つよつよ未来サンとよわよわ響ちゃん(仮)   作:望月エト

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 ぽや~とした妄想設定を入れまくった末に出来上がったキャロル(とダウルダブラ)のお話です。
 今話に出るキャラの身長は、エルフナイン/キャロル:140㎝、響:150㎝、未来:160㎝と10㎝差ずつになっております(この世界のオリ設定)


キャロルとダウルダブラとの邂逅

 

 シャワールームでの洗い合いを終えた響と未来はマリアとそこで分かれた後、人慣れと案内と称して潜水艦内を歩いて回っていた。

 

「——ここは資料室。聖遺物や世界中の文明の資料がいっぱい置いてあるんだよ」

「……ホントだ……本がいっぱいある」

「ガングニールについて書かれてる資料もあると思うから後で読んでみよっか」

「……うん」

 

「——ここは食堂。いつもはここの職員さんが料理を作ってくれるけど、昨日の私みたいに自分で料理しても大丈夫なんだ。使用許可……というか一言だけ残す必要があるけどね」

「……ッ……人、いっぱいいる……」

「朝ごはん食べに来てる人たちだね。皆さん、優しい人たちなんだけど……こわい?」

「……だぃ……ううん、ごめん……未来がそう言うなら絶対そうなんだろうけど……こわい……」

「そっか……じゃあ、紹介はまた今度にして、簡単に摘まめるものを貰って次に行こっか!」

 

「——ここは第一更衣室。基本的に装者はここを使ってるの。今は誰もいないね」

「……誰もいないね」

 

「——ここは~……」

 

 訪れた場所の説明を未来がして響が室内を除き、また別の場所へ移動するという流れを六回ほど続き、また別の場所へ移動を始めたその道中にて。

 

「……未来、待って……女の子が倒れてる」

「え?」

 

 食堂で貰ったゼリー飲料で未来と共に歩きながら朝食を摂っていた響。

 両手でゼリーを押し出しながら通り過ぎようとした横道にふと視線を向けた彼女は廊下で散らばっている書類や数冊の本と共に倒れ伏す少女を発見し、その場で制止して先に少し進んでいた未来を呼び止めた。

 

「倒れてる? 誰が……って、エルフナインちゃんッ⁉」

 

 横道まで戻ってきた未来は響の横に立って彼女が見ている先へ視線を向けると、倒れ込む少女の金髪と白衣を見てすぐに正体に思い至り、その子の元まで駆け寄る。

 

「……」

「ちょ、エルフナインちゃん……あ、キャロルちゃんかな……いや、どっちにしろ、大丈夫ッ⁉ ねぇッ⁉」

 

 未来がエルフナインorキャロルの傍で膝をついて呼び掛けながら体を揺さぶること十数回。

 

「…………やかましぃ……」

 

 ゆっくりと瞼が開かれ、そこから覗く綺麗な碧眼で忌々しそうに未来を睨みつけながら弱々しく呟くのはキャロルだった。

 どうやら昨夜からずっとエルフナインとは人格交代をしたままのようだ。

 キャロルは上半身を起き上がらせると未来の背後へ視線を向け、歩み寄ってきた響の存在に気付く。

 

「……あ、キミは……えるふないん、ちゃん?」

「完全融合症例……いや、立花響。俺はエルフナインではない」

「……え? でも……」

 

 響は先日の検査の際にエルフナインとは既に顔を合わせ簡単な自己紹介を受けているので彼女の存在だけは知っていた。

 しかし、エルフナインの肉体の本来の主であるキャロルと体を共有していることまでは流石に教えてもらっていない。

 そのため、エルフナインと瓜二つな見た目なのに彼女ではないというキャロルの言葉に戸惑いの表情を浮かべてしまう。

 

「はぁ……おい、小日向未来」

「あ、うん。響、あのね? この子はキャロルっていう子で——」

 

 説明するのが面倒だとキャロルに丸投げされた未来。

 そんな彼女の特殊な肉体共有についてとそんな存在に成った経緯などを響に説明してあげるのだった。

 そしてその後、二人は廊下に散らばる書類や本を拾い集める手伝いをすると、「持ったついでに運べ」と言われてしまい、そのまま三人でエルフナイン/キャロルの研究ラボまで移動していく。

 

「……わぁ……すごい、散らかってる」

 

 ラボまでやって来た響が室内に入って見たのは資料やバラバラのメモ用紙、本の山や人形の手足のようなものなどで散らかりまくった惨状だった。

 テーブルの上も床も散らかり放題でゴミ屋敷というワードが頭に浮かんでしまうほどである。

 

