丈夫かと言われるとちょっと……。アツコはどうしたの?」
『今スバル先輩から連絡来なかった?』
「きたよ。アツコは今スバルと一緒にいるの?」
『うん。出来たら先生に来てもらいたいんだけど』
「わかった今行くね」
『ありがとう先生。あ、ゆっくりでいいよ』
「……ゆっくりでいいの?」
アツコの様子からしてどうやらスバルは無事らしいので、アツコの言ったようにゆっくりと準備をしてシャーレを出た。
・
・
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アリウス分校。
その昔トリニティ総合学園から弾圧を受け、自治区から追放された学園。
ベアトリーチェに長年支配されていたせいか、生活は貧しく荒廃した建物が多く並んでいる。
今ではトリニティや救護騎士団の介入などで少しずつましな暮らしが出来ているが、まだまだ改善の必要がある地域だ。
そんな地域なのだが……そんな地域だったのだが……
ゴウンゴウンゴウン……
ガガガガガガガガガ……
モォ~~~~~~~~
「ようこそアリウスへ……先生……」
あちこちを往復する軽トラ。
一画を耕すトラクター。
そして、
「モォ~~~」
放牧されている牛。
あれ?アリウスってこんなところだっけ?
「お疲れ様スバル。……何があったの?」
「実は、ある時……4人組の生徒がふらりと入ってきまして……」
私は状況を知るために出迎えてくれ、なぜかボロボロのスバルに事情を聞いてみる。
「アリウスを乗っ取られました……」
「乗っ取られた!?」
スバルは力なくうつむくきその事実を肯定した。
「いったい誰が……!?」
「お~~いせんせ~~!!」
スバルと話していると遠くから、大きな声で私に向って呼びかける生徒がいた。
スバルの落ち込む様子とは裏腹に元気で、気分が高揚しているのか手をブンブン振ってアピールしている。
「あ……あの人が件の人物です……。まさか先生のお知合いですか?」
「…………」
手を振りながらこちらに走ってやってくる、ピンク髪で狐耳を持った生徒。
吉野ニコが満面の笑みでこちらにやってきた。
どうしよう……。アリウスに攻め込んだ張本人は現シャーレ直属の部隊です、って言っても怒られないかな。
「先生!来てたんですね!今朝ぶりですね!」
「……そうだね」
私の胃の心配を他所に、息を切らしながら私の元まで来たニコは嬉しそうに挨拶してくれた。
確かに今朝から用事で外してたけど何してんのさ、ニコさん。
「あの、さ。聞くのが怖いんだけど、ニコはどうしてアリウスに?」
「お話しに来ました!!」
「おかしいな……。お話って書いて武力行使って書くんだっけ……?」
お話というならぜひとも言語で解決してほしいところだが。
……肉体言語でもなくね。
「何がお話ですかっ!?このアリウスの状況を見てください!?」
「私はいいと思うけどな。なんかこのへん寂れてますし、ここら辺一帯田園風景にしよ?」
「お断りします!!」
「言ってることが侵略者なんだよなぁ」
テンション高くウキウキで侵略行為をするニコに、突然来訪者に勝手に土地改革されるスバル。
どちらも今は冷静ではなく、誰か説明してくれる人が欲しいのだが……。
私も私で助けを求めていると、今度は白い軽トラがこちらに向って走ってきた。
「来てくれたんだ先生。先生いらっしゃい」
「……姫、軽トラがお似合いですね」
その軽トラが私たちの前に停まると、中からアツコが顔を出す。
アツコはそう?っと何でもないように言うと、軽トラを駐車して私たちの前に降り立った。
「アツコちゃん!資材の運搬ありがとう!軽トラ姿も様になってるね!」
「ふふ……まぁね」
「アツコさんまで……」
いつの間に仲良くなったのか、キャッキャと話す二人。
アリウスの現トップ、生徒会長がこんな賊と仲良くしてる姿を見て、スバルの表情はさらに暗くなる。
「どうゆうことなのアツコ?」
