〜ホロサマー・ザ・ナイト〜   作:坩堝の騎士王

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【レディソード】
大剣に比する、長い剣身を持ちながら
その重量を極限まで削った剣。軽大剣。
貴婦人の名を持つ上質な得物。
洗練された型により直剣と同等の速さで振るう事が出来る。

【戦技:片翼の構え】
静かに右側に構え、攻撃に備える戦技。
通常の攻撃で高速の三連撃に。
強攻撃は、跳躍からの突きに派生する


〜伝説の始まり〜放浪騎士の始動〜

 

 

〜研究所・ラビットハッチの一室〜

 

「ん……何だ、もう朝か…」

 

ベッドで就寝していたイチカ(ほんの少しの気配で飛び起きる)は、日が登りきらぬ中、目を覚ます。上体を起こして気づいたことだが、ここ最近マドカに抱き着かれたまま眠ってるという状態が、ある程度続いている。だが、それを受け入れていたイチカは矢張り、家族との触れ合いが恋しかったのだと自覚していた。

 

「……んむぅ…兄さぁん……そこはダメだぁ……////」

 

「…何を視てんだ……コイツは……」

 

寝ているマドカに毛布を掛けるとイチカは寝室を出ていき、水道から出た冷たい水で眠気を完全に吹き飛ばした後……外にある開けた場所に出ると身体維持のトレーニングを始め、粗方のウォーミングアップが済んだところで、【戦鬼】という鎧装束に身を包んで有る軽大剣を抜刀すると、広場の真ん中に立ち【霊呼びの鈴】を掲げ【遺灰】を媒介にして 【写し身の雫】を召喚。スライムの様なソレは、少しして、今のイチカそっくりに化けた。

そして互いに一礼をし、【レディソード】を水平に構えた。……そして……

 

『死にさらせぇぇぇぇぇ!!!!』

 

「貴様こそぉぉぉぉ!!!!!」

 

風の斬撃がそこかしこに吹き荒れて大地が削れ、草木は断ち切られ、岩が豆腐のように斬られていく。このやり方は、千差万別の戦い方を持つイチカの修練の一つである。[道場]…ソレは、一礼をした後にお互いが殺意を振り撒き、全霊をもって殺しにかかるというシンプルな訓練法である。場合によっては、[魔術・祈祷縛り]や、[特殊武器縛り]など、色々決めてやることが出来るあたりかなり実戦向きの手法である。

 

トレーニングを済ませたイチカは、シャワーを浴びる為に浴室を借りようとした。

……ここで言っておこう、イチカの危機感知は敵意に反応するのであって日常生活では、あまり役に立つことは無い。故に……

 

「……あら…以外に、イチカ君も、()()に来たのかしら?ジュルリ……」

 

「……ヌォ?!…お前なんで…あぁ…スケジュール知らずに来たのか……」

 

イチカは、己の感覚を呪いたくなった。ホロアースと此処では価値観に致命的な相違があり、アッチの感覚に慣れきったイチカは、此処の価値観と言うものを()()に忘れていた。加えてイチカの今の格好は、ズボンを着けた上裸を惜しみなく出しているスタイル。

その肉体を見たスコールが舌なめずりをした事に、イチカはちょっとだけ警戒度を引きあげる。

 

「あらあら……イチカ君…中々いい身体してるじゃ無い……」

 

「∥д・)ソォーッ…すげぇな……ムダのねぇ筋肉の付き方だぜ?ココまで鍛え上げてる奴は、なかなか見た事がねぇな……」

 

スコールは少し妖しい息遣いでそう呟き、オータムは一夏の肉体を努力の証と褒めた。イチカはオータムの掛け値なしの賞賛に、小恥ずかしそうに

そっぽを向いた。

 

「フフッ……可愛い反応するわね…ソレじゃごきげんよう……」

 

「じゃあな、ゆっくり休んでくれよ?」

 

どうやら、スコールという人物像は、今の段階では掴めないらしい。

まぁ([おかゆ]のように雲を掴めない性格みたいな人かな……)と思ったイチカ。

と、前置きはここまでにして、汗を流す事にしたイチカ。

 

 

シャワーを終わらせ、部屋に戻ってきたイチカは最早趣味の一環となった"ツール鞄"で戦闘に使う備品や小物の製作・調整……などを始めた。

 

『…"結晶投げ矢"は、そろそろ備蓄が尽きそうだな…"爆弾壺"は、まだ有るとして…う〜ん…』

 

