翼たちはギアを纏った状態でいます。
書き忘れてたのですが、研究所は孤島にある設定です。
後書きで響のことなどをいろいろと書いてるので、時間に余裕があれば是非目を通してもらえると嬉しいです。
1話の誤字報告ありがとうございました!
~1話から数分後~
未来によって救出され研究所の外に出た響は他の六名の装者たち(翼、クリス、マリア、切歌、調)と顔合わせをしていた。
「小日向が言うには曲を聴いてくれているようだが……一応、初めまして、だな。私は風鳴翼だ」
「あたしはクリス。雪音クリスだ」
「マリア・カデンツァヴナ・イヴよ。よろしくね」
「アタシは暁切歌っていいます! よろしくデスよ、響さん!」
「……月読調です。よろしくお願いします」
三者三葉ならぬ五者五葉の自己紹介を終えた装者たちは何らかのリアクションを期待し響へ視線を向ける。
「……あぅ……」
しかし、当の響は未来の後ろに隠れたままプルプルと震えているだけで、翼たちにリアクションを返す素振りは見られない。
「響、大丈夫だよ。さっきも言った通り、この人たちは私の仲間だから。響を傷つけたりしないよ」
「……で、でも……こわぃ……」
「響……」
幼馴染だからか、それとも誘拐されてからずっとずっと未来との再会を願っていたからか、響は未来に対しては普通に接せられている。
だが、外道な錬金術師とは言え人間から約三年も非人道的な扱いを受けてきたため、響は対人恐怖症を発症してしまっており、初対面の五人が怖くて堪らないのだ。
「ふむ……まぁ、今すぐに親睦を深めずともいいのではないか?」
「そうね。心の問題のようだし、無理矢理コミュニケーションを取るのは悪手だと思うわ」
年長組の翼とマリアは響の現状から対人恐怖症であることを見抜き、困り顔の未来へ助け舟を出す。
「あ、ありがとうござ——」
二人へ未来が感謝の言葉を伝えようと思ったその瞬間、周囲に複数の魔法陣が出現し、大量のアルカ・ノイズが姿を現する。
装者全員が集まったことが発動トリガーとなったのか、錬金術師たちが仕掛けていたトラップの残りが起動してしまったようだ。
「「「「「——ッ」」」」」
装者と響に向かってわらわらと進行してくるアルカ・ノイズ集団。
人型、鳥型、植物型に加え、大型、超大型と多種多様なノイズのフルコースである。
「まだ残党がいたか」
「残業確定かよ、コンチクショウッ」
「切歌、調。まだ戦えるわね?」
「もちろんデース!」
「うん……問題ない」
それに対して不測の事態に慣れっ子な装者たちは慌てることなく、各々のアームドギアを出現させて臨戦態勢に入る。
「響はここに隠れててね」
「……う、うん」
未来は近くにあった大きな瓦礫の物陰まで響を移動させると、自身もまた扇子型のアームドギアを握り締めてアルカ・ノイズ殲滅へ向かっていく。
「やぁぁッ!」
紫光、一閃。
未来が放った太く強力な光線が一度に数体のアルカ・ノイズを塵へと変える。
魔法少女事変の初期は苦しめられたとは言え、ノイズはノイズ。
なんだかんだ一年以上も装者として戦っている未来にとっては簡単に倒してしまえる相手なのだ。
(響が見てる! どうせなら、私のカッコいいところを見せたい! 『未来、すごい!』って言われたいッ!!)
次々と撃破していく最中、そんな欲望を抱く余裕すらある未来だが、その強欲さがほんの僅かな隙を生んでまう。
「——ッ」
「あぶな——ッ!? 響ッ!!?」
鳥型ノイズによる死角からの突貫攻撃を未来は辛うじて回避することに成功するも、そのノイズは勢いそのままに直線状にいる瓦礫の陰に隠れた響の元へ向かって進んでいく。
ノイズは無機物を透過して進むことができる。
つまり、未来を仕留められなかったノイズの次なる標的は響である!