「あれ?ニコから聞いてないの先生?」
「ニコ?」
私は咎めるようにニコを見ると、ニコは笑顔から表情を変え、真剣な顔になる。
「先生……。飢えというものは大変なものなんです。我々FOX小隊も経験があります。任務で荒れた土地で飲まず食わずというのもザラでした。でも私たちは任務。しかしアリウスの人たちはそれが常なんです。この前アリウスにユキノちゃんと行った先生ならわかるはずです」
ニコが言っていることはあれだろう。私とアリウススクワッド、そしてユキノと行った、目次録の天使の事件。
私も目にしたアリウスの貧困。まともな食事も、住居もなく鬱屈した毎日。きっとニコもユキノから聞いたか、報告書を読んで知ったのだろう。
「トリニティからの支援があるのも知っています。……しかし先生ならこんな言葉を知ってるでしょう。『人に魚を与えれば1日で食べてしまうが、釣り方を教えれば一生食べていける』」
「……スバル、わかる?」
「……ええ。その場限りの助けよりも、自立した力をみにつけろってことですよね。確かのトリニティの支援におんぶに抱っこではこれから先アリウスを堂々と名乗れません」
「農業というのはその1歩です。自給自足を補い、まかなう。まさしく今アリウスに必要なことでしょう」
「長期的な目で見ればそうかもしれませんが……」
「それと同時に思ったんです。…………あ、土地余ってんじゃん」
「飛んだね」「飛びましたね」
「見てください!この広大な土地!!開発しがいがあるじゃないですか!!」
「言ってることは思いやりなのに、やってることはバイキングなんだよなぁ」
「なので前々からアツコちゃんと計画してた、アリウス農地計画を今始動することに決めたんですよ」
「え!?アツコさんまでそっち側なんですか!?」
「うん。前からニコと一緒に土地を探していろんな所を吟味したけどどこも高い。だけどアリウスなら実質タダだから」
「何を勝手なことしてるんですか!?こんな勝手にアリウスを渡すようなことをして!?」
「渡すんじゃない、改革するだけ。今のアリウスの食糧難にはニコの言っていた農業は必須だし、特産品なんかも出来ればそれを輸出してお金も貰うことができる」
「それはそうですが……」
「それに農業をするっていうことは水やインフラも整うってこと。これは自治区を運営する際に最優先なこと。それでもダメ?」
「そうです。それに私たちはアリウスを支配しようとしていません。ただあなたたちと一緒になにかを作りたいだけです」
「……はぁ、2人の言い分がアリウスに必要不可欠なことはわかりました。ですがアツコさん、このような大がかりなことをする時は、こっちにも相談してください。」
「?、……確かに言ってなかったけど、結果的に許可を出したのはスバル先輩だよ?」
「……は?私はそんな許可は出してませんが?」
「ニコたちが来た時にスバル先輩が対応したけど、先輩その時に言ったはずだよ?……アリウス流で決めましょうって」
「…………あ」
「アリウスの悪いところだよね。本当ならアリウス流で勝ったニコがここを支配しても負けたスバル先輩は文句言えないんだよ?」
「私は正直農業が出来ればそれでいいので、支配とかはちょっと……」
「スバル先輩は反省して、ニコに感謝しなきゃね?」
「…………反省します」
うん。一時はどうなることかと思ったが穏便に済んでよかった。
先生の私は途中から空気だったけど、当人同士の話し合いで解決したようだ。
まぁ……それで、こんなことを言うのは本当に野暮なのだが、どうしても口から出したい。
「ニコ……SRTの復興は?」
ブルアカF作品9作目
最近放置の9作目☆
転生先生、嘯くばかり書いてたからたまにはこっちも書いてあげなきゃ
……私のシャーレにはFOX小隊が来なかったから書く気がね
まぁネタがないともいえるけれども
けれども!!
あ〜ニコとクルミとスバルぱいせんきてくれ〜