「な〜にしてるの?」

 

背後からニュっと現れた束さんに少しビクッとなりながら、作業を続けるイチカ。束さんによる多少の脅かしには慣れた。当初……暗黒波をぶちかましてしまった事には大変申し訳なく思ってる。

 

「束さん……戦闘用の小道具とかバフアイテムの作製ですね。」

 

「へ〜、古き良き調合セットじゃん。凄く実用的なツールだね〜」

 

ホロアースでは、調合、裁縫、製薬系の道具が揃ったツール鞄の売上が伸びまくっている。

それにあたって[ツール鞄]を創った[天開司]は著作諸々で現在ガッポガポらしい( ̄▽ ̄;)……。

ー(今頃、天魔機忍ver.Gの皆と、爆笑してるんだろうな〜)と、イチカは、あの厳しくも優しい世界に戻りたいが為に元凶を…ひいては歪みを一刻も早くぶちのめそうと思っていた。

すると、スコールがテレビを付けようとする。

 

「束?今日はクラス対抗戦が合ったはずだから観るわね♪せっかくの姪とその恋人の晴れ舞台…是非見なきゃね♪」

 

「そっか!今日は、ほーきちゃんも出るんだ!なら観よう!!ほら、いっくんも!」

 

イチカは作業の手を止め、[ツール鞄]を仕舞うと束達と一緒にテレビモニターを見始める。

 

「…へぇ( ¯∀¯ )箒か…懐かしいな……いい目になったな…」

 

「ほーきちゃん…ずっといっくんを待ってるんだよ?……凄いね〜」

 

「そうか…何時か会いに行ってやろうか……」

 

「束さんがお膳立てするからその時まで待ってね〜」

 

束さんとイチカは、テレビの向こうに映る[篠ノ之箒]をその眼差しで見つめていた。片や、大事な大事な妹として、片や、あの世界で忘れることのなかった人物を。互いに、[篠ノ乃箒]を見つめるその目は、((負けるな!))という強い思いに満ち溢れていた。

だが、とある戦いでソレは動き出した。

対戦相手の[鳳・乱音]のISが黒く粘性を持って溶け出したかと思うと、操縦者を飲み込み変異し始めた。

途端にイチカは、血相を変えて動きだした。変異し始めたあの黒泥の中にひっそりと、虹石人(クソッタレ)の破片がチラッと見えたからだ。

 

「束さん!!今、あの黒泥の中に[異物]が入ってた!!!」

 

「……うん!あとは任せて!行ってきて!」

 

「おう!」

 

そしてイチカは外へと続く廊下を駆けながら、【戦鬼シリーズ】へと換装。流れる様に霊馬"トレント"を呼び出し乗り込むと、【神聖文字の指輪】の力で[歪み]の元へ繋ぐゲートを召喚。そのゲートに"トレント"諸共、飛び込んだ。

 

「いっくん……よし!束さんは後の事を考えよう!……その前に、ちーちゃんに連絡しないと……」

 

と、束はとある連絡先へと電話を掛ける。

向こうが応答したとわかった途端、携帯を引き裂くと思われる程の怒号が束の耳元で炸裂。だが、意にも介さない様子で束は話し続ける。

 

「あっ、もしもし、ちーちゃん「!???!、!、?」違う違う!あんなブサイク作らないよ〜(^-^)ナイワそれより、アレをぶちのめせるプロフェッショナルそこに向かわせたから♪「……?…………?」後で、ちゃんと説明するから!ばいばーい!」ガチャ……

 

ソレは束の心友にして[世界最強]の異名を持つ、[織斑千冬]であった。最も、[織斑千冬]もとしても[篠ノ之束]に連絡したかったらしく、結構キレ気味だったらしい。

 

「さ〜て、一度、IS学園に行こうか♪ちーちゃんに直接、話がしたいし、丁度、束さんも、ISについての()()を、してやろうかな〜」

 

「姉さんに会えるのか……今更どんな顔をすればいい……」

 

「兄貴に、ベッタリだったからその態度でいいんじゃねぇ?」

 

研究所に併設されたハンガーには、[オータム・ミューゼル]と[マドカ]がISを纏い、待機していた。因みに、スコールはイチカのフォローの為に先に、IS学園へと自らのISを駆り、飛んで行った。

束はこの際、ISについての存在意義を改めて、問い質すために直接出向くことにした。

 

 

〜IS学園・第一アリーナ〜

 