「うわぁ……またこんなに散らかして……」

「ふんッ。これは散らかっているのではない。必要な物をあるべき場所に置いているだけだ」

「もぅ、そんなこと言って……少しは片付けないとマリアさんにまた怒られるよ?」

「はッ……アイツに何を言われようと、どうでも…………小日向未来、この部屋の状況をマリアに言うんじゃないぞ? 絶対に言うなよッ?」

 

 部屋の惨状に呆れる未来に対し、屁理屈を述べるキャロルだがマリアの名前を出されて珍しくたじろぐ姿を見せる。

 実はマリアは持ち前の過保護さでエルフナイン/キャロルの面倒をよく見ており、一度、今回のように部屋を散らかした時は正座で叱られているのだ。

 それが余ほど堪えたようで、未来を見上げながら念押しするキャロルの表情は焦りが滲んで見える。

 

「ふふ。分かった、分かった。マリアさん()()言わないでおくね」

「それでいい……ふぅ……」

「それで?」

「ん?」

「エルフナインちゃんならともかく、キャロルちゃんが此処に招き入れたってことには理由があるんじゃない?」

 

 未来は両手で抱えていた資料の束を辛うじて存在していたテーブルの空きスペースに置くと、キャロルへそう尋ねた。

 

「察しが良いのは助かるな。あぁ、そうだ。昨夜、お前が暴走したせいで言っていなかったことが幾つかあるんだが……その中の一つは立花響がいない時にしよう」

(パヴァリア光明結社関係かな……)

「まずは……確かここに……あった、あった。コレだ。見てみろ」

 

 キャロルはガサゴソと汚いテーブルを漁り一つのシャーレを取り出してそれを未来へ手渡す。

 

「これは……石?」

 

 未来が受け取ったシャーレに視線を落とすと、その中には五百円玉ほどのサイズと豆粒ほどのサイズの二つの石が納められていた。

 その石は二つとも岩のような黒い部分と橙色に輝く部分が存在しており、宝石の原石のように見える。

 

「大きいやつは立花響の背中の傷跡に付着していたモノで、もう片方の小さい方は昨日行った採血の後にアイツの針を刺した部位から発生したモノだ」

「え⁉ この石が、響から? な、なんで……」

「取り乱すな。それができる仕組みはある程度は解明できている。よく聞け」

 

 キャロルは未来に落ち着くように命令口調で促し、その後すぐに響の体から石が生まれる理由を説明し始める。

 響は傷を再生する際に異常なまでの高温発熱と放熱現象が起こすことで一瞬だけ生体反応炉と化すらしく、その結果、古い細胞や流れ出た血液から生成され傷跡から排出される副産物が原石のような石とのこと。

 ガングニールとの適合係数が高いせいで完全融合を果たした響だからこのようなことが起きるのか、それとも他の者でも聖遺物と融合するとこうなるのか。

 良くも悪くも聖遺物と融合した者は今現在、存在していないため融合症例者が全員このような反応を示すのかどうかは不明である。

 

「……~だから、俺にも分からん」

「それって体は……」

「害はないだろう。すぐできてすぐ剥がれるカサブタのようなものだ」

「カサブタ……この石が……」

 

(……未来とキャロルちゃん、仲良いんだなぁ……二人で何か難しい話してて、私は入れないや)

 

 響は未来とキャロルが自分には理解できそうにないと思う難しい話をしているため手持ち無沙汰を感じていた。

 なので、持ってきた本を適当な空きスペースに置くと、響は室内を見て回り始める。

 

〖——〗

「……!」

 

 書類や本の山を越えて部屋の奥へ辿り着いた響は誰かが語り掛けてくるような感覚を抱き、その場でキョロキョロと周囲を見渡すと機械の台座の上に置かれた紫色の琴を発見する。

 それを目にした響は導かれるように歩み寄り、まるで人間に声を掛けるかのように至って自然に尋ねる。

 

「……さっきのは、あなた?」

〖——〗

「……ダウルダブラって言うんだ」

〖——〗

「……ふぁうすとろーぷ? それが何なのかは分からないけど……キャロルちゃんがあなたの欠片でこの琴を作ったんだね」

 

 ダウルダブラのファウストロープ。

 それはキャロルが制作し、先の魔法少女事変にて猛威を振るった彼女の決戦兵器。

 どうやら普通に会話が成り立っているようだが、傍から見れば響が一方的に琴に向かって喋り掛けているだけにしか思えない光景がラボの奥に誕生していた。

 

〖——〗

「……えッ……未来があなたを壊しちゃったの?」

〖——〗

「……い、痛かったよね……ごめんね……でも、未来は優しくて良い子なんだ……だから、怖くてもあまり嫌わないであげてほしいな」

 

 どうやらダウルダブラは魔法少女事変にてファウストロープを半壊させた未来へ恐怖心を抱いているらしい。

 それを聴いた響は代わりに謝罪をしつつ、未来の良さを語ってなんとかダウルダブラの恐怖心を払拭するべく優しく話し掛けるのだった。

 