「……ひッ」
響にとってノイズとは彼女が見舞われた不幸の原因の一つであり、未だに人間と同じほどに彼らに恐怖心を抱いている。
ゆえに響は自身への急な攻撃にアクションが取れず、目前へ迫る鳥型アルカ・ノイズの鋭い嘴を避けることができないッ。
……と必死に駆ける未来が思った、その時——響の意識が切り替わる。
「Balwisyall Nescell gungnir tron」
響の口が勝手に動き、唱えたのは聖詠。
シンフォギアを身に纏う際に装者が唄う起動フレーズである。
唱え終えると同時に響は一瞬で眩い光に覆われ、光が止むとそこには黄色のギアインナーに身を包んだ、先程までとはどこか雰囲気が違う響が姿を現した。
「はぁッ!」
「——ッ!?」
響(?)が放ったパワージョッキが搭載された籠手による右ストレートにより鳥型アルカ・ノイズは嘴を折られ、そのまま胴体に拳をめり込まされ撃破されてしまった。
「ひ、響……?」
「ッ……かな、で?」
「アイツも装者だったのか……あれってシンフォギア、だよな?」
「アレってガングニール? でも槍は……」
「おぉ! ワンパンとはなかなかやるデスね!」
「……さっきと雰囲気が違う?」
救護対象の大ピンチから一転。
急な戦力増加に一名を除き装者たちが唖然とする中、響(?)は殴った際に籠手に付着したアルカ・ノイズの塵を振るい落とすと同時に変身が解けて元の見窄らしい病衣姿へと戻る。
「……わッ」
変身解除と同時に地面へペタンと座り込んだ響の雰囲気は元の気弱なものに戻っており、何が起こったのか分からないようでキョロキョロと周囲を見渡し始める。
「はッ……響!」
自分の油断が生んだピンチに響の変身と怒涛の展開に驚愕して動きを止めていた未来だったが、ハッと意識を響へ向けて彼女の元へ駆け寄って安否を問う。
「大丈夫!? ケガはない? ごめんね、油断して響の方に行かせちゃった……っていうか、今のってシンフォギアだよね? どういうことなのッ!?」
「……え、えっと……」
未来は興奮し矢継ぎ早に質問するが、響は何から答えていいのか分からずに座ったままアタフタしてしまう。
「……しんふぉぎあ? っていうのは知らないけど……さっきは……ガングニール、が守ってくれたみたいだから……大丈夫だよ」
質問をなんとか整理した響は体に残る感覚から起こったこと、無事であることを伏目がちにどこか辛そうに伝える。
「響……?」
「「「「「?」」」」」
急に聖遺物のガングニールの名前が出てきたため未来と、各自アルカ・ノイズを撃破してきて集まってきた他五名の頭にハテナマークが浮かぶ。
しかし、ガングニールの名を出した際に響が見せた、
「あー……——」
「えっと……——」
無言の時間が一分ほど続き、静寂に耐え切れなくなったクリスや切歌が何か言葉を発しようとしたその瞬間、S.O.N.G.本部から装者全員へ通信が入る。
『——みんな、ご苦労だった。周囲にはもうノイズ反応は見られない。響君についていろいろと聞きたいことができたが、それは後回しにしよう。制圧完了したことだし、今は響君を連れて本部へ帰還してくれ』
弦十郎からの通信は労いの言葉で締められ、それを聞いた装者たちは各自で返事を返すと通信を切って皆で顔を見合わせる。
「とりあえず、本部へ戻るとしようか」
「……だな」
「帰りましょう」
「で、デスね!」
「……帰ろう」
言いたいことや聞きたいことをグッと飲み込んだ五人はシンフォギアを纏ったまま踵を返して帰路へつく。
「ふぅ……響、行こ? 抱っこするね」
「……う、うん……おねがい」
未来もまた響に聞きたいことがあるのだがそれを抑え込み、一息ついてから再び響をお姫様抱っこして先に移動していった五人を追いかけていくのだった。
余裕があるうちに一度、装者五名と響のガングニールの話を書いておきたかったので書いてみました。(翼たち大して喋ってない……)
翼がシンフォギアを纏った響を見て奏の名を口にしたのはインナーの色などからかつての奏を幻視したためです。刹那の間に奏との記憶(楽しかった時のものから塵と化して消える最期の瞬間など)を想起して彼女もまた苦しそうな表情を一瞬浮かべてたと思います。
いつ書くか分からないのでもう先に言ってしまうと、響と融合しているガングニールには意思があります。
天羽奏の残留思念がいろいろあってガングニールの意思となって現れたのか、はたまた元からあったのかは不明ですが本能的な意思があります。
Gのように肉体を浸食するのではなく、錬金術の施しなどもあって細胞単位で『綺麗に』響とガングニールは完全に融合・一体化してます。人型聖遺物。
Q1.ガングニールが助けてくれるなら人体実験などされずに逃げ出せたのでは?
A1.非人道的な人体実験の末に一体化した末にガングニールの意思が覚醒した+錬金術で作られた従属の拘束具(命令に逆らえないようにする仕様)を実験前から付けられていたので逃げ出す思考を抱けなかった(ガングニールの意識にも作用してた)+見張りにアルカ・ノイズが配置するという響のトラウマ見抜いた嫌がらせもあったから。
Q2.そんな拘束具があるなら未来さんはなんで連れ出せたの?
A2.支配権があった錬金術師のリーダーをぶん殴って一瞬で行動不能にしたから。未来さんが冷静だったらVS洗脳響になっていたかもしれない。
★ガングニールは響が好き
=最初から適合係数が凄く高いため。(オリジナル設定)
★響からガングニールへの感情は複雑
=事故とは言え、そもそもガングニールと融合したことが響の不幸の始まり(元凶)だから……しかし、ガングニールの好意は何となく感じる上に響が壊れないようにアレコレやってくれていて恨み切れてないため、感情がグチャグチャ。
やってくれた例:
未来の記憶と歌を紐づけて胸の曲を聴けば、痛い目に遭って頭が働かなくても必ず思い出すようにしてくれた。
響の口癖「私、呪われてるかも」はこの作品の響では本当にあり得ますね。
『ガングニールの呪い改め愛』
ガングニールが響を直接傷つけることは決してないが、共にあることで不幸には見舞われてしまうのです。
ここまで読んでくれてありがとうございました!