「先生ごめんね…。今日当番だったのに…」
「気にしないでミカ。今日は比較的仕事も少なめだから大丈夫だよ」
某日。明日は待ちに待ったシャーレでの当番の日!
寝る前に、薄着で当番に行く準備をしていたら、思ったよりも長くなってしまい、そのせいで、翌日風邪を引いてしまった。
朝起きた時にはちょっとしたダルさを感じただけであったので、気にせずシャーレに向かったのだが、シャーレに近づくにつれ、私の体調はどんどんと悪くなっていってしまった。
シャーレに着いて、先生に会った瞬間、顔赤いよ!?大丈夫!?と心配されるぐらいだ。
急いで先生が体温計を持って来てくれたので、計ってみると余裕で微熱を突破。
体温計はなかなかに高い数値を叩きだしていた。
そんなわけで今私は、シャーレの仮眠室で先生が用意してくれた、冷間シートや、風邪薬を貰って横になっていた。
「ナギサに連絡したら、今は忙しくて行けないけど、お昼過ぎたら迎えに来るって」
「先生…、ありがとう」
「ミカ朝ごはんは食べた?何か食べられそう?」
「ちゃんと食べたよ。今は大丈夫」
「そっか、なにかして欲しいことはある?」
「その…えっと…我儘かもしれないんだけど……」
「うん?」
「しばらくそばにいて欲しい…」
「そんなこと全然我儘じゃないよ」
そう言って先生は私の頭を撫でてくれた。
それから少し経って、風邪薬も効いて来ると、少し身体の調子も楽になった。
しかし少し余裕が出てくると、今の状況にドキドキしてしまう。
そこまで広くない仮眠室に先生と二人っきり。
しかも先生は私を安心させるためか、いつの間にか片方の手を握っていてくれている。
風邪のせいか、先生のせいかわからないが、さっきより身体が熱くなっていくのを感じた。
「ミカ?さっきよりも顔が熱くなってるみたいだけど…」
「だ、だいじょぶだよ!?」
「そ、そう?」
ある意味寝れてしまえば楽なのだが、身体は風邪で疲れているが、先生といる緊張感であまり眠気が襲っては来なかった。
「眠れない?」
「え?う、うん…ごめんね先生、迷惑かけて」
「だから気にしないでいいよ。迷惑ならいくらだってかけていいよ」
「先生…ありがとう…」
「そうだ、眠れないなら絵本を読んであげよう!」
「絵本?」
「確かこの辺に置いてあったような…」
そう言うと先生は仮眠室の棚をガサガサ漁り始める。
流石にもう絵本を呼んでもらっての、寝かしつけなんて恥ずかしいが、せっかくの先生からの提案なので、甘えることにする
それにこんな経験ちょっと新鮮で楽しいし。
「あったあった」
先生が持ってきたのは、表紙に金髪の女の子が描かれている絵本。
だがその女の子は、下半身が魚の尾を持っていた。この絵本は、
「人魚姫」
「わ~お…懐かしい」
『昔々。深い海の底には人魚の国があり、そこに人魚姫という人魚が住んでいました。』
『腰まで伸びたストレートのブロンドの髪を持ち、小柄ながらも大人びた雰囲気を持った人魚姫は、日々ペットの世話をしたり、難解な言葉づかいで他の人魚を困らせたりして過ごしていました』
「先生、凄い私の知っている人に似てるんだけど」
『ある日、人魚姫は気晴らしに海面まで泳ぎ、水面に顔を出していると、遠くから立派な船が近づいてきました』
『「 」』
『そう人魚姫が言って関心を持つと、人魚姫はこっそりとその船に近づきました』
「あれ?」
『船のすぐ近くまでやってきた人魚姫。すると船の上から声が聞こえます』
『「ん、船に乗ってある荷物を全部寄こすべき」』
『「だ、だ、だだれですかぁ!?」』
『人魚姫が良く長い耳を澄ましてみると、どうやら船が海賊に襲われているようでした』
『どうしたものかと考えていると、上から豪華な服を着た人が1人落ちてきます』
『「わ、ぁぁぁぁ!」』
『「 」』
『海に投げ出されてしまった豪華な人を慌てて、人魚姫は助けました』
「やっぱり人魚姫、声出てなくない?声奪われる前に声奪われてない?」
『なんとか、陸まで運び安否を確認し無事だとわかると、人魚姫は安心して海に帰ろうとしました』
『しかしそこで朦朧とした意識の中でその豪華な人は目覚めました』
『「あれ…?もしかして貴方が私を…?」』
『コクリと頷く人魚姫』
『「そうでしたか…。よろしければ…、この、招待状を…受取ってー…ください…」』
『「 」』
『そう言うと人魚姫は、招待状を受取り、海に帰って行きました。』
「なんて言ってるかわからないよ人魚姫…」
『水底に帰った人魚姫。帰ってからもこの招待状が気になります。受取っておくよと言ってしまったが、人魚の私では陸のパーティに参加はできない』
「あ、そう言ってたんだ」
『考えた人魚姫は海の魔女を訪ねました』
『「あら?人魚姫。こんなとこまで来て…■■■■した■■を■■■に来たんですか?」』
「人魚姫よりコイツの声を奪った方がいいんじゃない!?」
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
「ミカ大きな声で叫んだらダメだよ?」
「ごめん…ちょっと気になるところが多くって…」
「うーん人魚姫は刺激が強いみたいだから別の絵本を読もうか」
「絵本に刺激を感じたことはないけど、うん…お願い」
「じゃぁ次のお話読むよ。…桃太郎」