「——最後に一つ忠告だ」

「……」

「お前が纏う神獣鏡。他のシンフォギアと比べて性能は劣っているが、アレには他にはない聖遺物由来の力を分解する力があり、特にお前はその『凶祓い』の力をかなり引き出せている」

「え、急に褒めるなんて、どうしたの?」

「うるさい、黙って聞け」

「あ、うん……」

 

 シリアスな話が始まるかと思っていた未来が思わず笑みを浮かべながら尋ねると、キャロルに思いっ切り睨まれてしまう。

 

「コホンッ……忠告内容はその『凶祓い』についてだ。お前のことだからそうなる可能性は限りなくゼロなのだろうが、間違えても立花響にそれを振るうなよ? 下手しなくてもアイツ、死ぬぞ」

「え……それってどういう?」

 

 未来が理解できずに尋ねると、キャロルはテーブルの上を再び漁ってタブレット端末を取り出してとあるアプリを起動させる。

 そして、何度かタップして目当ての資料ファイルを開いた後、端末の向きを変えて未来へ画面を見せて話を再開した。

 

「立花響は完全融合症例——人型聖遺物とも言える存在と化している」

「……」

 

 キャロルは話すのと同時に端末の画面をタップする。

 そこに映し出されているのは昨夜、司令室でも公開した響の精密検査した際に撮った全身図。

 その次にスクロールして開いて見せた資料は神獣鏡の機能について記されたものだった。

 

「そして、お前は無駄に高い適合係数を叩き出しているせいで、お前が振るう『凶祓い』の力は聖遺物そのものを分解してしまえるほどになってしまっている」

「ッ⁉」

「分かったか? 立花響にとってお前の力は天敵なんだよ。あの破魔の光を全身に浴びてしまったら最後、痛みもなく消滅するか、最悪は中途半端に体が残り醜悪な姿となって余生を生きることになる……のかもしれん」

 

 キャロルは真剣な表情で説明をし終えると同時に事前に作成しておいたシミュレーター動画を再生する。

 それは、もしも神獣鏡の『凶祓い』……破魔の光を浴びてしまったらどうなるのかを検証したもの。

 動画内で紫色のビームを浴びた響を模したモデルが苦しみながら溶けて泥状のナニカへと変貌してしまった。

 

「ひッ⁉ そんな……」

「まぁ、なんだ……誤射しないように精々気をつけるんだな」

「…………ふう……うん。分かった。教えてくれてありがとう、キャロル」

 

 伝えられた情報の重さに流石の未来も衝撃を受けた。

 響を取り戻し、守るために手にした神獣鏡。

 今では相棒とも言えるそれがまさか響の存在すら消し去ってしまえる力だったのはかなりショックではあった。

 

(でも……)

 

 しかし、神獣鏡はパヴァリア光明結社から響を守るためには絶対に必要な力。

 今さら手放そうという気持ちが未来から湧くことはなかった。

 食材を切ることが目的の包丁だって使い方を誤れば人を傷つけてしまえるのだ。

 装者である未来が神獣鏡の使い方を間違えなければいい。

 ただそれだけだ、と静かに新しい覚悟を決めた未来の耳にキャロルの声が入ってくることで意識がそちらへ向けられる。

 

「ん? アイツ、何をしているんだ?」

「……え?」

「ほら、あそこだ。お前が壊してくれやがったダウルダブラの前」

 

キャロルは部屋の奥にいる響の変な行動に気がつくと、未来に棘のある声で呼び掛けてそちらを向かせる。

 

「あ、あの時は止めるためには仕方なかったの……って、本当だ。何してるのかな」

 

 妬みが込もった言葉に対し、未来は言い訳をしながらキャロルが指す先にいる響へ視線を向ける。

 響は二人に見られていることに気付いておらず、ダウルダブラと仲良く会話を交わしているようだ。

 

「誰と喋って……ひ、響ーッ?」

「……!」

 

 幼馴染が琴に話し掛けているという異様な行動をしていることに気付いた未来は慌てて響へ呼び掛ける。

 すると、声を聞いた響は資料の山などの障害物を避けつつ、白リボンで結った後ろ髪を靡かせながら駆け足で未来とキャロルの元までやって来る。

 

「……未来、どうしたの?」

「あ、えっと。響、今だれかと話してなかった?」

「……うん……ダウルダブラが話し掛けてきてね、ちょっとお話してたの」

 

 響は未来からの問い掛けに普段は伏目がちな視線を上げて楽しそうにそう返す。

 

「……ダウルダブラがね、キャロルちゃんのこととか……いろいろ聞かせてくれたの」

「なに?」

「えーっと……」

 