[鳳・乱音]のISが突然溶け出した、その瞬間、黒い泥のような物体が流動しながら、気色悪い音を立てて乱音を取り込んで一体の異形を形成した。その影は【異竜:ゴルザ】

竜を殺し、竜を喰らい続け人の道をトントン拍子で外れた成れの果て。

竜にも人にも成れぬ紛い物。

竜達の頂点【桐生ココ】を襲撃するが、たまたま居合わせたイチカにより阻止され、龍王の手により裁きを下された。

 

尋常ではない殺意と怒り…滴る灼血の燃える匂い……ゴルザは、その手に持つ【龍血の大刀】とその巨体を駆使して、周囲のIS部隊をなぎ払おうと咆哮を上げた。

 

『ヴォロロロロロロロロロ!!!』

 

「…箒さん!此方に!皆さんは、避難が済むまで引き付けてください!」

 

「「「了解ッ!!!」」」

 

IS部隊はアサルトライフルを撃ち続けるが、竜鱗に弾かれて録にダメージを入れられず、更に振り回す大刀から、迸る灼血が、灼熱の範囲を広る為に迂闊に近寄れない。

 

「……何よ此奴!新手の生物兵器?!さっきから、ISの銃弾が弾かれている!」

 

「…先生っ!俺も、手伝いまっ『馬鹿者!!生徒は避難しろと言ったはずだ!!』…だけど千冬ねぇ…このままじゃ学園が!」

 

「早く逃げなさい!!!『ヴォロロロ!!!』……危なッッ……!」

 

そして、IS[白式]を纏った[織斑秋也]に迫る大刀を1機のISが押し出した瞬間、操縦者諸共、その分厚い大刀に砕断された事により、戦況は一変した。

 

「あ…あああ……そんな…一撃…いえ、まさかシールドバリアごと、潰し斬った……とでも言うの?……」

 

IS部隊は、予測すら出来なかった……ISは確かに強い……だがそれは、[理]が同じだからこそ成り立つのであり[理]の違う怪物には、ISの防御性能は余り役に立たぬ。一方の異竜は口角を吊り上げた。ーもっと贄を!()を越える力を!ー次は、あの赤いIS(篠ノ乃箒)だと狙いを定め鋭利な牙の並ぶアギトを開き、飛びかかったその時、

死角から蒼の斬撃が四つも飛来。寸分違わず異形に直撃し怯んだ次の瞬間…赫い焔の剣が、空気を引き裂く轟音と共に、その頭蓋を地に叩き伏せた。

その轟音の中で、箒は優しく抱きとめられる不思議な感触がした。

自分を抱きとめた、恩人の顔を良く見ようとするが、狼の様な兜により、其の顔は分からなかった。その人物は、[箒]を優しく下ろすと、

 

[箒]を、護る様に【雪花の刺突盾】と【不知火の氷双剣】を携え、立ちはだかる。

 

〜篠ノ乃箒side〜

 

〜私を護った、銀色の鬣を靡かせた鎧甲冑の男は、私を庇うように堅牢な大盾と赫と蒼の双剣を構えていた。

其の得物が焔と氷を帯びているところを見るにあの双剣?で怪物の頭を殴り付けたのだろう。

 

「…誰かは、知らんが…有難う……」

 

『…“((。。*)コクッ…』

 

鎧騎士は此方を振り向き、会釈をすると、盾を私の壁になるよう突き刺した。

 

『(…さて…【異竜】とはな……)』

 

「…頼む!!…[乱音]を…私の[友達]を救けて…くれ……」

 

『…心得た…ソコは変わらないんだな…箒……』

 

と、鎧騎士の雰囲気がガラッと変わった事を肌で感じる、篠ノ乃箒。

鎧騎士は剣先を異形に向けると、轟くような声で、己の名を叫ぶ。

 

『我が名…狼の戦鬼・バルグラム!!』

 

異世界より一時的な帰還を果たした、[若き英雄]が、己を示す鬨の声を上げた。

 

 




【雪花の刺突盾】
雪の結晶を象った透き通る様な六角形の刺突盾。
攻撃とガードを同時に行える。
()()()()()()()()()()()()()やり方で鍛えられた。

【専用戦技:凄惨なる氷嵐】
盾から生成される氷嵐を相手にぶつける戦技。
氷嵐は勿論、超低温の暴風・細い氷柱や雹が敵の肉体を穿ち・貫き・凍傷を敵対者に刻み込む
大自然に畏敬の念を持つ一族の手により見出された自然の猛威の一端
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