『昔々あるところに、お爺さんとお婆さんがおりました』
『ある日、お爺さんは山に柴刈りに、お婆さんは川へ洗濯に出かけました』
「まだ普通だ…」
『お婆さんが川で洗濯をしていると川上から大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました』
『「こりゃいい桃じゃ、これはいいお土産になるわ」お婆さんはそう言うと大きな桃を拾いあげて、家に持ち帰りました』
『そして、お爺さんとお婆さんが家で桃を食べようと、桃を切ってみると…』
『「桃から生まれた錠前サオリだ。よろしく頼む」』
「ぶふぅ!?ゲホッゲホッ!!」
「ミカ!?大丈夫か!?」
「コホコホッ!それは反則だよ先生…。誰でも笑うって…。サオリの無愛想な赤ちゃん姿想像しちゃったよ」
「くっ!すまない…!」
「ふふっサオリの真似やめて」
「じゃぁ続き読むよ」
『桃から生まれた赤ちゃんに、子供のいなかったお爺さんとお婆さんは、大喜びです』
『お爺さんとお婆さんは、この子を育てることにし、桃から生まれた錠前サオリを桃太郎と名付けました』
「自己紹介してるのに桃太郎って名付けちゃったの?お爺さんとお婆さん頑なすぎない?」
『桃太郎はすくすく育って、やがて強い女の子になりました。そしてある日桃太郎は言いました』
『「この頃村人を困らせている鬼の首領を討伐してこようと思う。鬼ヶ島に行くので、きび団子を作ってくれないか」』
「おにたいじって言い方でこんなに物騒になるんだ」
『すると、お爺さんとお婆さんはきび団子と、独自のカスタムが施されたアサルトライフル、それと大量のサーモバリック手榴弾を持たせて送り出してあげました』
「それ私が手こずったやつじゃんね?というかそんな物を調達できるってお爺さんとお婆さん何者?」
『そうして桃太郎は旅に出て、鬼退治に向かっていると、一匹の犬と出会いました』
『「きひひ、いひひひっ~。桃太郎、どこへ行くんだ…?」』
『「これから鬼ヶ島へ鬼退治をしに行くつもりだ」』
『「うくぁ…!その腰に付けた、団子…一つくれ。そしたら…力を貸してやる…」』
『「そうか、すまない。ではこれでよろしく頼む」』
『「ひゃーははは、ひゃああああ!」』
『そうして犬は桃太郎からきび団子を貰い、ついていくことにしました』
「大丈夫その犬?犬は犬でも狂犬でしょ?」
『犬を仲間にして進んでいると、今度は一羽の雉に出会いました』
『「桃太郎、何かあったのですか?」』
『「これから鬼ヶ島へ鬼退治をしに行くつもりだ」』
『「そうですか…。わかりました。救護の手が必要ということですね?」』
『「え?いや…そんなことは」』
『「理解しています。戦場に救護の手を。救護が必要なら私もついていきます!」』
『「…そうか。ではよろしく頼む。あとよければこのきび団子…」』
『「ありがとうございます!」』ムシャァ!
『そうして雉は桃太郎からきび団子を貰い、ついていくことにしました』
「あ、おわった」
『犬と雉を仲間にし、雉が先頭で進んでいると、今度は一匹の猿に出会いました』
『「あぁえっと…も、桃太郎さん、どちらに行かれるのでしょうか?」』
『「これから鬼ヶ島へ鬼退治をしに行くつもりだ」』
『「そうだったのですねっ…!そしたら、ぜっぜひ!私も連れて行ってください!あの、頑張ってお役に立ててみます…ので…」』
『「いや、こちらこそ助かる。ではこれでよろしく頼む」』
『こうして犬、雉、猿を仲間にした桃太郎は、鬼ヶ島に向かうのでした。』
「ヒナタちゃんだけが癒しだなぁ…」
『ついに鬼ヶ島にやってきた桃太郎。鬼ヶ島では鬼達が近くの村から盗んだ宝物やご馳走を並べて、パーティを開いていました』
『「キキキッ!周りの村や部下から巻き上げたものでするパーティは楽しいなぁ!」』
『そんな様子を見て桃太郎は、銃を構えて言いました』
『「作戦開始!!」』
『そうして桃太郎はパーティに手榴弾を投げ込むと、動揺している鬼達を制圧し始めました。』
『「キキッ…ん?なんだ!?侵入者だ!全員迎え撃て!!」』
『「かか、かかかかか、しゃぁ!!」』
『「救護ぉ!!!」』
『「ま、まずはお話を…。あ…、仕方ありません…い、痛いかもしれません!!」』
『桃太郎たちの奮戦によって鬼達は2分で壊滅。鬼ヶ島は桃太郎達の戦闘に耐えきれず崩壊してしまいました。』
「………よく2分持った方だよ」
トリニティの戦略兵器。救護騎士団のミネ。シスターフッドの戦車。
そして錠前サオリ。
こんな面々を本当に揃えて来たら、誰でも逃げ出すだろう。
『そして鬼も宝物もご馳走も消し飛び、荒れ地になった鬼ヶ島で桃太郎は言いました』
『「vanitas vanitatum et omnia vanitas.。………全てはただ、虚しいだけだ」』
『おしまい』
「…宝は!?好き勝手暴れただけじゃん!?これで子供に何を教えるの!?」
「どお?ミカ眠れそう?」
「無理☆風邪の熱に加えて知恵熱も出たみたい」
「そうなの?…どうする?もう1冊読む?」
「もういいよ!ナギちゃん早く迎えに来て!!」
ブルアカT6作目
クリスマスが近いですね
今年はサンタさん何くれるんだろう?
サンタさん、私はお金が欲しいです
8億ぐらい
拙き作品ですが宜しくお願いいたします