 響は普通に人と会話したかのように先程まで交わしていたダウルダブラとの会話内容を目の前にいる二人に説明する。

 しかし、それを聞かされたキャロルは眉間に皺を寄せ、未来は響が喋る筈がない琴と話したという内容に戸惑いの表情を見せる。

 

「ね、ねぇ、キャロル? アレにAIみたいな機能って付いてたりするのかな?」

「いや、そんなもの俺は搭載していない……おい、立花響。お前、本当にダウルダブラと言葉を交わしたのか?」

 

 キャロルが威圧的な声でそう聞くと、響は肩をビクッと震わした後にビクビクしながら話し始める。

 

「……え? う、うん……あ、いや……言葉じゃなくて、その……伝わってくるっていうか……ダウルダブラが言いたいこと? が、頭に入ってくるの」

「ふむ……聖遺物との会話……いや話を聞く限り、意思疎通というべきか?」

「へぇ……不思議なこともあるんだね。これもガングニールと一体化したからなのかな?」

「十中八九、そうだろうな。単純に聖遺物が放つ微量のエネルギーの周波数を受信しているのか、それとも完全融合症例となったことで出現した聖遺物と意思疎通する異能か……おもしろい」

 

 キャロルは顔を下げて自身の顎を指で撫でながら思考し、数秒経つごとに口角が引き上がっていく。

 どうやら研究者としての欲求が刺激されたようで、ゆっくりと上げて響へ視線を向ける彼女の顔は珍しく喜色で染まっていた。

 

「後者でもおかしくはない。道具が意思を持つ例が日本には『付喪神』などと云われて昔からあるしな。それにダウルダブラは聖遺物。その神秘性ゆえに後天的に意思が芽生えても不思議ではない。数百、数千年もの間、さまざまな人々の想いを蓄積しているものでもあるしな」

 

 響を見つめたままキャロルは早口で考察を述べると、更に笑みを強めた。

 徹夜明けのせいか、そんなタガが外れかけているように見えるキャロルへ隣にいる未来が問い掛ける。

 

「なんか暴走しそうになってない? 大丈夫、キャロル?」

「くくくッ……」

「あ、大丈夫じゃなさそう……響、そろそろ艦内巡りに戻ろう」

「……う、うん……わか——きゃッ」

 

 未来に促されてキャロルに背を向けてラボを後にしようした響だったが、いきなり肩を強く掴まれて引き止められてしまう。

 

「まぁ待て、二人とも」

「……え?」

「はぁ……」

 

 キャロルの強制的な制止に響はただただ驚き、未来は「捕まってしまった……」と隠す事なく思いっ切りため息を吐く。

 

「立花響の体の解析は日本に戻ってからの予定だったが、あと二十四時間も待ってられん。喧しいエルフナイン(アイツ)が起きてこないうちに、今からやれるだけやるぞ」

「……え? え?」

「はぁ~……」

「意思疎通はダウルダブラだけなのか、まずはそこから調べるとしよう。小日向未来、神獣鏡を出せ!」

「はーい……響、ごめんね。案内の続きはもう少し後になりそう」

 

 断ると後で面倒くさい我儘なキャロルの指示というよりも命令に未来は渋々ながらも従う姿勢を見せつつ、戸惑う響に謝罪を述べるのだった。

 




 聖遺物との意思疎通できる設定は最初から考えてたのですが、どう出そうか悩んでいて……なんとか出した結果がこれです。
 読みにくい文章ですみません……でも書きたかったネタが書けて満足できました。

 自分よりも背が低く初見から物腰が柔らかいエルフナインには対人恐怖症があまり現れず、キャロルも口は悪いが見た目はエルフナインそっくりなので恐怖心はそこまで抱かなかったのです。あとダウルダブラとの会話でキャロルの詳細を知ったからというのもあります。

 マリアはオカンなのでエルフナイン/キャロルの面倒も積極的に見ている設定です。キャロルはマリアの説教を受けてから歯向かないようになりました★
 みくひびの他のCPはつばクリ、きりしらの予定でマリアが余ってしまったので、エルフナイン/キャロルと組ませました。そんな適当な理由でマリエルキャロです。姉ロリ!
 未来は後で切歌と調にラボの惨状を話し、二人からマリアへ話が行き、普通に怒られましたとさ。

 ダウルダブラは意外とお喋り。
 試しに近くに来た響に声を掛けたら答えてくれたので、思わず喋りまくった感じです。

 この世界の響はガングニールと一体化している人型聖遺物なので神獣鏡のビームが当たると消滅します。これは感想でも察してたくれていた方がいましたね。
 原作の神獣鏡はそこまでできないっぽいのですが、この世界の未来はMIKUさんなので適合係数が高く良くも悪くもできちゃいます。


 今回は特にいろいろと雑な感じでしたが、最後まで読んでくれてありがとうございました!
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